政策医療

腹部大血管疾患(心臓外科)

腹部大動脈疾患、腹部末梢血管疾患

腹部大動脈瘤

腹部大動脈に瘤を形成する疾患である。病因は動脈硬化がもっとも多く、先天的中膜脆弱性、感染、大動脈炎症候群等である。3㎝以上を瘤とみなし、多くの医療施設では5cm以上になると破裂の危険が高いとみなし手術適応としている。しかし4cmでも破裂の報告があり4cmで手術適応とみなす場合もある。腹部大動脈瘤の90%は腎動脈下に存在し腸骨動脈瘤を合併することが多い。破裂の危険性は瘤の最大短径が5cm時で約20%であり瘤径が増加するにつれて破裂の危険性は上昇する。破裂した場合救命率は25%程度しかない。治療法は人工血管置換術、ステントグラフト留置術である。

腸骨動脈瘤

総腸骨動脈、外・内腸骨動脈に瘤を形成する疾患で腹部大動脈瘤に合併していることが大半である。治療法は腹部大動脈瘤に順ずる。破裂した場合、腹部大動脈と同様に生命の危険がもたらされる。

内臓動脈瘤

脾動脈、腎動脈、腹腔動脈、上・下腸間膜動脈等の腹腔内動脈に瘤を形成する疾患である。治療法は血行再建術であり、瘤の発生部位によっては(腎門部、脾門部など)臓器摘出術となる。

Leriche症候群

終末大動脈閉塞症のことである。本疾患の動脈閉塞は腎動脈分岐部以下の腹部大動脈に始まり総腸骨動脈分岐部周辺にて終るが症例によっては外腸骨動脈ないし浅大腿動脈にまで及ぶ。病因は血管炎、動脈硬化症、塞栓症、動脈内膜剥離、動脈瘤、血管外傷、腫瘤圧迫などである。症状は両下肢の間欠性跛行、両下肢の対称性萎縮、勃起障害、両下肢のチアノーゼ、両下肢の阻血性潰瘍である。治療法は症状の程度によるが人工血管による血行再建術が主である。