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メールマガジン「法円坂」No.186(2016/11/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 世界中が注目していたアメリカの大統領選が終わりました。中傷合戦などと
の批判もありましたが、両候補者が高齢であるのに激しい長期戦を戦っている
様子を見るとすごいパワーを感じざるを得ません。世界のリーダーとなるには
タフでないといけないのですね。
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   メールマガジン「法円坂」No.186(2016/11/15)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です
 ・就任のご挨拶
 ・翔け!第1回大阪ERセミナー
 ・当院で働く女性医師 (5)
 ・日本病院ボランティア協会
  「2016年度 総会・病院ボランティアの集い」に参加して   
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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 直接経口抗凝固薬(DOAC)は新しい時代へ 中和薬はどんなイメージ?

 ワルファリンにかわる新しい経口抗凝固薬も初めてのダビガトラン(プラザ
キサ)が発売されてすでに5年以上が経ち、もはや新規とは呼べなくなりまし
た。
その略語もNOAC:Novel Oral AntiCoagulantsからDOAC: Direct Oral
AntiCoagulantsと代わりつつあります。そんな中、ダビガトランに中和薬イダ
ルシズマブが発売されることになりました。いよいよ今月中には薬価収載にな
るようです。どんなときに使うのか、ですが、ダビガトラン服用中に生命を脅
かす出血あるいは止血困難な出血を発現している患者さんあるいは重大な出血
が予想される緊急手術または処置の施行時、が適応となっています。抗凝固薬
は、以前より言われているように諸刃の剣であり、DOACではワルファリンより
頭蓋内出血はかなり少ないですが、消化管出血については同じあるいはやや少
ないようです。
 ワルファリンの場合、ビタミンKに加えて、IX因子複合体を注射することに
より速やかに効果は中和できますが、DOACではそれに相当する中和薬がこれま
でありませんでした。
 先日、この中和薬の説明会がありましたが、発表された先生によってもその
イメージは異なりました。私のイメージは、災害用手動充電式FMラジオ付き
ライトでした。実際には、あまり使われることはないのではないか、薬価が高
いことを考えると一家に1台いるのか(すべての病院に備え付ける必要がある
のか)という問題提起をしました。別の意見で、ブレーキ付き自転車、という
のもありました。海外で自転車を借りたときにブレーキのない自転車で大変困
ったと。やはり思ったときにブレーキをかけることのできる自転車がいいとい
うイメージでした。ドイツの先生はもうすでに実際に使用されており、イメー
ジは車のエアバッグでした。いざというときに命を守る、ということでしょう
か。
 今後、実際に日本でどのように配備され、どのような場面で使われていくの
か。適正に使われていくのか。ダビガトラン以外のDOACには効果がないが現
場で混乱はないのか。など色々気になるところです。
 なお、Xa阻害薬の中和薬andexanetαはまだ承認に時間がかかりそうです。


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             就任のご挨拶
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                     肝胆膵外科 科長 宮本 敦史

 本年8月1日付けで肝胆膵外科科長に昇任いたしました宮本敦史です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私は奈良県出身で、奈良県立畝傍高等学校を卒業後、阪神タイガースが日本
一に輝いた昭和60年に大阪大学医学部に入学しました。平成4年の卒業後、
当時の第二外科講座に入局し、兵庫県立西宮病院や阪大病院での勤務を経て、
平成19年7月から大阪医療センターにおいて外科診療に従事してまいりました。
専門は肝胆膵疾患に対する外科治療で、特に肝胆膵領域の癌に対する手術を担
当しています。
 近年の効果的な化学療法の開発などに伴い、消化器癌の治療は大きく変化を
遂げてきましたが、外科治療が中心的役割を担っていることに変わりはありま
せん。特に、肝胆膵領域の癌においては、多くの場合は手術が唯一の根治的な
治療となります。しかしながら、他の消化器癌と比較して、補助療法としての
化学療法や放射線療法の有効性に関する科学的根拠が少なく、その治療成績は
未だ満足のいくものではありません。このため、現在、新たな治療法の開発が
全国規模で実施されており、当科もこれらの取り組みに積極的に参画すること
により、肝胆膵領域癌の治療成績向上を目指しています。
 一方、昨今、様々な消化器外科手術において腹腔鏡下手術が導入され、患者
さんの負担の軽減が図られるようになってきました。当科では、このような負
担の少ない(低侵襲)手術の導入にも積極的に取り組んでいます。良性疾患で
ある胆石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘除術のみならず、肝胆膵領域の悪性腫瘍に
対しても腹腔鏡下手術を実施しています。実際に術後経過をみていますと、や
はり腹腔鏡下手術のほうが従来の開腹手術よりも患者さんの負担が少なく、回
復が早いことを実感しますので、今後もこのような「患者さんに優しい手術」
を行っていきたいと考えています。
 今後ともご支援・ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。


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       翔け! 第1回大阪ERセミナー         
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                      職員研修部長 中島 伸

 先日、当院で大阪警察病院、大阪府立急性期・総合医療センターと合同で第
1回大阪ERセミナーが行われました。
この会の趣旨はアメリカのERで働く医師を招き、普段の診療活動をお聞きする
とともに、研修医が英語でプレゼンテーションを行って症例検討をするというも
のです。
 まず、最初はニューメキシコ州で救急医をしている乗井達守先生から、「日米
の救急の違いについて」というテーマで20分間のプレゼンがあり、米国のERの
3つの神話についてお話しされました。

神話1:米国のERの歴史は長く、日本のそれは短い(間違い)
実は日米の救急の歴史はほぼ並行しており、米国でも救急が専門診療科として認
められたのは1989年になってからだそうです。

神話2:アメリカの無保険患者は医療を受けられない(間違い)
米国ではEMTALA法によって救急患者は拒否できません。その結果、リスクを避け
るためにERがどんどん巨大化し、乗井先生の530床の病院にはER医が約100人
在籍しているそうです。

神話3:巨大ERは良い(間違い)
良いところも悪いところも沢山あるとか。良いところはシフトが厳密に守られて
いるので、私生活のQOLが良く、女性医師が半分以上になったのだそうです。

 続いて3病院からの初期研修医によるケースプレゼンテーションが行われまし
た。

 警察病院:50歳代男性の突然の頭痛と、それに続く微かな構語障害。これは右
椎骨動脈解離による延髄外側の脳幹梗塞ですが、あまりにも軽微な神経症状だっ
たので一旦は自宅に帰してしまったのだそうです。

 当院:40歳代男性のCPA。バイスタンダーCPAが行われ、瞳孔が5mmと開ききっ
ていない状態で到着(Vf)。頑張って心拍再開させ、冠動脈造影で2番の閉塞が認
められインターベンション。低酸素の影響は残ったものの、無事リハビリ病院に
転院されました。

 府立病院:80歳代女性の腹痛。突然発症の腹痛で、どんどん増悪し、腹膜刺激
症状もあり。最終的な診断は腎梗塞でした。

 ということで、発表した初期研修医全員が英語でのプレゼンテーションでした。
当院からは佐藤広陸先生が発表しましたが、彼も含めて皆さん英語が上手い! 
日本人の英語下手は世界でも有名ですが、今日の発表を聴くかぎり、次の世代は
もう心配要らないのでは、と思った次第です。


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      当院で働く女性医師 (5)          
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					 脳神経外科 沖田 典子
 
 脳神経外科医員の沖田典子と申します。突然ですが、脳外科の女性医師に実
際に会ったことがある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?脳外科の女性
医師は全国で512人で脳外科医全体のわずか5.6%に過ぎません。健康で医療機
関とは無縁の方は滅多にかかわることがないのではないかと思います。
 脳外科というと非常に過酷な環境を想像されがちで、女子学生さんからも敬
遠される科の代表でした。しかし、先輩女性医師の方々が様々な方面から道を
切り開いてくださったおかげで、最近では卒後10年目までの女性医師の占める
割合は10%程度まで増えてきています。
 私は大学院を卒業して、脳腫瘍を専門に臨床にあたるようになりましたが、
当時は難しい手術は女医である自分が取り組むより、実力のある男性医師に行
ってもらった方が良いのではないかとどこかで思っていて、気づかないうちに
自分自身が性別を言い訳にしていたように思います。当時ご指導いただいてい
た恩師は、そういった気持ちを見抜いておられたようで、手術中にすぐに上司
を頼ろうとする私に、いずれ自分で対処しなければならなくなるのに覚悟が足
りないとたびたび注意されていました。
 私が大阪医療センターに異動になったのは4年前で、術者として独り立ちが
必要な時期でした。脳外科という科の特性上、緊急入院、緊急手術が必要です
が、大阪医療センターは緊急の対応に対しても病棟が非常に協力的で安心して
診療に当たることができます。麻酔科の先生方も急なお願いにも丁寧に対応し
ていただき、術者として独り立ちし始めた私には非常にありがたい環境でした。
脳腫瘍の患者さんは手術によって言語や高次機能を損なう恐れがあることもあ
り、リハビリテーション科のご協力のもと覚醒下手術を行うことで機能を温存
しながら手術に取り組んでいます。麻酔から覚めた時に患者さんに神経症状が
ないことを確認して安堵するまで、祈るような気持ちがこれから手術に関わる
限りずっと続きます。恩師から覚悟と言われた意味がこういうことだったので
はないかと今頃になって、少しずつ理解できるようになってきました。
 科を問わず、女性医師であれば仕事を続けていく上で育児や介護などの問題
から方向転換を迫られることもあるかと思いますし、すべてを背負いきれるほ
ど強い人は少ないと思います。自分の意思で選択し、時には弱音を吐きながら
いきいきと働く脳外科女性医師が増えることを願ってやみません。


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 日本病院ボランティア協会
「2016年度 総会・病院ボランティアの集い」に参加して 
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

 2016年10月26日、ホテルアウィーナ大阪にて、NPO日本病院ボラ
ンティア協会「2016年度総会・病院ボランティアの集い」が開催され参加
しました。
 日本病院ボランティア協会 NHVA(Nihon Hospital Volunteer
Association)は、病院・施設などへ来院・来所する人々に安らぎを与える病
院ボランティア及び病院ボランティアグループを支援し、それに関する研修・
講演会、情報の収集・発信、相談・助言などの事業を行い、その活動の健全な
発展と推進によって社会福祉に寄与することを目的とする非営利活動法人です。
2016年9月現在、大阪医療センターをはじめ、全国209病院グループが
加盟しています。
 協会のシンボルマークは、手と手を結びあう形を表し、団結と継続を示して
います。1977年、長くボランティア活動を続けられた方に、協会として感
謝の意を表したいと、創始者の故広瀬 夫佐子初代会長が1000時間バッジに
考案したものです。バッジは毎年総会(病院ボランティアの集い)で、病院ボ
ランティアとしての活動が1000時間に達した方に贈呈しています。
(ご興味のある方は、日本病院ボランティア協会のサイト→
http://www.nhva.com/ をご覧ください。)

「2016年度 総会・病院ボランティアの集い」のプログラムは、
〈第一部〉総会
・会場:ホテルアウィーナ大阪 3階「生駒の間」
・時間:11時00分〜12時00分
     ・総会議事
〈第二部〉病院ボランティアの集い
・会場:同ホテル 4階「金剛の間」
・時間:13時30分〜15時30分

*内容*
・1000時間活動達成者感謝状、記念バッチ贈呈式
・親睦会(ティータイム&歌と手作り楽器でのアトラクション)

で行われました。
「総会」は吉村 規男協会理事長の挨拶に始まり、斉藤 悦子協会副理事長を議
長とし、粛々と進行しました。全国のグループ代表者の賛同によりつつがなく
終了しました。
 総会を終え、午後からは会場を変えて「病院ボランティアの集い」が始まり
ました。例年通り協会理事長、来賓挨拶(国立病院機構 大阪南医療センター・
森下 まり子看護部長)の後、活動時間1000時間達成者の感謝状贈呈式が執
り行われ、2015年度の達成者179名(累計4530名)に、協会理事長
より感謝状と記念バッジが贈られました。
 当病院では、ボランティア園芸グループ・横谷 文一さんが受賞され、累計達
成者も35名となりました。感謝状贈呈式後の受賞者インタビューでは、感謝
のことばやこれからの抱負などを述べられていました。
1000時間達成“おめでとうございます”。日頃の活動に感謝いたします。
今年のお楽しみアトラクションタイムは、ピアノ演奏と「♪森のくまさん」の大
合唱(輪唱)。次に手作り楽器のマラカスで、ピアノの演奏にのりながら会場一
丸、大きな声で「あ・ウー! マンボ!!」。少しは「日ごろの・・・?」発散でき
たでしょうか?。
会場いっぱいの皆さまと共に、1000時間感謝状を授与された全てのボランテ
ィアさんを祝福し、束の間の憩いを楽しみながら、「♪ひとりの手」を合唱し、
閉会となりました。
 毎年、この「病院ボランティアの集い」には、全国各地より大勢のボランティ
アさんや病院職員の皆さまが参加されます。お陰さまで、今年も多くのボランテ
ィアさんや職員の皆さまにお会いすることが出来ました。
 今後も、日本病院ボランティア協会の皆さまが、ボランティアと職員との「交
流の架け橋」となっていただけることを願っております。そして、病院ボランテ
ィアの繋がりを大切に、「ボランティア仲間の楽しい交流の場」として末永く続
くことを願っています。


■メールマガジンをご愛読の皆さま、大阪医療センターでは「病院ボランティア」
を募集しています。
「ボランティア活動をしてみたい!」「なにかお手伝いしたい!」「何か私にも
出来ることがあるのでは!」と思っていらっしゃる方は、お電話かボランティア
ホームページよりお申し込み下さい。
・管理課ボランティア担当    TEL:06−6942−1331(代表)
・ボランティアホームページ → http://www.onh.go.jp/volunteer/

また、外来診療棟1階・ ボランティア室に、ボランティアコーディネーターがい
ますので、是非、お訪ねください。
「私たちと一緒に活動してみませんか!」
心よりお待ちしています。


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      看 護 の こ こ ろ        
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			              臨床研究推進室 副看護師長
                      綱本  郷子

 暑かった夏がやっと終わり、過ごしやすい季節となりました。紅葉も徐々に
赤くなり観光地は賑わいつつあります。
 私は、京都にあります宇多野病院から4月より大阪医療センターに着任いたし
ました。宇多野病院では、神経筋難病・自己免疫疾患・脳神経外科病棟、外来・
脳血管撮影室看護師を経て、平成19年より臨床研究コーディネーター(以下CRC)
として働いています。 CRCは、治験の候補となる患者さんや治験参加中の患者さ
んに、治験の内容を理解していただけるようわかりやすく説明の補助を行い、安
全に治験が進むようにスケジュール調整や管理などを行っています。また 病棟
・外来看護師や各部門のスタッフへも治験内容の説明などを行っています。
 前施設は難病医療拠点病院であったため、治験の対象疾患は、パーキンソン病、
多発性硬化症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症等でした。今回は私が
CRCになり心に残った患者さんについてお話したいと思います。

 その患者さんは、多発性硬化症の方でした。多発性硬化症は中枢性脱髄疾患の
一つで、脳、脊髄、視神経などに病変が起こり、視力の低下や手足の感覚障害、
運動障害などの多様な神経症状が再発と寛解を繰り返す疾患です。当時の治療薬
は注射薬しかなく、再発率も高めでした。そのような中、内服薬の治験が始まり
ました。その治験に参加すると、初めの半年間は実薬かプラセボ薬かわからない
状態で服薬しますが、その後、全員が実薬を服薬できる計画になっていました。
そのため、プラセボ薬に割り付けられた場合は半年間無治療となります。治験参
加前には注射薬を使用されていたこの患者さんは、仕事のためになかなか受診で
きず、薬を使用しないこともしばしばあり医師からも何度か注意を受けていまし
た。しかし、治験参加後は、治験薬は飲み忘れることなく服用されていました。
治験に参加して5か月目の時、医師より、少し手の動きが悪いと言われて入院を
勧められていましたが、翌日子供さん達と遊びに行く約束があったため、その日
は帰宅されました。その数日後 再発し治験が中止になりました。入院時に初め
て奥さんと会いましたが、「治験をしたせいで再発したのではないですか?」と
言われ、患者さんからは泣きながら「これにかけていた。治験をやり遂げたかっ
た。」と言われました。私がその時に出来たことは、ただ患者さんの横で話を聞
くのみでした。私からも、もう少し強く入院を勧めていたら、ご家族に連絡して
説得してもらっていたらよかったのではないか等患者さんの話を聞きながら後悔
ばかりしていました。
 治験に参加される患者さんは、未承認の薬を服用することへの不安を持ちなが
ら、それ以上に新薬の効果を期待しています。治験への参加を選択した以降も、
病気の進行や薬の副作用、治験参加を選択したことの是非など、多くの不安を抱
えており精神的サポートも必要です。そしてそれは家族も同様です。治験は未承
認薬の効果と安全性のデータを収集することが目的だからこそ、CRCは来院ごと
に患者さんの状態の変化を観察し異常の早期発見に努めています。
 CRCの業務は複雑で多岐にわたります。しかし私は新薬との出会いによって患
者さんの笑顔が増えるようこれからも治験に携わっていきたいと思います。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 萩 美里
 
 研修医2年目の萩美里です。肌寒い季節になり、研修医生活もあと5か月と
なりました。3年前を振り返ると、毎朝病院の実習に向かうという生活にも慣
れ、身近な1つ上の先輩方のマッチング先が決まり、自分もそろそろ見学に行
かないとなぁと少し焦り、この研修医日記を読んでいたのを思い出します。
 他の研修医の仲間の日記にもあるように、国立大阪医療センターの強みは、
ほとんどの科が揃っており各科のスタッフやレジデントの先生方が指導熱心な
こと、1学年15人と研修医の人数が適度に多く、切磋琢磨できることだと思
います。あらゆる科の患者さんが通院しているため、救急外来や電話相談の際
にはその初期対応をすることが求められ力になりますし、自分の担当患者さん
のことで専門的な意見をいただきたい時、相談する上級医に困ることはまずあ
りません。同期15人という人数はちょうどよく、志望科や考え方も様々で、
研修医ルームで日々お互いにいろんな話をすることができます。忙しい科を少
人数でローテートしている時には励ましあい、救急外来でみた症例の議論、進
路を相談しあい、良き仲間を14人も得ることができました。
 どこの病院を選んでも変わらないという意見も研修先選びはやはり大事だと
いう意見も、共によく耳にしますし、どちらの意見にも納得できる部分はあり
ますが、私は国立大阪医療センターで研修医生活を送ることができ良かったと
思っています。
 最後になりましたが、実際に病院の雰囲気を知るには見学に行くのが一番だ
と思うので、是非見学に来てください。


                     研修医2年目 福田 雅俊

 国立大阪のHPをご覧の皆様、はじめまして。研修医2年目の福田雅俊です。
まずはこんな研修医のつれづれなる日記を見ていただいてありがとうございま
す。
きっと供覧されている学生さん方や、先生方におかれましてはきっと酔狂な方
々だと確信してやみません。僕は自分の順番が回ってくるまで、このような日
記の存在を知りもしませんでした(笑)
一体何を書けばよいのか全く分かりませんが、この病院について感じた心に移
り行くよしなし事を書いていきたいと思います。

・給料
まずはなんといってもこれからでしょう、はい。基本給に加え、一回の当直に
つき一定の当直量がつきます。当直料はどれだけ忙しくても、どんなに楽でも
変わりません。病院によっては、入院させて、病院の売り上げに貢献すればプ
ラスさせるところもあるそうですが。よっぽどの浪費家でない限りはマイナス
収支になることはないでしょう。僕自身は、寮には住んでいませんでしたが、
間違っても、お金の心配をしたことはないです。
大阪の市内ではお給料は良い方だと思いますので、安心してください。

・当直
回数は一カ月おおよそ3回程度ですね。多いか少ないかは人の感じ方によると
思います。当直の明けの日は基本は休みなのですが、一部の科を除いて、ほぼ
勤務しています。当直明けの日は、午前中でおしまいという制度を持っている
病院もあるそうです。
一年目の12月ごろになると、救急隊からの電話、患者からの電話を直接受け
るようになります。このように研修医が最初のタッチを行うというのは少し珍
しいかもしれません。これによって患者さんの多様性、どのような方針で動く
のかを、とっさに考える能力が培われると思います。自分の能力を考えながら、
ベッドのコントロールを行うすべも身につけられると思います。上級医も豊富
のためバックアップも困ったことはありません。ですが、研修医2人、看護師
1人で4ベッドを回すため、人手が足りないことはままあります。

・ローテート科、業務
当院のローテートの特徴は選択期間の少なさと、豊富な科であると思います。
これだけ多くの科、しかも多くのスタッフがいる病院というのはなかなか少な
いと思います。そのため、外病院に行くという必要はありません。またそのた
めに選択期間は短くなってしまいますが、多くの科を学ぶという初期研修医と
してこれほどの場はなかなか得難いものであると、感謝しています。
日々の業務に関しては、ほかの病院の人の話と比較して、そこまで辛いことは
ないと思います。指導してくださる先生はどの先生も非常に気さくで、自分の
興味があって聞けば、十分な優しさと知識量とをもってそれにこたえてくださ
います。先生方はどの先生に指導をされてもはずれのない病院だと思います。
もし難点を挙げるとすれば、雑務は多いかもしれません。採血や点滴とりなど
の仕事は、研修医に回されることもままありました。また当院では血液培養検
査という血管内に細菌がいるかを調べる検査は必ず、医者が行う方針であり、
その際には真っ先に研修医に白羽の矢が立ちます(笑)

・同期
最後に一番大切な項目です。
どんなに優れた病院でもこの項目がだめではいけません。普段の苦楽をもっと
も近くで経験するのは同期たちです。
当院では1学年おおよそ16人程度の初期研修医が選ばれます。もしかしたら
当たり外れがあるのかもしれませんが、僕の学年の皆は非常に優しく助け合い、
勉学もでき互いに知識をつけあい、お酒も楽しく飲めた仲間たちであったと思
います。あんまり書くと嘘くさくなるのでこの辺でやめときます。
4月は一か月オリエンテーション期間があり、その間は夕方以降フリーになる
ため、その間に同期同士は仲良くなることができます。どうしても当直などが
あると16人全員が常に一つに、というのは難しいものですが、当院では最初
の一か月もあってか、非常に16人という大人数でもまとまったチームなるこ
とができていたと感じています。ほかの病院に比して大人数であることは、さ
まざまな大学、さまざまな人の考え方、考えもしなかった科の魅力、そしてさ
まざまな人とのかかわりをもつ中で非常にプラスになると思っています。

このようにいろいろ書きましたが、百聞は一見にしかず。
ぜひ当院を見学に来てくださり、またお話させていただけることを楽しみにし
ています。
稚拙な文章にお付き合いいただきありがとうございました。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 中森正二、関本貢嗣
     看護部長 伊藤文代 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 いよいよ秋深し。日中は心地良く過ごせますが、朝は10度を切るようになっ
てきました。
 皆様、くれぐれも風邪などひかれませんようご自愛ください。


メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp

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