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メールマガジン「法円坂」No.203(2018/4/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 4月になってたくさんの新メンバーが 大阪医療センターに 加わりました。
卒業したばかりの新人を見ていると、緊張していた自分の新任時代を思い出しま
す。新しい力を加えて大阪医療センターをより発展させていきたいと思いますの
で、今年度もよろしくお願いいたします。
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   メールマガジン「法円坂」No.203(2018/4/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です
 ・ご挨拶 新副院長 上松 正朗 
 ・最新の診断治療 1
 ・ボランティア室から (お休みさせて頂きます。)
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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入職式あいさつ

 4月2日に新しく当院採用あるいは異動となった職員を前に挨拶を行いました。
はやいもので私も当院の院長になって2年になります。当院のモットー、理念、
今年度からはじまる新しいこと、採用にあたって伝えたいことを話しました。
以下はその内容です。

 皆さん、おはようございます。院長の是恒です。まずはようこそ大阪医療セン
ターへいらっしゃいました。
本日、入職された方々の中には以前当院に居た方もおられると思いますが、多く
は新採用ですので、まずは当院のモットーについてお話します。

 当院のモットーは3枚の葉で表されています。正しく、品よく、心を込めての
3つです。これは皆さんのネームカードにも書かれていますので、時折見て思い
出してください。 
まず、正しく、は正しい知識、技術、医療を示します。医療に関して言えば、多
くの疾患治療ガイドラインがあります。ガイドラインを勉強することはもちろん
大事ですが、それがすべてではありません。もともとガイドラインのもととなっ
ている多くは大規模臨床試験の結果ですが、ある意味この結果はいろいろな合併
症を有さない患者さんのチャンピオンデータです。患者さんにはそれぞれの個人
差があり、ガイドラインがすべてあてはまるとは限りません。患者さんごとにガ
イドラインの治療やクリティカルパスが適切かどうかを考える必要があります。
品よく、というのは少し言葉が理解しにくいかもしれませんが、医療倫理を指し
ています。医療倫理の4原則は、自律尊重原則、無危害原則、善行原則、正義原
則からなります。
3つ目の心をこめて、は、心を込めて診療し患者ケアにあたる、熱意が伝わって
闘病心を鼓舞できるような医療人をめざす、ということです。ロゴマークはこの
モットーを表し、正しく(青)、品よく(緑)、心をこめて(赤)の葉を重ねた
ものです。それぞれの職種ごとに、このモットーがどのようにあてはまるかを考
えてみてください。

 当院の理念は4つ。まずすべての医療に携わる人々の人権を尊重すること、透
明性と質の高い医療を分け隔てなく情熱を持って行うこと、医学の発展に貢献し、
よき医療人を育てること、常に向上心を持って職務に専念し、健全な病院運営に
貢献することです。今年度から地域医療構想に基づく各施設のあり方が地域ごと
に具体的に検討されます。我々はこれまでと同様高度急性期、急性期医療を担う
病院、地域医療を推進する病院として自ら認識し地域にも認められる病院でなけ
ればなりません。また、新専門医制度がいよいよ始まり専攻医の先生方の教育研
修もスタートする中で4つの理念を忘れず、国立病院機構の3本柱、診療・研究
・教育に取り組んでいきたいと思います。

 患者さんは、対応した個人個人をみてその病院全体を評価します、想像します。
その印象がよければ、病院全体の評価もあがりますし、逆に印象が悪ければ全体
の評価が下がります。紹介された開業医の先生にそれが伝わり、波及効果は大変
大きくなります。お一人お一人が大阪医療センターを代表する大使であるという
ことを自覚してそれぞれの場で頑張って頂きたい。これが本日皆さんに伝えたい
メッセージです。
 今日から共に働けることを大変うれしく思います。入職された方々を歓迎しま
すとともに当院での活躍を大いに期待しています。
 以上、入職式の挨拶といたします。


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       新任副院長からのメッセージ    
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                     副院長・臨床研究センター長
                     上松 正朗

 4月より大阪医療センター副院長を拝命しました。臨床研究センター長として
2017年1月に赴任しましたので、すでに1年少々当院でお世話になっています。
それまで国立病院機構での勤務経験はありませんでしたが、四半世紀程前には国
立循環器病研究センター(当時は国立循環器病センターでした)病院・研究所に
勤務したことがあります。専門は循環器内科です。循環器内科の初診外来も担当
しています。どうぞよろしくお願いいたします。

 このメルマガの読者の皆様はご存じでしょうが、大阪医療センターは古くは適
塾や旧陸軍病院の流れをくむ伝統のある病院です。敷地内を掘り起こせば難波宮
の遺跡が出ますし、建物に入るとたしかに「昭和な」薫りが漂っています。どっ
ぷり昭和生まれ、昭和育ちの私にとっては昭和の薫りは嫌いではありません。伝
統のある老舗旅館に宿泊し、もてなしを受けると、ほっとします。幸か不幸か私
は未だ当院に入院したことはありませんが、当院は各科とも医療レベルは高く、
かつ伝統のある老舗旅館の良さも持っていると感じます。手前味噌になりますが、
「正しく」「品良く」「心をこめて」という病院のモットーを職員一同が大切に
していることがわかります。
 病院の使命は、言うまでもなく病気で苦しんでいる人々の役に立つことです。
患者さんの役に立つには、まず「正しい」医療を行わなければなりません。「正
しい」医療を行うためには、人と物とが必要です。すなわち最先端の設備と、そ
れを正しく使いこなすことのできる、あるいはサポートできるプロフェッショナ
ルが必要です。けれども、人も物もお金がかかります。病院が赤字の医療を行う
ということは、誰かがその赤字分を負担しているのです。それは我々の子供達や、
孫、ひ孫たちかもしれません。自分たちの世代さえ良ければよいという訳にはい
かないのです。それでは持続可能性sustainabilityがないのです。目の前の患者
さんを助けなければならい医療者にとってはつらいことですが、現実は直視しな
ければなりません。ちなみに米国・欧州内科4学会が策定した「医師憲章」にも、
医師には「医療資源の適正な配置を行う責務」があると謳われています。いわゆ
る「過剰診療」をさけ、必要最小限の診断治療にとどめ、できるだけ多くの人が
医療を受けられるように考えなさいということです。数十年前には、患者さんを
治療するに当たって医療費の話をすると先輩医師に叱られました。「お前は患者
の命をなんだと思っているんだ」(当時は「患者さん」ではなく、「患者」でし
た)と。時代は変わりつつあります。今は医師憲章に医療資源の適正な配置が謳
われる時代です。現在大阪医療センターでは新病院の建て替えに向けて黒字経営
に尽力しているところですが、黒字化はひとり大阪医療センターの建て替えのた
めのみではなく、我が国における医療のsustainabilityを担保するためでもある
のです。限られた素材と厨房で、いかにおいしい料理を作るかが、プロフェッシ
ョナルなシェフの腕の見せ所です。人は特に重要なのです。
 他の病院から赴任した者からみると、大阪医療センターは恵まれたリソースを
持っています。それぞれの診療科、部門に優秀な人材を抱えています。この時代、
湯水のようにお金や人はかけられませんが、良いところを保ちながら、スリム化
すべきところは行い、いざという時に皆様のお役に立つ良い病院に発展していけ
ればと願っています。歴史は「守る」ものではなく、「創る」ものなのです。


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       最新の診断治療 1       
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「最新の脳梗塞治療 脳卒中内科」        
                       脳卒中内科科長
                       橋川 一雄

1)血栓を溶かすt-PAは夢の薬ではなかった
  1995年アメリカで認められた脳梗塞の血栓を溶かす薬t-PAは、10年遅れの
  2005年10月に日本での使用が認められた。許可が諸外国より遅れたこともあ
  り、その効果に大きな期待が集まった。一度詰まった血栓を溶かす薬は脳梗
  塞の画期的治療薬として、t-PA治療が出来る病院名やその治療件数を新聞や
  週刊誌にこぞって掲載された。しかし、実際にはt-PAの投与は発症3 時間以
  内に限られること(現在は4.5時間以内)などの制約から、t-PAの投与が出
  来たのは脳梗塞患者の10%未満であった。また、重篤な障害を残す大きな血
  栓はt-PAで溶けにくいことも分かってきた。t-PAは脳梗塞治療の一歩であっ
  たが、夢の薬とまでは云えなかった。

2)カテーテル治療が脳梗塞の標準的治療となった
  以前から心筋梗塞の治療では、カテーテルと言われる管を使って狭窄や閉塞
  を機械的に通す治療、カテーテル治療、が広く行われてきた。脳卒中の分野
  でも同様の試みが先進的施設で行われていて、カテーテル治療によって症状
  が劇的に改善した報告が相次いだ。しかし、普及に必要な多くの症例での有
  効性を示すことはなかなか出来ずにいた。ところが2014年終わりにオランダ
  からt-PAの無効例あるいは適応外症例におけるカテーテル治療の有効性を示
  す研究結果が報告させた。その後、相次いで同様の研究報告があり、2015年
  には発症6時間以内の症例についてカテーテル治療が脳卒中の標準的治療と
  なった。しかし、6時間以内であること、また施設や術者が限られることか
  らその恩恵を受けることができる患者は限られていた。

3)カテーテル治療の適応が拡大された
  2017年末に一定の条件を満たせばカテーテル治療が発症から16時間あるいは
  24時間以内で有効となる2つの報告があった。この結果、脳梗塞で最初に入
  院した病院でカテーテル治療が出来なくても、カテーテル治療ができる病院
  へ搬送することも選択肢となった。このためにはカテーテル治療も出来る高
  度脳卒中治療病院とt-PAまでを行う病院との連携が重要となってきた。当院
  は以前からt-PAに加えてカテーテル治療を積極的に取り入れ、地域の脳卒中
  診療の中心的施設の一つであると自負しています。今後は近隣医療機関との
  連携をより密にしてその役割を果たしていきたいと考えています。


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            ボランティア室から
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 お休みさせて頂きます。


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      看 護 の こ こ ろ        
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					   感染制御部
                       坪倉 美由紀

 桜が散り、初夏を思わせる温かい日が続いたかと思えば、また肌寒さが戻り、
寒暖差に体調を崩される方も多いのではないでしょうか。そんな折、当院も新採
用者を迎えました。私が担当したオリエンテーションでは、皆さん緊張しつつも
真剣に取り組んでおられ、初々しい姿にパワーをもらいました。
 私は看護師になって20年数年が経ちます。新採用者の方には、ベテランと思わ
れるかもしれませんが、そんな私でもよく壁にぶち当たり、たくさんのご指導を
頂きながら、日々業務を遂行しています。また、「すごい!」と思う看護実践を
されている先輩、後輩の姿を見るたび、自分の看護を振り返り、まだまだと思う
ことも多々あります。
 私は感染制御部に所属しており、患者さん、医療従事者、そして病院に出入り
する全ての人を医療関連感染から守ることが仕事です。そのため、毎日ラウンド
に行き、時に患者さんの病室を訪問することはありますが、ベッドサイドで直接
看護をする機会はほとんどありません。そんな中、先日このようなことがありま
した。ある患者さんが、退院に向け介護サービスや訪問看護等調整を始めるとこ
ろでした。この方は、薬剤耐性菌の検出があるため、感染対策の質問があるかも
しれないということで、ケアマネージャーとの初回カンファレンスから同席依頼
がありました。まずは病棟看護師や退院支援看護師とカンファレンスを行い、患
者さんはどのような生活を希望されているのか、どの程度の日常生活動作が可能
なのか、どのような介護サービスが必要なのか等情報共有を行いました。そして、
カンファレンスに同席し、検出されている菌や感染対策について説明しました。
他の看護師の頑張りや施設側の理解もあり受け入れが決定しました。最後のカン
ファレンスには、患者さんも参加されました。訪問看護師さんと顔を合わせ、退
院できることがわかった時、患者さんから笑顔がこぼれました。その時、私自身
もとても嬉しく幸せな気持ちになり、熱いものがこみ上げました。今、医療の場
は病院だけではありません。地域包括ケアや退院支援という言葉が出てきたのは
ここ数年です。私が学生の頃には習わなかった新しいことが時代とともに増えて
いきます。患者さんが望むところで生活が送れる。そんな看護が実践できるよう、
社会や医療の動向を捉え、学習を積み、看護を磨き続けたいと思います。また、
感染管理認定看護師として、地域の感染対策の向上にも努めたいと思います。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 今井 脩介

 はじめまして、研修医2年目の今井脩介と申します。
先月で早くも1年目の初期研修が終わり、本当にあっという間に過ぎ去ったとい
うのが正直な感想です。1年前は国家試験が終わり卒業旅行に行ったことが随分
前のことのように思います。この研修医日記は研修先を決める際に学生さんが読
むらしいということなので、この1年を振り返ってみます。
 当院の初期研修が本格的に始まるのは5月からで4月はオリエンテーションの
期間となっています。なので、4月はまだ学生の延長のような気持ちでした。少
し話は逸れますが、国立大阪医療センターは地下鉄谷町線谷町4丁目を降りてす
ぐのところにあり、梅田から10分ほどと非常に立地が良いです。当院は研修医が
借りることができる寮があり、大阪市の中心に位置していながらその寮費がとて
も安いことも魅力の一つです。5月から本格的にローテーターとして働き始める
わけですが、当院の研修制度の特徴として必修科目が多いことが挙げられます。
これを良しとするかどうかは人それぞれの考え方だと思います。僕自身の考えと
しては、学生時代に見ていた景色と実際に医者になってから見える景色が想像以
上に大きく違っていたため、もし必修でなかったらローテートしなかったであろ
う様々な科で研修できたことは非常に良い経験になりました。学生時代の志望科
通りに進む人もいればそうでない人も多くいるため、初期研修の2年間にいろい
ろな科の雰囲気や働き方、考え方を学ぶことが科の選択の手助けになると思いま
す。
 初期研修医の最も大事な仕事といっても過言ではない当直についてですが、当
院では平日の昼を総合診療内科が担当しているため、初期研修員は平日の夜間と
休日の救急外来を担当します。3次救急が別に存在するため1次/2次救急を診てい
ます。基本的に1年目と2年目の初期研修医2人で初期対応をして、その後上級医
に相談するという形です。インフルエンザや感染性腸炎といった軽症例から大動
脈解離や急性心筋梗塞といった重篤かつ緊急の疾患まで幅広く診療する必要があ
り、大変ではありますが勉強になることばかりです。珍しい症例が来た翌日には
研修医同士で話題にもなり、実際に患者をファーストタッチから診察することは
当直でしかできないことなので日々得難い経験をしています。
 以上、簡単にこの1年を振り返ってみました。研修病院選びに悩んでいる学生
さんの参考に少しでもなれば幸いです。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 関本貢嗣、上松正朗
     看護部長 伊藤文代 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 一気に暖かくなって桜がずいぶん早く咲きました。3月初旬には異例の寒さが
報道されていたのに季節の移り変わりは早いですね。寒暖の差が大きいこの時期
ですので、皆様体調管理にご注意ください。

メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp

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