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メールマガジン「法円坂」No.205(2018/6/19)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 先日、札幌での学会参加のため久しぶりに飛行機に乗ることになりました。
私は飛行機が苦手なので、飛行中はいつも機内誌をじっくり読みます。今回
その雑誌の真ん中あたりのある文章に目が留まりました。”仕事は相性である
・・言い換えれば運が大切なのである”と。この「仕事の相性」ってなんだ
ろうと、考えてしまいました。自分に合う?性格が合う?価値観が合う?
年齢???確かに私は看護という仕事は好きだけど、相性が合うということ
なのか、思いをはせていましたら、新千歳空港に無事に到着していました。
 皆様は今回のメルマガのどんなところに目がとまりますか・・お楽しみく
ださい。
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   メールマガジン「法円坂」No.205(2018/6/19)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です
 ・ご挨拶 地域医療連携推進部長 巽 啓司 
 ・最新の診断治療 「最新の肺がん治療」
 ・最新の診断治療 「最新の肺がん外科治療」  
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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めし友

 ANAの機内で楽しみなのが機内番組「めし友図鑑」です。各地のごはんのお供
にこれは最高、というのを紹介していていつも視聴しています。今日は私のめし
友を紹介しましょう。いずれもこれがあるとあと御飯1杯は追加で食べたくなる
というものです。

 なお、高血圧、腎機能障害の方にはおすすめしません。いずれも塩分はそれな
りに多めです。私もいつも食べているわけではなく、あればワクワク、という代
物です。

1)デラックスつがる漬(鎌田屋)これがあると2杯はいけます。もう30年以上
  前から私のベスト1ですね。大振り数の子とシャキシャキ大根、スルメ、昆
  布が入った醤油味でちょっとヌメっとした最高のめし友です。是非一度ご賞
  味ください。
2)これも40年以上のつきあい。桃屋のザーサイです。クセになる味ですね。
3)ローカルですが、摂津本山2号線沿い、華山のチャンジャ。タラの胃袋を塩
  漬けにした後、ごま油、唐辛子、ニンニクに漬け込んだもので、韓国の国民
  食と言われています。ちなみにここのじゃがいもラーメンカムジャも美味し
  いです。青唐辛子の辛い味はやめられません。
4)京都、五辻の昆布。多くの種類がありますが中でも1.ささめ糸(細切り汐吹)
  2.春の里(山椒入り塩昆布)3.ふき時雨(山ぶきを煮たものがお気に入りで
  す。)
5)最後は、博多柳橋商店街の幸村商店、いわし明太。夏になると食べたくなり
  ます。

いずれも思い出しただけでおいしい白米とともに食べたくなるものばかり。
もし機会があればごはんのお供にどうぞ。
他にもこんなんあるで、というのがあればまた情報をお待ちしております。


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      地域医療連携推進部長就任の挨拶    
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                     地域医療連携推進部 
                     部長 巽 啓司

 本年4月に地域医療連携推進部長を拝命しました巽でございます。私は平成
元年に京都大学を卒業し、大学や地域の病院で産科周産期・婦人科腫瘍・生殖
・女性医学の臨床や研究に従事してまいりました。大阪医療センターへは、平
成24年4月に産婦人科科長として着任しまして、今年で7年目になります。

 産婦人科領域におきましては、大阪府には昨年30周年を迎えたOGCSという
産婦人科施設間の連携システムがありまして、産科救急搬送を必ず受け入れる
という他府県から見ますと非常に羨ましい体制が整っており、当院もその一端
を担っています。わが国が少子高齢化社会と呼ばれるようになって久しいです
が、がん、循環器疾患、糖尿病等の生活習慣病をはじめ、高齢者の健康寿命を
延ばすためにも、基幹病院と地域の医療機関との連携は、あらゆる診療科でま
すます重要となってきております。当院の地域医療連携室は、専属の担当者や
看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)を擁し、医療機関からの診察予約やセカ
ンドオピニオンの受付、退院支援や調整、他院・他施設との連絡・調整などの
業務を行っています。また看護・保健のご相談や、医療福祉に関するご相談に
も、「医療相談室」、「がん相談支援センター」を設けて対応しております。
さらに学術講演会「法円坂地域フォーラム」や市民講座「おおさか健康セミナ
ー」などの催しを通して、地域の先生方や市民の皆さまに様々な医療情報を発
信してまいります。今後、地域連携を通じて先生方や市民の皆さまにお目にか
かる機会も増えるかと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また先月のメールマガジンでも紹介しましたが、当院ではインターネット予
約を開始いたしました。おかげさまで地域の先生方からインターネットシステ
ムを通じたご紹介は徐々に増えております。最近当院ホームページにログイン
ページに直結するボタンを配して使いやすくしました。今後とも、さらに安全
でご利用いただきやすいシステムへと改良を進めてまいりたいと思います。


詳細は下記のURLをご覧ください。
http://www.onh.go.jp/comec/netyoyaku002.pdf


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       最新の診断治療 4      
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最新の肺がん治療の話題
                     呼吸器内科科長 小河原光正

 肺がんの治療法には大きく分けて手術、放射線治療、抗がん剤治療の3つの
方法があります。今回はこのうちの抗がん剤治療の最新の話題について紹介し
ます。
 これまで長い間、抗がん剤といえば髪の毛が抜けたり、吐いたりなどからだ
を痛めつけるというイメージが強かったと思います。抗がん剤はがん細胞を攻
撃すると同時に正常な細胞も一部攻撃するために様々な副作用が起こるためで
す。また、抗がん剤が効くかどうかは使ってみないとわかりませんでした。
 がん細胞が自分勝手にどんどん増えてがんが進行する理由の一つは、がん細
胞に遺伝子の異常が起こって細胞を増やさせる信号を出し続けるためです。現
在、3つの遺伝子の異常について検査が可能になりました。これらの遺伝子が
あればゲフィチニブ(イレッサ)などのそれぞれ遺伝子に合わせた治療薬(分
子標的治療薬と言います)が選択できます。検査は生検や手術で採取したがん
細胞で調べます。
また、がん細胞が増える仕組みに免疫が関係していることがあります。免疫細
胞(リンパ球)が一部のがん細胞を認識して攻撃する場合があります。がん細
胞はこれに対抗して、免疫細胞ががん細胞を攻撃するときのスイッチに作用し
て免疫細胞の攻撃から逃れています。このスイッチをまもり免疫細胞ががん細
胞を攻撃できるようにするのがニボルマブ(オプジーボ)などの免疫チェック
ポイント阻害薬です。がん細胞を検査してこの薬が有効に作用するかどうかを
調べます。
 分子標的治療薬も免疫チェックポイント阻害薬も細胞や遺伝子の検査をした
上でその人に使えるかどうかを検討します。これまでの抗がん剤よりもよく効
く人もいますが、効かない人も、また使うことができない人もいます。これま
での抗がん剤にはなかった全く別の副作用が出ることもあります。検査の結果
と全身の状態、治療歴などを総合的に判断して、従来の抗がん剤も含めてその
人に一番よい治療法を考えて診療しています。



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       最新の診断治療 5    
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最新の肺癌外科治療 呼吸器外科
                     呼吸器外科科長 高見 康二
−肺癌−

1)肺癌を治るレベルで見つけるには検診や人間ドックの受診が大切です

 肺癌の治療には大きく分けて、手術、薬物治療、放射線の3つの方法があり、
どのような治療選択をすべきかは主に病気の進行度(病期)や組織型によって
決まります。呼吸器外科では主に手術治療を担当しますが、手術切除で完全切
除が期待できるのは病期が0期〜IIIA期の転移浸潤を認めないか限られた転移
浸潤にとどまる非小細胞肺癌患者さんで、ほとんどの方が咳や血痰や胸痛など
の自覚症状ありません。治療により治る可能性が高い比較的早い病期で肺癌を
発見するには、症状が無くても積極的に検診や人間ドックを受診することが大
切です。


2)さらに早期の肺癌では呼吸機能を温存できる手術が可能です

 肺は右肺が上葉/中葉/下葉の3つのブロックに、左肺が上葉/下葉の2つのブ
ロックにわかれています。肺癌の手術では癌病巣を含む肺葉単位での切除とリン
パ節の郭清が標準手術です。最近では早期の小型肺癌に対し、肺葉よりも小さな
範囲の切除(肺区域切除、肺部分切除)で呼吸機能を温存する縮小手術が広まり、
癌の根治性をそこなわずに手術後も十分な生活レベルを保てるように配慮してい
ます。縮小手術で切除しうる早期の肺癌の多くは胸部CT検査で発見されています。


3)胸腔鏡を使用し大きく胸を切開しない手術方法が開発されています

 胸腔鏡と呼ばれる細いビデオスコープを使用して通常よりも小さな創で肺の切
除を行う手術法が開発され広く導入されてきています。胸腔鏡下手術は手術侵襲
と術後の痛みの軽減および美容に優れています。
しかし、胸腔鏡手術でも癌の根治性を損なわないことが大前提です。病状に応じ
てその使用を検討することが大切です。

4)肺癌に対する新しいお薬が次々と開発されています

 新たな分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など肺癌に対して効果の高い
薬剤が次々と開発され使用が開始されています。手術ができないレベルまで進行
した肺癌がこれらの新薬で縮小し、手術を検討するといったことも起こりうる時
代となっています。


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      看 護 の こ こ ろ        
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					   道川 綾加

 梅雨の季節になりました。6月は、私にとってひとつ歳を重ねる月です。宮沢
賢治の詩の冒頭にあるように、雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニ
モマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 素敵な1年になるよう過ごしていきたいと思っ
ています。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 私は今年で看護師になって20年目になります。この機会に、これまでの看護
人生を振り返ってみたいと思います。私は看護学生の時、講義で緩和ケアに興味
を持ち、がん末期の看護を希望して当院に就職しました。始めは消化器内科病棟
で肝臓がんや胃がん、すい臓がんなどの消化器がんの患者さんの看護をしました。
私なりに、看護ケアでできるだけ苦痛を緩和し、患者さんにとってどう過ごして
もらうことがベストなのか考えながら一生懸命看護をしていました。患者さんか
らはがんになった時のつらい気持ちや、治療中に抱えている苦悩、過ごしてきた
人生での出来事などたくさんのことを教えていただきました。それは、自分の人
生や生き方を深く考える機会にもなりました。しかし、未熟な私には、一人ひと
りの患者さんに合ったケアが十分できていないなと感じ、もっといい看護ケアを
提供できるように緩和ケアの認定看護師の資格を取得しました。その後、口腔が
ん、喉頭がん、膀胱がんの患者さんの看護をするようになりました。患者さんは、
「食べる」「話す」「排泄する」という、人間の基本的ながら重要な機能を、が
んや治療によって失って生きていかなければなりませんでした。がんになるまで
日常的にしていたことができなくなる苦悩は、本当につらいものでした。そのつ
らさを抱えながらも生活していけるよう、患者さんと一緒にリハビリに取り組ん
だり、日常生活が過ごしやすくなるよう考えました。患者さんにはリハビリし、
生きていこうとする強さを見せていただき、私の方がパワーをいただいた思いが
しました。それから、感染症内科の病棟でAIDSを発症して入院してくる患者さん
の看護をするようになりました。まだまだ差別を受けやすい病気のため、病気の
苦痛とともに、社会の中で生きづらい思いを持つ方がいらっしゃいました。その
苦悩をできるだけ理解できるよう、患者さんの気持ちやつらさをうかがいました。
解決できないこともたくさんありましたが、患者さん自身が、入院中にこれまで
の人生を振り返り、自分の生き方を見つける方もおられました。今私は、外来に
所属していますが、入院中に闘病をともに過ごした患者さんたちが、笑顔で私に
挨拶してくれています。10年以上前に入院治療していた患者さんにも外来でお会
いし、笑顔を見せてくれ、元気をもらっています。看護を通じて大切なものをも
らったなぁと思います。「生きる」ということの意味や、つらく苦しい状況の中
でも、人には病気や人生の問題を乗り越えて生きていく力があるということ、一
緒に闘病した中で感じる、悲しさ、怒り、喜び、感動など色々な感情。これらは、
私に考える機会を与えてくれ、私を成長させてくれるものだと感じています。
まだまだ、人として、看護師として未熟で不足している部分がたくさんあります
が、これからも患者さんと向き合い、看護をしていきたいなと思います。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 大平 僚祐

 はじめまして。今見てくださっているのは、6回生の方々でしょうか。毎日実
習お疲れ様です。これから国試に向けて気合入れる時期ですね。そんな中時間を
割いて見てくださっているので、嘘は書きません。お付き合いください。
 どこで研修しようか悩んでいる方、、、正解はないですし、私の正解が他人の
正解ではありません。合う病院合わない病院があるし、合わないと思っても、社
会人になる中で成長して身の丈に合ってくる、そんなこともあると思います。
ですのでここだけは譲れない、ていうところ以外はざっくりでいいかと思います。

 この病院の特徴(私は長所と思いますが、そこは人それぞれ)をいくつか挙げ
ていければと思います。
一つ目、3次救急があること。必修で2カ月ローテートします。超重症の患者さ
んが来ます。救命ピッチが鳴るのをおびえる日々ですね。救命に行かないよって
人も経験しといて損はないのではと思います。

二つ目、2次救急を研修医2人で対応させてもらえて、かつバックアップがしっ
かりしていること。まずは2人で検査して評価する行程で力が付くと思います。
そのあとは当直の先生が対応してくれます。夜中に起こすなやという怖い関西人
はいません。夜中でも丁寧に対応してもらえます。

三つ目、立地の良さ。いうまでもなく最高の立地。近くに住む、寮に住むという
方には本当に大事ですよ。歩いて飲み会から帰れますし、梅田でも難波でも出る
のは一瞬です。寮は安いし、じゃなくてもいうほど高くないので心配無用です。
(そもそも給料も高い病院というのも、、、素晴らしいですね笑)
あとは全科揃っているとか色々ありますが、他の先生の日記を読んでいただけれ
ばと思います。

 全力でおすすめできますので、マッチングで悩むのはそこそこに国試がんばり
ましょう。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 関本貢嗣、上松正朗
     看護部長 伊藤文代 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 6月は梅雨の季節です。春から夏への季節の変わり目です。長雨にうんざりし
たり、カビや雑菌に悩まされる時期でもあります。
先日から急性胃腸炎で緊急入院される患者さんも増えています。お刺身やお肉、
解凍した餃子などを食したことが原因のようです。元来日本人は生食を好むそう
です。厚生労働省では食品衛生法によってこの「生食」の食し方に警鐘を鳴らし
ています。
来る夏に備えて、この梅雨時期に体調を壊さないように皆様ご自愛ください。


メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp

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