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メールマガジン「法円坂」No.213(2019/1/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



あけましておめでとうございます。いよいよ平成最後のお正月となりました。
平成の30年間で習慣的に飲酒する男性が55.6%から31.8%に、女性は
10.1%から8.8%に低下したそうです。また喫煙率も低下しています。
日本人の生活習慣や健康意識が徐々に変わっているのですね。こういったことが
平均寿命の延長に寄与しているのでしょうか。では今月のメルマガをどうぞ。
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   メールマガジン「法円坂」No.213(2019/1/15)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です 
 ・最新の診断治療 17 総合診療科 
 ・看 護 学 校 
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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 あけましておめでとうございます。

 この年末年始も寒かったですね。皆さんはどのようなお正月を過ごされたで
しょうか。この期間、救急外来からの入院も多く当直や勤務にあたっていただ
いた職員の皆さん、ご苦労さまでした。

 さて、昨年の漢字は「災」でしたが、大阪でも台風、地震、水害など色々な
災害に見舞われました。幸い当院は大きな被害を受けることなく診療を続ける
ことができましたが、それぞれのお家では駐車場の屋根が剥がれたり、予想も
しない大きなものが飛んできたり、停電が続いたりした方もおられたと思いま
す。関空から出発、到着予定だったみなさん、大変でしたね。また、新年早々
熊本で地震が発生していますが、今のところDMAT派遣要請は来ておりません。
新年を迎え、災い転じて福となすと言われるように災いのあとには福が来るよ
うな年にしたいと願っております。
昨年は戌年、収穫を終えてひとつ息をつく年、また次のステップへの準備をす
る年と申しました。今年は亥(イノシシ)年です。イノシシと言えば猪突猛進
という言葉が思い浮かびますが、さきほどの災い転じて福となすという言葉を
合わせて、今年のキーワードを転進にしたいと思います。転じて進む、という
ことです。今年の災害訓練は、いつもと違い災害に遭った時の業務継続計画
(BCP)に基づき院内を中心に検証することになりました。これも1つの転進
です。また、新年度にはいくつかの科で科長の交代、幹部の交代が予定されて
います。新陳代謝にはリスクと希望が伴います。是非、各部門、診療科で今年
1年転じて進む転進をキーワードに抱負を考え実行していただきたいと思いま
す。それぞれが1歩2歩前へ進むことにより必ずやすばらしい年になると確信し
ています。

 昨年10月より外来インターネット個人枠予約も本格的に開始しました。登録
医・連携医の方々を始め、より多くの先生方に是非ご活用頂ければ幸いです。
患者さんを目の前にしてスムーズな外来予約が可能となっています。救急対応
については昨年度飛躍的に受け入れ患者数が増加しました。今後共「断らない
救急」を合言葉にできるだけ多くの患者を受け入れ地域の救急医療にも貢献し
てまいりたいと思います。また診療のみならず、教育・研修、臨床研究、情報
発信についてもこれまでの活動を継続させ、より一層発展させていく所存です。

 今年も、よろしくお願いいたします。



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       最新の診断治療 17 総合診療科     
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                       総合診療科科長 中島 伸
処方カスケードについて

 読者の皆さんは「処方カスケード」という言葉を耳にした事はあるでしょう
  か?
 患者さんの訴える症状が薬剤有害事象だと気づかずに別の薬剤で対処しよう
 とする現象です。英語では1990年代半ばに ”Prescribing Cascade"”とい
 う言葉で紹介されています。実例としてあげられていたのは、メトクロプラ
 ミド(商品名:プリンペラン)による錐体外路症状に対して抗パーキンソン
 薬を処方したとか、トリクロルメチアジド(商品名:フルイトラン)による
 高尿酸血症に対して尿酸降下薬を処方したなどという経験です。いずれも元
 の薬剤を中止すれば簡単に解決できるはずが、まさか薬剤有害事象と思わず
 に新たな薬で対処しようとした失敗例です。最近でも、高齢者に抗ヒスタミ
 ン薬を処方し、物忘れが出てきたとしてドネペジル(商品名:アリセプト)
 を処方し、さらに失禁が出てきたとしてソリフェナシン(商品名:ベシケア)
 が処方され、記憶障害・認知障害が悪化したという2段重ねの処方カスケード
 が発表されています。甚だしきは、高血圧に対してエナラプリル(商品名:
 レニベース)を処方し、咳が出てきたのでリン酸コデインを処方し、無効な
 のでレボフロキサシン(商品名:クラビット)を処方し、改善しないばかり
 か下痢になってしまったのでメトロニダゾールを処方したという念のいった
 処方カスケードまで論文になっています。この症例はメトロニダゾール以外
 の薬剤を中止したところ、一気に回復したそうです。
 このような処方カスケードは気づいていないだけで、日常診療のあちこちに
 潜んでいることが容易に想像されます。私自身もソリフェナシンによって暴
 言を吐くようになった患者さんにメマンチン(商品名:メマリー)やチアプ
 リド(商品名:グラマリール)が投与されているのを見たことがあります。
 もちろん、メマンチンもチアプリドも無効でしたが、ソリフェナシンを中止
 した途端に暴言がなくなってしまいました。
 患者さんが新たな症状を訴えた場合、薬で対処しようと考える前に「ひょっ
 として薬剤有害事象かも?」と疑い、その方のすべての内服薬をチェックす
 ることが処方カスケード防止につながる第1歩になるかと思います。どうか
 皆さんも、それぞれの立場でお気をつけ下さるようお願いいたします。


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         看 護 学 校      
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                        看護学校 副学校長
                        増山 路子

 2019年のスタートにあたり、看護学校は今年も主体的に学ぶ学生育成に新た
なる思いで取り組み始めました。昨年、看護基礎教育のカリキュラム改正が
2022年に実施される旨の報告がありました。2022年の改正カリキュラムでは
2035年の社会で活躍する人物の育成を目指すことになります。医療の世界は日
進月歩で進歩しAIやロボットの活躍する中で、人でなければならないケアの
本質に目を向けて、現在のカリキュラムを評価し、改正する必要性に迫られて
います。そこで昨年末に、近畿グループにある5校の国立病院機構病院附属看護
学校の副学校長・教育主事・教員が共にカリキュラム改正に向けた研修を受講
し、教育理念・教育目的・教育目標の評価に向けて検討しました。当校は、ア
ドミッションポリシーに「人間愛を基盤に、感性豊かな人を看護の実践者とし
て育成する学校として、人に寄り添い人として成長していくことを目指し教育
している」と謳っています。この方針を中心に、2019年・2020年ちょっと大変
ですが、チャンスでもあるカリキュラム改正という課題に向けて、教員一同で
学び合っていきたいと考えています。

 また、看護学校にとって1月2月は学生が受験する看護師国家試験に向けてラ
ストスパートの時期でもあります。平成31年2月17日(日)第108回看護師国家
試験が実施されます。例年全国平均の合格率は90%前後、昨年は65,000人余り
が受験し約58,000人が合格しています。90%と言えば高い合格率ですが、それ
でも1割が不合格となる訳ですから当校で言うなら80名受験し8名が不合格とい
う割合です。大変ありがたいことに、当校は国家試験に100%合格する実績を継
続しています。3年間努力してきた学生たち一人一人が力を発揮して全員で合格
し、入学時の夢であった「看護師になる」という目標を叶えて欲しいと切に切
に願っています。
 そして、この看護師の道を志す学生たちを選抜する入学試験も1月に実施いた
します。全国に大学が279校(大阪は16校)、3年課程の看護学校が539校(大阪
は34校)ある中から当校を選んでくださったことに感謝するとともに、これか
らも選ばれる看護学校であり続けたいと思います。当校の魅力は、母体施設で
ある大阪医療センターとの連携の深い教育体制・高い看護師国家試験の合格率
・在校生たちの活気あふれる学生生活などが評価されているようです。これら
の強みを活かし教育に邁進してまいります。皆様、ご支援のほどよろしくお願
いいたします。                     


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      看 護 の こ こ ろ        
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                   ICU副看護師長 集中ケア認定看護師
                   布施 ひとみ

 新しい年が始まりました。そして今年は新元号に変わるという新しい時代の
幕開けです。世の中がどんどん進んでいく中、命の現場で患者さんやご家族の
方の1日1日を大切に看護に携わっていきたいと思っています。
 私は救命救急センター、CCU、医療安全室、一般病棟を経て、2018年4月に副
看護師長として、ICU配属になりました。これまでにたくさんの患者さんと出逢
い、患者さんから様々なことを学ばせて頂きました。その中でいつも大切にし
ている「看護のこころ」をお話ししたいと思います。
 ある患者さんとお話していた時のことです。「わしら患者は先生が手術して
くれると言ったら任せるしかない。でも不安がないわけじゃないんや。家族が
心配するから大丈夫やと言ってるけど、ほんとは怖いしな。」と心の内を話し
て下さいました。病気が見つかり、仕事や家族のことの心配、手術や麻酔の恐
怖、手術後の痛み、この先どうなるのかという不安を抱いて入院されてくるの
だとひしひしと思いが伝わってきました。患者さんがこれまでどういった人生
を歩まれ、入院や手術に至るまでに悩み、苦しみ、決断に至ったという思いを
受け止め、常に患者さんの声に耳を傾け、笑顔で看護させて頂くよう心掛けて
います。教科書には書いていない「感じる心」を患者さんに育ててもらった気
がします。
ICUでは、人工呼吸器の装着や意識障害で自分の思いを訴えることができない患
者さんもいます。声にならない声をモニターの音の変化で感じ、患者さんの皮
膚から体温を感じ、目に見えるものだけでなく、見えないものも五感を集中さ
せ、患者に寄り添った看護が必要です。患者さんにとって、苦痛はそれぞれ違
い、どのようなことを望んでいるのか、どのような関わりが必要なのかを考え、
日々看護することが大切です。患者さんの思いを大切に考え、感じる看護の心
を忘れず、ICUを退室されるときの患者さんの笑顔を目標に頑張っていきたいと
思います。
 ICUの副看護師長として、まだまだ未熟ですが仲間や後輩と看護を語り、感じ
る心を育成できるように関わっていきたいと思います。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 山崎 弘輝 

 初めまして大阪医療センター研修医2年目の山崎弘輝と申します。
この文章を読んでくださっている方は初期研修を大阪医療センターで考えてく
ださっている方だと思いますのでそれを踏まえて書いていきます。持ち回りな
ので先輩方や同期の研修医日記も掲載されていますが1年半私が入職してから思
ったことを書きたいので敢えて読まずに書いています。ですので被っている事
など多々あると思いますが読んでいただけると嬉しいです。

 受験される方は阪大生、阪大に入局を考えている方、都会で働きたい方など
様々あると思いますがどんな方にもおすすめできる病院でかなり多くの受験生
のニーズに合致する病院だと思います。私の感じた大阪医療センターで働くと
ころで良い、おすすめできると思ったことは悪いポイントが非常に少ないとこ
ろです。
多くの病院は長所を掲げることが多いですが飛びぬけていない限り正直どの病
院も大差がないと思います。大阪医療センターの悪いポイントは建物の古さ、
エレベーターの遅さなどありますがその程度の物でその他ストレスを特別感じ
ることはすくないです。リフレッシュする場所も梅田、心斎橋、天王寺などど
こでもすぐにいけます。また何といっても病院全体の雰囲気がよく皆さん熱心
に教えてくださる先生方ばかりですし他の職種の方からも教わることが多いで
す。もう1度マッチングを受けるとなっても多くの研修医が志望病院として試験
を受けるのではないでしょうか。
 文章ではなかなか書ききれない部分も多いので是非興味も持った方も持たな
かった方も皆さん大阪医療センターの見学に来てください。きっと良いと感じ
るはずです。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 関本貢嗣、上松正朗
     看護部長 伊藤文代 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 寒い日が続きます。インフルエンザが流行していますので、感染予防策の再
確認をお願いします。飛沫感染だけでなく接触感染にも注意が必要、マスクと
手洗いが基本です。また外出後のうがい、部屋の保温と加湿、体調管理、人混
みを避けることも大切です。では来月もよろしくお願いします。

メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp

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