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メールマガジン「法円坂」No.229 (2020/5/18)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



  ステイホームの1ヶ月少し、いかがお過ごしでしたか?過去に放映された秀作映
画の再放送を懐かしく観られた方もおられるのではないでしょうか。ソーシャル・
ディスタンスという言葉も定着しましたが、反対にインターネットはより身近に感
じられるようになりましたね。病院の出来事や病院職員を身近に感じてもらえるよ
う、今月もメールマガジンをお届けします。

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   メールマガジン「法円坂」No.229 (2020/5/18)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です
 ・大阪医療センター総合診療部の活動 
 ・新型コロナ時代に思う
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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いつまで続く学会、研究会の中止延期

 日々、夏の兆しを感じる今日この頃です。例年であれば、今頃インフルエンザも
治まってくる時期ですが、新型コロナウイルスについては予測がつきません。
 8月末に開催予定のヨーロッパ心臓病学会は今回アムステルダムの予定でしたが、
オランダが国として9月1日までのall public gathering(すべての公的な集会)を
禁止するというお触れを出したことによりWEB上の開催(詳細未定)となりました。
楽しみにしておりましたが誠に残念です。ついに8月末まで、、、、というまた暗
い気持ちになるアナウンスでした。今後日本での学会や集会が通常開催の形になる
のはいつ頃になるか全く読めないところですが、7月末には延期された循環器学会
総会、8月初めには内科学会総会が予定されています。直近では6月の血栓止血学
会、7月初めの不整脈学会が中止、6月末の循環器学会近畿地方会も延期になりま
した。
 個人的には、夏に年1回行っているバンドライブも中止することになりました。
実際、メンバーで集まって練習することも出来ていないので来年をめざします。
大阪では独自のルールにより社会活動が一部緩和される予定ですがこれによる第二
波がどうなるか予想がつきません。小さな波であることを祈るばかりです。ソウル
ではライブハウスでのクラスターが早速発生しています。皆様、コロナ不安、コロ
ナ疲れもあるかと思いますが、気を緩めず3密を避け、マスク、手洗い、夏はでき
れば家に帰ったらまずシャワーを浴び体も心もすっきりしましょう。
 ちなみにGWは、できるだけステイホームでJIN―仁―レジェンド(何回見てもい
いですね)、BSアジドラの帰ってきたファン・グンボク、韓国ドラマSKYキャッス
ル~上流階級の妻たち~(熾烈な韓国受験戦争がテーマ)などに嵌りました。


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        大阪医療センター総合診療部の活動        
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                         総合診療部部長  
                         中島 伸

 大阪医療センター総合診療部では、常勤医師1名、非常勤医師・招聘医師5名、診
療看護師(以下、JNP)4名に加え、内科系レジデント1~2名、初期研修医1~2名で
診療にあたっています。
 当院総合診療部の活動は大きく3つあり、外来、入院、救急です。外来は月、火
、木、金の午前中に内科の一角で行っており、複数の診療科にまたがる症例、どの
診療科に行けばいいのかよく分からない症例などが対象です。多い主訴は発熱、倦
怠感、体重減少、頭痛、めまい、腹痛、腰痛、皮疹などで、これらの症状が複数あ
る場合や、色々な検査をしても診断がつかない場合などに他の医療機関から紹介を
いただきます。初診の患者さんの場合には初期研修医とともに対応することもよく
あります。特に令和2年度からは初期研修医の外来研修が必須となったので、以前
よりも研修医教育に力を入れています。
 次に入院では15~20名の患者さんの診療にあたっています。多いのは肺炎や尿路
感染の患者さんですが、外来同様、複数の領域に疾患のある方や診断のつかない方
も数多く入院しておられます。また、これまで自宅で何とか生活していた高齢の患
者さんが入院をきっかけに自立した生活が困難になってしまう、というケースもし
ばしばあります。このような場合には介護保険の利用や在宅診療の導入を考えます。
 そして救急ですが、当院では平日日中の一・二次救急を医師+2名のJNPで担当し
ています。ほとんどの場合、JNPがファーストタッチを行い、病歴聴取と身体所見
をとってアセスメントを行い、その後の検査や治療につなげています。数年にわた
る多くの症例経験を経てJNPによるスムーズな対応が可能となりました。現在は過
去の症例のデータからJNPの参加による診療アウトカムについて分析し、論文を作
成しているところです。
 最後に当院総合診療部の特徴を2つ述べさせていただきます。1つは、先に述べた
ようにJNPの活躍により多くの業務をこなすことができているということで、特に
医師不足の地域に対応する1つのモデルになるのではないかと考えています。もう1
つは、多くの非常勤医師・招聘医師の先生方に参加いただいているということです
。クリニック経営の先生方や老健施設長の先生などにそれぞれ週1~2コマ来ていた
だいて一緒に診療をしており、お互いに切磋琢磨する良い機会になっています。読
者の中で「自分も一緒にやってみようかな」という方がおられたら、ぜひ中島まで
御連絡ください(nakajima.shin.tf@mail.hosp.go.jp)。


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        新型コロナ時代に思う 
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                        腎臓内科科長
                        岩谷 博次                   

 Covid-19で全世界が未曽有の闘いを強いられております。感染症が人へ悪影響を
及ぼす場合に、大きく分けて、微生物の直接的な悪影響と、その微生物が生体に引
き起こす免疫反応を介した悪影響の二種類あるとされています。
 この新型コロナでは、特に後者が重症化を起こしているのではと推測されていま
す。新型コロナがもたらす病気の重さとは格段に違いますが、我々が対象とする腎
臓病の領域では、病巣感染という概念があり局所の感染部位にはそれほど症状はな
いのですが、遠隔臓器に悪さを引き起こすものがあります。IgA腎症では、古くか
ら議論されており、扁桃摘出(扁摘)+ステロイドパルス療法がこれほどまで日本
に広く浸透したのは、扁摘が病巣感染のコントロールに重要と考えられているから
と考えます。さらに、最近我々は、ネフローゼ症候群においても、病巣感染が原因
で引き起こされていると思われる症例を経験しています。ご本人さんにはほとんど
無症状であった副鼻腔炎を根治的手術にて治療すれば、ステロイドを使用せずにネ
フローゼ症候群が寛解したいとうものであり、微小変化型ネフローゼにおいて世界
初の症例を英文報告(Iwatani H. et al, Intern Med. 2015)しております。本例
は、当初抗菌薬治療を行いましたが、その程度では完全に蛋白尿を陰性化すること
はできず、手術にてはじめて寛解を達成しえました。しかも術後一週間で完全寛解
にいたりました。
 その後も病巣感染巣の積極的除去手術で、蛋白尿が大きく減少するネフローゼ症
例を当院で何例も経験しております。病巣感染のコントロールには、抗菌薬の投与
のみで大きく改善することは困難なことが多く、完全除去というレベルの治療で初
めて大きく改善するという印象をもっております。

 当院腎臓内科には、IgA腎症については、北は北海道、南は沖縄にいたるまで日
本全国の基幹病院、大学病院からご紹介を受けており、ネフローゼ症候群も各地の
基幹病院、大学病院からご紹介いただいております。多くの一次性ネフローゼ症候
群においては、ステロイドが第一選択薬であることに変わりありませんが、これか
らも病巣感染を意識しながら、根治的な治療を目指していきたいと考えております。


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           看 護 の こ こ ろ        
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                         副看護師長
                         大澤 真琴

 新型コロナウイルスの影響により、緊急事態宣言が発令されました。感染の恐怖
や外出が制限されるなど、皆様大変な思いでお過ごしになられているのではないで
しょうか。一日も早く収束することを願う日々です。

 私は皮膚・排泄ケア認定看護師となり、10年以上経ちます。人工肛門・人工膀胱
(以下、ストーマ)を造設される大多数の方がストーマはつくりたくないと言われ
ます。「ストーマを造設する選択しかないのか?」とご自身で納得、決断するため
にセカンドオピニオンを受ける方もおられます。私から、ストーマやそのケアにつ
いて面談させていただくことがあります。その中のお一人のお話をしようと思いま
す。
 Aさんは家族性ポリポーシスと子宮体癌で手術や放射線療法をうけました。その
後の経過で直腸膣瘻や膀胱膣瘻を発症しました。肛門周囲や陰部の皮膚はただれ、
痛みも伴い、ケアについて医師から紹介を受けてお会いすることになりました。初
回の面談時には鎮痛剤を使用され、ご自身で軟膏処置やパッドの交換も丁寧にされ
ており、ある程度の痛みや皮膚トラブルはコントロールできていると伺いました。
少し困っている処置は簡単にできる方法をご紹介しました。Aさんに今までの経過
を伺うと瘻孔は閉鎖できない状況だとわかりました。現状と付き合っていくことを
考えるとストーマを造設して排泄経路を変更することで、瘻孔からの排泄量を減少
することが見込めること、生活の質が今より改善する可能性があるのではないかと
思いました。ケアについての面談の予定でしたので、ストーマ造設の情報は言葉を
選びながらお伝えしました。強い拒否反応はなかったものの「今はこのままで大丈
夫です」との反応でした。その後も皮膚のただれや痛み、ケアの状況について面談
しましたが、こちらからストーマについては触れずに経過しました。
初回の面談から約1年後に状況は悪化しました。腹圧が少し加わることで排泄物が
出てしまい皮膚状態は悪化、それに伴う痛みも強くなりました。頻回に処置やパッ
ド交換が必要な上、1回の処置に時間を要しトイレにこもる時間も長くなり、生活
の質がかなり低下しました。Aさんから、「この状況はつらくてストーマ造設を考
えてみたい」と話され、外科医師へ相談し手術となりました。ストーマ造設後は痛
みや処置から解放され、度々旅行するまでになりました。「旅行ができるようにな
って嬉しい」と伺い、こちらまで嬉しくなりました。Aさんを通してストーマを造
設することで生活の質が改善することがあるということを改めて認識しました。

 ストーマの造設後に今までと同じように仕事や趣味ができる方もあれば、逆に外
出など行動範囲が狭くなり、今までと同じような生活ができなくなる方もあります。
行動範囲も狭いままでなく、徐々に拡大することが多いですが、経過は様々です。
私はストーマと共に今までとできるだけ変わらない生活ができるようにと関わって
きましたが、加えて今まで以上にできることもあるのではないかということも患者
さんと一緒に考えていきたいと思います。


ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html


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          研 修 医 日 記
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                        研修医2年目 土屋 泰佑

 研修医2年目の土屋泰佑と申します。はやいもので研修医生活も残り数日となっ
てしまいました。したがってどの研修医日記よりも最も研修医期間の長い日記の内
容となるわけですが、具体的な研修内容や病院施設については他の研修医の日記が
充実していると思いますので、そちらをご覧ください。その代わり、2年間の研修
医生活の率直な感想をここに記載したいと思います。
 
 当院の研修医は特に人当たりのよい医師がそろっていると思います。社会人なの
だから当然と思われるかもしれませんが、あなたの同級生を考えたときにできれば
一緒に働きたくないと思わせる人が思い当たりますよね。2年間の研修生活で先輩
、同期、後輩あわせておおよそ40人近くの研修医と密接なかかわりを持つことにな
りましたが、そんな人はいませんでした。逆に同期にいたらうれしいなと思わせる
人が多い病院とイメージしてよいと思います。これは、おそらく当院にマッチング
登録する母数が多いことと、面接による評価が十分になされているためと考えてい
ます。
 私は医学的知識に自信がありませんでしたが、研修中に多くの知識を得られたと
考えています。もちろん上級医によるご指導のおかげでありますが、気軽に話せる
友人が多いことはとても重要で、それぞれが志望する科も異なるため、幅広く知識
を得る機会になりました。
 簡単ではありますが、以上が私の感想です。それでは皆様も国立大阪でインテリ
ジェンスある研修医達と楽しく、充実した研修生活を送ってください
。

                        研修医2年目 大崎 慧

 初めまして研修医2年目の大崎慧と申します。この3月で丁度研修1年が経過し、
去年の4月に入職したことがついこの間の事のように思え時の流れの速さを感じて
います。次年度から研修スケジュールが一部変更されたり、阪大からのたすきがけ
に当病院が追加されたりと新しい風が吹き込まれるようで期待に胸を膨らませてい
る所です。また近年当院の志望倍率が上昇してきているとの事でこの1年過ごして
きた経験から当院の長所・短所を自分なりに記述していこうと思います。

①:研修医の待遇
 元々国立の病院であったという事もあり、時間外手当や有給休暇取得の義務付け
 に対して他病院と比べてもきちんとしているように感じます。また1年目,2年目
 合わせて合計約30人と多く、広い研修医ルームに1人ずつパソコンと机が用意さ
 れています。患者さんの急変時に夜遅くや休日で上級医の先生がつかまらない場
 合でも研修医ルームに誰かしら先輩や同期がいるため気軽に相談することができ
 るのも利点として挙げることができます。

②:当直
 夜間、休日は1年目、2年目、レジデントの合計3人で1-2次の初療対応をし、重
 症患者の場合は心当直、脳当直、3次当直、その他各科のオンコールの先生にバ
 ックアップして頂きます。救外の雰囲気としては昨年度と比べてもさらに積極的
 に時間外救急を受け入れていこうという雰囲気になってきています。短所として
 は研修医に対するレクチャーが月1回程度と他病院と比べて少なくある程度自分
 で勉強する必要があります。

③:立地・設備
 当病院は都心の駅前にあり敷地内に寮・スーパー・雑貨屋が揃っているため生活
 に不便さを感じる事はありません。また後期研修も当院を希望した場合内科ロー
 テートでは大阪警察病院・第二警察病院と連携しているため都心で研修を続ける
 ことが出来ます。また短所としては病院や寮の建物が古く、寮に住みたくない場
 合は自分で賃貸を借りなければならない点が挙げられます。

 以上まだまだ説明し足りない部分は多いですが、ここまで読んで少しでも興味が
 わけば是非一度研修医ルームに遊びに来て下さい。


臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 上松正朗 三田英治
     看護部長 西本京子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 感染予防の基本はマスクと手洗いです。これから夏に向かうとマスクが暑苦しく
なりますが、気をゆるめず、体調管理につとめてください。では、また次月のメル
マガでお会いしましょう。
 
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
408-osaka@mail.hosp.go.jp

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