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メールマガジン「法円坂」No.232 (2020/8/17)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 今年も猛暑の夏がやってきました。新型コロナウイルスの感染対策で、マスクをピッタリ着用していると息がつらいですね。街ゆくヒトを見ていると、携帯扇風機や首掛けファンですずんでいる姿も見かけます。皆さんはどのような工夫をしておられますか?私は最近、扇子を携帯して愛用しています。今月のメルマガが皆さんにとって「一服の清涼剤」になればと思います。
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   メールマガジン「法円坂」No.232 (2020/8/17)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です
 ・整形外科、リハビリテーション科の紹介
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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熱中症と水中毒

 8月半ば、全国的に猛暑が続いています。大阪でも今週末まで最高気温は35−37
度と予想されており、熱中症対策が必要です。対策としては、特に暑い日中には外
出を控えること、家の中にいても熱中症は生じ得るので、こまめに水分補給をする
ことが大事です。熱中症の症状は、実は新型コロナウイルス感染症と区別が難しい
場合があります。熱中症は、脱水とミネラル不足、体に熱がこもることにより、め
まい、顔のほてり、筋肉のけいれん、体のだるさや吐き気、体温上昇、さらに意識
障害などを引き起こします。例年とは異なり、熱中症患者さんの搬送先に救急隊が
苦労されている大きな原因は新型コロナとの鑑別が必ずしも容易ではなく、受け入
れ病院を見つけるのに時間がかかっているからです。今年は特に熱中症対策を万全
に行うようにしてください。多くの方が、新型コロナウイルス感染予防のためマス
クをされていますが、屋外で人の少ないところではマスクを外しても感染リスクは
低いので適宜外して呼吸しましょう。
 さて、こまめに水分補給しましょう、と簡単に言いますが、正確には汗に出た成
分を補給しましょう、ということです。汗はその99%が水分ですが、塩分、その他
微量のミネラルが含まれています。汗で出たものを水だけで補おうとすると、塩分
、ミネラルが不足し、ちょうど血液が水で薄められたようになり、低ナトリウム血
症を引き起こすことがあります。ナトリウムが極端に低いと疲労感、頭痛、吐き気
、けいれん、意識障害など熱中症とよく似た症状が出てきます。これを水中毒と呼
んでいます。適度な塩分補給も夏には大事であることを覚えておきましょう。スポ
ーツドリンク、塩飴、塩パン、梅干しなど、お水やお茶と合わせて摂るようにしま
しょう。高血圧、心臓病、腎臓病など塩分摂取を制限されている方は、主治医にご
相談ください。


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       整形外科、リハビリテーション科の紹介       
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                   整形外科・リハビリテーション科
                   科長 三木 秀宣

 整形外科といえば骨折を治療しているイメージが強いと思いますが、実はいろい
ろな疾患の治療を行っています。整形外科の扱う部位は運動器と言って、骨、関節
、靭帯、神経、脊髄、筋肉のように、人間が動こうとするときに必要な組織全般と
広範になります。従いまして一つの施設ですべてに対応することは不可能で病院ご
とに守備範囲が少しずつ違っており、それがその病院の特徴ということになります。

 当院整形外科では14名の整形外科医が1)股関節外科、2)膝関節外科、3)脊
椎外科、4)小児整形・足の外科、5)骨・軟部腫瘍といったクリニックを形成し
診療にあたっております。
 昨今の超高齢社会においては要介護となる原因治療の重要性が指摘されてきてい
ます。要介護の原因疾患として最も多いのは、いわゆるロコモティブシンドローム
といわれる運動器の障害です。とくに変形性関節症や腰部脊柱管狭窄症の占める割
合が多く、当科においても、上記1)−3)のクリニックにおいて、コンピュータ
を用いた合併症の少ない人工尾股関節手術、より侵襲の少ない人工膝関節手術や脊
椎手術を行い、実績を残しております。また、他院ではあまり見られない特徴とし
ては、4)の先天性股関節脱臼やペルテス病、大腿骨頭すべり症などの小児股関節
疾患、先天性内反尖足や外傷性・麻痺性など種々の原因に伴う足部変形、脚長差、
骨形成不全症をはじめとする各種骨系統疾患など広汎にわたる小児整形外科および
成人の足の変形に対する専門診療、5)の骨・軟部腫瘍および転移性骨腫瘍(がん
の骨転移)に対する集学的な高度専門診療があります。
 また、22名と充実したリハビリテーション科スタッフが各診療をサポートしてく
れているのも当院の大きな特徴となっております。
このような特徴をもちつつ、多岐にわたる各種運動器疾患を扱っている専門診療科
として、様々な運動器に関してお困りの患者さんがおられましたら、お気軽にご紹
介ご相談いただければと存じます。


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           看 護 の こ こ ろ        
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                         手術室 副看護師長
                         尚和 敬宗 

 猛暑が続いている中、『新しい生活様式』とは何かと模索しながら、心身の健康
は何物にも代えられないと改めて感じるこの頃です。皆様におかれましても、体調
を気にかけお過ごしのことと思います。
 私は入職時に手術室配属、その後脳卒中を専門とする病棟への異動を経て、2019
年4月から手術室の副看護師長となり現在に至ります。手術室と病棟、異なる部署
の看護経験から、私は看護の対象は「患者さん」という思いを大切に、スタッフ教
育、看護実践に日々奮闘しています。

 私が新人の時に配属となった手術室は、年間5500件以上、15診療科の多様な手術
が行われています。手術看護の中でも、たくさんの手術器械を覚え、手術進行を追
いながら執刀医に必要な物を手渡していくことは、まさに手術看護の醍醐味です。
私は、難しくもやりがいを感じながら働いていました。そして1年、2年・・・と
経験を重ね、一通りの手術介助を身につけた頃、上司のすすめもあって脳卒中を専
門とするSCU病棟へ異動となりました。SCU病棟では24時間365日、脳卒中を患った
患者さんを受け入れています。そこで出会ったAさんとの出会いは今でも忘れるこ
とはありません。突然の脳出血を患い入院されたAさんは、働き盛りの壮年期の方
で、大学生になるお子様もおられました。Aさんの症状は右半身麻痺で、日常生活
をどこまでとり戻せるのか、経過を追わないとわからない状況でした。ある夜勤で
Aさんの部屋に伺うと、天井を一点に見つめ「ここはダメな患者が入るところやろ?
もうあかんねやろ?」と私に問いかけてきました。私はAさんの突然の発症と悲観
や絶望の心情を思うと、一瞬たじろぎそうになりましたが「ここはリハビリをして
元気になるところ、元気になって生活を取り戻すところですよ」と言いながら手を
握り返しました。そして次の日から、Aさんの生活を取り戻すための病棟リハビリ
の立案も行いました。その後、Aさんは再出血のリスクがあると診断され、脳血管
の手術を受けることになりましたが、退院が近くなってきた頃に「看護師さんの言
葉を信じて、手術もリハビリも頑張ったんや」といいながら、わずかに残った右手
の力で握手してくれました。握手から伝わるAさんの力と、希望を取り戻したAさん
の目を見たときに、看護師を続けてきたことの喜びと、看護の主役は患者さんであ
るということを強く心に感じました。
 現在は昇任異動で手術室に戻りましたが、先日朝から夜中にわたる長時間手術を
受ける患者さんを担当しました。手術1週間後に、病棟の廊下を懸命に歩き、リハ
ビリに励む姿を見かけました。Aさんの姿とも重なり、手術室看護師としてのやり
がいを感じるとともに患者さん自身が前向きに取り組む姿に感銘を受けました。手
術を受ける患者さんの背景は様々で、手術を決意した経緯も一つとして同じものは
ありません。手術を受ける全ての患者さんが、安全で安楽な手術を受けられるよう
に、スタッフ教育と看護実践にこれからも邁進していきたいと思います。


ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html


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          研 修 医 日 記
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                        研修医2年目 国分 祐樹

 大阪医療センター研修医2年目の国分祐樹と申します。この研修医日記は医学生
の皆さんに病院ホームページで研修医の様子を知ってもらうことが目的らしいので、
私がこれまでの研修生活で感じたことを手短に書いていこうと思います。

 当院での研修に関しては、必修科目の期間は長いですが、研修生活自体に強制的
な雰囲気はありません。基本的な病棟業務やカンファレンス、当直業務など研修医
として必要なことさえきちんとこなしていれば概ね問題ないと感じています。ただ
、最低限以上を求める場合はこちらからやる気を示す必要があります。強制的な雰
囲気がない分これは仕方ないことと思いますが、病院スタッフの方々はこちらのや
る気には応えて下さるのでこれまで物足りないと感じたことはありません。普段の
生活に関しては、病院が大阪市の中心部にあることは大きなメリットと感じていま
す。研修医になったら休むことなく働くつもりの方もおられるかもしれませんが、
多くの方は仕事以外にもやりたいことがあると思います。そういったプライベート
を充実させるためにも市街地の病院にいることは大切だと思います。

 個人的に感じていることを書かせて頂きましたが、他の研修医が書いていること
も参考にしていただければと思います。研修医日記を読んで当院で研修をやっても
いいかなと思われたならば、一度見学に来ていただければと思います。


臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 上松正朗 三田英治
     看護部長 西本京子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 夏の風物詩の花火、甲子園の高校野球(交流試合のみ)などが規模を縮小せざる
を得なくて残念です。故郷に帰省できない方もおられることと思います。早く有効
なワクチンが開発されることを祈っています。では、また来月、メルマガでお会い
しましょう。

メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
408-osaka@mail.hosp.go.jp

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