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メールマガジン「法円坂」No.235 (2020/11/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 すっかり紅葉の季節になりました。11月7日は二十四節気で言うと「立冬」で、
暦では立冬から立春の前日までが冬となります。そして11月22日は「小雪」、初
雪の便りも近いものと思われます。風邪、インフルエンザ、そして新型コロナに
共通して、うがい・手洗いは大切です。寒さに負けず、この冬を乗り切りましょ
う。では、11月のメルマガをお楽しみください。
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   メールマガジン「法円坂」No.235 (2020/11/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  是恒 之宏 です
 ・コロナ禍での眼科診療
 ・コロナ下における突発性難聴の治療の対応
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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      院 長  是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です       
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新型コロナウイルス感染症第3波到来

 昨年11月のメルマガでは、2019年11月末に日本循環器学会近畿地方会会長を務
めることになったという文章で始まっています。もちろん通常のon site開催で
無事終了しました。この時にはまさか今年が新型コロナでこのような状況になろ
うとは全く予想できませんでした。この1年がずいぶん長く感じられます。
 このところ、東京、北海道、大阪を含めた近畿圏でも新規発症者が急増し第3
波の到来となりました。まだ、ピークを向かえてはおらず冬場に入りさらに増加
することを覚悟しておかなければなりません。
皆様、コロナ疲れもあるかと思いますが、気を緩めず3密を避け、マスク、手洗
い、外のお店に入るとき出るときは、入り口に設置してあるアルコールで手の消
毒をしましょう。多くの方々のアルコール消毒をみていると、手のひらに取って、
両手でこすり合わせることをしておられます。大事なのは指先です。少し多めに
アルコールを手の平にとり、まずは両指先をこすりましょう。それからいつもの
ように手のひら、手背に伸ばしてください。
 また、外での飲食も要注意です。米疾患対策センターの報告でも感染者は非感
染者と比べ、症状が出る前にレストランなどでの飲食をした割合が高いことがわ
かっています。
さらに、寒くなるとどうしても換気が疎かになります。特にお部屋での人数が多
いときにはこまめに換気をしましょう。1人1人が「うつらない、うつさない、家
に持ち込まない」を意識して、まだしばらくは続く長丁場を乗り切りましょう。


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      コロナ禍での眼科診療      
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                         眼科
                         医長  松田 理
                   
 本格的な冬が訪れる前に新型コロナの第3波が早くもやってきました。皆さん、
お変わりなくお過ごしでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症が怖いので少々体調が良くなくても医療機関を受診
したくないというお気持ちもよく分かります。しかしながら、病気は待ってくれ
ません。受診しない間に病状が悪化することも十分あり得ます。病気は早期発見、
早期治療が原則です。これは眼科でも例外ではありません。人は外からの情報の
80%を視覚から得ており、治療が遅れて十分な視機能が回復しなければ日常生活
に支障がでてきます。
 そこで、今回は皆さんが安心して当院眼科を受診していただけるよう、当科で
の新型コロナウイルス感染症対策についてご説明いたします。
 まずは病院の玄関で高精度体温検知カメラを設置し発熱されている方を検知し
ます。また、必要に応じて眼科外来窓口でも高精度サーモメーターで体温計測を
しております。眼科は診察前の検査(視力測定、眼圧、眼底写真など)検査が多
く、診察も含めると大人数が何度も出入りを繰り返すため、ウイルスがこもらな
いよう定期的にしっかり換気を行っています(少し寒いですが。。。)。さらに、
眼科の検査機器は顎や額をくっつけて行うものが多いため、患者さん1人の検査
を終える度に顎台などはしっかり消毒を行っています。眼科の診察では細隙灯顕
微鏡といって患者さんに顔を乗せてもらって医師が顕微鏡越しに眼を拡大して診
察するのですが、この時に患者さんと医師の顔の距離が非常に近づき、感染の危
険が出てきます。そこでお互いにマスクを着用するのはもちろんですが、中間に
アクリル板を設置してお互いの呼気をシャットアウトしています。また、眼科手
術が必要になる場合は、手術場入室後もぎりぎりまで患者さんにはマスクを着用
していただいております(もちろん医師はマスクを着用しております)。
 このように出来る限り患者さんに安心して眼科受診、手術をお受けいただける
よう細心の注意を払っております。最初にも述べましたとおり、眼科の病気も早
期発見、早期治療が最も効果的です。目の調子が悪いようであれば、迷わず診察
にお越しください。


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      コロナ下における突発性難聴の治療の対応       
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                         耳鼻咽喉科
                         津田 武

 突発性難聴は片方の耳が突然聞こえにくくなる病気であり、しばしばグルグル
回るめまい症状や耳鳴り症状を伴うことがあります。原因としてウイルス感染や、
耳の神経を栄養する細い血管が詰まることによって起こるという説がありますが
確定には至っていません。突発性難聴の診断には鼓膜の観察、聴力検査などが必
要となってきます。ステロイドという薬を投与することが治療法になりますが、
しっかりとした治療を行った場合でも聴力が完全に元に戻る確率は約1/3と言わ
れています。
 ステロイドは適切に使用すれば非常に便利な薬ですが、長い間使用することに
よって高血圧・高血糖・胃潰瘍・不眠といった副作用を引き起こすことがありま
す。その中でも、”易感染性(感染に弱くなる)”の観点から、ヨーロッパの耳
鼻咽喉科学会ではCOVID-19感染症の蔓延に伴い突発性難聴に対する治療として内
服・点滴ステロイド治療は非推奨という声明が2020年の初旬に出されました。
これに伴い大阪医療センター耳鼻咽喉科では4月より突発性難聴に対する初期治
療として鼓室内ステロイド治療を行うことにしております。この治療は鼓膜に麻
酔をかけた後、中耳と呼ばれる鼓膜の裏の空間に直接ステロイドを注入する治療
になります。内服・点滴ステロイド治療と違い前述の副作用は基本的に起こりま
せん。(わずかな確率ですが鼓膜に穴が残る場合があります)また点滴ステロイ
ド治療を行う場合、1〜2週間の入院が必要になりますが鼓室内ステロイド治療
の場合は合計4回の外来通院で治療を終了することができます。1回あたりの治
療時間は約1時間であり、月・火・木・金の通常外来が終了後に治療を行っており
ます。現時点では点滴ステロイド加療とほぼ同じくらいの治療効果がみられてい
ます。
 一時期落ち着いていましたが、大阪でも徐々にCOVID-19感染症にかかられる方
の人数が増えてきています。突発性難聴にお困りの方は是非、大阪医療センター
耳鼻咽喉科を御受診ください。


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           看 護 の こ こ ろ        
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                         副看護師長
                         林 加奈子

 今年も早いもので11月となりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今後インフルエンザの流行時期に入り、新型コロナウイルスも含めた感染対策を
行い、お身体を崩されませぬようご自愛ください。
 私は、看護師8年目になります。元々脳外科・脳内科病棟に7年間勤め、ICU
病棟を経験し、副看護師長への昇任に伴い脳外科・脳内科病棟へ異動してきまし
た。今年度移動してきてからの印象に残っている看護について述べたいと思いま
す。
 Aさんは女性の脳腫瘍患者さんでした。腫瘍の大きさから摘出手術が必要であ
り、100%言葉の障害(失語)や運動障害が残ること、リハビリを行っても復職
は難しいと医師より説明がありました。患者さんはキャリアウーマンであり、小
さなお子様の母でもありました。私は患者さんへの説明が負担になっていないか
反応を確認しながら看護を行います。Aさんは疼痛や社会資源の話は積極的に質
問されましたが、失語に関しては本人と夫、共に「あんまり考えると心配になる」
と発言があり術後に支援を行うこととしました。
手術後、やはり失語の症状が発生し、クローズドコミュニケーションを用いて意
思疎通をはかりました。コロナの影響下で面会制限があり、患者さんの配偶者さ
んとは携帯を用いてメールを送り連絡をとっていました。しかしある時、適切な
文章が打てず、緊急の要件であると誤解され、慌てて病院に来られることがあり
ました。私は失語の状況などを説明し、温かく見守ってほしいこと、メール作成
もリハビリになることなどを説明し協力していただきたいことをお伝えしました。
汗だくで走ってこられたご家族の姿をみて、ご家族は面会できず、メールのみの
やりとりになることの予測が甘く、また手術後携帯操作ができるようになった際、
ご家族へ失語の状況を説明できていなかったことを反省し、非常に後悔したこと
を覚えています。以降は、Aさんとご家族が困難を抱えていないかお話を伺い、
時にはともにAさんを励まし、できていることを言語化し伝え、リハビリを続け
ました。Aさんは徐々に症状も改善し、私に対しAさんとご家族から「たくさんリ
ハビリに付き合ってくれたから、頑張ろうと思えたよ」と声をかけてくださいま
した。看護をしていてよかったなと思えた瞬間でした。
手術前の患者さんは手術への不安、手術後の経過、退院後の生活への不安などを
抱えています。手術前看護として必要な情報提供だけでなく、不安の言語化や共
有を行うことが大切です。手術後の患者さんや家族の反応を確認し、その都度丁
寧に説明することの大切さを感じた事例でした。また、患者さんとご家族のコミ
ュニケーション方法の支援や、成功体験を感じていただくこと、またご家族とそ
れらを共有し支えることが患者さんの手術後の看護で大切であることを学びまし
た。この経験を大切にし今後の看護に役立てていきたいと思います。


ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html


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          研 修 医 日 記
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                        研修医2年目 寺川 航基

 はじめまして、初期研修医2年目の寺川航基と申します。医師として当院で働
き始めてから早二年ということで、部活や学業に精を出していた生活が昨日のよ
うに思い返されることを思えば、光陰矢の如しといったところです。さて、この
研修医日記を今見てくださっている方は研修先として当院が気になっていて、
「この病院はどんなところなのかな」「どんな研修をしているのだろう」などと
いった疑問を抱いてこのコラムにたどり着いたことと思います。1年半年の研修
で当院について感じたことや知ったこと、経験したことを書き連ねますので、皆
さんの疑問に対するアンサーとなれば幸いです。
 まず、当院のローテーションの特徴について、当院では選択科が4ヶ月となっ
ており、幅広い診療科をローテーションすることになるということが挙げられま
す。また、どの診療科の先生方も非常に熱心・丁寧に教えて下さります。そのた
め、幅広い知識や多岐にわたる手技を身に付けることが出来るため、臨床医とし
ての能力の「幅」が大きくなり、救急外来や病棟管理において大きな視野で患者
さんに対応することが可能となります。確かに、同じ一つの診療科を1年間近く
に渡って集中して回る、ということは難しく、レジデント以降の臨床において不
安を覚える方もいらっしゃると思います。しかし、どの科に進んでも患者さんが
その科に限定された傷病をきたすとは限りません。そのため、当院のローテーシ
ョンで得た広範なノウハウはレジテント以降の臨床においても非常に強い武器に
なると考えます。
 続いて、当直業務についてです。救急当直はどの病院でも研修医生活の特徴と
なっていることかと思われますが、当院の救急当直の特徴としては研修医二人で
看護師さんと共に基本的には救急対応を行うということになります。具体的には、
2年目が救急隊や患者さんからの電話対応を行い、必要な診察や検査、輸液や薬
剤投与などの初期対応の方針の決定をし、帰宅が可能か、入院での加療が必要か
を判断します。また1年目は2年目の指示をもとに必要な手技や身体診察・問診
を行います(12月からは1年目と2年目の役割は交代します)。そのため、救
急外来に来られた患者さんがどういう状態かを考え、緊急性の有無を判断し、診
察・検査・初期治療など何が必要かを適宜把握するといった極めて実践的な経験
を蓄積することができます。研修医二人だけでの対応ということで不安になる方
もいらっしゃると思いますが、当院では時間外当直としてレジデントの先生が常
駐しており、判断にあぐねる時や、正しいか不安な時はすぐに相談する事ができ
ます。また、心当直や脳当直、産科当直や救命当直といったそれぞれの領域の専
門科の先生方も常駐しているので、当該疾患で専門科の対応が必要と判断した場
合には相談可能です。
 当院の研修の最大の特徴としては、一年度あたり15人強という研修医の多さ
にあります。一つの科を複数人で回ることも多いので、業務を分担したり気軽に
相談したりする事もできます。また皆勉強熱心・向上心旺盛なので、症例につい
て皆で相談・議論し合うことも度々あります。何よりも、研修中は悩むことや辛
いことなど多々ありますが、研修医は皆たいへん気がよく他人思いであり、相談
すると親身になって聞いてくれるので気が晴れることが多々あります。同じ環境
で切磋琢磨する素晴らしい仲間が大勢いることが、この病院の最大のメリットだ
と感じます。
 以上拙い文章ではありますが、当院の特徴について説明させていただきました
。当院での初期研修に興味を抱かれましたら、是非一度病院見学に来られて当院
の雰囲気を肌で感じて頂ければと思います。研修医皆でお会いできることをお待
ちしております。

 
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html


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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 上松正朗 三田英治
     看護部長 西本京子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 新型コロナウイルス感染の第3波が襲来し、アフター・コロナ、ポスト・コロ
ナという言葉はまだまだ先のようです。今のところ、ウィズ・コロナで、生活様
式を変えて一人一人が感染対策をとるしかありませんね。では、また12月、メル
マガでお会いしましょう。

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408-osaka@mail.hosp.go.jp

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