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メールマガジン「法円坂」No.242 (2021/6/17)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?今年度は、新型コロナウイルス感染拡大
“第4波”の影響を真面に受けてのスタートとなりました。色々な制限の中です
が、できないことに嘆くばかりではなく、できることをしっかり模索したいと思
います。
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   メールマガジン「法円坂」No.242 (2021/6/17)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志 
 ・循環器内科副科長 就任のご挨拶
 ・血友病内科科長 就任のご挨拶
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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   院 長  松村 泰志    未来の医療も安心してよさそうです    
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 先日、大阪医療センターの看護師の採用試験がありました。ありがたいことに
118名と多数の応募がありました。大阪医療センター附属看護学校の学生も多数
応募しておりましたが、それ以外の看護学校、現職の看護師の人まで応募してく
れていました。私は、採用試験の中で小論文の採点を担当しました。小論文のテ
ーマは、自分の体験に基づいて、どのような看護師になりたいかを記載するよう
な内容でした。さてさて、どのようなことが書かれているでしょうか。
 読み始めて、多くが大変しっかりした内容のものであることに驚きました。自
分が体験したことを記載してくれているので、短編小説の物語のようなものが多
くありました。看護師は、入院患者さんにとっては最も間近にいる存在ですが、
看護実習生は、さらに、患者さんのそばにいて、患者さんと密に接する立場にな
るようです。自分が病気であることを受入れられず、手術を受ける不安など、な
かなか心を開かなかった患者さんが、看護実習生が話しをしやすい雰囲気を作っ
て待っていると、少しずつ語られるようになり、気持ちがほぐれ、治療を受け入
れ、退院の時には感謝をされたと言ったお話し、患者さんが急変して亡くなられ、
自分が患者さんの最後の言葉を聞くことになり、これを家族に伝えて大変感謝さ
れたお話しなど、感動的なものが多くありました。感心しましたことは、ほとん
どの人が、目指すべき看護師像として、医療的に適切な判断ができるようになる
ことに加えて、患者さんの不安を少しでも和らげ、心が安らかになってもらうた
めに、自分がどうすれば良いかを真剣に考えている内容が多いことでした。
 私は、前職では医学部の学生の教育に携わっていました。医学生は、難しい治
療技術を身に着けたり、新しい治療法を生み出したりするなどを将来の夢として
語っていました。そもそも教授が、そうしたことを目指すよう焚きつけていると
ころがありました。立派な医師になる、立派な医学研究者になることを目標とす
ることは、もちろん良いことと思います。しかし、それを成すエネルギーは、背
後に自己顕示欲的なものがあるように思います。それに対して看護師の場合は、
ひたすら個人対個人の関係の中で、相手の安寧のために人知れず施しをすること
を目指しており、何か修行僧のような崇高なものを感じました。
 大阪医療センターでは、今年採用した人が、来年度以後は現場でがんばってく
れていることでしょう。未来の医療も安心してよさそうです。

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          循環器内科副科長 就任のご挨拶      
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                            循環器内科副科長
                            不整脈センター長
                               井上 耕一

 2021年4月1日に大阪医療センター循環器内科に赴任いたしました。循環器疾患
の中でも、不整脈分野を専門としております。私は1995年に大阪大学を卒業後、
同大学院、東京大学で学んだ後、長年、桜橋渡辺病院で鍛錬を積んでまいりまし
た。前施設では、不整脈グループの立ち上げを行い、臨床経験を積んでまいりま
した。周りの皆様の協力もあり、カテーテルアブレーションは全国でも屈指の症
例数を誇る施設にすることができました。私個人としても、心房細動アブレーシ
ョンに関しては全国でも屈指の経験を持つと自負しております。不整脈専門医と
して豊富な経験と知識を生かして、大阪医療センターでも患者様のためになれる
専門的な治療を行いたいと思います。
 高齢化に伴い、不整脈疾患の患者数は増え続けています。一方、循環器領域の
中でも不整脈の領域は、薬物療法の進歩(特に心房細動に対する経口抗凝固薬の
登場)、カテーテルアブレーションの急速な進歩と普及、不整脈植え込みデバイ
スの進歩、経皮的左心耳閉鎖術の開始など、発展が著しい領域です。エビデンス
としてもリズムコントロール治療の優位性や心房細動アブレーションの予後改善
効果が証明されました。
 不整脈疾患は、心不全、脳梗塞、突然死の原因となる事もあり、QOLのみならず、
ADLや予後にも影響を与えます。不整脈治療には、様々な選択肢がありますが、一
方で、循環器疾患の中でも専門性が高い治療とされています。不整脈の専門家と
して、患者ごとのニーズと社会的状況を勘案したうえで、新しいエビデンスに基
づいた治療方針を決めていく必要があります。当院でも、幅広い治療ポートフォ
リオを提供し、専門医の視点から最適な治療を提案していきたいと思います。
 今後も精進を積む所存ですので、皆様におかれましては、ご指導、ご鞭撻のほ
どをよろしくお願い申し上げます。

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           血友病内科科長 就任のご挨拶    
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                             血友病内科科長
                               矢田 弘史

 2021年4月1日に大阪医療センターに新設されました血友病科の科長として着任
いたしました矢田弘史と申します。私は、2004年(平成16年)に奈良県立医科大学
を卒業し、同附属病院での初期研修を経て同小児科医局に入局しました。入局後
は、枚方市の星ヶ丘厚生年金病院(現JCHO星ヶ丘医療センター)に1年間勤務し、
奈良県立医科大学総合周産期母子医療センター、同小児科において小児科医とし
ての研鑽を積み、2008年に奈良県立医科大学大学院で凝固因子に関する研究に着
手して以来、奈良県立医科大学で血友病の研究と診療に従事しておりました。そ
して今回、ご縁あって、大阪医療センターで勤務させて頂くこととなりました。
「血友病科」というのはあまり耳馴染みがないと思われるかもしれません。実際、
日本全国を探しても、この診療科のある病院は大阪医療センターが現時点では唯
一と思います。ここで少し、当院と血友病患者の歩みについてご紹介します。大
阪医療センターでは、かつて奈良県立医科大学小児科との結びつきのもとで、多
くの血友病患者さんは小児科で診療を受けていました。1997年に当院が「HIV/AI
DS先端医療開発センター」としてHIV合併血友病患者の受け入れを開始し、感染
症内科にて血友病患者さんの診療が行われるようになりました。その後、時代の
変遷とともに、より専門性を高めた新たな血友病診療体制を求める声が血友病患
者さんの中から上がり、このたび「血友病科」が誕生しました。感染症内科で血
友病診療に尽力されてきた西田恭治先生とともに、医師は二人体制で診療を開始
しています。血友病治療の進歩はめざましく、この10年間で血友病患者を取り巻
く治療環境は大きく様変わりをしています。血友病患者は一般に凝固因子製剤の
頻回の静脈投与を必要としますが、長時間作用型の製剤によって静脈注射の頻度
は減少し、さらに第VIII因子の機能を代替する新規抗体製剤の開発によって、皮
下注射による血友病A患者の治療が実現しています。私自身、この抗体製剤の共
同開発元である奈良県立医科大学では、抗体製剤を含めさまざまな新規治療を受
けた血友病患者の診療経験を通じて、患者さんの生活・人生が変化していくのを
肌で実感してきました。また同時に、凝固機能に関する研究を通じて、血友病治
療のさまざまな今後の課題も明らかになってきています。これらの経験を踏まえ、
血友病科では、他科連携のもと、薬剤師、看護師、MSW、心理士など多職域のスタ
ッフと協力しながら、急性期治療に加え包括的な診療に取り組みたいと考えてい
ます。どうぞよろしくお願いいたします。
                                    
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            看 護 の こ こ ろ        
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                        西9階病棟 副看護師長 
                        皮膚・排泄ケア認定看護師
                               大西 淳子
 
  今年も梅雨の季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。コロナ禍
により外出する頻度も少なくなり、リモートの普及などで社会における人との関
わり方も変化してきました。形は変われども、人間対人間の関わりは互いに活力
を与えあう機会となります。「笑顔のあるケアの実践」を今年度の看護部のスロ
ーガンに掲げている私たちは、マスクやシールドをしている中ですが「目で笑い、
優しい声で、思いやりの看護の手で」心と体を温かくケアしていきたいと思いま
す。
 私は皮膚・排泄ケア認定看護師として、ストーマ(人工肛門)外来や排尿ケア
チームの運営を行っています。ストーマ外来は1981年より腸センターの一端とし
て開設され、今年で40年目となりました。歴史ある当院ストーマ外来を代々の先
輩方が受け継がれ、私も2006年より運営に携わってきました。現在も毎月40名近
くの患者さんをお迎えし、皮膚トラブルや装具選択、日常生活のご相談に対して
います。術直後の方もおられれば、長年当院ストーマ外来に通院していただいて
いる方も多くおられます。相談にのるばかりではなく、オストメイトとして生き
る人生の歴史を聞かせていただく事も多くあります。相談内容は年々変化し、現
在は在宅医療との連携を行う機会が増えています。
 ストーマ造設20年目のA氏の自宅を訪問看護師と共に訪問した時のことです。
認知症の症状が進行し、これまで行えていた装具交換が上手く行えなくなりまし
た。しかしご高齢の妻では十分にケアが行えない状況で在宅医療の力を借りるこ
とになりました。長年ご自身で丁寧にストーマケアを行ってきたためこだわりは
あるのですが、細かなことはご自身では伝えることができませんでした。私は、
A氏がこれまでストーマ外来で語ってこられたストーマケアでのこだわりや思い
を訪問看護師に伝え、「A氏のストーマケア」を継続してい頂く事になりました。
その後A氏はストーマケアに難渋することなく、趣味の園芸をデイサービスにて
継続することができたとお聞きしました。A氏の思いを尊重した継続看護が行え
たと私は喜びと感謝でいっぱいになりました。現在コロナ禍もあり在宅訪問を行
う機会が減ってしまいましたが、今後も病院内でのケアに留まらず、在宅ケアへ
の介入を積極的に展開していきたいと思います。
 院内の排尿ケアにおいては、令和2年7月に排尿ケアチームを結成し活動を開始
しました。尿道カテーテル抜去に伴う下部尿路症状に悩んでおられる患者さんへ
の排尿自立支援を行っています。排尿ケアの悩みは羞恥心も伴い、相談しにくい
と思います。しかし、悩んでいる方は多く、私たちの活動により排尿自立のお手
伝いができればと思います。また、看護師の排尿ケアの質を向上させ、患者さん
のQOL向上につなげていきたいと思います。
 最後になりましたが、お体にはお気をつけて、皆様がウェルビーイングな日々
を送られますことを祈っております。
 
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html

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             研 修 医 日 記
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                             初期研修医 2年
                               渡會 皓介

 初期研修医2年目の渡會と申します。入職してから早いもので1年9ヶ月が経ち、
初期研修医としては3ヶ月を残すのみとなりました。
 当院の特色である必修科の多さや、当直体制、3次救急については他の研修医
が詳しく書いているのでそちらをご参照いただくとして、私からは内科研修につ
いて述べさせていただきます。当院では内科は循環器内科と消化器内科を各2ヶ
月、総合内科I(糖尿病内科・腎臓内科・呼吸器内科)と総合内科II(脳卒中内科・
血液内科・総合診療科)を各2ヶ月の計8ヶ月間研修します。循環器内科は冠動脈
造影検査や経皮的冠動脈形成術、アブレーション、消化器内科は消化管内視鏡や
ラジオ波焼灼療法、脳卒中内科では血栓回収などを多数の手技をアクティブに行
っています。糖尿病内科では1型糖尿病の診療を数多く行っておりインスリンポ
ンプも積極的に導入しています。腎臓内科では透析導入や電解質異常を、呼吸器
内科や血液内科では化学療法について深く学べました。総合診療科では他科以上
に患者の社会的背景に寄り添って様々な調整を経験できました。内科研修全体を
通じて心不全管理や血糖コントロール、電解質補正、抗菌薬の選択など多くのこ
とを任せてもらえるのですごく勉強になりました。もちろん上級医の先生方も優
しい先生方ばかりなので困ったことがあったらいつでも教えてもらえる体制も整
っています。
 他の診療科でもとても充実した研修生活を送ることができるので、ぜひ一度気
になる診療科の見学に来て、研修医の話を聞いたり自分の眼で見て確かめてくだ
さい。(2021年の年明けに執筆いただいた原稿でした)
                                                              
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html

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総編集長:病院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田英治 平尾素宏
     看護部長 西本京子 
編   集:池永祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 今月のメルマガ如何だったでしょうか?梅雨が明けると、暑い、暑い夏がやっ
てきます。感染予防も必要ですが、熱中症予防も忘れずに、室温調節、マメな水
分補給に心がけヘルシーライフを目指しましょう!

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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