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メールマガジン「法円坂」No.244 (2021/8/13)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 令和3年8月のメルマガです。蝉時雨の降り注ぐ夏の盛りとなりましたが、皆さ
んお変わりございませんか。東京五輪と新型コロナウイルス感染拡大の第5波が
重なる8月上旬です。今後、大阪も第4波の時のような医療逼迫にならないよう祈
るばかりです。
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   メールマガジン「法円坂」No.244 (2021/8/13)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志 
 ・新しい医療機器や医療材料の開発を支援するBi-AMPS拠点
 ・職員研修部の紹介
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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       院 長  松村 泰志  オリンピックを観戦して思うこと        
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 東京オリンピックが開催され、選手達の活躍ぶりに酔いしれる2週間余りを過
ごしました。日本人が試合に出ている時には、いつの間にか、我が事のように一
喜一憂し、手に汗を握って観戦しています。冷静になって考えてみますと、一定
の距離を人間がいかに速く駆け抜けようが、何かのゲームでどちらのチームが勝
とうが、世の中の出来事としては些細なことであるはずです。こうしたことに世
界中の人が熱狂し、固唾を飲んで応援しています。金メダルを目指してがんばっ
てきた選手が敗れて銀メダルとなって泣く姿にも、メダル獲得を目指してがんば
ってきた選手が銅メダルをとって喜んでいる姿にも、私達は共感しています。結
局メダルの色はどうでも良く、個々の選手が目標としていたことが達成できたの
か否か、選手が心から喜んでいるのか否かで、観戦者の気持ちも変わります。
 感動する場面は多くありましたが、ここでは、卓球の混合ダブルスで、水谷選
手と伊藤選手のペアがドイツの選手と戦った試合を取り上げたいと思います。こ
の日はお休みの日で、たまたまテレビをつけるとこの試合をしていました。水谷
・伊藤ペアは、押されぎみでしたが、6ゲームを終えて3対3の同点で、第7ゲーム
で決着がつくこととなりました。ところがこのゲームも劣勢で、2対9で負けてお
り、あと2ポイントで敗退が決まるところまで追い詰められました。私は、これ
は負けたなと残念に思いながら見ていましたが、その後何とか食らいつき、しか
し、ついに6対10とマッチポイントの場面となり、いよいよ最後かと思って見て
いました。ところが、水谷・伊藤ペアはそこから連続4ポイントをとって10対10
のジュースに持ち込み、最後は16対14でこの試合に勝利しました。その後、中国
の強力ペアにも勝って金メダルを獲得したことは皆さんもご存じの通りです。
この場面で、当の本人らは勝利を諦めていなかったというのですから、すごいこ
とです。こうした競技では、邪念を捨て、球を打ち返す動作にどこまで集中でき
るかにかかっているのだと思います。それに加えて、やはり運を味方につけなけ
れば、こうしたぎりぎりの場面で勝利することは難しいはずです。邪念を捨て集
中している人に、運は味方してくれるのかもしれません。
 観戦者が選手に共感するのは、何か、普通の人の人生にも通じることがあるか
らだと思います。選手達は、試合で良いパーフォーマンスができるよう、自分を
磨き続けます。その中には、競技の技術や筋力トレーニングなどのフィジカルな
ことに加え、劣勢でも動じず競技に集中するメンタルも含まれるはずです。フィ
ジカル面は一般の人には通じませんが、メンタル面を磨くことは通じることです。
私達のだれもが、自分磨きをしている最中です。くじけたり、弱気になったり、
奮い立ったり、懸命になったりを繰り返しています。選手達もこうした経験をし
ながら、目標を達成させて歓喜の涙を流し、打ち破れて悔し涙を流します。こう
した姿を見て共感し、自分なりに自分磨きを続ける気力をもらうのだと思います。

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     新しい医療機器や医療材料の開発を支援するBi-AMPS拠点      
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                                               臨床研究センター
                                               先進医療研究開発部 部長
                                                             金村  米博

 現在の医療には、医薬品に加えて様々な医療機器や医療材料を用いることが欠
かせません。例えば、病気の診断にはX線撮影装置やCT・MRI装置、血液分析装置
等の機器を使用します。治療には必要に応じて、人工呼吸器や血液透析装置、放
射線治療装置、手術支援ロボット等を使用することがあります。これらの機器や
装置に加えて、注射器や点滴チューブ、気管や尿道に挿入するチューブなどの医
療材料も検査や治療には必要となります。もっと身近なところでは、病院のみな
らず家庭でも使用することがある血圧計や体温計なども医療に使用する機器の一
つとなります。このような医療機器や医療材料などは、医薬品同様、その安全性
と有効性を十分に確認し、国から承認等を取得した後、医療現場で使用すること
が可能となります。
 大阪医療センターには、診療を行っている病院に加えて、臨床研究センターと
いう研究を行うための専門部門が設置されています。現在、この臨床研究センタ
ーが中心となって、医療現場で用いる大小様々な医療機器や医療材料の開発を支
援するための体制を整備しています。この研究活動には、医師のみならず、看護
師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、理学療法士や作業療法士等のリハビリ
テーション技師、臨床工学技士等、全病院の全部門レベルのスタッフが参加して
います。また本研究は、医療機器や医療材料を製造・販売する企業等の研究開発
を長らくサポートしてきた実績を有する、大阪商工会議所と緊密に連携して実施
されています。
 このような当センターの先進的な研究活動の試みは国からも高く評価され、
2019年度から開始された次世代医療機器連携拠点整備等事業(事業主体:国立研
究開発法人日本医療研究開発機構[通称AMED])において、全国に設置された14
か所の研究開発拠点の一つに指定されました。一般病院からは当センターが唯一
の研究拠点となります。私たちは当センターの研究拠点に、Bi-AMPS(バイアン
プス)という愛称をつけました。この愛称には、「高度先進的医療製品・システ
ム(Advanced Medical Products and Systems)の開発を、更に増幅させること
を支援する全医療職集団(All Medical Professionals)を目指す」との理念が
込められています。さらに詳しい情報は当センターのホームページの診療科・部
門紹介に掲載されていますので、お時間のある時に是非ともご訪問いただければ
幸甚です。
 今後、大阪医療センターBi-AMPS拠点は、日本発の新たな医療機器や医療材料
の開発を積極的に支援し、皆様の診療に貢献していきたいと考えます。何卒ご支
援を頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。

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                 職員研修部の紹介    
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                              職員研修部長 
                                                                東 将浩

 令和3年1月に、職員研修部長を拝命しました東 将浩です。前任の渋谷博美
先生の下、副部長を3年余り経験しました。
 私は平成10年に国立大阪病院に放射線科医師として赴任し、国立循環器病セン
ターにて研鑽を積んだ後、平成28年に当センターに戻ってきました。3人の子持
ちですが、長男が独立し、妻と2人の息子(大学生)の4人家族です。趣味はテ
ニスと家庭菜園です。

 外部から見ると職員研修部は何をしている部署かわかりにくいのではないでし
ょうか。名前のとおり、職員の研修会、院内の講演会といった教育研修はもちろ
んのこと、職員の健康診断や学生実習、他施設職員の実習受け入れ、新入職員の
採用試験やオリエンテーションなど、多岐にわたる病院の福利厚生・教育を、総
勢7名の事務職員、2名の看護師にて担当しています。昨年度末には、三田副院
長の指揮の下、新型コロナワクチン接種プロジェクトを遂行しました。皆様ご存
じのとおり、一つのバイアルで6人へ接種ができるのですが、ワクチンを無駄に
しない様、毎日の人数を調整し、接種現場での感染を防ぐため、密にならない時
間設定を行いました。国内での先駆けとなる接種であったため、大きなプレッシ
ャーもあったのですが、見事に乗り切った頼もしい仲間たちです。

 私の主な役割は、研修医の教育です。無事に臨床研修を修了させ、次のステッ
プに送り出すことが任務なのですが、基準に到達できなかった場合は修了を認め
るわけにはいきません。また事故に遭わずに済むよう最低限の仕事だけ課すこと
は簡単なのですが、医師として人生を歩むためには様々な経験も必要です。厳し
さと優しさのバランスがとれた指導により、当センターのモットーである『正し
く、品よく、心をこめて』を実践できる社会人となるよう、若者の教育に励みた
いと思います。
 職員研修部のスタッフ、研修医共々、何卒よろしくお願いいたします。
                                    
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            看 護 の こ こ ろ        
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                                   CCU副看護師長 
                                                              黒田 愛実
 
 夏本番となり猛暑が続いている中、皆様におかれましてはいかがお過ごしでし
ょうか。コロナ禍になりはや1年以上、ワクチン接種が進んできているとはいえ、
マスクを着用した生活様式が当たり前となった日々が続いています。熱中症にも
気をつけなければいけない季節となります。基礎体力をつけ夏の暑さを乗り切っ
ていきたいところです。
 私は今年度より副看護師長に昇任させていただき救命救急センターからCCUへ
配置換えとなりました。CCUは循環器疾患に特化した集中治療室で、私の入職時
の配属先でもあり約5年ぶりに戻ってくることとなりました。
 私がCCUで看護師として働きはじめた頃に出会ったAさんとの話をしたいと思い
ます。Aさんは慢性心不全の状態で入退院を繰り返されていたため、CCUスタッフ
全員の名前と顔を覚えていると言っても過言ではないぐらいでした。循環器疾患
の治療においては様々な制限がかかることが多く、Aさんも塩分・水分制限や安
静度制限などたくさんの制限がありました。Aさんは40歳代とまだ若く、やりた
いことや食べたいものなどたくさんの希望があり、治療における制限と、Aさん
の希望の間を見つけるような形で日々関わっていました。それでも心不全の悪化
は避けられず、Aさんは少しでも苦痛を減らし呼吸を助けるために「挿管」とい
う口から気管に管を入れ人工呼吸器を装着し呼吸を助ける治療を選択されました。
それは同時にAさんにとっては挿管前が最後の会話となることを意味していまし
た。挿管前にAさんのご家族にも来ていただき最期の時間を過ごされましたが、A
さんは私たちスタッフにも「いっぱい迷惑をかけてごめん。いっぱいワガママも
聞いてくれてありがとう。嬉しかったし、思い残すことはない。これからも頑張
ってな。ありがとう。」と話してくれました。当時看護師としての経験年数も浅
く何もできなかった、してあげることができなかったと思っていた私にとって、
すごく記憶に残る言葉でした。当時の先輩からは、看護師として治療の継続やそ
れに伴う制限を守ってもらうことも確かに大事だけれど、その人にとっての治療
の意味や人生の一部・生活の一部として捉え考え看護することの大切さを教えて
いただきました。
 看護師となり10年以上が経過し、たくさんの患者さんの人生に看護師として関
わらせていただきました。最近では重症コロナの患者さんの看護も行い、日々看
護とは何か、自分自身に何ができるかを考える毎日です。また後輩や看護学生に
も教育をする立場にもなり、副看護師長となった今さらにその役割は増していま
す。救命救急センターからCCUへ異動となる際、スタッフの皆さんからいただい
たメッセージの中に「仕事への姿勢や教育的な関わりをすごく尊敬しています」
と書いてくれた後輩がいました。私が大切にしたいと思っている先輩から教えて
いただいた看護に対する考え方や姿勢が、少しでも実践でき後輩に伝わっていた
のかなと嬉しくなりました。副看護師長となった今、自分自身だけでなくスタッ
フ全員が共に看護とは何かを考え、共に成長できるよう、後輩育成に携わってい
きたいと思います。
 
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html

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             研 修 医 日 記
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                             初期研修医 2年
                               大山 愛理

大阪医療センター研修医2年目の大山愛理と申します。
この研修医日記を読んでくださっている方の多くは、当院で研修を考えている方
だと思います。
 多くの方が当院の研修医生活について書いてくださっているとおもうので、私
は今年度一番印象に残ったローテートについて書きたいと思います。
私が一番印象に残った科は12.1月に回った救命科です。ちょうど2回目の緊急事
態宣言が出た前後の時期でした。
当院は重症コロナ対応病院でしたので、当時救命科を回っていた私もコロナ対応
していました。
初めは、正直コロナ対応に不安はありましたが、対応していくうちに、社会に貢
献できている喜びを少しずつ感じていました。
毎朝行うカンファでコロナの搬送数や重症人数を知ることで、社会情勢を把握す
ることもできましたし、また手技も豊富で、今後必要な手技を救命医の指導のも
と何度も行うことができ、今後同じ手技は自信を持って行うことができるように
なったと思います。
また、コロナ重症患者は基本的に状態が良くなれば、中等症病院に搬送します。
搬送時に当院で行った治療の過程を手紙として書くのですが、紹介状を書くこと
も研修医の仕事で、いかに患者さんの治療経過や現在の状態を正確に的確に伝え
るかを学ぶことができたと思います。
当院の研修医生活は、専攻医になるのに必要な知識や技量を学ぶことができる最
高の場であると感じています。興味がありましたら、是非一度病院見学にいらし
てください。研修医一同お待ちしております。
                                                              
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html

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総編集長:病院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田英治 平尾素宏
     看護部長 西本京子 
編   集:池永祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 来月の今頃は早涼の時季となり、過ごしやすくなるでしょう。そして、新型コ
ロナウイルス感染拡大の第5波も落ち着いてくることを祈ります。皆さん、連日
の炎暑でお疲れを出されませんよう、くれぐれもご用心ください。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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