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メールマガジン「法円坂」No.246 (2021/10/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 新型コロナばかりが注目されていますが、気づけば秋、もうすぐインフルエン
ザの季節「冬」がやってきます。備えあれば憂いなし、インフルエンザワクチン
もご検討ください。では今月のメルマガをお楽しみください。
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   メールマガジン「法円坂」No.246 (2021/10/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・新型コロナウイルス感染症講座 〜若い世代・働き盛り世代へのメッセージ〜
 ・乳腺外科科長 就任のご挨拶
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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    院 長  松村 泰志  大阪医療センターの土地にまつわる歴史    
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 大阪医療センターの北東の角に明治天皇聖躅碑が二つ建てられています。つま
り、明治天皇が二回この地を訪問されたということです。今回は、このことにま
つわるお話しを記したいと思います。
 緒方洪庵の次男の緒方惟準(これよし)は、長崎医学伝習所(後に長崎養生所、
精得館)でオランダ人軍医のポンペ、その後任のボードウィンに学び、慶應3年
(1867年)離日するボードウィンに伴ってオランダのユトレヒト大学に留学しま
した。幕府が瓦解したため明治元年に帰国し、その後、東京の医学所(東京大学
の起源)の取締を命ぜられましたが、2カ月で辞して大阪に戻り、明治2年2月大
福寺境内(今の大阪医療センターの場所から上町筋を南に約1km下ったところ)
に浪華仮病院(なにわかりびょういん)を作り、初代の院長となり、ボードウィ
ンを主席教授として迎え入れ、診療、医師の育成に当たりました。ここが大阪大
学の発祥の地とされています。この仮病院は、明治2年10月に現在の大阪医療セ
ンターの南側駐車場の場所に移り病院となり、11月に大阪医学校として開設し、
医療をしながら医師を育成する体制を整えました。当初は、大阪府の管轄下にあ
り、明治3年2月に国の直轄となりました。
 大阪医療センターの南東の角に、「兵部大輔大村益次郎卿殉難報國之碑」が立
っています。大村益次郎は長州の人で、農商階級の男子を兵士とし、高性能の銃
であるミニエー銃を持たせた強力な軍隊を組織し、第二次長州征伐で幕府軍を破
りました。これにより大政奉還となり、明治の時代が始まりました。つまり、大
村益次郎は日本軍隊の創始者となる人です。しかし、明治2年9月4日に京都で刺
客に合い重症を負い、10月2日に上記の大阪府病院に入院し、ボードウィンによ
る大腿部切断手術を受け、楠本イネ(シーボルトの娘で産科の医師)も駆けつけ
看病しましたが、甲斐なく11月5日敗血症で亡くなりました。
 このように、大阪医学校は、病院を兼ね備えた医師養成校として活躍しました
が、その後、国の方針で国直轄の医学校は東京のみとすることとなり、大阪医学
校は、明治5年9月に廃止となり、病院の機能は北御堂内に設置され大阪府病院に
引き継がれました。緒方惟準は明治4年から陸軍の軍医となり、明治18年には陸
軍軍医学会長兼近衛軍医長となりました。脚気の予防策に麦飯給食を勧めたとこ
ろ軍上層部と対立し、明治20年4月陸軍を辞し、大阪にて緒方病院を開設しまし
た。その後日清戦争では、陸軍では戦死者の4倍の人が脚気で亡くなったのに対
し、海軍では、高木兼寛の意見を取り入れ、脚気による死亡者はいませんでした。
 大阪医学校の跡地には、明治6年8月に大阪師範学校が開設されました。明治7
年9月には付属小学校も開校しましたが、学制改革で明治11年2月に廃止され、そ
の機能は大阪府師範学校に引き継がれました。
 明治天皇は、明治5年6月に大阪医学校に、明治10年2月に大阪師範学校に訪問
されたことから、2つの碑が建てられました。この土地は、その後、帝国陸軍歩
兵第八連隊の駐屯地となり、第二十連隊、第三十七連隊が同居し、明治30年から
第三十七連隊の兵舎として使われました。終戦により軍が解体したことから、昭
和20年12月、この地に国立大阪病院として再び病院が建てられました。これが、
今の私達の病院のルーツとなります。
 大阪医療センターの土地は、約150年前、緒方惟準、ボードウィンの下に多く
の医師が集まり、大阪の人達に近代の医療を提供し始めた場所であり、また、大
阪大学の発端の地でもあったことを知り、感慨深く思っています。

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 新型コロナウイルス感染症講座 〜若い世代・働き盛り世代へのメッセージ〜 
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                             感染対策委員長 
                               三田 英治

 新型コロナウイルスの新規感染者数が減り、第5波も落ち着きをみせています。
ところで、皆さんはどのようにして新型コロナウイルス感染症の情報を入手され
ていますか?大阪医療センターでは、最新の新型コロナウイルス感染症の情報を
YouTube配信します。

新型コロナウイルス感染症講座 〜若い世代・働き盛り世代へのメッセージ〜
10月31日(日)13:00〜15:00
https://www.youtube.com/watch?v=8bUSHf9sf88
「講演1」新型コロナウイルス感染症 〜 変異株と重症化因子 〜
講師:国際医療福祉大学 加藤康幸教授。新興ウイルス感染症のエキスパートで
SARS、鳥インフルエンザを初め、西アフリカでエボラ出血熱が流行したときは
WHO専門家として2回、現地入りされました。「新型コロナウイルス感染症COVID-
19診療の手引き」作成の中心メンバーです。
「講演2」ワクチンと後遺症
講師:大阪大学 忽那賢志教授。COVID-19診療最前線の国立国際医療研究センタ
ーで活躍され、Twitterやメディア出演で積極的に新型コロナウイルスの情報を
発信されています。2021年からは阪大教授に着任され、大阪府の対策に尽力され
ています。
「講演3」これから私たちが気を付けるべきこと
講師:東京大学医科学研究所 四柳宏教授。日本感染症学会理事長として、新型
コロナウイルス感染症対策の方向性を決める重責をになっておられます。
是非、ご視聴ください。

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            乳腺外科科長 就任のご挨拶       
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                                                    乳腺外科 科長
                              八十島 宏行

 10月1日付で乳腺外科科長に就任いたしました八十島です。
大阪医療センター勤続10年、今まで各科先生方にはいろいろと御相談および御
指導いただいてやってまいりました。思い起こせば10年前、大学院在学中に中
古の家を購入し庭をDIYで作ってやろうと土を掘り起こした最中にここの赴任が
決まったため、その後の多忙な日々で庭造りは頓挫し最近まで手付かずのままで
した。(結局最近外構工事業者にしてもらいましたが)
 この10年間を振り返りますといろいろと勉強させてもらったと感じております。
臨床を通して患者さんからたくさんの言葉や訴えを聞くことができ、本当に“患
者さんから教えてもらう”とはこういうことだったのかと最近になって実感して
おります。また前任のもとで多くの臨床試験や治験に関われたことも大きな財産
だったと思っております。
 さて、今後は科長として乳腺外科をどうしていくかが問われるところかと思い
ます。もちろん前任からの大きな事業を今後も引き継ぐことも大事である一方、
私が大事にしたいことは医療を通して人間形成の場とできる組織であれるかどう
か。実行と反省の反復を通してお互いが助け合う気持ちで行動できるか、そのた
めにはまずコミュニケーションであるかと思います。コロナ禍で懇親の場がなく
なってしまった状況であるからこそ、声をかけあうというこの基本的な行動を大
事にしていきたいと思っております。お互いを尊重して成長していける組織を構
築できたら、それはまた患者さんへのホスピタリティーにつながると思っていま
す。
 前任が名古屋大学の教授になられ、急遽決まった人事でありますが科長として
の覚悟はできています。さあ、これからの新しい乳腺外科をどうぞよろしくお願
い申し上げます!
                                    
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            看 護 の こ こ ろ        
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                     救命救急センターICU 副看護師長
                                                          山越 麻衣子
                                                         
 秋空が気持ちよく澄み渡る好季節となりました。コロナ渦の状況が1年以上も
続き、何かと不便の多い日々ですが、この状況が1日も早く解消され、平穏な日
々が戻りますよう願っております。
 私は今年4月から副看護師長に昇任しました。脳卒中集中治療室から救命救急
センターに配属となりました。救命救急センターは入職時に配属され、その後他
病棟へ異動となったので、救命救急センターで働くのは約6年ぶりとなります。
久しぶりの救命救急センターでは循環動態の変化しやすい重症な患者さんを前に
して、高い緊張感を持ちながら、患者看護にあたっています。自身の知識と技術
をアップデートする毎日です。
 入職して3年目の頃のAさんの事例を紹介します。Aさんは仕事中の不慮の事故
で全身熱傷を負い、当院に救急搬送されました。入院当初は生命の危機にある状
態で全身管理をしながら毎日熱傷処置を行いました。Aさんの循環動態の変動を
最小限に抑えて処置をするにはどうすればよいか、日々先輩看護師に相談しなが
ら、看護に反映していました。生命の危機を脱すると、Aさんの意識も回復して
きました。そうなると毎日の熱傷処置はAさんにとって大変苦痛なものであり、
痛すぎて叫ばれたりイライラしたりされることもありました。Aさんの苦痛が少
しでも軽減できるような処置の方法や疼痛コントロールを医師も交えて日々話し
合い、Aさんに寄り添った看護を実践してきました。また苦痛によりAさんの食欲
が低下し、低栄養状態になった時は管理栄養士と栄養管理についてカンファレン
スを行い、少しでも食事摂取できるように食事内容や摂取方法を工夫しました。
リハビリ期にはAさんの筋力アップを図るため、理学療法士や作業療法士ととも
にAさんが病棟でもできるリハビリ内容を考えてAさん自身に行ってもらえるよう
に取り組みました。半年ほどの入院生活を送り、Aさんは退院することができま
した。ある時、Aさんが病棟に社会復帰されたことを伝えに来てくださいました。
Aさんは「入院中は皆さんに支えていただいたおかげで頑張ることができました。
本当にありがとうございました。」と言ってくださいました。
 救命救急センターは治療の甲斐なくお亡くなりになる方もおられる病棟です。
そんな中、こうして元気になって顔を見せに来てくださる方がおられるというこ
とは看護師にとって本当に感動的でありがたいことだなと初めて感じることがで
きました。それと同時に継続看護の重要性やチーム医療の大切さを学ぶことがで
きたエピソードでした。自身が経験したことを、今後は後輩育成の中で看護の楽
しさとして伝えていけるよう、私自身も日々の看護を楽しみながら学んでいきた
いと思います。
 
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html

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             研 修 医 日 記
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                             初期研修医 2年
                               栗原 健太

 研修医2年目の栗原健太と申します。当院の研修内容や必修化のことに関して
は歴代の先輩方が十分に書いてくださっているので、丁度執筆中に選択させてい
ただいている泌尿器科の研修内容について少しだけ述べさせていただきます。

 当院泌尿器科の手術は前立腺生検、経尿道的膀胱腫瘍切除術などの小手術から
ロボット手術まで幅広いです。ロボット手術はシミュレーターでの練習にとどま
りますが、生検や経尿道的手術は指導医の監視のもと安全が確保できる状態であ
れば執刀させていただくこともあります。その他にも脊椎くも膜下麻酔や膀胱鏡
検査など多くの手技を経験させていただきました。泌尿器科は所謂マイナー科で
あり、わざわざ選択しなければ研修することはできません。ですので大抵の方々
には関係のない話ではありますが、泌尿器科疾患は救急外来でよく遭遇し対処に
難渋する場合も多いため、個人的には選択させていただきよかったです。

 他にも魅力的な科がたくさんあります。是非一度見学にお越しいただければと
思います。
                                                              
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html

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総編集長:病院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田英治 平尾素宏
     看護部長 西本京子 
編   集:池永祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 食欲の秋です。飽食はメタボの原因になりますので、ほどほどにすることが重
要です。コロナでメタボ健診も中断していませんか?コロナが落ち着いた今、Go
To 人間ドックはいかがでしょうか?では、また来月メルマガでお会いしましょう。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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