Back

メールマガジン「法円坂」No.263 (2023/3/22)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 “春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の
細くたなびきたる”ということばがピッタリの今日この頃です。少し早起きをし
て、日の出前の空を眺めてはいかがでしょうか?少し、心が落ち着くかもです。
そして、メルマガを読んでいただければ幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   メールマガジン「法円坂」No.263 (2023/3/22)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・退職にあたり 
 ・国病で事務職として働く3
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

====================================
          院 長  松村 泰志  今年度の振り返り
====================================

 年度末の月ですので、今回は今年度の振り返りをしたいと思います。
 今年度は、第6波の余韻で、まだ感染者数が減り切らない状況から年度が始ま
り、やや抑え気味の状況で新年度を迎えました。コロナ感染症はオミクロン株に
変わってからは様相が変わりました。当院は重症患者を受け入れる役割を担って
いますが、第4波の危機的状況以後は、当院に運ばれるコロナの重症患者数は減
り、一方で、救急搬送された患者に検査をするとCOVID-19陽性のことが屡々あり
ました。また、入院中の患者さんに発熱する人がおられ、検査をするとCOVID-19
陽性のことがありました。その場合に、同一病棟の患者さん、職員を全て検査す
るのですが、無症状で陽性の人が見つかり、その対応に追われました。昨年度の
経験で、こうした事態は起こると予想し、休棟していた東8階にコロナ感染患者
さんが入院できる陰圧の部屋8床を用意しました。これで乗り切れると考えてい
たのですが、第7波が起こると予想以上にこうした患者さんが多く、あっという
間に満床となってしまいました。8月には、東8階の24の病床でコロナ患者さんを
受入れられるよう整備しました。ちょうどその時に大阪府から要請があり、当院
では中等症の患者さんも受け入れることを届け出ました。しかし、ピーク時には
これでも十分ではなく、一般病棟の個室も利用して乗り切りました。一方、職員
に感染者、或いは濃厚接触者が出てしまいましたので、病棟のマンパワーが不足
する事態となりました。10月には第7波が過ぎ去ったと思う暇もなく第8波が訪れ
ました。第8波も同様の状況となりましたので、第7波と同じ対応をしました。さ
すがに8回も経験しますと、対応の仕方も慣れてきていたのですが、現場はそも
そも人員がぎりぎりで運用しているところ、職員が欠けてしまうと、かなり厳し
い状況となりました。
 今年は、ロシアのウクライナ侵攻による影響でエネルギー問題が浮上し、水道
光熱費が一気に上昇しました。当院では、水道光熱費は年間で昨年度より2億8千
万円増加しました。当院の建物は古く、インフラの老朽化に対し不安がありまし
たが、今年度は、この問題が顕在化し、電気系統や酸素配管の修繕が必要となり、
これらの費用などで設備費が昨年よりも4億5千万円ほど増えました。
 良いこととしては、一つに、アンギオ室が3室となって運用が開始されたこと
です。循環器内科、脳神経外科、脳卒中内科が新しいアンギオ室を利用して活発
に診療をしてくれました。昨年度残業が長かった医師から直接ヒアリングをする
機会があったのですが、昨年度は2つのアンギオ室しかなかったので、縦に繋い
で遅くまで検査治療を行う必要があったところ、今年度は平行してできるので残
業時間が短くなったとのことでした。やはり、必要な装備を整えることは重要で
あると改めて認識しました。
 昨年の夏にリニアック装置が不安定となり修理が不可能と言われ、装置交換の
ために暫く放射線治療を止め、放射線治療が必要な患者さんは他院に紹介して実
施してもらいました。リニアック装置を新たに導入するのはかなり大変なことで、
機械の調整、申請手続きに時間を要します。通常は計画的に終了させますので予
め準備ができるのですが、今回は故障で止めたため、こうしたことが前もってで
きませんでした。放射線治療室では早く再開させるために努力してくれ、ほぼ予
定通りの9月に再開させることができました。新しいリニアックの部屋は明るい
良い雰囲気の部屋になっており、また、導入した装置は従来のものより精度が良
く、短時間で目的の部位に有効な照射ができるものです。繰り返し同じ部位に照
射する必要性から皮膚にマーカーを付ける必要があり、服で隠れない部位の場合、
患者さんには嫌な思いをさせていました。新装置ではこうしたマーカーなしで同
じ部位に照射ができる機能が付いています。
 眼科の白内障の手術は侵襲度が少なく短時間にできることから、最近では外来
手術でも可能となっています。しかし、当院では、1泊入院として治療結果を確
認して退院していただく方式で治療をしておりました。外来手術の場合、手術後
は自宅で安静にして家族にケアをして頂き、翌日外来に来て頂く必要があること
から、高齢者には入院治療の方が好まれると聞いています。しかし、外来手術を
好まれる患者さんもおられますので、患者さんの要望に応じ外来手術もできる体
制を整えました。病棟の1室を術後の患者さんが安静にするための部屋に変えて、
外来手術の流れを作りました。今年度の秋より白内障の外来手術を開始しました。
 整形外科の人工関節の手術では、CTから3D画像を構築し、どのように骨を削っ
てどのような形・サイズの人工関節を入れると良いかを事前にシミュレーション
をし、手術時はナビゲーション装置を使って計画通りになるよう手術をしていま
す。これに更に特殊な手術ロボットを組み合わせることで、より正確に計画通り
の手術ができるようになることが海外から報告されるようになりました。当院で
は整形外科は重要な柱の1つですが、大学医局の方針により、当院は関節外科、
脊椎外科、手の外科に特化する方針になりました。これらの領域では日本で最高
水準の医療を提供したいと考えましたので、いち早くロボットを導入しました。
今年度の後半からロボット手術を開始することができました。外科領域では既に
ダヴィンチによるロボット手術が実施されることが多くなっています。当院では
1台導入しておりますが、月曜から金曜までフル稼働しています。
 今年度は、病院機能評価を受ける年であり、2月27日28日に受審しました。病
院機能評価では予め評価する項目が示され、どうあるべきかの詳細な情報が提示
されていますので、それに照らし合わせて運用を整備すれば良いのですが、内容
によっては、そう簡単ではありません。当院でも事前に今回の評価基準と照らし
合わせて運用を確認する作業をしておりましたが、幾つかできていない事項があ
ることを認識しつつも、整備に時間を要することからそのまま受審することとな
りました。やはり、そうした部分はしっかり指摘を受けましたが、それ以外のと
ころでの指摘は殆どありませんでした。私としては、良い結果と感じております。
運用整備に時間を要する事項とは、1つはクリニカルパスのバリアント分析やク
オリティ―コントロールの指標を使って医療の質を自ら評価し改善させるための
フローを作ること、もう1つが診療録の医師のピアレビューによる質的監査を行
うこと、手術等の患者説明の際に看護師も同席し、その後の患者さんの理解を確
認することが一部でできていなかったことの3点です。来年度内には、こうした
部分の改善を図りたいと思います。
 病院経営状況ですが、年度最初はコロナ感染拡大の影響を受けて、入院患者数
はやや少なめだったのですが6月には戻りました。この数年は、コロナ感染症対
応の補償が経常収益に大きく影響したので、経常収支をどう解釈すべきか分かり
にくいのですが、医業収益は医療活動を表す指標になります。コロナ感染拡大が
始まる前の令和元年度は、医業収益は214億円でしたが、令和2年度は199億円に
減り、令和3年度は216億円とコロナ禍前に戻りました。今年度は231億円と推定
しており、コロナ感染拡大の前より増えました。血液内科の再開、循環器内科、
心臓血管外科、脳神経外科の活動性が上がったこと、1次2次救急の応需率が上が
ったこと、令和4年度の診療報酬改定で急性期充実体制加算や重症患者体制強化
加算等の加算が付くようになったことが要因として大きかったと思います。ただ
し、入院患者数はコロナ禍前の数には戻っていません。また、先に述べた通り昨
年度より大きく費用が増加したことから、空床補償を合わせても経常収支差がプ
ラスになるかは微妙な状況です。来年度は、水道光熱費が高い状態は続き、費用
が高い状況は変わらないと思いますが、医業での活動性を更に高めて、経営状態
を良くするようがんばりたいと思います。

====================================
                   退職にあたり
====================================
 
                                                    臨床研究センター長 
                                                       白阪 琢磨
                                                         
 令和5年3月末日をもって臨床研究センター長を退職するにあたりひと言申し述
べます。小生は、世界初のエイズ症例が報告された1981年に、大阪大学医学部を
卒業し、同第三内科(当時)で研修の後、縁あって、1989年から世界初の抗HIV
薬の発明者満屋先生の米国NCIの研究室でHIV感染症の臨床研究に5年半従事しま
した。1994年に帰国し、大阪府立羽曳野病院で結核とエイズの診療に従事しまし
た。当時はまだ、現在の抗HIV療法が開発される前であり、末期のエイズ患者の
救命は困難であり、主治医はもちろん関わる医療従事者の無力感は筆舌に尽くし
がたいものがありました。1989年に大阪に続いて東京の原告団が国及び血液製剤
メーカー5社を相手方として提起された損害賠償請求訴訟(いわゆる薬害HIV訴訟)
が1996年3月29日に和解を迎え、国は恒久対策を示しました。これを機に、日本
のエイズ医療体制が立ち上がり、当院は平成9年にエイズ診療における近畿ブロ
ック拠点に選定され、小生はエイズ担当医長として赴任しました。当時はエイズ
に対する偏見差別が強く、医療機関でさえ多くがHIV診療を避諱していた時代で
したが、井上通敏元院長(当時)はエイズへの偏見差別をはっきりと排除され、
適切な院内診療体制を取る様に方針を明確に示され、内藤元看護部長、竹本元事
務部長の下で適切なHIV診療を行える様になりました。当院では全職員がHIV陽性
者に最大の努力と注意を払い、最高の医療を全病院で提供頂けた事は奇蹟でした
し、現在も誇りとするところです。私どもは早々にHIV診療におけるチーム医療
を立ち上げ、医師をはじめとする看護師、薬剤師、MSW、臨床心理師らの多くの
熱意あるスタッフに恵まれ、総合内科の免疫グループから免疫感染症科を経て感
染症内科として独立し、現在では4000を超えるカルテ数となり、わが国でも有数
の全科体制のHIV診療施設となりました。免疫感染症科(当時)は院内の花神賞
を頂けたことも良い思い出です。2019年6月からは臨床研究センター長として貴
重な経験を得る事が出来ました。院内の職員におかれましては、日頃の職場で問
題、課題があるかと思いますが、目指す目標が同じなら必ず解決できると信じて
いますし、小生の短い経験からですが、当院はポテンシャルの高い素晴らしい病
院と確信しています。25年を越える期間、当院および本メルマガをご覧の皆様に
は大変お世話になり、深く感謝申し上げますと共に、日頃お世話になっている地
域医療を支える皆様や機構本部、地域そして国の行政の方々の今後のご多幸とご
発展を祈念しております。なお、退職後もHIV/AIDS先端医療開発センター 特別
顧問(非常勤)として勤務は続けますので、よろしくお願い致します。 

====================================
                 国病で事務職として働く3
====================================

                             事務部長 
                               田中 英之

 今月は、令和6年4月1日採用(新卒)及び令和5年度中の採用(既卒)に向
けた大体のスケジュールをお知らせします。(まだ具体的な日まで決まっていな
いところもありますが)
 また、令和4年4月1日で大阪医療センターに採用された事務職員3名から1
年間働いた感想もお届けします。就活に向けた参考にして下さい。

          *** エントリー始まる ***

 令和5年3月1日からエントリーが始まっています。新卒及び既卒のスケジュ
ールは以下のとおりです。


【拡大(PDF)】


     *** 大阪医療センターでの1年を振り返り ***

越智あんみ(R4.4.1 大阪医療センター採用/企画課契約係配属)

 国立病院機構大阪医療センターに入職し、約1年が経ちました。
 当院で事務職員として1年間勤務し、日々の仕事は責任とやりがいがあると感
じています。
 私は契約係に配属となり、物品の購入、契約手続き等の業務を行っています。
大きな契約になると、契約締結までに何か月もかかることがあり、大変に感じる
こともありますが、無事契約締結できたときには、達成感を得られます。事務職
には様々な係がありますが、どれも病院を運営していくためになくてはならない
業務であるため、裏で病院を支えていくという責任感を持って仕事ができます。
また、入職する前は、事務職についてデスクワークのイメージしかありませんで
したが、実際に働いてみると、入職前のイメージよりもアクティブなイメージに
変わりました。業務では、院内の医師、看護師だけではなく、業者の方とのやり
とりも多く、毎日色々な方と関わることができます。異なる職種の方々との関わ
りが多いことが、魅力だと思っています。
 業務外の面では、有給休暇が取りやすく、趣味や旅行の時間を取ることができ
ます。
 有給を利用して連休にすることができるので、実家に帰ったり、旅行に行った
りすることができます。また、しっかりとお休みをとることができるので、趣味
に勤しむことができます。土日は仕事のことは忘れて、しっかり休み、自分の好
きなことができるので、リフレッシュして月曜日を向かえることができています。
仕事と休日を両立できる職場だと思っています。

河合真優(R4.4.1大阪医療センター採用/企画課契約係配属)

 私は、国立病院機構大阪医療センター企画課に所属し、病院内の必要物品の入
札などを行う契約係という部署で仕事をしています。「契約係ってなにをするの
だろう」とぼんやり考えていた頃から、もう一年が経ち、驚いています。
 社会人になれば学生とは違い、責任が重くなるとは覚悟していたものの、一度
の取引で今まで見たことないような高額な金額を扱うなど、想像以上の責任があ
り、自分にこの業務をこなすことが出来るのかと、くじけそうになったこともあ
ります。学生時代、「社会人になると責任が増える」という言葉を耳にし、一人
で責任を負わなければならないことへの心配から、社会人になることに漠然とし
た不安を抱えていました。しかし、上司や周りの方々、同期に助けられ、少しず
つ業務をこなせるようになり、大きな入札などが無事に終わったときに得る達成
感が、心地よくなってきました。そして今では、責任を感じることができている
のは、国立病院機構の一員として目の前の仕事に向き合えている証拠のような気
がして、自らの成長を感じ、誇らしげに思ったりもします。
 また、この職場は有給休暇も自由に取りやすいため、趣味である旅行にたくさ
ん行き、リフレッシュが出来ていることも仕事を頑張れる大きな理由です。
 最後になりますが、就職活動中は、見えない将来に不安を感じてしまうことが
あるかもしれません。そんな時は、「自分がやりたいこと」「なりたい姿」をゆ
っくり考えてみてください。その結果、ご縁があり、一緒に働くことができれば
嬉しく思います。

西野結花(R4.4.1大阪医療センター採用/管理課給与係配属)
====================================
         職レポ・大阪医療を本格レビュー♪
====================================
【メルマガまで見てくださる就活生の皆さまを心より応援しております!】
☆ココが魅力
〇交通手段 谷町四丁目駅11番出口から徒歩3分の駅チカ
〇規模   とても大きい!そのため、自身の成長も大きい!
---------------------------------------------------------------
☆レビュー
働きがい・成長…★★★★★(5.0)
 ①PCに強くなる…大学時代PCを全く使わなかった私でも、簡単なマクロま
  で理解できるように!
 ②日々精進…私は給与・労務に携わった経験を活かし、個人的ではありますが
  ファイナンシャルプランナーの資格を取りました。毎日が勉強になります。
 ③病院ならではの…患者様を拝見する度に気が引き締まり、非常にやりがいを
  感じます。また、病院でしか得られない業務経験・知識も多々あります!
働きやすさ…★★★★★(5.0)
 ①有給休暇が多い…本を50冊読み、ライブに出演し、旅行にも行けた充実の一
  年でした♪
 ②残業はあるけれど…私の平均は月21時間(2022.04~23.02)毎日残業する訳
  ではなく、メリハリのある働き方。手当もきちんと出ます!
職場の雰囲気…★★★★☆(4.0)
 ①病院なので様々な職種が存在し、コミュニケーションが難しい面も△
 ②でも、周りには尊敬できる、優しい先輩ばかり。不安なことは何でも聞けま
  す。(プライベートでもたくさんお世話になっています…!)
 ③また、他施設の同期とも仲が良く、気軽に相談しあえるので、とても心強い
  です。
---------------------------------------------------------------
 まだまだ良い点がいっぱいあります!皆様と働ける日を楽しみにお待ちして
 おります♪

	次回(4月)は、「大阪医療センターから転勤した職員からの
    コメント」を予定しています。
 
====================================
            看 護 の こ こ ろ        
====================================

                                   循環器外来 
                                                            川﨑 みゆき
  
 少しずつ暖かくなり春らしさが感じられる頃となりましたが、皆様におかれま
してはいかがお過ごしでしょうか。
 私は入職後19年間、循環器病棟やCCUでスタッフ・副看護師長として勤務し、
その後心臓リハビリテーション専従看護師として従事する事となり、それを機に
外来に配置換えとなりました。心臓リハビリテーション専従看護師を約2年務め、
出産・育児休暇を経て令和4年4月から外来に復帰し現在は循環器外来で勤務して
います。循環器疾患患者さんの急性期・回復期・慢性期の一連の病期の患者さん
に対する高度医療を目の当たりにし、専門的な循環器看護を実践したいと感じ、
慢性心不全看護認定看護師、心臓リハビリテーション指導士の資格を取得しまし
た。病棟勤務時や心臓リハビリテーション専従看護師として従事していた時は、
ひとりの患者さんに連日で看護を実践できる環境が当たり前でした。患者さんと
の関係性を築きながら、患者さん個人の病態を把握し専門的看護を日々実践して
きました。しかし、外来勤務となり、私は病棟勤務時に行っていたような看護実
践ができない事に葛藤し、「外来看護とは・・。」「専門的な循環器看護とは・
・。」を自問自答する日々が続きました。しかし、ある外来患者さんとの関わり
を通し、自己に求められている看護や自身が大切にしたい看護が少しずつ明確に
なってきました。今回は、そのきっかけになった患者さんとの関わりについて紹
介させて頂きます。
 患者さんは、壮年期で急性心筋梗塞を発症し低心機能となりました。病棟勤務
時代に担当する事がしばしばあった患者さんですが、ここ数年は循環器病棟への
入院はなく、外来通院時に顔を会わす程度の関わりでした。ある日、患者さんか
ら一通の電話がありました。患者さんは「今までの自分の病気の経緯や状態を知
っている看護師がいなくなった。この前の外来で見かけたので話を聴いてもらお
うと思って名指しで電話しました。すみません。」とおっしゃいました。患者さ
んは循環器疾患に加えうつ病を発症しており、現状を切羽詰まった様子で話して
下さりました。うつ病に対しては薬物療法を受けておられましたが、患者さんの
不安な気持ちは解消されていませんでした。電話でのやり取りでしたが、患者さ
んのこのような言動から、薬物療法に加え看護が必要だと感じました。低心機能
に陥り慢性心不全の状態にある患者さんにとって、うつ病は心不全の予後不良因
子になるため、適切な治療を行い精神的なストレスを回避する事が重要でした。
その為、初回の電話での対応以降も外来診療の合間を利用し、患者さんの家族と
も連絡を取り合い患者さんの現状や家族の思いを共有しました。また、診察日は
診察前後に直接話をする機会を設け、主治医と精神面のサポート方針についてカ
ンファレンスを行うなどして介入を継続しました。患者さんの話を傾聴し、うつ
病に関する対処へのアドバイスをする事で患者さんの切羽詰まった感情が整理で
きました。また、家族に対しても現状のうつ病の症状からは、一般的な外来通院
治療が妥当な事、循環器的には安定して経過できている事を説明し、家族として
の患者さんへのサポートの姿勢についてアドバイスをしました。傾聴や家族間の
調整など一般的な看護の提供でしたが、この患者さんは外来通院で十分には得ら
れにくい看護を只々求めていたのだと実感しました。
 外来看護では連日看護を提供できることは少なく、一人の患者さんに対応でき
る時間は決して多くありません。その為、多くの患者さんの中から優先して介入
すべき患者さんを選定し関わっています。慢性心不全看護認定看護師として個々
の患者さんの病態を把握し、問診を通して病状や療養環境の把握、自宅療養につ
いてのアドバイスなどの支援を行っています。短時間であっても患者さんの隣に
座り、触診しながら患者さんに触れ、顔を合わせて傾聴する姿勢を大切に療養支
援を続けていきたいと思います。
                                                        
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html

====================================
             研 修 医 日 記        
====================================

                              初期研修医2年
                                                               山本 祐
                              
 大阪医療センターでの2年間を簡単にまとめさせていただきます。当院での研
修を考えてくださっている学生さんの参考になればと思います。
 研修内容は全体的にとても良かったと思います。見学生にはお話ししています
が、強制される業務は多くない方で、個人のやる気に合わせて調節できる研修で
す。大きい病院で症例数も多くスタッフの先生も多いため、やる気のある研修医
にとっても勉強しやすい環境です。
 当直は救急隊からの電話に対応するところから始まり入院・帰宅などの判断ま
でした上で上級医に相談するシステムであり、自分で考える機会は多いです。
 研修医の人数が多く研修医ルームも充実しており、相談できる同期や先輩も多
いと思います。ぜひ一度病院見学にいらしてください。

====================================

                              初期研修医2年
                                                              兵庫 隆司

  初めまして、研修医2年目の兵庫隆司と申します。気づけば2年間があっという
間に過ぎてしまい、あと10年間くらいは初期研修医として過ごしたいな、と考え
ている毎日を過ごしております。
  この2年間でさまざまな診療科を回らせていただき、非常に多くの患者様対応・
病棟管理・手技などを経験させていただきました。そうした経験を積む中で、
最も重要だと感じたことは、他職種の方々と連携をとることの大切さです。能力
的にも時間的にも自分ひとりでできることは非常に限られているため、多職種連
携は必須となります。毎日カルテを開いては、他職種の方々の記事を見るたびに
診療が進んでいくのを実感し、ありがたみを感じておりました。
  多職種連携の大切さを実感できることは当院ならではの研修の特徴というわけ
ではないでしょうが、自分の成長や研修内容の良さよりも、この2年間の研修期
間で最も強く感じたことでしたので、この場で書かせていただきました。その他
にももちろんいいところはありますが、紙面に収まりきるはずもないため割愛さ
せていただきます。他の先生方の研修日記を参照してください。
  興味を持ったらぜひ電車で見学にいらしてください。駅が近いことも当院のア
ピールポイントですので実感してください。
                                                          
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html

************************************************************************
総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田英治 平尾素宏
     看護部長 西本京子 
編   集:池永祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
************************************************************************
 2023 WBC(WORLD BASEBALL CLASSIC)が始まりました。近年新型コロナウイルス
感染拡大で明るいニュースが少なかったですが、昨年のサッカーワールドカップ
のような盛り上がりになればと願っております。ただし、寝不足にはくれぐれも
ご注意下さい。“がんばれ!ニッポン”

408-osaka@mail.hosp.go.jp


Back