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メールマガジン「法円坂」No.267 (2023/7/19)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 猛暑の夏がやってきました。でも、夏祭、浴衣、花火、かき氷、海水浴、スイ
カ割りなど楽しみの多い季節でもあります。では、かき氷でも食べながら、メル
マガを楽しんでください。
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   メールマガジン「法円坂」No.267 (2023/7/19)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・市民公開講座YouTube配信
 ・本を読むのは好きですか。 
 ・国病で事務職として働く7
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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   院 長  松村 泰志  第78回国立病院総合医学会の大会テーマの設定
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 私は来年度に行われる第78回国立病院総合医学会の会長を拝命しており、そろ
そろその準備にかからなければなりません。私が会長となりましたのは、私に特
別な功績があったということではなく、たまたま大阪医療センターが受けるべき
順番が回ってきたということですが、とは言え、こうした大きな大会の会長をさ
せて頂くのは光栄なことですので、しっかり勤め上げたいと思います。
 会長が最初にすべき仕事は、大会テーマを決めることです。前年の大会の時に、
参加者に次期大会にも来てもらうために広報をしますが、そのためのポスターや、
その時から公開するホームページに大会テーマを表記します。大会テーマは、大
会側が自由に決めて良いのですが、自由に決めて良いと言われると、なかなか決
めるのが難しいものです。大阪医療センター内で公募もしましたが、ある程度時
間をかけて集中して考えないと思いつかないですから、私自身で真剣に考えてみ
ることにしました。考えて見ますと、国立病院機構の職員にメッセージを伝える
ことができる絶好のチャンスですから、そのように前向きにとらえて取り組むこ
ととしました。
 昨年度は熊本医療センター院長の高橋毅先生が会長を勤められました。その時
の大会テーマが「Branding、Presence、Marketing ~選ばれるためには~」で
した。熊本医療センターは、かつては、他のNHOの病院同様、経営的に苦しんで
おられたところ、高橋先生のリードにより、現在は良い経営状態で、成功されて
いる病院です。学ぶべきことが沢山あると思います。おそらくこの大会テーマは、
高橋先生が考えられ、高橋先生の病院経営に対するフィロソフィーが表現されて
いるものと思います。競争の激しい地域では、ただ受け身で待っているだけでは
駄目ですよ、一般企業と同様Branding、Presence、Marketingの概念を持って経
営戦略を立てる必要があるのですよと伝えてくださっていると感じます。
 では、私からは、どのようなメッセージを皆さんに届けるべきかと考えました。
そこで思いついたのが、以前にこのメールマガジンで書きました「心理的安全性
(psychological safety)」との概念でした。この概念は、ハーバードビジネス
スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が1999年に提唱した概念で、組織
の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言でき、拒絶されたり、
罰せられたりすることがないと確信できる状態と定義しています。私は、『恐れ
のない組織「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』を読み、
この概念を知りました。
 病院のような知識集約型組織では、個人で完結できる仕事はほとんどなく、チ
ームが基盤となり、複数のチームが効果的に協力しなければ成果を出すことがで
ません。しかも、チームメンバーは状況に応じてダイナミックに変わります。こ
うした組織が力を発揮するためには、優秀なメンバーが集うことが必要なのです
が、そのメンバーが、対人関係の不安を持っていると、本来の能力が発揮されず、
組織がパワーアップされないと指摘しています。対人関係の不安とは、具体的に
は、間違ったことを言うと恥ずかしい思いをするのではないかとか、他の人と対
立する意見を言うと仕返しをされるのではないかとか、上司に異を唱えると機嫌
を損ねて排除されるのではないかなどです。知識集約的組織が繁栄するためには、
多様性のある個人の知識や能力が発揮される組織でなければならず、そのために
は、メンバーが自分の意見を率直に話すことができ、他のメンバーがそれを聴き、
話し合いをして合理的な決定を行う組織文化が土台にあることが必要であるとし、
これを心理的安全性が高い組織と表現しています。
 心理的安全性の概念が再び注目されるようになったのは、2016年にGoogle社が
「最高のチームを作る要因は何か」を5年間かけて調査した「プロジェクトアリ
ストテレス」の結果がニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載されたのがきっ
かけでした。最初、チームメイトの学歴が似ていることは重要か、ジェンダーバ
ランスが整っていることは大切か、職場の外でも交流することはどうかといった、
考えられる要因を調べましたが、これぞという要因が見つからなかったのですが、
グループ内のほぼ無意識に行っている行動パターンと暗黙のルールに注目したと
ころ、心理的安全性が他を圧倒して重要であり、心理的安全性が他の要因の土台
となっていることを発表しました。
 心理的安全性は、医療では医療安全の領域では注目されてきた概念です。医療
事故を防ぐためには、おかしいと気づいた人が躊躇なく発言できる雰囲気がある
ことが重要です。大きな事故があった後、振り返ると、事前におかしいと気づい
ていたが発言しなかった人がいるケースが屡々見られます。職場には、医師が他
の職種に対し指導的立場になっていることが多いですし、各職種内でも入職年に
応じて上下関係があります。こうした中、メンバーが自分の感性で注意深く状況
を観察し、おかしいと思えば躊躇なく発言する文化を醸成することは決して簡単
ではありません。しかし、医療事故を未然に防ぐためには、是非とも取り組む必
要があります。
 大会テーマに「心理的安全性」を盛り込むことは決めたのですが、どのような
文にするかを考えました。最初は、「活き活きした病院であるために」と考えま
した。実は、私が大阪医療センターで意識していることが、このことだからです。
このテーマについて、大阪医療センター内で意見を聞いてみましたところ、「心
理的安全性の高い組織」を、大学のサークル活動のような、和気あいあいとした
雰囲気を指すと誤解されやすいことに気づきました。エドモンドソン教授も
Google社の研究も、目指していたのは、強い組織とはどういう組織かを明らかに
することであって、職員の幸せを優先すべきと主張したわけではありません。
 私は、病院経営に向き合うこととなって、改めて病院経営の難しさを実感して
います。現実の医療はまだまだ不十分です。もっと治療で治せる人を増やしたい
ですし、治療による副作用や合併症を減らす必要があります。絶え間なく研究開
発はされるのですが、これらは必然的に高価なものとなります。日本は実質的に
は全て保険診療ですから、保険で認められないと医療現場で使えないのですが、
しかし、命を救う治療があるのであれば、これを承認するよう圧力がかかり、何
とか承認はされるのですが、その保険点数が、それを実施する医療機関には利益
がほぼ無い程度のぎりぎりのところに設定されます。高度機器の場合は実施件数
が多いと減価償却を超える収益がでるものの、実施件数が十分でないと減価償却
分の収益が得られず、その機器を入れたことで赤字となります。このようなこと
が積み重なって、急性期病院では、医業収益は増えても利益がでない構造になっ
ています。大阪市内には立派な高度急性期病院が多くあります。そうした病院で
は高度な機器が導入されていき、当院で導入されていない状況になりますと、当
然、患者さんは、機器が装備されている病院を選択するようになります。それだ
けでなく、医師も、高度機器が導入されている病院に移りたいと思うようになり
ます。医師が減れば患者も減り悪循環に陥ります。高度機器は、採算がとれなく
とも導入した方が良いと判断すべきこともあります。このように、医療の高度化
に伴って病院経営者は大変難しい判断が求められ、病院経営的には厳しい状況に
追い込まれます。財務省は、こうした状況を見て見ぬふりをしているものと思わ
れます。決して援助の手を差し伸べてくれません。財務省は、弱い病院は潰して、
強い病院に集約させていく方が、日本全体の医療は効率化すると考えているのだ
と思います。こうした状況の中で、大阪医療センターは勝ち組になって生き残っ
ていきたいと切に思います。医療では、ちょっとした判断のミスが患者さんの命
取りになる厳しい現場ですが、病院経営も、ちょっとした判断のミス、小さなト
ラブルがきっかけに、経営的に困窮することが起こり得る時代になっていると感
じます。生き残りをかけて、組織力を最大限に引き出し、様々なリスクに備える
ことが、私の病院経営上のテーマであり、そのことを、大会テーマとして伝えた
いと考えました。
 そこで思いついたのが「進化」という言葉でした。生命は太古の昔から形を変
え現在まで生き続けています。生命は、環境の厳しい変化によって、あるものは
絶滅し、あるものは形を変えて生き延びてきたと言われています。生き延びるた
めには、環境に適合することが何よりも大事なはずです。我々医療機関も、状況
が変わっているにも関わらず、昔の成功体験にしがみつき、組織体制を変えず、
かつてのやり方を変えなければ淘汰されてしまいます。状況が変化していく中で、
医療ニーズをしっかり捉え、効果的に、しかし効率的に、そのニーズに応えてい
ける病院が生き延びることができるのだと思います。そのためには、状況の変化
に敏感である必要があります。状況の変化を捉えるのは医療現場で働く人達です。
その意見を拾い上げてしっかり吟味し、必要に応じ組織構成を変え、運用を変え
ていけるのかにかかっています。また、現場の状況を見ながら、何を諦め、何を
強化し、何を新たに始めるのか、しっかり判断していく必要があります。
 こうした考えから、大会テーマを
 「進化していく病院であるために ~心理的安全性の高い組織づくり~」
 としました。
 
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               市民公開講座YouTube配信
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                                                      副院長 
                                                       三田 英治
  
 新型コロナウイルス感染症の最新の情報をお届けする市民公開講座も第5回を
数えました。7月17日に収録を終え、7月19日(水)から10月17日(火)までYou
Tube配信いたします。今回のテーマは「5類移行後のコロナとどう向き合うのか?」
としました。5月8日に新型コロナウイルス感染症は感染症法の取り扱いが5類に
移行しましたが、感染力は衰えることがありません。多くの方が日常を取り戻し
たいと思う中、重症化しやすい高齢者・持病をお持ちの方・妊婦さんなどを新型
コロナウイルスから守るという難しい対応が社会全体に求められています。正し
い知識を持つことは新型コロナウイルスに対応する第一歩です。是非、ご視聴く
ださい。

第1部 https://osaka.hosp.go.jp/event/202307/index.html
第2部 https://osaka.hosp.go.jp/event/202307-2/index.html
 
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                 本を読むのは好きですか。
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                             副看護部長 
                              渡邉 裕美子

 私は小さい頃から本にハマる子供でした。「人間の証明」を読んでとてもドキ
ドキして切なくなったのは小学生の時でした。中学生の時はルーシー・モンゴメ
リにハマり、「赤毛のアン」シリーズを一気に読みました。たぶん、10冊以上あ
ったと思います。アンは孤児院で育ち、赤い髪をからかわれて過ごします。11歳
の時に引き取られた家では「男の子が欲しかったのよ」と。アニメの「赤毛のア
ン」を見ていて、懐かしい!と思ってくださった方にお知らせします。アンはギ
ルバートと結婚します。ギルバートは医師になっています。アンのひとり目の子
供は生まれた日の夕方になくなってしまいます。(ちょっと記憶があいまいです
が)でもその後、アンは6人の子供のお母さんになります。「なんて素晴らしい
んでしょう!」アニメのアンがよく使う言葉です。
 話を私のことに戻します。お風呂で湯船に浸かって本を読むのが、もう30年く
らい続く私のルーティンです。難しい本は読みません。一日の仕事を終えた頭を
リセットするのにちょうどいいくらいの、軽快で登場人物が少なめの本を好みま
す。とはいっても、本を買うときはほとんど何も考えずにまとめ買いです。好き
な作家のものとか、タイトルがいいとか、装丁が素敵とか、上巻・下巻の2冊に
なっている本は選ぶ手間が省けるとか、かなり適当です。そんな調子ですので、
時々、失敗します。湯船に浸かって新しい本を読み始めると、「う~ん これ知
ってるなぁ~」。以前に読んだ本をまた買っていたという失敗はあまり学習され
ず、繰り返し起きます。そんな時は、次に本を買いに行くときは時間をかけて慎
重に選ぼう、と思うのですが、やっぱり適当に手に取ったものを買ってしまいま
す。
 そんな買い方ですので、時に思わぬ本に出合います。数年前に読んだ「信長の
原理」もそんな思わぬ出会いの本でした。何年も経ってますが、何となくいろん
なきっかけで思い出し、しばらく考え込んでしまいます。ひと言でいうと“おも
しろい本”なので、これから読もうと思う方は、この先の私の話は読まないほう
がいいかも。
 信長は子供のころ、母に疎まれて育ちます。弟ばかりをかわいがる母。ただた
だ孤独でかわいそうなのですが、信長の満たされない心は、悲しみではなく怒り
で覆いつくされ育ちます。ある日、信長は、庭にアリの行列を見つけます。ちょ
っと行列の邪魔をしてみたりして。最初は孤独な遊びでしたが、そのうち、巣に
餌を運ぶアリたちを相手に実験を繰り返すようになります。そして、アリの行列
にある法則を見出します。“真面目に働くのは全体の二割、漫然と働いているの
が六割、やる気のないのが二割。真面目に働く二割だけを残すと、今度はその中
でまた働く二割とやる気のない二割ができてしまう。つまり、二・六・二の割合
で、この割合は何度繰り返しても変わらない”。信長は、この法則を、自分の家
臣に当てはめてみるようになってしまいます。戦場で、我先にと戦う2割の兵士、
それにつられて続く6割、恐れをなして何とか生き延びようとする2割。「どん
なに鍛え上げた兵も、働きが鈍る者が必ず出る。その比率は幼い頃に見たアリと
同じ。人間も、アリと同じなのか」戦う2割の兵だけを取り立てる。繰り返して
いくうちに、残った家臣はひと握り。本能寺には、そのひと握りのわずかな兵と
出かけ、そして破滅を迎えます。孤独と怒りを原理とするかわいそうな信長は、
破滅の法則にハマって滅びてしまいました。
 ダイバシティとインクルージョン。強さとしなやかさの鍵。いろんな人がいる
からいいのだと、それぞれの持ち味でいいのだと、教えてあげたいなぁ。

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                 国病で事務職として働く7
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                             事務部長 
                               田中 英之

 今年1月からはじまったこのメルマガも7号をむかえて後半にはいりました。
国病の話を一人でも多くの学生にとどくように、国病への就職希望者が一人でも
多くなるようにという思いで作成しているのですが、どれだけの効果が現れてい
るのかハラハラドキドキもん!です。
 もう一つのハラハラドキドキで申し上げますと、国立病院機構近畿グループで
内々定を通知してから翌年4月1日の採用日までの約9ヶ月もの間、そのような
気持ちになっているのが近畿グループで事務職採用を担当している部署です。
 私も事務職採用業務に携わっていたことから、差し障りのない範囲でハラハラ
ドキドキ感がうまれる背景をお話します。

■エントリー受付開始まで

 エントリーの受け付けが3月1日からはじまることから、それまでに13ヶ月
後の4月1日に採用する数を決めなければなりません。
 まず、次の(ア)~(ウ)について把握できている情報及び過去の統計から「これ
ぐらいの人数が出てくるのではないか」という見込みを立て、(ア)~(ウ)の後補
充として新採用で確保しなければならない数を導きだします。

 (ア)	翌年3月31日の退職者およびそれまでの間の退職者
 (イ)	翌年3月31日までの間に育児休業等で長期間の休みを取得する者
 (ウ)	現在欠員となっているポストの数

 過去の統計から見込みを立てると言っても、計算式に当てはめて簡単に算出で
きるものではなく、あ~でもないこ~でもないと悩みに悩んで導きだします。
 多く採用しすぎると人件費がかさみ病院経営を圧迫することになりますし、必
要数に足らなくなってしまうと欠員が生じ、病院運営に負担を強いることになり
ます。
 しっかり分析をしないと「ドえらいこと」になりますので、新採用する人数が
決まってGOサインが出るまでの間のハラハラドキドキ感はかなりプレッシャー
としてのしかかってきます。

■最終面接終了から内々定通知発出まで

 悩みに悩んで導きだした採用予定数をそのまま内々定数にすれば翌年の4月1
日を無事むかえることができるかと言うとそんな甘くはありません。
 辞退者は必ず出ますので、それを見越した内々定者数にしなければならず、過
去の辞退率から分析するものの、年によっては辞退者が多かったり少なかったり
・・・、予想を立てるのが非常に難しいです。
 内々定者が決まるまでは「もうちょっと多く確保しようか?」とか「多すぎる
ような気がするのでもうちょっと減らそうか?」とか「昨年並みでいこうか?」
とか各人それぞれの思いがあり、なかなか確定しないものです。
 そして、内々定者が決ってから本人へ通知するまでの間も「多すぎたらどうし
よう」「足らなくなったらどうしよう」と口には出しませんが、関係者全員が心
の中で思っているはずです。
 ここでもハラハラドキドキ感が付いて回っています。

■内々定通知発出から10月1日内定日まで

 内々定通知を発出したあとは「野となれ山となれ」です。自分たちで決めた内
々定者数を信じるしかありません。追加で内々定を出すことも、出した内々定を
取り消すこともしませんので、一発勝負です。
 こういうと腹が据わっていて格好良く受け取られるのかも知れませんが、同時
に厳しい現実がはじまることになるのです。
 事務所の電話が鳴る度に「内々定辞退連絡?」とヒヤっとしたり、辞退連絡で
ないと分かるとホッとしたり、電話を取った職員の応対内容で「あ~辞退連絡や
~」とショックを受けたり、精神的によろしくない日々を過ごすことになります。
 「10月1日の内定式には最低〇〇人は確保したいよな」とボーダーラインを
設けており、ボーダーラインに到達してしまうのが早いのか、10月1日を迎え
るのが早いのかの競争で、この間の心理面は表現しようのないぐらいハラハラド
キドキ感満載です。

■内定日から4月1日採用日まで

 内定式をむかえることができても、辞退の連絡がなくなることにはならず、
「内々定辞退連絡」が「内定辞退連絡」に呼び方がかわるだけです。「当然、辞
退連絡はあるもの」と認識している一方で、減っていく内定者数を目にすると
「採用必要数を何とか確保できるように」とただただ強く思い続けるだけの日々
を送ります。さすがに12月頃になると辞退連絡もなくなり、「今確保できてい
る〇〇人で4月1日を迎えることができる、よかったぁ」という安心はできない
安堵感が生まれてきます。
 そして、2月下旬に行われる配属先通知式(4月1日づけで採用する病院名を
内定者に通知する式典)で内定応諾の学生をどこの病院に配属するかが明らかに
することになり、これで本当の意味での「安心」を感じることになります。
 ところが、よく考えてください。その数日後の3月1日にエントリー受付が始
まりますので、「次の年には何人確保しなければならないのか」の分析が既に始
まっているのです。
 ひとつのハラハラドキドキ感がおさまることになっても、次のハラハラドキド
キ感がはじまっているのです。

 このようなハラハラドキドキ感は、近畿グループで事務職採用を担当している
職員にしか分からないことですが、おそらく新卒採用を行っている企業の人事担
当の方なども大なり小なり一緒ではないでしょうか。
 殆どの辞退理由にあげられている「公務員に決まりました」「民間企業に決ま
りました」から、私は〝打倒!公務員〟〝打倒!民間企業〟という思いで採用活
動の仕事に取り組んでいました。近畿グループのチカラからするとまだまだです
が、非常におもしろかったですし、ほんとうにやりがいのある仕事だったと思い
ます。
 今回は、就活するうえでは必要のない内容でしたが、ホームページには出てこ
ない、業務説明会でも聞けないからこそ、近畿グループの事務職採用業務として
お伝えするのも良いのではないかと思いお話させていただきました。

 ハラハラドキドキの日々を送ってきたからこそ、4月1日に採用できた事務職
員は大変貴重な人財であり、大切に育てていかなければならないと思っています。

 ✓次回(8月)は、夏休みモードによる仕事の側面をお伝えする予定です。
 
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            看 護 の こ こ ろ        
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                                  SCU病棟 副看護師長  
                                勝田 裕希

 梅雨も明け、木々の葉が生茂る季節となりました。初夏を迎え、徐々に暑さの
本番にもなってきていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウイル
スが5類に分類されてから、2ヶ月程経とうとしております。様々な制限が解除
され、流行時期以前の日常が少しずつ戻りつつあるかと思います。
 私は今年度よりSCU病棟の副看護師長として配置換えとなりました。SCUとは
Stroke Care Unitの頭文字をとった略式であり、脳卒中集中治療室という意味で
す。私自身、2年振りのクリティカルケアを必要とする部署での勤務となり、集
中治療室での過去の経験を活かしていかなければいけないと日々実感しておりま
す。
 集中治療室において、鎮静薬を使用している患者さんや意識の悪い患者さんは、
自身の意思を伝えたくても伝えることが困難であるため、看護をする際に、より
細やかな観察をし、ケアを提供することが必要であると経験しました。そのよう
な細やかな看護を提供することで、患者さんの全身状態が日々良くなっていくこ
とを目の当たりにできることは自身の看護実践のモチベーションにも繋がってい
ました。クリティカルケアには、患者さんに対してより一層の繊細な配慮や気づ
き、ケアの提供が必要であると私は考えています。それに加えて、SCU病棟に入
院される患者さんは、脳卒中を発症し、ほとんどの患者さんが自分のことを自分
でしたくてもできない、してほしいことを伝えることができないといった苦痛を
抱えて入院します。そのため、患者さんの目に見えない苦痛に気づき、ケアをし
ていくことはSCU看護においての難しさでもあり、やりがいにもつながることだ
と思います。
 副看護師長3年目を迎えて、病棟の管理者の一員として主体的に病棟スタッフ
の育成をしていく役割も与えて頂いています。日々スタッフの教育を行っていく
中で、今まで自身の経験で培った知識や技術をスタッフへ伝承していくことはも
ちろんですが、共に看護を考え、学び合えるような教育をしていきたいと考えて
います。特に看護師経験が3年目以下のスタッフは新型コロナウイルス感染症の
影響で様々な制限を受けて、経験したくてもできないことも多くあったと思いま
す。まだまだ病院としては制限も多く、コロナ流行以前の状況までとはなりませ
んが、スタッフが少しずつでも今まであまり経験出来なかったことを取り返して
いけるような職場環境の構築と教育環境の充足を病棟管理者の一員として取り組
んでいきたいと考えております。
 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の影響で自身が思っている以上
に体力や免疫力が弱っていることも多いかと思います。年々暑い夏となってきて
いますが、水分はこまめに摂取し、体調を崩されませんよう、ご自愛ください。

ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                               研修医2年目
                                                              辻西 和幸

 大阪医療センター初期研修医2年目の辻西和幸と申します。当院の研修内容や
当直のことなどに関しては、歴代の先輩方が丁寧に書いてくださっているので、
今回は現在ローテ中の麻酔科の研修について述べさせていただきます。
 研修医の通常勤務時間は9時~17時ですが、麻酔科ローテ中の場合は8時~16時
になっています。麻酔科の研修の流れですが、まず手術前日に担当の上級医の先
生と麻酔管理計画について相談します。手術当日は手術開始までに呼吸器や麻薬、
その他の薬剤を準備します。麻酔導入の際は末梢静脈路確保、気管挿管、長時間
の手術やロボット手術の場合は動脈ラインや中心静脈路確保などほとんどすべて
の手技を上級医見守りの元、研修医が行います。術中の麻酔管理や輸液管理、全
身管理は基本的に研修医が行います。
 当院麻酔科ローテは2か月と他の病院と比較して長い方であると思いますが、
その分、全診療科で必要とされる基本手技から他の科ではあまり経験できない手
技をたくさん経験でき、輸液管理や全身管理など当直の時に役に立つ知識もたく
さん学べます。朝早く起きなけれなならないので、そこは大変ですが、充実した
日々を過ごしています。また麻酔科医局の雰囲気も良く、毎日上級医の先生と世
間話をして楽しんでいます。
 他の診療科でもとても充実した研修生活を送ることができるので、興味ありま
したら、ぜひ見学にお越しいただければと思います。
                        
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html

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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田英治 平尾素宏
     看護部長 西本京子 
編   集:池永祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 熱中症での救急搬送が増えています。体調管理の難しい季節ですので、くれぐ
れもご自愛ください。では8月にまたお会いしたいと思います。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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