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メールマガジン「法円坂」No.272 (2023/12/21)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 いよいよ令和5年も終わろうとしています。皆様にとってどんな年でしたか?
関西では秋以降、阪神タイガース38年ぶり“アレ(A.R.E:優勝)”達成と言こ
とで盛りあがっていましたが、野球に興味が無い方は「何がそんなにうれしいの
か?」というところでしょうか?何はともあれ、今年最後のメルマガをお楽しみ
下さい。
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   メールマガジン「法円坂」No.272 (2023/12/21)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・就任のご挨拶
 ・セミの寿命は?
 ・国病で事務職として働く12
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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    院長  松村 泰志 医療情報学連合大会の大会長を勤めあげて
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 銀杏の葉も散り、夜はイルミネーションに彩られ、今年もあと少しとなりまし
た。皆さんにとって今年はどのような年でしたでしょうか。私は先月の11月22日
から25日まで医療情報学連合大会を大会長として主催しました。私にとっては今
年の一大イベントでしたので、今回はそのことを記載します。
 この学会の大会長は、開催の4年前頃から打診があり、3年前には決定します。
ですので、私が大阪大学の医療情報学教授として在任中に本大会の大会長になる
ことが決まっていました。大阪で開催したかったのですが、大阪国際会議場がこ
の時期に工事が予定されていたために使えず、神戸国際会議場が予約でいっぱい
だったために、六甲アイランドの神戸ファッションマートを会場に選びました。
10年前にこの会場で開催した経験があり、悪くなかったとの印象がありここに決
めました。プログラム委員長には京都大学医療情報学教授の黒田知宏先生に、実
行委員長には大阪大学医療情報学教授の武田理宏先生に、事務局長には同准教授
の岡田佳築准先生にお願いしました。今から思うと、かなり贅沢な布陣です。
 大会テーマは「医療情報の安全な流通と活用」としました。私が医療情報学の
領域に足を踏み入れた頃は、ほぼ全ての記録が紙で管理されていました。ですの
で、これをいかにデジタル化しコンピュータシステムで管理するようにするかが
課題でした。しかし、この課題は、2010年頃にはペーパレス電子カルテが実現で
き解決しました。海外でも同様の状況でしたが、2010年頃は、日本は海外よりも
進んでいました。ところが、デジタル化する目的が日本と海外では違っていまし
た。日本は、院内業務の効率化を目的としていたのに対し、海外では、患者に関
わる複数の医療施設で情報を共有することが目的でした。日本の電子カルテは、
海外ではElectronic Medical Record(EMR)と呼び、患者に関わる複数の医療施
設で情報を共有するシステムをElectronic Health Record(EHR)とEMRと区別し
て呼び、EHRをいかにして実現させるかが議論されてきました。一方日本では、
セキィリティー上の理由で電子カルテを外部のネットワークに接続することを禁
じるよう指導されていました。海外の人達から見れば奇妙な方針です。こうした
考え方の違いが露呈したのがコロナ禍でした。海外でEHRが構築されていた国々
では感染患者数の把握は容易なことでした。イスラエルではEHRを利用してワク
チンを打った人と打ってない人が、その後にCOVID-19に感染する率を比較し、ワ
クチンの有効性を一早く評価し論文で報告していました。その頃日本では、FAX
で書類を保健所に送り、それを人手でシステムに入力する人海戦術で対応してお
り、感染患者数を把握するだけで膨大な人手をかけていました。こうした様子が
海外にも報道され、日本はシステム化が遅れていると嘲笑されることになってし
まいました。こうした状況を見ると、医療情報領域で日本が取り組むべき課題は
明確です。デジタル化した医療情報を、いかにして流通させ、活用するかなので
す。一方で、病院がハッキングされてランサムウェアをしかけられて病院機能が
止まってしまう事例が立て続けに発生しました。これらの病院はリモートメンテ
ナンス等のために一部でインターネットに接続されており、ここから侵入された
ものと推定されています。こうした状況は、どの病院でもあります。ですので、
これから取り組むべき課題は、外部のネットワークと接続しないことを徹底する
ことではなく、正しく外部のネットワークと接続してハッキングを防ぐことなの
です。大会テーマの「安全な」には、正しく情報セキィリティーを守った上でと
の意味を込めています。
 医療情報学連合大会では、大会側で幾つかのセッションを組みます。まず、特
別講演では自治医科大学の永井良三学長をお招きし「医療情報による知識構築と
社会変革:第三期SIPへの期待」とのタイトルでご講演頂きました。また「日本
の医療データ利活用のビジョン ~次にどこに向かうべきか~」のキーノートレ
クチャーとして元東京大学法学政治学研究科教授で現在次世代基盤政策研究所の
森田朗先生、元東京女子医科大学学長で現在Medical Excellent Japanの理事長
の笠貫宏先生からご講演頂きました。海外事情を知る趣旨で「英国とマレーシア
における医療情報等の利活用」について、それぞれJefferson教授、Naim先生に、
日本の計画を知る趣旨で「政府の創る医療DX基盤」について、厚労省医政局の田
中参事官、同保健局の島添室長補佐、内閣官房の日野参事官からお話し頂きまし
た。また、情報セキュリティについて「境界型防御からゼロトラストへ」をテー
マとしたシンポジウム、「医療分野のセキュリティ人材の育成をどうするか」を
テーマとしたシンポジウムを行いました。加えて大会テーマからは外れますが今
話題の「生成AIの医療への応用」のシンポジウムをこの分野の著名な先生をお招
きして行いました。医療情報学会では大会長は50分の大会長講演をする習わしで
すが、私は「電子カルテをベースとする臨床研究基盤の構築を目指して」とのタ
イトルで私が医療情報領域の活動の中で特に力を入れてきた内容を総括的にお話
ししました。それ以外に学会側が準備する企画、他の学会との共同企画、公募し
て審査して選んだ公募企画、そして各演者が登録する一般演題とがあります。全
体で43の企画セッション、302題の一般演題と大変充実した内容になりました。
 最近は、物価の高騰、人件費の高騰の煽りを受けて、大会を行うための費用が
かつてより増大しています。参加者の参加費だけで大会を運営することはできず、
企業展示やランチョンなどのスポンサードセッションを募り、その収益を合わせ
て大会の費用を捻出します。本大会では100近い企業展示があり、スペースの確
保が難しいのでお断りした企業もありました。ランチョンについても、枠を超え
て申し込みがありましたので、モーニングセッションやナイトセッションまで含
め、38セッションを組みました。まだ収支の計算はできていませんが、おそらく
黒字で終えることができたと期待しています。
 コロナ禍で集合形式の学会ができなくなり、その代わりにTV会議システムを駆
使することで自宅に居ながら発表ができ、各発表を聴くことができ、質問までで
きることを体験してきました。それであれば、学会のために現地に集まる形を取
らなくて良いのではないかと当初は皆真剣に考えていましたが、今はどの学会で
も現地集合で行うようになっています。多くの人達がリモートで参加する学会の
物足りなさを感じていたのだと思います。学会で同じ課題を持つ人達が集まるこ
との意義は、単に情報を収集するためだけでなく、ロビーで会って声を掛け合う
ことや大会での熱気を感じることが、その後の活動のモチベーションを上げ、活
動を円滑に進める上で重要なのだということを改めて認識しました。今大会では
現地参加を基本とし、Webでも視聴できるようにしてリモートから質問は受け付
けないこととしました。実際にやってみて、この方針で良かったと思います。
参加者は3600人を超え、過去最多の参加者が集まった大会となりました。参加さ
れた多数の方々から、充実した良い大会であったとお褒めの言葉を頂きました。
私が大会テーマに込めたメッセージも医療情報領域で活躍されている皆さんに十
分届けることができたとの実感を持ちました。私にとって今年の一大イベントを
成功裏に終えることができ、良かったと思います。

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               就任のご挨拶               
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                             血友病科科長 
                                                              武山 雅博

 2023年10月から血友病科科長として赴任して参りました武山雅博です。
私は2000年に奈良県立医科大学を卒業し、1年間奈良県立医科大学で小児科研修
した後、済生会御所病院小児科で3年間勤務しました。その後、奈良県立医科大
学大学院で、凝固第VIII因子を中心とした凝固・抗凝固機能解明の基礎的な研究
を行いました。大学院修了後は、2年間奈良県立医科大学総合周産期母子医療セ
ンター新生児集中治療部で勤務し、2010年からアメリカのニューヨーク州ロチェ
スター大学Biochemistry and Biophysics教室に留学し、凝固第VIII因子の構造
機能解析に関する研究に従事しました。2013年に帰国後は、奈良県立医科大学小
児科で血友病やvon Willebrand病など血栓・止血に関する診療と研究に携わって
いました。また、血栓・止血領域の他に小児感染症も専門領域として担当してい
ました。
 大阪医療センター血友病科には成人の患者さんが多く、小児科医の私にとって
は成人の生活習慣病など慣れない診療が多く、西田恭治先生から成人の診療につ
いて非常に手厚く、丁寧にご指導して頂いています。血友病患者さんの様々な合
併症については、他科の診療科の皆様に大変お世話になっておりますし、看護師
さん、薬剤師さん、臨床検査室、リハビリ、ソーシャルワーカーさん、心理士さ
んなど他職種の方に支えて頂いております。また、休日・時間外に凝固異常症の
患者さんが受診され際には、当直の先生方に大変お世話になっており、大変感謝
しております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

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               セミの寿命は?          
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                             腎臓内科科長 
                               岩谷 博次

 セミは長年地中で暮らし地上にでれば1週間ほどで死ぬ。大昔そのように習っ
た記憶がある。ところが数年前に、セミの一生は1週間程度ではないということ
をニュースで知った。
どうも、セミ好きの小学生が毎年セミについて自由研究を行っていたが、中学生
のときに、“セミは地上にでると10日ほどの寿命とされるが、実際に夏に死骸を
それほど見ない”ことに疑問をもち、セミの寿命を調べることにしたという。
なんと、セミを捕まえては、それに個体識別のために油性ペンでマークを入れて
再度野に放ち、時間がたってから再度セミを捕まえるという方法で確認したとの
こと。大変な労力がいるだろうことは想像に難くない。同じセミをそんな簡単に
二回も捕まえられるだろうか?生存を確認できた日数は、アブラゼミ32日、ツク
ツクボウシ26日、クマゼミ15日とだという。
これを知って大変驚いた。興味を持ったテーマについて、常識を疑い、疑問をも
ち、そして自身で労をいとわず検証行動をおこなう。セミを捕まえてじっくり観
察する子供さんはいるだろうが(この時代そのような子供さんも減っているかも
しれないが)、せっかく捕獲したセミを放して、調査しようとするという心意気
は、こども心を思えばなかなか持てるものではない。まさに研究者そのものであ
る。この研究は、まさにバイオロギングサイエンスの先駆けである。
 以前に東京大学大気海洋研究所教授 佐藤克文先生の「バイオロギングサイエ
ンス~動物に教えてもらう科学~」を拝聴したことを思い出した。ペンギンや野
鳥の生態を知りたいという興味・熱意、そして自身で確認し検証することの重要
性という大変重要なメッセージを学ばせていただいたが、このたびセミの自由研
究から改めて思い起こした。インターネットで簡単に情報が入手できるこの時代
に、(ネット情報が真偽かどうか判断も難しいが)何でも調べて回答を得るだけ
で満足することがないだろうか?歳を重ねるにつれて、これこれはこういわれて
いる、という常識とされる情報が増えるが、これには良い面も悪い面もあるのだ
と実感する。自戒の念をこめて、子供のような純粋に知りたいというマインドは
歳を重ねつつある私も持ち続けたいと願うばかりである。

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                 国病で事務職として働く12
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                             事務部長 
                               田中 英之

 今年1月に始まりました「国病で事務職として働く」シリーズも今回で終了と
なります。これまで紹介した内容は、国病を就職先のひとつとして考える時の参
考になればと思い、いろいろな切り口でわかりやすくまとめたつもりです。実際
に働き出してから学ぶこと、経験すること、発見することが沢山あり、すべてを
紹介することはできませんでした。
 どんな仕事も一緒だと思いますが、働いてからが勝負です。「社会人≠学生」
なので、いち早く学生気分から抜け出して職場に溶け込むかが重要になってきま
す。令和6年度採用内定を国立病院機構近畿グループから得た学生の方々も同様、
より早く職場に溶け込み、より早く仕事を覚えて、より早く一緒に働く様々な職
種の職員に顔と名前を覚えてもらうかです。
 今回は、国立病院機構を就職先として選ばれた方々に向けて、これからの3ヶ
月余りの時間をどのように過ごして欲しいのかについて、私が思うところを述べ
させていただきます。

① 医療に関する知識はゼロのままで就職しても構わない

   採用面接を行っていると学生から「国立病院機構に就職するにあたり、こ
  れからどういうことを勉強しておけば宜しいでしょうか?」という質問を受
  けることが多々あります。就職に対する真剣度は伝わってきますが、私は
  「医療に関する勉強をするよりも残りの学生生活を十分に楽しんでください」
  と回答するようにしています。
   もともと医療の世界で事務職として働くことを考えて進学していないでし
  ょうし、学校でも医療に関することを専門に勉強していないでしょうから、
  医療に関して、就職するまでの数ヶ月間を必死に勉強したところで消化不良
  に終わり、変な焦りを感じてしまってマイナス効果しか生まれないと思って
  いるからです。
   それよりも、社会に出ると学生時代のようには行かないことが多いので、
  悔いのないよう「学生時代」を満喫してもらいたいです。自由になる時間は
  学生の方がはるかに多いです。その時にしかできないことをやっておくべき
  だと思っています。

② いろいろな資格は働き出してからでも取得できる

   資格取得に関する内容も面接の時によく聞かれます。「資格は必要ない」
  とは言いませんが、国立病院機構で仕事をして行くうえで必要と思われる資
  格取得のために、貴重な学生時代を費やして勉強することまでは必要ないと
  申し上げておきます。
   働き出してその時の自分と将来の自分を見て、取得したい資格が見つかっ
  たならば、そこから勉強を始めて挑戦すれば良いと思います。一日の大半を
  仕事が占めている生活から勉強する時間を作り出すのは難しいですが、オン
  とオフを切り替えて時間調整をきちんすれば、資格取得のための勉強時間も
  確保できるはずです。いかに自分のための時間を作り出すのか、そして、そ
  の時間をどう使うのかが大切になってきます。
   資格取得だけではなく、働いてからいろいろなことに挑戦してみて下さい。

③ Microsoft Excel、Word、PowerPointは使えるようになっておけば助かる

   仕事をするうえで、Excel、Word、PowerPointは切り離せません。使えな
  くても国病に就職はできますが、使えなかったら事務職の仕事が成り立たな
  いところがあるので、使えるに越したことはありません。複雑な機能まで知
  っておく必要はありませんが、最低限のレベル(どのレベルを最低限という
  のか個々の判断になりますが)で使用できるようになっておいた方がスムー
  ズに仕事に入っていくことができると思います。
   いろいろなテクニックは使っている中で覚えていけば良いので、先ずは最
  低限のレベルで使えるようになっておくことは必要かと思います。私事です
  が、「こんな時はどうするのか? こんなことはできないのか?」と思うこ
  とが今でもあり、その時にはYouTubeで調べて勉強しています。YouTubeは私
  にとってExcel、Word、PowerPointを使う際の先生のようなものになってい
  ます。

✓ 来年4月から国病に就職される方を含め就活生向けに、12回シリーズで紹
 介した内容はお役にたちましたでしょうか。令和6年4月1日が近づくにつれ
 て「就職先が国病で良かったのか?」「医療の世界でやって行けるのか?」と
 か不安が大きくなっていくと思います。どんな仕事でも就職する学生は全員が
 そのような不安感を味わうのではないでしょうか。実際、就職してみると「あ
 の不安感は何だったの?」と思ってもらえるように居心地の良い職場・働きや
 すい職場にしていくべきだと思います。国立病院機構近畿グループ内病院はそ
 うありたいと願っています。
 
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             看 護 の こ こ ろ            
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                                  手術室 副看護師長 
                                栄木 浩明

 皆さんこんにちは、新雪の候、寒さも本格的になってまいりましたが、いかが
お過ごしでしょうか。年末に向け、ご多忙な方も多くいらっしゃると思いますの
でお身体にお気をつけください。
 私は看護師になって11年目になります。私の地元は大分県の別府市で自然豊か
な温泉街で育ちました。社会に出て地元での5年間は、循環器内科、腎臓内科、
集中治療室で勤務しておりました。大阪異動の転機となったのは、尊敬する先輩
からの勧めで、私自身も看護師としてさらにスキルアップしたいと思い看護師6
年目から当院へ異動してきました。今年の1月には副看護師長として手術室に配
属となりました。この11年間で複数の部署を経験し、多くの患者さんを受け持た
せていただく中で私が一番心に残っている患者さんの話をさせていただきます。
 当時私が地元で看護師として働いて3年目を迎えた頃でした。40代の男性で慢
性腎不全のため透析をされている患者さんでした。褥瘡(床ずれ)による感染症
も併発しており入院時より寝たきりの状態でした。病状を進行させないためにも
透析を継続して、褥瘡処置を行う必要がありました。ただ透析も処置も痛みを伴
うもので、患者さんも「痛い痛い。もうやめて。」と何度もおっしゃっていまし
た。私は病気を治すためとはいえ、今私が行っていることは正しいのか疑問に思
っていました。そんな中でも患者さんには奥さんや子どももあり、個室というこ
とで奥さんは毎日のように面会に来られていました。患者さんはあまり多くを語
らない方ではありましたが、時折ぼそっと「家族で旅行行きたいな。」「プリン
食べたいな。」と本音が漏れていました。私はその時に「患者さんが望むこと」
それに向けて看護師としてできる限りのことをする、それが一番大切だと気づか
されました。
 ある日、患者さんのケアをしているときに「死ぬの怖いな。」と言われ、薄々
と予後について考える部分があったのだと思います。医師ともカンファレンスを
重ね、何とか自宅に退院できるように治療方針を何度も考えて実施していきまし
た。しかし、病状は進行しベッド上での生活が続きました。入院期間が長いこと
もあり、私の名前も覚えてくださり受け持ちの日には「えいき君やと嬉しい。」
と言ってくれていたことを今でも覚えています。
 結果としては退院とは至りませんでしたが、患者さんの頑張りもあり一時的に
病状が安定されたタイミングで本人の希望と奥さんの負担も考え、自宅近くの病
院へ転院することができました。その転院当日も、私は患者さんと一緒に転院用
の救急車で最後まで関わらせていただきました。
 数か月が経ってから、奥さんが病棟へ顔を出しに来てくれました。奥さんから
「実は先日主人が息を引き取りました。」との報告でした。奥さんからは、感謝
の言葉とともに本人の趣味であった電車のプラモデルを私にとのことで受け取り
ました。受け持ち看護師として、患者さんにもっと何か出来たのではないかと悩
んでいたので、奥さんの言葉を聞いて私自身救われました。看護に正解はありま
せんが「患者さんのことを一番に考える」この気持ちで向かっていけば患者さん
や家族にも伝わるのだと学べました。患者さんのシャワー浴の介助に入ったり、
病室での会話もそのどれもが思い出です。仕事で苦しいことや辛いことがあって
も、ふとその患者さんのことを思い出すと笑顔になれます。受け持たせていただ
いたことに感謝しながら、これからも日々患者さんと向き合っていきたいです。

ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                               研修医2年目
                                                               東 俊樹
 
研修医2年目の東です。

当院の救急医療の体制に関して簡単にお話しさせていただきます。
当院では1次2次などのERと高度救命救急を行う3次救急は独立して存在します。

まず、めまいや腹痛などさまざまな主訴で救急搬送される患者さんを中心に診療
をおこなっているのがERです。日中のERは診療看護師と呼ばれるスーパー看護師
が主に担当しており、研修医は現在選択ローテーションで日中のERを回ることが
できます。そして夜間や土日祝日は1年目2年目の研修医が担当しています。はじ
めは2年目研修医が救急隊からの連絡を受け、血液検査・画像検査などのオーダ
ーをします。また心電図や末梢の確保などの指示を1年目研修医や看護師さんに
対して行う形で診療が進んでいきます。11月から12月ごろに1年目と2年目の業務
が入れ替わる形で業務を受け継いでいきます。

そして重症外傷や心停止などの患者さんに対して診療を行うのが3次救急です。
研修医は必修で2ヶ月間3次救急を回ります。そこで心停止に対する基本的な動き
や様々な外傷の処置を学んでいきます。3次救急ローテーション中は、通常のER
当直の業務を減らすことで、集中して高度な救命医療を学ぶことができます。デ
バイス類も数多く使われるため、手技の豊富さも3次救急ローテーションの魅力
の1つです。

他の病院と違い、一口に救急医療と言っても、ERと3次救急を別々に学ぶことが
できることが当院研修の特徴です。

以上、当院の救急医療に関して説明させていただきました。興味があってもなく
てもぜひ見学にいらっしゃってください。
                        
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
 
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田英治 平尾素宏
     看護部長 西本京子 
編   集:池永祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 今年もメルマガを読んでいただきありがとうございます。今年の年末年始は最
短の6連休でちょっと物足りなさを感じますが…。しっかり大掃除をして、新し
い年を迎えたいと思います。来る令和6年(甲辰)が皆様にとって良い年であり
ますように!

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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