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メールマガジン「法円坂」No.275 (2024/3/19)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 3月になりました。皆さんはどのように「春」を感じておられますか?先日、
附属看護学校の卒業式が5年ぶりに制限の無い型で挙行されました。心温まる
良い式でした。新型コロナウイルス感染はまだ終息されていませんが、感染予
防を怠らずWithコロナでLet‘sGo!
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   メールマガジン「法円坂」No.275 (2024/3/19)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・退 職 に あ た っ て
 ・退 職 の ご 挨 拶
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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          院長  松村 泰志     節目の年
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 私が大阪医療センターに参って3年が経過しようとしています。当院では、年
度末に多くの職員の異動があり、医師についても19人が退職されます。三田副院
長、西本看護部長、中島総合診療部長、岡垣医療情報部長、西田企画課長、藤田
管理課長と当院のマネージメントで大きな役割を担って頂いていた方々が多く退
職されます。また、国立病院機構本部でも、大阪医療センターの名誉院長であり、
私が大学時代から大変お世話になってきた楠岡理事長が今年度で退職されると聞
いております。当院にとって大きな節目の年と思います。
 私が3年前に大阪大学から参って当院のことが良く分かっていなかった時にコ
ロナ感染拡大第4波が起こり、大阪の医療は大変な状況となりました。私が着任
した翌週に大阪府から藤井医療部長が来られ、重症患者用病床を17床から27床に
増やして欲しいと頼まれました。この時、とっさに西本看護部長から、これまで
コロナ重症患者用病床としてきた救命救急センター病棟の17床に加えCCU4床と前
室2床をコロナ病床にすることで23床であれば何とかできると聞き、大阪府には
23床でご容赦頂くように交渉しました。それでも23床のコロナ重症患者を診る医
療スタッフを病院内でそろえなければなりませんでしたが、看護師については、
西本看護部長が西7階、東10階の病棟を休棟にすることで看護師を確保し、医師
については、三田副院長が内科系医師でコロナ患者を診るスタッフを編成し、平
尾副院長が外科系医師でコロナ患者病床の当直体制を編成してくれました。前任
の是恒院長から院長の引き継ぎをして頂いた時、私の不安そうな様子を見て、当
院は幹部がしっかりしているので大丈夫ですよと言っていただきましたが、将に
その通りでした。この3年を振り返ると、コロナ対応に明け暮れた日々だったと
思います。この困難な時期に、三田副院長、西本看護部長のおかげで、何とか乗
り切ることができました。
 コロナ感染症への対応は、感染患者さんだけではありませんでした。入院患者
数がコロナ前から随分と減りました。コロナ関連の補助金で経常収支としてはプ
ラスの状態が続いたものの、医業収支は、これまでにない厳しさでした。この状
況の中で、1次・2次救急(ER)を多く受け入れることが、病院経営的には必要
なことでした。しかし、この領域は当院では狭間になっており、そこを担う医師
の確保が十分にはできていませんでした。こうした中、脳神経外科がご専門の中
島先生が総合診療部長を担当してくださり、診療看護師を上手く配置して当院に
おけるER部門を確立してくださいました。その後、総合診療部を担う先生が来て
くれて良い体制となりました。
 岡垣先生は、当院が紙の伝票、紙カルテから電子カルテ運用への切り替わる時
期を医療情報部長として担当されました。随分と苦労があったと思います。私自
身が阪大病院で同じ仕事をしてきましたので、その大変さは良く分かります。
 西田企画課長は、休棟としていた東8階をコロナ患者用病床にしていただき、
また、西7階病棟を4床の精神病床であったところを、CCUと心臓リハビリ用の部
屋に改装、新しく作った血管造影検査室をさらにハイブリッド手術室にするなど、
大胆に建物整備を進めて頂きました。また、懸案の病院建て替えについて、土地
活用を進めるための手続きを進めて頂き、新病院の基本案、スケジュール案を作
るところまでできました。
 藤田課長は、医師の働き改革のために、勤務時間管理システムを導入するとこ
ろから、その時間管理の仕方を職員に伝え、また、当直などの手続きを進めるな
どの準備を進めてくれました。管理課長は、様々な仕事が平行して降ってくる立
場ですが、これらを手際よくこなしてくれました。
 診療科についても、脳神経内科では山上先生が先月筑波大学に異動され、永野
先生、山本先生の主力メンバーも異動されます。肝胆膵外科では科長の後藤先生
が国際がんセンターに異動されます。どちらの科もコロナ禍の厳しい中でも患者
数を増やしてくれました。
 病院にとって激動の時期を何とか乗り越えてこられたのも、こうした方々のご
尽力があってのことでした。心より感謝したいと思います。
 来年度からは、国立病院機構トップの楠岡理事長が交代されること、多くの病
院幹部が交代することとなり、当院の在り方が変わると思います。これまでの4
年間がコロナへの対応が求められた時期であったことを考えると、来年度からは、
次の課題に向かうべき年にもなります。働き方改革への対応、厳しい経営状態か
らの立て直し、病院建て替えの推進など、大きな課題が山積しています。私自身
も、新しい病院幹部らとともに改めて気を引き締めて、これからの病院運営に取
り組んで行きたいと思います。

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               退職にあたって          
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                             副院長  
                                                              三田 英治

 この3月末で大阪医療センターを退職することになりました。振り返れば2006
年4月に赴任して、18年の歳月が過ぎました。阪大医学部を1985年(昭和60年)に
卒業して、医師人生39年のほぼ半分を大阪医療センターで過ごしたことになりま
す。
 着任時は、ちょうど電子カルテを導入するタイミングでしたので、とまどいな
がらのスタートでした。私は肝炎ウイルス診療が専門ですが、この18年でC型肝
炎治療法は飛躍的に向上し、初回治療ならほぼ100%の方がウイルス排除を達成で
きる時代になりました。医学の進歩を実感できた専門分野でした。
 国立病院に来て、当院が災害医療の先頭に立っていることも知りました。東日
本大震災、熊本地震、能登半島地震へ職員を派遣しましたが、報告会を聞くたび
に誇らしく感じます。一市民としても地元に頼りにできる病院があることが心強
いです。
 8年前からは病院幹部として活動し、特に最後の4年間は新型コロナウイルス感
染症という今まで経験したことのないパンデミックに対峙しました。肝炎ウイル
ス診療で培った知識や経験が新型コロナウイルス感染症にも役立ちました。まだ
まだ油断はできませんが、区切りを迎えて退職できる事を喜ばしく思います。
 定年まで2年を残しての退職ですので、医師人生はこれからも続きますが、今
後は医療知識やシステムの啓発にも活動の幅を広げ、今まで私を育ててくれたす
べての人たちに少しでも恩返しできるよう努めます。また、どこかでお会いでき
ればと思います。ありがとうございました。
 
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                 退職のご挨拶          
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                             肝胆膵外科科長
                                                              後藤 邦仁

 肝胆膵外科の後藤邦仁です。この度2024年3月末をもちまして大阪医療センター
を退職することになりましたので、一言ご挨拶申し上げます。
 私は2021年5月に当センターに入職いたしました。当時はCOVID-19が猛威を振る
っており、入院制限、手術制限がある時期でしたので、非常に不安を感じながら
のスタートではありましたが、まずは患者様、他診療科の先生方や医療スタッフ
に信頼していただけるチームを構築することを目標にやって参りました。具体的
には、一人一人の患者様に最適な治療を受けていただけるように、消化器内科、
放射線科の先生方とカンファレンスを通して検討しながら診療を進めました。ま
た高齢の患者様や併存疾患を持っておられる患者様につきましても低侵襲手術
(腹腔鏡手術やロボット支援下手術)から高難度手術まで幅広い手術を安全に受
けていただけるように、他診療科の先生方にサポート頂きながら取り組みました。
さらに急性胆嚢炎などの緊急手術につきましても積極的に対応いたしました。そ
の結果、現在ではCOVID-19流行以前よりも多くの患者様の手術に携わることがで
きるようになりました。ご協力いただきました他診療科の先生方や医療スタッフ
の皆様に深く感謝申し上げます。
 4月からは大阪国際がんセンターで勤務する予定です。当センターでの経験を
次の職場でも活かして、より多くの患者様に貢献できるように努めて参る所存で
す。非常に近くですので、患者様のことで今後もいろいろとご相談させていただ
くことがあるかと思いますが、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。
 最後に、皆様のご健勝を祈念し、退職の挨拶とさせて頂きます。誠に有難うご
ざいました。

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             変わらない看護のこころ     
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                                  西6階病棟 副看護師長
                                岩男 智美

 もうすぐそこまで春がやってきているこの頃、2020年のCOVID-19発生からもう
4年が経ちました。しかし依然として感染は収束することはなく、今年の元旦に
は能登半島地震も発生し地球単位での大きな変動の波を感じております。今もま
だ先の見通しが立たない状況ではありますが、互いの健康と益々の発展を心より
お祈り申し上げております。
 私は2023年4月に看護師生活21年目になり、長年勤務させていただいた手術室
から西6階病棟(小児科、整形外科)へ副看護師長として昇任し、異動しました。
病棟看護の経験は看護師5年目の頃おおよそ3年弱しかなくその記憶も経験も年
々薄れていました。しかし、『いつかまた病棟で看護がしたい』という気持ちが
常に心のどこかにありました。そのような気持ちがあったため、辞令をいただい
た時には驚きや不安と同時にとてもうれしい気持ちになったことをよく覚えてい
ます。
 実際に病棟勤務が始まると当然のことながら、受け持つ患者さんの数だけ、様
々な看護が必要です。しかし、手術室では同時に複数の患者さんに相対すること
はないため、私にとっては非常に困難と感じました。目の前の患者さんに行われ
るケアをこなすことだけで精一杯、少し先の患者さんの姿を想像し看護を提供す
ることができずに、苦渋する日々が続きました。あたかも手術室から全く遠くの
世界へ転生してしまったかのような気持ちでした。そんな日々を送る中、あるス
タッフがこのような発言をしました。「Aさん、日に日に足腰が弱って心配です。
私たちが、もっとリハビリができたのではないでしょうか。Aさん、今どんな気
持ちで過ごしているのでしょうか。」  
 患者Aさんは80代男性、下肢脱力で緊急入院されてきました。入院生活が長く
なるにつれ、廃用症候群や認知機能の低下が起きました。多くの看護ケアが必要
となり、日々ケアを提供するだけで精一杯でした。Aさんの今後を見据えた看護
の実践に困難を感じていた時、スタッフの発言を聞きました。私は、自分が提供
した看護をリフレクションするような視点を持っていなかったことに気が付きま
した。また、病棟は手術室で行った看護とは全く異なったことを提供するのだ、
と思い込んでいたことにも気が付きました。目の前の一人一人の患者さんに寄り
添い、変化する状況に適切な看護を提供する。提供した看護を評価して、今後予
測される転機に対し準備を行い立ち向かう。これはたとえ受け持ち患者さんが何
人であっても、勤務する場所が異なっても変わらない。私の看護のこころに明る
い光明を照らしてくれた、忘れられない出来事になりました。
 西6階病棟は、乳幼児から90代の高齢者と年齢も多岐にわたり日々とても多忙
です。まだまだ経験が浅い私は恥ずかしながらいまだに日々目が回るような忙し
さを感じております。しかし手術室に長年勤め支えていただいたという私の強み
を生かし、目の前の患者さんの思いに寄り添った看護を提供していけるようにな
りたいと思っております。

ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                              研修医2年目
                                                             余田 拓海

大阪医療センター研修医2年目の余田です。
私たちの代の研修医生活もこの3月で終わろうとしています。
時間が経つのは早いもので、ついこの間初期研修医1年目として入職したと思え
ば、後期研修医がまもなく始まります。当院で初期研修を行い良かった点をいく
つか述べさせていただきます。

まずは、自由度の高い研修ができ、手厚いフィードバックが受けられる点です。
各診療科のローテーションの際には、様々な症例や手技を経験できるほか、志望
診療科次第ではありますが、希望すればオンコールや当直にも入ることで、自主
的に研鑽を積むことができます。疑問に思うことがあっても、指導医の先生がと
ても分かりやすく教えてくださり、非常に勉強になります。「こういったことを
経験したい」ということを事前に伝えていれば、確実に応えてくれる研修病院だ
と感じています。

次に、救急外来でのファーストタッチができる点です。既に多くの方が研修医日
記に書いていますが、救急隊からの電話を受け、初期対応を行いつつ、必要な検
査・治療を行い、入院か帰宅の判断を行うこととなります。自分自身で重症度を
判断しつつ診療にあたり、適切に救急外来をマネジメントする力は初期研修以降
でも役に立ってくると思います。もちろん不明な点は上級医にすぐ相談できる環
境であり、循環器や脳、救命の当直の先生もいるため、重症症例も経験すること
ができます。

同期が優秀であり、刺激を受けお互いに切磋琢磨しながら研修ができる点も当院
の魅力の1つです。当院には独立した研修医室があり、勤務後の時間にゆっくり
しながら、お互いに経験した症例をディスカッションできます。自分で経験でき
る症例数には限りがありますが、同期とも話しながら勉強しあうことで、より多
くの症例から学びを得ることができます。

その他にも当院の魅力はたくさんありますが、1番大切なことは自分の目で確か
めることです。いつでも病院見学にいらしてください。お待ちしております。
                        
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
 
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 三田 英治 平尾 素宏
     看護部長 西本 京子 
編   集:池永 祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 令和5年度最後のメルマガ、いかがでしたでしょうか?この時期は、別れと出
会いが入り混じります。別れの悲しみはほどほどにして、新しい出会いに朝ドラ
ではありませんが『ドキドキ・ワクワク』しましょう!皆さんのご活躍を祈念し
ております。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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