Back

メールマガジン「法円坂」No.276 (2024/4/17)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 温かさに誘われて満開に咲いた桜も、葉桜に変わりつつあります。
春です。新しい環境で、新しい仲間との生活が始まる季節です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   メールマガジン「法円坂」No.276 (2024/4/17)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・統括診療部長 就任のご挨拶
 ・脳神経内科科長 就任のご挨拶
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

====================================
        院長  松村 泰志     新しい年度に向けて
====================================

 私は、週末の時間があるときには家の近所を散歩することにしています。この
時期は春の陽気で、晴れた日の散歩はとても気持ちが良いです。先日、近くの神
社の参道を落ち葉が覆っていることに気づきました。落ち葉は、秋から冬に向か
う季節と思い込んでいたので不思議に思い、上を見上げますと、新緑の葉が出そ
ろった若返った木が茂っていました。などほど、常緑樹は新しい葉が出る時に前
の葉が落ちるのだと納得しました。ネットで調べますと、常緑樹の葉が入れ替わ
る時期は種類により違うそうなのですが、樫や楠は春に落葉するとのことでした。
参道には、これらの木が多かったのだと思います。木の寿命は永遠と思えるほど
長いですが、葉が入れ替わって新しくなることで、命を長く保っていることが分
かります。このことは組織においても、あるいは、人類にも当てはまります。組
織では人が徐々に入れ替わることで組織のパワーを維持し、長く継続することが
できます。人は親から子に命を引き継ぐことで、ホモサピエンスになってからで
も30万年を生き続けてきました。
 当院では、昨年度は幹部職員を含め多くの職員が退職しました。4月1日に新入
職者に対して辞令交付をしますが、今年度は229人に対して交付しました。当院
の常勤職員は約1000人ですので、なんと、約4分の1が入れ替わったことになり
ます。私は3年前に当院に参りましたので、今年度で4年目を迎えます。これまで
の3年間は、幹部職員は変わらず、ひたすらコロナ対応に追われていた期間であ
ったと感じます。今年度からは、一つの区切りを超えて、新たなステージに入っ
て行くように感じます。
 今年度から始める新しいことを紹介します。ハイブリッド手術室が完成しカテ
ーテルで大動脈弁置換を行うTAVIの治療を開始します。また、休棟にしていた西
7階を改修してCCUを4床から6床に増やして運用し、心臓リハビリ室を設置して充
実させます。血液内科は3年前に再開してからスタッフが徐々に増え、年々入院
患者数を増やしています。呼吸器内科は昨年度から新しい科長と3人の若い医師
が加わり勢いを増しています。脳神経内科は昨年度から脳卒中内科から科名を変
更したところですが、科長だった山上先生が乞われて筑波大学に、山本先生は大
阪南医療センターの科長に、長らくお勤めだった永野先生も良い立場に異動され、
今年度から科長が岡崎先生に代わり、3名の若い医師が阪大から来られました。
岡崎先生は阪大在任中も評判が高く、山上先生が自分の後任として引っ張ってこ
られた先生です。ベテラン3人が退職し、中堅・若手4人に代わった形です。新し
い脳神経内科も楽しみです。腎臓内科は医療ニーズがありながらも人手が足らず、
受けきれていませんでしたが、今年度は医師が増えましたので、これまで以上に
活躍してくれると期待しています。消化器内科は三田副院長と専攻医の異動で医
師数が減ってしまったのですが、内視鏡室に看護師を追加で配置して、医師の負
担を減らしたいと思います。阪森科長は、昨年度同様にがんばると言ってくれて
います。フィブロスキャンを導入して非アルコール性脂肪性肝疾患の診療を充実
させるなど、阪森先生らしさが光り出す年となることを期待しています。
 消化器外科では、後藤先生が国際がんセンターに異動され、後任に濱先生が来
られました。濱先生は5年前まで大阪医療センターに居られましたが、ひとまわ
り大きくなって帰ってこられました。まずは、後藤先生がされてきたことを引き
継ぐことから始まりますが、頑張って頂きたいと思います。心臓血管外科には中
堅で次のリーダ格の齊藤先生が来てくれました。齊藤先生も5年前に大阪医療セ
ンターにおられ、阪大、国循、JCHO大阪を勤務して当院に戻ってこられました。
整形外科はこれまでベテランの先生の退職が続き、まだ新入職の先生で、その穴
を埋めるほどにはそろっていないのですが、時間をかけながら世代交代していっ
ています。眼科は医師の数は変わりませんが、視能訓練士を一人増員することが
でき、新たに眼底検査装置を増やして眼底検査を充実させます。眼科も医療ニー
ズがありながらもスタッフ数の制限で受けきれていないのですが、こうしたこと
で少しでも伸ばしてくれたらと願っています。
 長年当院の集中治療部を率いてこられた島原先生の異動に伴い、集中治療部の
体制を変えることになりました。幸い、麻酔科が増員でき、新しい体制が組めま
した。更なる充実化を目指し人材を求めていきたいと思っています。
 私が当院に来て取り組んだことの一つがER部門の充実でした。救急医療のニー
ズは高く、当院では、3次救急、心ホット、脳ホットは確立されていましたが、
ER部門は未成熟の状態でした。ER部門は医療ニーズが高いにも関わらず、大学で
もERを担う医師を育成している教室がなく、狭間領域になっています。当院でも、
まだ試行錯誤の最中ですが、新しい医師を求め看護師や救急救命士を増やすなど
して充実した体制を作っていきたいと思っています。
 それ以外の診療科では体制は大きくは変わりませんが、それぞれに新しいこと
にも挑戦して、次の時代を切り開いていっていただきたいと思います。
 今年度から医師の働き方改革が施行されます。また、2年毎の診療報酬改定が
改まる年度ですが、新しい診療報酬改定は当院にとって厳しい内容です。こうし
た大きな制度改定にも何とか対応していきたいと思います。
 国立病院機構では、コンピュータネットワークが大きく更新されます。また、
来年度から厚労省主導の医療DXが始まります。2010年頃の電子カルテ化が進んだ
頃から次のステージに移行しようとするムードが感じられます。私の専門領域で
もありますので、これらにもしっかり対応していきたいと思います。
 今年度は、新たな挑戦を開始する年になりそうです。充実した年となるよう、
がんばりたいと思います。

====================================
             統括診療部長 就任のご挨拶          
====================================

                             統括診療部長 
                               上田 恭敬

 2024年4月1日付で国立病院機構大阪医療センター 統括診療部長に就任いたし
ました上田恭敬です。
 1990年に大阪大学医学部を卒業。翌年より2015年まで大阪警察病院で勤務した
後、2015年4月に当院へ循環器内科科長として赴任しました。長年に渡り循環器
の立場から救急医療に関わってきましたが、2020年からは当直委員会委員長とし
て、病院全体の時間外救急診療、当直業務に関わってきました。
 当院は各種専門領域の診療科がそれぞれの領域において、高度に専門的な医療
を提供し、臨床研究においても多大な実績を築き上げています。しかし、地域か
ら当院に求められている医療は、それらの高度専門医療だけではなく、よりコモ
ンな疾患ではあるが救急の対応を要する患者さんの診療も含まれていることを実
感しています。逆に、当院の救急診療体制には、多くの課題が存在することも実
感しました。当院が、患者さんおよび地域の医療機関から頼られる存在となるた
めに必要なことは、少なくとも窓口としてはあらゆる患者さんを一旦は受け入れ
て、当院で適切な医療を提供するか、適切な医療を提供できる他の医療機関へ繋
ぐ役割を果たすことと考えます。これは救急診療に限らず、日常診療にも言える
ことです。
 このたび診療部を統括する立場となりましたので、働き方改革も実現しつつ、
当院で働くすべての医療者が快適に働きながら、あらゆる患者さんと医療機関の
信頼を獲得するためにはどうすればよいのかを、皆さんと一緒に議論しながら一
つ一つ課題を解決していきたいと考えています。その他のことについても、それ
ぞれの診療科のため病院のために何をどうすればよいのかを、できるだけ多くの
方々の意見を聞いて議論する中から考えていきたいと思います。皆様のご支援と
ご協力をよろしくお願いいたします。
 
====================================
             脳神経内科科長 就任のご挨拶          
====================================

                             脳神経内科科長
                                                              岡﨑 周平

 2024年4月から脳神経内科 科長として就任いたしました岡﨑 周平と申します。
この場をお借りしまして、簡単ですが自己紹介をさせていただきます。私は、19
78年にここ大阪医療センターの分娩室で生まれてNICUでの数日間を過ごした後、
以来40年以上ずっと大阪で育ってきました。2002年に大阪大学医学部を卒業し、
卒後2年目の研修もここ大阪医療センターでした。医者になって自分の生まれた
病院に戻ってきたことに大変な感慨を覚えたことを今でも思い出します。その後、
国立循環器病研究センター脳神経内科でのレジデントを経て大阪大学に戻り、神
経救急の臨床に心血を注ぐ傍ら、大学院では脳血管障害に関する臨床研究に従事
してきました。2013年にはドイツ ハイデルベルク大学に留学し、脳血管障害の
画像解析を用いた研究を行いました。2015年に帰国後は、国立循環器病研究セン
ター データサイエンス部にて医師主導国際共同試験の企画や運営に関わりなが
ら、脳神経内科での神経救急診療を継続してきました。また脳卒中の遺伝的素因
の解明にも興味を持ち、RNF213関連血管症という新しい疾患概念を確立させまし
た。その後は大阪大学に戻り、松村泰志院長らが開発された電子カルテ連動型
EDCシステム(CDCS)を用いた多施設共同脳卒中全例登録システムの開発などを
行ってきました。今回、前診療科長の山上宏先生の異動を受けまして、後任とし
て2024年1月より再び大阪医療センターに勤務させていただくことになりました。
 大阪医療センターではこれまで脳卒中内科を標榜していたように、当科は脳血
管障害を中心とした急性期診療に重きを置き、経静脈的血栓溶解療法や経カテー
テル的血栓回収療法などの超急性期治療に積極的に取り組んで参りました。今後
は、脳神経外科と協力してこれまでの体制を維持しながら、脳神経内科の標榜の
元、てんかんや髄膜炎、ギラン・バレー症候群、頭痛など他の神経救急疾患につ
いても広く受け入れるとともに、パーキンソン病や多発性硬化症などの神経難病
についても診療対象を広げていきたいと考えています。4月からは山上宏科長、
永野恵子医長、山本司郎医長が異動となり、科長1名、非常勤医師1名、若手医
師5名の新体制での再出発となります。他の診療科と比較するとメンバーの経験
も浅く、職員の皆様や他の診療科の先生方にご迷惑をおかけすることもあるかと
存じますが、なにとぞ温かく見守り、ご指導を賜れますと幸甚です。今後ともど
うぞよろしくお願いいたします。

====================================
                   看護のこころ

                  生きる希望・生きがいを叶えるために
~脳卒中後遺症を抱えながら、口から食事を食べたいと願う患者さんを通して~
     
====================================

                                 東11階病棟 副看護師長
                                林 加奈子

 4月となり、新しい生活が始まりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
環境が変わられる方も多いと思いますが、体調に気を付けてお過ごしください。
 今回の「看護のこころ」の担当となりました。東11階病棟(脳神経外科・脳卒
中内科)の副看護師長を務めております、林と申します。病棟での看護場面で感
動した場面がありましたので、皆様にお伝えできればと思います。
 当病棟で脳梗塞のため入院した患者さんがいらっしゃいました。脳梗塞の後遺
症のため口から食事が摂取できない状況となりました。なんとか、医師やリハビ
リの先生と協力し、嚥下訓練を行っていましたが、食物だけでなく唾液もうまく
飲み込めず、食物や唾液が気管に入ってしまい誤嚥性肺炎を繰り返し発症しまし
た。何度も抗生剤治療がはじまり、そのうち食事摂取の訓練もできず入院し1か
月が経過していました。その後医師から、経口摂取への移行は難しいと診断がく
だされ、点滴で栄養確保をする方針となりました。しかし、日々患者さんと関わ
る中で、本人の生きる希望・生きがいは「口から食事を食べること。」であるこ
とがわかりました。本人の思いである「口から食事を食べること。」を叶えるた
めに何かできることがないか、受け持ち看護師だけでなく、摂食嚥下の認定看護
師、脳卒中認定看護師、言語聴覚士、耳鼻科の医師、脳卒中の医師に繰り返し相
談を行いました。経口摂取のリハビリが再開できるように、日々の体勢や口腔ケ
ア方法について病棟の看護師で共有し、症状の変わりがないかこまめに観察しま
した。徐々に肺炎が軽快し、経口摂取のリハビリ再開時は、スプーン1口のゼリ
ーですら飲み込むことが難しい状況でしたが、安全に配慮しながら毎日リハビリ
を続けました。食事訓練の際にゼリーを飲み込めず、どうしても喉に残ってしま
うゼリーは吸引することを患者さんにも頑張っていただきました。すると、なん
と1か月後には本人が大好きなリンゴゼリーを1つ摂取することができました。
その時の本人の万遍の笑顔は、今でも心に残る場面です。
 その後、肺炎を起こすことなくリハビリの専門病院へ転院され、現在は少しず
つ固形物の経口摂取まで実施できていると伺いました。その後の回復、療養生活
が充実したものであることをお祈りいたします。
 認定看護師や医師、リハビリ科、病棟の看護師チーム一丸となって毎日細やか
な患者さんの観察を行い、リハビリを実施し、患者様の思い、生きがいを大切に
しながら看護提供できる当病棟ならではの事例であったと感じます。
 今回の事例を大切に、今後も日々患者さんに寄り添い、脳疾患を抱えながらで
もその人らしさを大切にし、過ごせるような環境づくり、また看護実践を行って
いきたいと思います。

ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

====================================
             研 修 医 日 記        
====================================

                              研修医2年目
                                                             奥村 由紀

研修医2年目の奥村由紀です。
早くも入職から一年が過ぎ、私も2年目になってしまいました。
ここでは私が医師になってから感じたことを簡単に振り返ってみたいと思います。
医師として働き始めてまず感じたことは、実臨床の現場で必要とされることは、
国家試験の勉強とは全然違うことばかりだということです。患者さんとのコミュ
ニケーションや各処置の準備や手順など、学生の時にはあまり学べていなかった
ことが突然必要になり、研修医になりたての私は毎日戸惑ってばかりでした。初
めての当直ではアセスメントや診断以前に、ストレッチャーの使い方が全然わか
らなくてまごまごしていたのをよく覚えています。そして一年たった今でも、ま
だまだ知らないことばかりだなと感じています。しかし、一年前の何もわからな
かった頃と比べると、この一年間の研修を通じて少しは成長できたのかな、と思
っています。
日々のローテーションでは、意欲があれば診療や手技に積極的に取り組ませてい
ただくことができ、非常に勉強になっています。また空き時間には優秀な同期と
一緒に当直で分からなかった症例などについて一緒に考えたり、時には研修医ル
ームでほっと一息つくこともでき、充実した研修生活を送らせていただいていま
す。改めて、当院で研修ができてよかったなと日々感じています。
最近では、キッチンカーも来るようになり、週3回美味しいご飯も食べることが
できますし、また4月になって一年目の研修医もたくさん来てくれていて、二年
目となる今年の研修もとても楽しみです。
当院の研修が気になった皆さんは、ぜひ一度当院に見学に来てみてください。
お待ちしています!

臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html

************************************************************************
総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
     看護部長 水戸 祥江
編   集:池永 祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
************************************************************************
 令6年度最初のメルマガ、いかがでしたでしょうか?
さわやかな5月の風を感じる日もすぐそこに来ています。
5月のメルマガも楽しみにしてください。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


Back