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メールマガジン「法円坂」No.277 (2024/5/21)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 令和6年5月のメルマガです。風薫るさわやかな季節となりました。ゴールデン
ウイークが終わりましたが、皆さまいかがお過ごしですか。今月初めから猛爆の
ドジャースの大谷翔平選手は休養明けから絶好調で、チームも5連勝。これから
も楽しみですね。
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   メールマガジン「法円坂」No.277 (2024/5/21)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長  松村 泰志
 ・肝胆膵外科科長 就任のご挨拶
 ・熱視線
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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        院長  松村 泰志   松下幸之助さんからの学び
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 春の良い気候となりました、私は、本を読むのが好きで、本屋で通勤中に読む
本を探していた時、ふと「松下幸之助の死生観」というタイトルの川上恒雄さん
が書かれた本が気になり、読んでみることにしました。
 松下幸之助さんは明治27年に生まれ、貧しい家で育ち、小学校を途中で中退し
て丁稚奉公に出て、いろいろなご縁があり電気機器に興味を持つようになり、電
球のソケットを作る会社を作ったところから少しずつ大きくして松下電器産業、
現在のパナソニックを作り上げた人です。平成元年96歳で逝去されました。私が
物心ついたころから、家電製品がどんどん良くなり、それにより生活が変わって
いく様を体験してきました。このころの家電製品には、わくわくするものがあり
ました。この時代を作り出し、牽引してこられたのが松下幸之助さんです。この
本には、松下幸之助さんがどのような思想を持っておられたのか、その起源をた
どることを試み、そのことが書かれていました。松下幸之助さんは、実業家とし
て知られていますが、人材育成にも大変熱心に取り組んだ人だということを知り
ました。昭和21年にPHP研究所を立ち上げ、その活動をされていました。PHPは、
Peace and Happiness through Prosperityの頭文字ですが、この言葉に松下幸之
助さんの思想の骨格が示されているように思います。また、昭和54年には松下政
経塾を立ち上げ、政治家を目指す人たちの指導をされていました。
 私は、そもそも松下幸之助さんの思想を知らなかったので、その起源よりも思
想そのものを知りたいと思い、さらに本屋を探したところ、そのような本はたく
さんありました。その中から「リーダになる人に知ってほしいこと」、「道をひ
らく」の2冊の本を購入しました。「リーダになる人に知ってほしいこと」は、
松下幸之助さんが立ち上げた松下政経塾で松下幸之助さんがお話されていたこと
を記録したものです。私は、今は大阪医療センターのリーダの立場ですから、こ
のタイトルに惹かれました。「道をひらく」は、PHP研究所の機関誌の裏表紙に
記載されていたメッセージから121篇を選んで編集したものです。松下幸之助さ
んの思想を知るには適した本だと思います。
 今、「道をひらく」を手にして読んでいるところですが、どの遍も、とても大
切なことが書かれていると感服しています。昔の聖人がこのようなことを言って
いたという内容ではなく、自分自身で感じておられることを自分の言葉で語って
おられるところに、同じ時代の同じ日本人として生まれた一人の人間として共感
することが多くあります。特に感銘を受けた部分をここで紹介しようと思ったの
ですが、どれもこれもがご紹介したい内容で、ここからベストを選ぶのはとても
難しいと感じます。ですので、たまたま本日読んだ箇所をご紹介します。
「敬う心
 学校の先生を軽んじ、師と仰ぐ気持ちがなかったら、先生も教える張合いがな
いし、生徒も学びが身につかない。社会にとっても大きな損失である。
 やはり聖職の師として先生を敬い、謙虚に師事する姿から、一言一句が身につ
き成長する。
 親を大事にし、上司に敬意をはらう。先輩に礼をつくし、師匠に懸命に仕える。
親や師にたいするだけではない。よき仕事をする人を心から尊敬し、一隅を照ら
す人にも頭を下げる。
 天地自然、この世の中、敬う心があれば、敬うに値するものは無数にある。
 犬や猫には敬う心の働きはない。だが人間には、ものみな、人みなのなかに敬
うべき価値を見出す能力が与えられている。本質として与えられている。その本
質を生かしつつ、敬うべきものを敬うことによって自他ともに心をゆたかにし、
高めることのできるのは人間だけではなかろうか。
 その人間の特性を素直にいかしたい。敬う心を高めて、おたがいのゆたかさを
はかりたい。」
 他にも心を打つ多くのメッセージがあります。是非、お時間がある時に、この
本を読んでいただきたいと思います。

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             肝胆膵外科科長 就任のご挨拶          
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                             肝胆膵外科科長 
                                濵 直樹

 2024年4月1日に新しく肝胆膵外科科長に赴任して参りました濵直樹と申します。
私は1998年に大阪大学を卒業し、大阪大学第二外科に入局いたしました。大阪大
学病院にて1年間、1999年より関西労災病院で3年間の外科初期研修を受けました。
家庭の事情のため2年間実家和歌山の浜病院にて勤務ののち、2004年から大阪大
学大学院において、ラットを用いた肝移植術後拒絶反応に関する研究を行いまし
た。学位取得後は、2008年より兵庫県立西宮病院、2012年から2年間大阪大学医
学部附属病院(助教)、2014年には当院である大阪医療センターにて医員・医長
として勤務し、2020年からは市立池田病院で医療に従事して参りました。そして
この度、4年ぶりに当院で再び勤務することになりました。以前に当院で勤務し
ていた時には、諸先生方のご指導のもと、肝胆膵外科医にとって最重要課題であ
る肝胆膵外科高度技能専門医を取得させていただきました。これからは肝胆膵外
科科長として、大阪医療センターに少しでも恩返ししていけたらと考えておりま
す。
 さて、私が担当する肝胆膵外科では、肝臓癌・胆道癌・膵臓癌といった消化器
疾患の中でもとりわけ生存率の低い難治性の悪性腫瘍に対する手術を行っており
ます。この領域の手術は、解剖学的に非常に複雑な脈管走行の把握が必要で、長
時間手術となることもしばしばあります。根治性を求めることはもちろんですが、
いかに安全に低侵襲かつ確実な手術を行うか、また臓器を切除することによって
生じる臓器機能の低下をいかに最小限にするのか、それらを一人ひとりの患者さ
んの病態に応じて考慮し、最善の医療を提供できるように取り組んでおります。
その一つの手段として、従来の開腹手術より低侵襲手術とされる腹腔鏡下手術や
ロボット支援下手術も導入しております。
 しかしながら、肝胆膵領域の悪性腫瘍に対する手術成績は他の消化器疾患に比
べても不良であり、手術療法だけで治癒できる患者さんはまだまだ少ないのが実
状です。それゆえ、個々の患者さんの治療に際して、消化器内科や放射線科など
の他科と綿密に連携を取りながら、カンファレンスを行って最適な治療方針を検
討しております。
 悪性腫瘍との闘いは困難な道のりであり、不安も多いことかと存じます。病気
を治すことだけでなく、普段の日常を過ごせるように、患者さんの気持ちに寄り
添いながら尽力して参りますので、是非何なりとご相談ください。
 
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                  熱視線          
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                             眼科科長
                                                              大鳥 安正

 『患者目線』、『上から目線』、『カメラ目線』など目線という言い方は一般
的に使用されています。言葉の響きとしては、『しせん』の方が『めせん』より
も私は好きです。安全地帯というロックバンドの楽曲に『熱視線』がありますが、
『抱きしめて、揺れる瞳に、熱い目線つらぬいて』と視線を目線に替えるとしっ
くりきません。視線の方が真っ直ぐで、透き通っている感じがします。視点とい
う言葉もあります。英語では、perspective やpoint of viewなどに訳されます。
なぜか、英語の方が格好よく感じます。
 日本は超高齢化社会の先頭をいく国であり、人生100年時代は現実になってき
ています。『どこも悪くないのですが、目だけが・・・』という高齢者が今後益
々増えてくると思います。視機能を維持することは認知を予防することにもつな
がります。視機能を維持し、可能な限り回復させることが眼科医の役目であり、
生きている間の患者さんの視機能をなんとか維持できるように日々新しい情報を
入手し、技術を磨いております。新しい治療は患者さんにとっては希望になるこ
とも多いと思いますが、100%効く薬も手術もないことは医療の現実です。10年
も経てばそんな治療法もあったねということもあります。すなわち、新しい方法
が必ずしもベストではないと言うことです。情報は常に変化しますが、我々の積
み重ねてきた知識は変わりません。医療は伝承の学問であり、先達が見つけた大
事なことは変わらないのです。
 多くの緑内障患者さんと接していると、それほど見えていないのにいつも笑顔
で人生を楽しく生きておられる方がいる一方で、検査では十分な視機能が残存し
ているのに『見えにくいです、失明しませんか?』と将来の不安を訴えられる方
もおられます。人によって病気の受け入れ方が違うのだなあと感じます。ダイバ
ーシティ(多様性)といわれるように、みんな違ってみんないいのだと思います
が、結局のところ、予測のつかない将来について憂うのではなく、今見えている
ことに幸せを感じている人が幸せなのだと感じます。一人一人の患者さんからの
熱い視線を受けながら、患者さんの視点に立って、自分を信じて、現時点での正
しい事を正しく行い、最後にこの先生に巡り会えて本当によかったと思って頂け
るような医師でありたいと思います。

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                   看護のこころ
                 ~患者と一緒にステップアップする看護~     
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                                    西8階 副看護師長
                               才ノ平 貴子

 美しい桜の季節もあっという間に終わり、暖かい日差しと心地よい風が爽やか
な季節になりました。
 私は看護師になって9年、副看護師長になって半年を迎えました。入職から長
年お世話になった、眼科/腎臓内科病棟から半年前に異動になり、現在は糖尿病
内科/血液内科/感染症内科で新しいことを覚えつつ副看護師長としても日々奮闘
中です。4月に病院全体で多くの新人職員を迎えました。私の病棟には、4名の新
人看護師を迎えました。初めて病棟に来た日には、みんな緊張と不安の表情でし
た。毎日必死でメモを片手に先輩看護師についていく姿を見て、私にもそんな頃
があったと懐かしく、自分の新人時代を振り返っています。
 私の今までの看護師人生の中で、看護をすることの楽しさ、患者さんと一緒に
前に進んでいくことの大切さを感じた場面がありました。
 看護師になって2年目の冬、食事やトイレもベッド上希望でリハビリテーショ
ンもなかなかやる気にならず、ベッド上で過ごす時間が長くなっている患者さん
を担当しました。病状的にはリハビリテーション目的の転院が必要でしたが、本
人の自宅退院の希望が強く調整が全く進んでいない状況でした。私は患者さんと
話し、患者さんの希望している自宅への退院を長期目標として、一緒にリハビリ
テーションや日常動作をできるだけベッドから離れて行う計画を立てる提案をし
ました。そして、患者さんと相談しながら1週間単位で食事、移動、入浴など病
棟で行えるリハビリテーションの方法を決定し、徐々にステップアップできる計
画をたてました。計画と目標は誰が見てもがわかるように、ベッドサイドに手書
きしたものを貼るようにしました。患者さんは少しずつ計画に沿って頑張ってく
れるようになり、ゆっくりでしたが徐々にステップアップすることができました。
 この経験から、私は患者さんと共に目標を共有することの大切さ、そして日々
ステップアップしていく患者さんの回復に看護師として関わることの楽しさを学
びました。多忙な中で目の前の業務に追われ、ゆっくりと患者さんと向き合うこ
とが難しい日々ではありますが、私が考える看護の楽しさを後輩が感じられるよ
うな関わりをできたらいいなと思います。

ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                             研修医2年目
                                                            木村 健太郎

研修医2年目の木村と申します。
5月に入り、病院見学に訪れる見学生が増えてきました。いよいよマッチング試
験が近づいてきているとしみじみと感じます。レジナビも控えていますので、こ
の場を借りて当院の特徴について簡単に紹介させていただきます。

立地:東梅田から谷町線で約10分の谷町四丁目という場所に位置しています。官
公庁やオフィスが多数ある一方で、大阪城や難波宮も目の前にあり、緑が感じら
れる場所でもあります。仕事終わりに大阪城の外周を散歩・ランニングする同期
もいます。

ローテーション:内科・外科ローテが他院より長めです。内科志望系の人は、J-
OSLERで必要な症例をローテート中にそれなりに集められます。外科系志望の人
は、外科ローテ3か月目で耳鼻科、泌尿器科等の一般外科以外の外科系診療科を、
1年目のうちから回れるのが利点だと思います。

働き方:忙しすぎず暇すぎず丁度いい働き方だと思います。働き方改革により、
病院全体として残業を減らす取り組みが進んでおります。有給・リフレッシュ休
暇は23日と十分にあります。また、どの診療科も優しいスタッフが多く、丁寧に
指導していただけます。全体的に働きやすい環境です。

以上、過去にあまり記載がなかった点を主に紹介させていただきました。
気になった方は、ぜひ見学にお越しください。5,6月の見学は遅いのではと懸念
される方もいますが、去年は7月のギリギリまで見学に来ていた人もいた(笑)
ので、まったく問題ありません。お待ちしております。5/26のレジナビの方もど
うぞよろしくお願いします。
                        
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
 
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
     看護部長 水戸 祥江
編   集:池永 祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 来月の今頃は、色とりどりのアジサイが綺麗に花を咲かせてくれるでしょう。
皆さま体調には十分ご留意ください。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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