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メールマガジン「法円坂」No.283 (2024/11/19)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 令和6年11月のメルマガです。今月の1日から年賀はがきも売り出され、早くも
年の瀬が近づいてきました。今年の猛暑の夏が過ぎ、冬はラニーニャ現象発生で
厳しい寒さとなり、春の到来は早くなるとの気象予報です。
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   メールマガジン「法円坂」No.283 (2024/11/19)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院  長  松  村 泰  志
 ・歌舞伎鑑賞から学んだこと
 ・韓国トラベリングフェロー日記
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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                院長  松村 泰志     笑みの持つ力
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 11月半ばとなり、街路樹が色づいてき、落ち葉で道を覆うようになりました。
ようやく秋らしい空気を感じます。
 この一月の間に、私にとって大きなイベントが2つありました。1つは、先月
ご紹介した国立病院総合医学会で大会長を務めたことでした。挨拶や座長等で16
回登壇し、さすがに気を張りました。スタッフの皆さんが良く準備をしてくれて
いましたので、大きなトラブルはなく、無事終了しました。約6300人の参加者が
あり、各会場は大いににぎわっていました。参加者の皆さんから、良い大会だっ
たとお褒めの言葉をいただきました。
 特に、今大会の目玉企画である全員交流会でのN-1グランプリは期待以上の盛
り上がりでした。第一部の「NHO-IPPONグランプリ」では、お題に対して921もの
面白い回答が寄せられ、そこから特に面白い30を選び、当日披露しました。第二
部では、各グループの総括長に登壇いただき、ワインの飲み比べ「NHO-総括長格
付けチェック」を行いました。九州グループの大竹正伸総括長が全問正解で一流
国病職員と認定され、披露された面白い回答30の中から最高に面白い一つを選ん
でもらいました。優勝者は福岡病院診療情報管理士の諸岡義裕さんで、お題「こ
の病院儲かってるなぁ~! どんな病院?」回答「トイレットペーパーがダブル
で香り付き」でした。参加者は大いに笑い、楽しいひと時でした。私からN-1グ
ランプリの終わりの挨拶で、「笑いには力があります。笑いがあれば何でもでき
る。明日からがんばっていきましょう。」と締めくくりました。「心理的安全性
の高い組織づくり」が、この大会のキーワードでしたが、「笑いのある組織づく
り」にしても良かったかなと思いました。このプロジェクトは、企画から広報、
道具作りまで、全てプロジェクトメンバーだけでやっていました。「全員交流会
で参加者の笑いを取る」との難しい課題に対し、前向きに知恵を出し合い議論を
し、それぞれが自分の得意なことで協力をし、互いに感謝し褒め合うことで組織
としての一体感が生まれ、それによって難しい課題に応えていけることをN-1グ
ランプリのプロジェクトメンバーが示してくれました。プロジェクトメンバーの
気合が参加者に伝わり、大いに盛り上がり、笑ってくれました。コンテンツの面
白さに加え、プロジェクトメンバーが、自力で工夫してやり上げたイベントへの
賞賛の気持ちもあったと思います。このイベントは、参加者に元気を与え、前向
きな気持ちにさせてくれたと思います。期待以上の成功に、やり上げたメンバー
の間でも、心からの笑みが溢れていました。
 2つ目のイベントは私の娘の結婚式です。11月3日にコンラッド大阪で挙式・披
露宴をしました。前日の雨からうってかわって良い天気となり、コンラッドの吹
き抜けの窓から大阪市内が見渡せ、夕方にはきれいな夕焼けが見られ、夜になる
と素晴らしい夜景に変わりました。私達夫婦も39年前の同じ日にロイヤルホテル
で結婚・披露宴を挙げましたが、自分達の結婚・披露宴と比べて、やはり時代の
変化を感じました。結婚式は人前結婚式で、新郎新婦のそれぞれの兄弟夫婦が誓
いの言葉を読み上げ、新郎新婦それぞれが宣誓をし、それぞれの親が本人の生い
立ちや親の気持ちを伝える形でした。新郎新婦とその家族が、式に参加していた
だいた皆さんにご挨拶する形となり、本人の生い立ちまで語りますので、参加者
の皆さんに、本人達のことを知っていただくことができ、良い雰囲気の式となり
ました。私達の場合、私の上司の教授ご夫妻で式・披露宴で仲人をしていただき、
私の職場の上司、仕事仲間を招待しての結婚・披露宴でした。娘の結婚・披露宴
では仲人は立てず、これまで歩んできたなかでお世話になった方々、友人をお招
きしていました。娘は小学校から高校まで大阪教育大附属の学校でしたので穏や
かな学校生活を楽しんでおりましたが、いよいよ進路を決める段階となって医学
部に行くと言い出したころから厳しい試練を味わうようになりました。なかなか
良い結婚相手に巡り合えなかったことでも随分と苦労していました。子供が好き
で子供を助ける医師になりたいと小児科への道に進み、専門医を取得するなどが
んばっています。娘は辛いことがあっても引きずらずに元気に朗らかに試練を乗
り越えていきました。友人の紹介で、新郎の男性と出会いました。脳神経外科医
を志望し、後期研修先に若手でも手術をさせてもらえる関東の病院を選び、将来
アメリカ留学をしたいとアメリカの医師国家試験ECFMGを取得する等、まじめな
努力家です。披露宴では、新郎は、心が折れそうな時に娘が優しく励ましてくれ
たと打ち明け「家族になろうよ」を、ギターを弾きながら歌ってくれました。娘
に感謝する気持ち、思いやる気持ちが伝わってきました。娘の友人は、同じよう
な境遇で、自分で苦労を背負いながら力強く乗り越えていく人たちばかりです。
お互いに慰さめ合い、励まし合ってきたようです。友人から、心からおめでとう
と祝福を受け、涙を浮かべている人もいました。娘は、自分を応援してくれた人
達、祝福してくれる人達に、ありがとうと朗らかな笑みで応えていました。本当
に祝福された結婚・披露宴でした。高校まで絵にかいたような優等生だった娘が、
数々の試練を乗り越えて医師になり妻になって、こうして私達家族、友人や先輩
らに朗らかな笑みで応えてくれる姿を見て、大人になった娘を頼もしく思い、こ
れからの二人の人生の門出を安心して祝う気持ちとなりました。

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                歌舞伎鑑賞から学んだこと         
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                                              消化器内科 医長
                              長谷川 裕子 

 私は、先月、大阪の松竹座に歌舞伎を鑑賞しにいきました。生演奏での太鼓、
笛、三味線の演奏ととともに迫力のある足拍子を体感し、ダイナミックな舞が舞
台の上で披露されました。刻一刻と変わる演者の表情、手の先、足の先までに至
る細かい緊張感のある動作や「にらみ」等、様々な表現を通じて、演者の内部か
ら生じるダイナミックなエネルギーで舞台と観覧席が一つに包まれる感覚を体感
することができました。「にらみ」は邪気払いの効果があると言われ、神性を帯
びた表現法です。たった一人の人間が行う表現ではありますが、この神秘的なエ
ネルギーを纏う表現法は、ヒトからヒトへしか継承していくことができないもの
であり、後世に渡っても大事に伝えていってほしいと思いました。
 医療現場においても、多くの生命の神秘を目の当たりするなかで、科学的には
証明できない人間の生命力を支えるエネルギーというものを、時折、体感するこ
とがあります。医療現場における人間同士の信頼関係のもとに生まれたささやか
な言葉や表情、これらに共感することによって、より一層、そのエネルギーは増
幅され、時には、人の命にも影響を与えることがあるということを実感させられ
るような出来事を、多く目にしてきました。
 近年、急速にデジタル化が進み、医療現場においてもAI技術が導入され、より
質と精度の高い医療を提供することが可能になっています。一方で、人間にしか
できない倫理的かつ総合的な判断や人と人とのコミュニケーションは、より一層、
丁寧に行うことが求められているのではないかと感じています。共感力は、コミ
ュニケーションの質の向上につながるといわれており、デジタル化が進む昨今、
注目されつつあります。共感力により、コミュニケーションが円滑なることで、
職場でのチームワークは、一層強化され、それにより、創造的なアイデアが生ま
れ、それが充実した医療提供にもつながります。
 伝統芸能と同じく、医療現場においても、ヒトからヒトへしか継承できないも
のを、今後も大切にしていきたいと思います。AI技術との共存で成り立つ遠隔医
療や予防医療、個別化医療の発展を願うとともに、より一層、ヒトとして、医療
者として自分ができることを考えながら、仕事に従事するとともに、共感力を育
みながら、ヒトからヒトへしか継承できない諸先輩の方々から引き継いだ大切な
ものを後輩へと継承し、医療の質を高めていきたいと思いました。

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              韓国トラベリングフェロー日記         
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                                  整形外科 医長
                                                           有光 小百合

 10月30日から11月6日までの8日間、日本手外科学会と韓国手外科学会間の
Exchange Traveling Fellowとして韓国に行ってまいりました。
 期間中は韓国手外科学会で発表するほか、4箇所の病院をまわって手術見学や
手洗い、ディスカッション、大学や病院内の見学をしました。夜は夕食会が催さ
れ韓国グルメをいただきました。訪問したのはSumsung Hospital、 Chung-Ang
University 、Eunpyeong St. Mary’s Hospital、Korea Universityの4箇所です
べてソウルにありました。施設はリクエストできるので、手関節鏡手術をはじめ
手外科手術に特化した施設を希望しました。
 皆様の韓国のイメージはどういったものでしょうか。K-POP、韓流ドラマ、コ
スメ、美容整形、LINEなどアジアを席巻する魅力的なイメージがあると思います。
一方で教育をはじめ競争が激しく、向上心に溢れ、努力を怠らない、合理性を重
んじる国民性であり、実際手術場では本当に驚くことばかりでした。まず動きが
早い。医師の技術はとても洗練されていますし、何よりテンポの良い無駄のない
手術運びをしていました。サージカルアシスタントとよばれる、各手術に精通し
た特定の看護師と一緒に手術をしていたのですが、レジデントと見分けがつかな
いほどに教育されていました。韓国では今研修医、レジデントの大半が自分たち
の権利を守るべくストライキを起こしていて、実務上必要に迫られてというのも
あるのだと思いますが、約5年前から教育は始まっているとのことでした。当院
にもJNPさんがおられ即戦力、実践力として働かれていますが、手術場にもそう
いった方がおられるのは大変新鮮でした。レジデントの動きも本当に素早く、冗
談ではなく2倍速の動画を観ているかのようでした。一人ひとりの精度を高める
努力と皆の協力で手術をクオリティー高く早く仕上げるその姿は想像を遥かに超
えていて、背筋が伸びる思いでした。
 食事はやっぱり焼き肉がピカイチで、脂身の少ない赤身の柔らかいお肉とネギ
の付け合せがとても美味しかったです。締めはラーメンなのですが、流行りの辛
ラーメンのようにインスタント麺なんです。日本で広がればなあとジャンクフー
ド好きの私は思ったものです。
 以上筆のすすむままに書いてしまいました。ふらっと訪れても魅力的な韓国で
すが、洗練された手術場を肌身で感じたのでご報告いたします。この度は貴重な
執筆の機会をいただきましてありがとうございました。

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                   看護のこころ
                          支え合うことの大切さ     
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                        救命救急センターICU 副看護師長
                                渡邊 由紀

 長く続く残暑もようやく落ち着き、秋の深まりから朝晩めっきり寒くなって参
りました。インフルエンザなど感染症が流行する時期でもありますので、うがい
・手洗いを心がけて体調を崩さぬようお過ごしください。
 私は集中治療室や一般病棟での勤務を経験後、令和3年から2年間はDMAT部門を
担当していましたが、昨年度から救命救急センターでの勤務となりました。異動
の辞令を聞いたときは患者さんや家族の方と関わることができる喜びの半面と、
安全・安楽な看護が提供できるか副看護師長として役割を発揮できるかなど不安
も沢山ありました。病棟に戻るにあたりロッカーに片づけていた看護師の7つ道
具を再び白衣のポケットに収納しました。その中の1つに私の不安をかき消して
勇気と元気を与えてくれる大切な宝物がありました。
 私が看護師6年目で東京の病院から大阪医療センターの救命救急センターに就
職したとき、慣れない環境に今まで経験していたことも上手くできず自信を失く
し、精神的にも肉体的にも辛い日々を過ごしていました。そんなとき10代の女性
で交通事故により入院された患者さんを担当しました。入院当初から人工呼吸器
を装着していたため、スタッフ一同早期離脱を目指し合併症予防として体位ドレ
ナージや気道クリアランスを図り長期化することなく無事に呼吸器を離脱するこ
とができました。その後は骨折や処置に対する痛みや不安が強かったため、体位
の調整やマッサージにより痛みの緩和を図ったり、処置の時には手を握ったり安
心して臨めるような関わりを行いました。一般病棟に転棟する日に「これあげる。
今までありがとう。さみしかったときも辛かったときも看護師さんがいたから頑
張れた。これからリハビリ頑張って早く退院して勉強がんばる。」と食べていた
お菓子についていたおまけのキーホルダーを私に渡してくれました。看護師とし
て自信を失くし看護の喜びを忘れかけていた私にとって、患者さんは何気なく渡
してくれた物だと思いますが、すごく嬉しくこれからも頑張ってとエールを送っ
てくれたように感じ、心から「ありがとう。」と伝えました。キーホルダーを看
護師の7つ道具の1つであるハサミにつけて見せると「お菓子のおまけをつけて
くれるなんて。」と患者さんの笑いながらも嬉しそうな顔が今でも忘れられませ
ん。あれから18年が経ちますが今でもあのキーホルダーはハサミにぶら下がって、
看護師として自信を失くしたり、不安を感じたりしたとき私に勇気をくれます。
 人は常に誰かに支えられているのだと感じます。患者さんは入院することで様
々な不安を抱き、疾患によっては今までできていたことができなくなり自信を失
われる方も多くいます。私が患者さんに支えられたように私達の看護で不安や苦
痛を軽減し安心して入院生活が送られるよう、これからも心に寄り添いながら患
者さんや家族さんとの出会いを大切に支える看護を行っていきたいと思います。

ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                              研修医2年目
                                                             瀬戸 裕貴

研修医2年目の瀬戸と申します。
11月に入り、そろそろ見学を考えている人もたくさんいるのではないでしょうか。
そんな方々に「あいうえお作文」を送ります。

コんなにバランスのいい病院はない
クらしには困らない給料
リっちもとても良く
オいしいご飯屋さんがたくさん
オばあちゃんの家のようだがそれもまた味わい
サわやかな緑と日中の青空
カん動的な夜の大阪城に囲まれ
イい同期にも恵まれ
リョウ心的な指導体制
センせいも優しく
ターのしい研修生活を送れる

こんな病院はいかがですか?拙い作文では伝わらないので是非見学に来てくださいね!
                    
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
 
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
     看護部長 水戸 祥江
編   集:池永 祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 来月の今頃は、まさに年の瀬。街は色とりどりのイルミネーションがきらめき、
クリスマス一色に染まっているでしょう。これから寒さも厳しくなってくる頃で
すので、皆様お身体おいといください。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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