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メールマガジン「法円坂」No.293 (2025/9/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今年は、例年以上に厳しい残暑が続きましたが、ようやく朝晩は過ごしやすく
なってまいりました。また、今年は『大阪・関西万博』の開催年でもあります。
暑さや混雑に負けず、残り少ない万博を楽しむとともに、今月のメルマガもどう
ぞお楽しみください。
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メールマガジン「法円坂」No.293 (2025/9/16)
(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
・院 長 松 村 泰 志
・ピ ア サ ポ ー ト の 重 要 性
・就 任 の ご 挨 拶
・看 護 の こ こ ろ
・研 修 医 日 記
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院長 松村 泰志 万博を訪れて
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9月となり暑さが少し和らいできました。ただ、例年と比べると、まだ、暑い
日が続きます。今年の夏の異常気象で気づいたのですが、虫の鳴き声だけは、例
年の暦どおりに鳴いています。9月になるとコオロギ、ツクツクボーシを始め、
秋の虫達が一斉に鳴き出し、秋らしさを演出してくれています。
大阪万博は、今年の4月13日にスタートし、早いもので5か月が経ち、あと一月
となってしまいました。せっかく大阪で開催される万博なので、一度は行ってお
きたいと思っていたのですが、春は気ぜわしくてその気にならず、7月からは暑
くなってしまい気持ちが遠のいていました。9月になってここで行かないと行く
チャンスを逸すると思い、8月の夏休みの時から9月のこの連休の間に万博に行く
と決め、準備をし、9月13日に無事行ってきました。今回はその報告をしたいと
思います。
私と同じように思っている人は多いようで、9月になって一層万博会場に多く
の人が訪れるようになりました。ニュースでもかなり混雑している様子が報道さ
れていて、事前に予約をとっておかないとパビリオンに入れないと聞いていまし
た。幸い、家内の友達で万博が大好きで、40回以上も行っているという人がおら
れたので、お願いして同行してもらうことにしました。私達との同行が50回目と
なると、喜んで引き受けてくれました。そのことを娘に話すと、是非一度は行っ
てみたいと言い出し、一緒に行くことになりました。娘は妊娠しており、これま
では体調も不安定でしたが、9月になって安定期に入り、何とかなりそうとのこ
とでした。私と家内だけであれば、娘も行く気になれなかったようですが、心強
い家内の友人が同行してくれることで行く気になったようです。この方には本当
にお世話になりました。幸い、飯田グループ×大阪公立大学共同出展館に4人と
も予約が取れました。まず、入場することが大変と聞いていましたが、家内の友
人は尼崎駐車場に車で行ってバスで移動するための予約をとってくれていて、入
場、帰宅で並ぶ必要はありませんでした。また、妊婦が同行者に居ると優先して
もらえるパビリオンがありましたので、そこに2つほど入りました。昼食は、飯
田グループ×大阪公立大学共同出展館にレストランがありましたので、休憩も兼
ねてそこでゆっくりと昼食を取り、大屋根リングを体感し、最後は、花火と水上
ショーを見て帰りました。家内の友人のおかげで、さほど疲れることもなく、十
分に万博の雰囲気を味わうことができました。
私の世代はExpo70に行った記憶があります。この時のテーマは「人類の進歩と
調和」とされ、熱気に溢れた大イベントでした。日本に平和が訪れて、経済成長
の真最中の時代でした。一方で公害が問題となっていました。ただひたすら進歩
すれば良いというものではなく、調和しながら進歩することが大事だとのメッセ
ージは、今思い返しても良いテーマであったと思います。今回の万博のテーマは
「いのち輝く未来社会のデザイン」です。1970年からの55年を振り返ると、技術
的にはこの頃に想像していた以上の進歩があったように感じますが、一方で、地
球温暖化、マイクロプラスチックの問題が深刻となっています。こうした問題が
未来に起こるとは1970年代に予想していた人はほとんどいなかったと思います。
また、社会的には、貧富の差が益々大きくなってきていて、社会の分断が起こり
始めていること、社会主義国家が殆ど当初のイデオロギーから外れて権威主義国
家となり、自分達の都合の良いように平気でうそを言って人々を制圧し、近隣の
国を破壊している様も悲しい現実です。「いのち輝く」と何よりも人々の命を守
り、それぞれが安心して暮らし、輝いて生きていける世界にしていこうと世界に
対して呼びかけたのは良かったと思います。
私は、学生時代に初めてパソコンを見て、コンピュータは医療を変える技術に
なるのではないかと思い、医学の勉強に加えてコンピュータサイエンスのことも
学んできたのですが、その予想は当たっていました。私が大学で勤務していた頃、
その領域の専門家としてSociety5,0やAIの医療応用の事業に参画していましたの
で、今回の万博で、その時に議論していたことが一般の人々に共有され、共感を
得ている様を見てうれしく思いました。大学時代に関西経団連の会議に招かれた
ことがあり、そこでヘルスケアが大きく取り上げられていたことに驚きを感じま
した。それまで経済界の人達は、車やロケット、ロボット、エネルギーといった
ことに関心があり、ヘルスケアはメインの関心事ではないと思っていたのです。
ところが、今に至っても、ヘルスケアやウェルビーイングなどのキーワードが語
られることが益々多くなってきている印象です。この流れが、今回の万博にも繋
がってきていると思います。私達が関わっている医療は、これまでは社会の裏方
的存在と思ってきましたが、今は、社会の表舞台に引っ張り出されているように
感じます。コロナ禍の社会の混乱は、私達にはつらい経験でしたが、これを経験
したことで、医療は社会の重要なインフラの一つだと認識されるようになったの
は私達にとっては良かったと思います。
今回の万博は、Expo70の時のような盛り上がり方はしないだろうと思っていた
のですが、ふたを開けると大盛況です。おかげで、あまりパビリオンの中には入
れませんでしたが、参加している人達の熱量を感じることができました。良い思
い出になったねと、家内と娘と大満足でした。
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ピアサポートの重要性
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糖尿病・内分泌内科科長
加藤 研
糖尿病・内分泌内科科長の加藤研と申します。
メールマガジンへの投稿は久しぶりとなります。以前は、日本糖尿病協会のイベ
ントである「ホノルルマラソン&ウォーク」への医療従事者としての随行につい
て投稿した記憶がございます。
現在も私の医師としての考えは変わらず、病気を持つ方に寄り添い、さまざま
な患者向けイベントに参加することを大切にしております。そのため、当科に所
属している医師のほぼ全員が、1型糖尿病キャンプや大阪糖尿病ウォークラリー
をはじめとしたボランティア活動や、その他の病気を持つ方向けプログラムに積
極的に参加しています。
病気を持つ方に真に寄り添うことは決して容易ではありません。特に1型糖尿
病を持つ若年の方の中には、「インスリン注射を経験していない医療従事者には、
自分の本当の気持ちはわからない」と訴えることもあります。そのようなときに
医療従事者が果たすべき役割は、「私たちは同じような1型糖尿病の方々を数多
く診療してきた経験があり、その知識や経験が必ずあなたの力になる」というメ
ッセージをしっかりと伝えることだと考えています。
それでも「やはり気持ちは理解してもらえない」と感じる方には、ピアサポー
トを受けていただくことも一つの選択肢です。ピアサポートとは、同じような立
場や境遇、経験を持つ者同士が支え合う取り組みです。「ピア(peer)」は仲間
・対等・同輩を意味し、「サポート(support)」は援助を意味します。同じ糖
尿病を持つ仲間(ピア)によって行われるピアグループカウンセリングが、血糖
マネージメントやQOL(生活の質)の改善に有効であるという報告もあります。
幸い、私は13歳で1型糖尿病を発症した患者でもあり、同じ病気を持つ立場か
らアドバイスをすることが可能です。また、当院には私以外にも1型糖尿病を持
つ医師が2名在籍しており、1型糖尿病を持つ方への支援体制は非常に手厚いと自
負しております。糖尿病の中でも重症とされる1型糖尿病を診ることができる医
療体制を整えていることは、総合病院の糖尿病・内分泌内科として非常に重要な
ことだと考えています。
最後に一つお知らせとなりますが、2025年11月15日には、当院にて「第65回法
円坂地域医療フォーラム(医療従事者対象)」を開催予定です。今回は、元プロ
野球選手でありご自身も1型糖尿病を持つ岩田稔さんをゲストにお招きし、「や
らな、しゃーない!~1型糖尿病だからできたこと~」という演題でご講演いた
だく予定です。岩田さんの実体験を通じて、ご参加いただいた方が1型糖尿病に
対する正しい知識を深め、より共感的な支援を行えるようになることを期待して
おります。
今後とも、当院 糖尿病・内分泌内科をどうぞよろしくお願い申し上げます。
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就任のご挨拶
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薬剤部長
河合 実
4月1日付けで大阪刀根山刀根山センターより、配置換で参りました河合実(か
わいみのる)です。当院での勤務は平成4年4月から非常勤薬剤師として4年6か月、
平成12年12月から薬剤師、主任薬剤師として13年4か月と今回で3回目となり、薬
剤師人生の約6割を当院で過ごさせていただくことになります。薬剤師としては
じめて小児科病棟で服薬指導をさせて頂き、その後いくつかの病棟、感染対策チ
ーム、医療情報委員会で多くの勉強をさせて頂きました。その経験を活かし、薬
剤師が安全で良質かつ適正な医療の提供に貢献できるよう努めていきたいと思い
ますのでどうぞよろしくお願いいたします。
さて、このメールマガジンについて平尾副院長からご連絡を頂いた際、「趣味
は何ですか?趣味について書いてください。」とのお言葉を頂きました。とっさ
にお答えしたのは楽器演奏でした。幼稚園の頃、姉に連れられ、鼓笛隊に参加し
たのが始まりです。まだ幼かったので、木管楽器の横笛からはじまり、ピッコロ
を演奏していました。ピッコロはフルートの仲間の木管楽器で、フルートより1
オクターブ高い音域を演奏することができ、煌びやかでかわいらしい音色を奏で
ます。しかし、なかなかきれいな音を奏でるにはかなりの時間を要しました。オ
ーケストラや吹奏楽では、メロディや装飾音として際立ち、華やかな緊張感を演
出する役割を担います。構造はフルートとほぼ同じですが、サイズはフルートの
約半分(約35cm)と小型なため息の量も少なく扱いやすい楽器でした。材質は
木製、金属製、ABS樹脂など様々な材質で作られており、材質によって音色が異
なります。木製は柔らかな音色と豊かな響きが特徴で、オーケストラに調和しや
すくグラナディラ材がよく使われているそうです。金属製は木製に比べて音色が
鋭くなり銀製は豊かな響き、白銅製は硬めながら音抜けの良い響きが特徴のよう
です。ピッコロの楽曲としてはベートーヴェンの「交響曲第9番」第4楽章や、
モーツァルトの「トルコ行進曲」や「きらきら星変奏曲」があります。今でもそ
の曲を耳にすると懐かしく思う時があります。
中学になると洋楽を聞くようになりピアノとクラシックギターを習うようにな
りました。友達とサイモン&ガーファンクルやビートルズのコピーをするように
なり、高校、大学では気の合う仲間とコピーバンドを結成し、活動していました
が、現在は娘のピアノ演奏を聴いていると心動かされるものがあり、仕事が一段
落し、第二の人生の楽しみとしておじさんバンドをしてみたいと思いピアノを練
習する日々です。以上、取り留めのない話にお付き合いいただき有難うございま
した。
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看護のこころ
~周術期看護のこころ~
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手術室 副看護師長/特定看護師
松井 紀世美
残暑厳しい折いかがお過ごしでしょうか。立秋とは名のみの厳しい残暑ですが、
私はさつま芋や栗が大好物なので、食欲の秋が早く来ないか待ち遠しいです。
私は現在手術室で副看護師長と特定看護師として勤務しています。私の経歴で
すが、手術室通算15年、ICU2年、術中麻酔特定看護師として2年目となり、看護
師経験のすべてを周術期に携わらせていただいております。周術期とは、手術が
決定した時点から手術の前後を含めた期間のことをいいます。今回はその「周術
期の看護」について、私がこれまでに経験した患者さんとのエピソードを交えて
お話をさせていただこうと思います。
周術期の看護とは、手術から回復するまでのプロセスに関わる看護と定義され
ています。そして手術室の看護師は、手術中を中心として、周術期に安全・安心
な看護を提供する役割と責任があります。手術が決まった患者さんの心の中には、
麻酔は効くだろうか、病理検査の結果はどうだろうか、手術は無事に終わるだろ
うか、とさまざまな不安が押し寄せています。「自分はまな板の上の鯉です」と
仰る方もいました。そんな中で、最も多く聞かれるのは手術による痛みに対する
不安です。当院では、術後疼痛管理チームが手術後の痛みを管理する活動を行っ
ています。このチームは麻酔科医師・薬剤師・手術室看護師など手術に関わる主
要なメンバーで構成され、痛みによる合併症を予防して術後の入院生活を快適に
送っていただくことを目的に活動しています。
40代男性のAさんは膵腫瘍で手術を行う予定でした。術前にお話しを伺うと、
「手術の後ってやっぱり痛いのでしょうか。ドレーンとか傷も怖いから見たくな
い。昔から痛みに弱いからとても怖いです。」と痛みに対しての不安を強く訴え
ていました。「それだけの大きな手術をしてお腹に傷をつくるので傷や臓器から
くる痛みは伴います。しかし、痛みを我慢する必要は全くないです。背中から入
れる管(硬膜外麻酔)やほかにも同時に使える鎮痛薬があるので、うまくコント
ロールしながら痛みをとっていきます。安心して手術室に来てくださいね。」と
お伝えしました。Aさんは安心された様子で、翌日手術を受けることができ、術
後は強い痛みや合併症を起こすことなく、順調に回復し無事に退院されました。
術後の適切な鎮痛管理は、回復を早め、合併症を防ぐために非常に重要です。私
は痛みが怖いという思いを知り、そのこころに寄り添い、不安を和らげる言葉を
かけることが「周術期のこころ」だと思います。
私たち周術期の看護師は、手術を受ける患者の不安を理解すること、そのここ
ろに寄り添うことが大きな役割です。安心して手術に臨めるよう、「周術期看護
のこころ」を胸にこれからも職務を全うしていきたいと思います。
季節の変わり目、体調を崩さぬようにどうぞご自愛くださいませ。
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html
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研 修 医 日 記
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研修医2年目
田中 佑実
はじめまして。初期研修医2年目の田中佑実と申します。早いもので入職から1
年半が経ち、研修医生活も終盤にさしかかってきました。
研修病院を探されている医学生の皆さんにとって、やはり気になるのは研修医
の雰囲気だと思うので、今回はその部分を少しお伝えできればと思います。当院
は研修医1年目15人(大阪大学とのたすきがけ3人)、研修医2年目13人の計28人が
在籍しています。見学の際に女子の人数についてよく質問を受けますが、私たち
の代は女子4人で、前後の学年もほぼ同様の男女比です。働くうえで特に困るこ
とはない人数だと思います。出身大学は大阪大学がやや多めではありますが、地
域や国公立・私立を問わず様々な人がいて、年齢も再受験や多浪などバラバラで
す。学年によって雰囲気は多少異なりますが、穏やかな性格の人が多く、どんな
人でも馴染みやすい環境だと思います。
当院の研修医の特徴を一言で表すのは難しいですが、同期と話していると将来
のビジョンをしっかりと持っている人が多いと感じます。勉強熱心で優秀な同期
が多いですが、志望科に対する思いは特に強い人が多く、2年目のこの時期にな
ると各々の机に来年から進む科の参考書が並び始めます。私の隣の机では、心臓
血管外科志望の同期が常に糸結びと縫合の練習をしていて、そのひたむきな努力
に刺激を受ける日々です。
たくさんの病院がある中で、どこの病院がよいのか決めかねている方も多いと
思いますが、ぜひ一度見学に来ていただき、当院の良さを感じてもらえればと思
います。
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
看護部長 水戸 祥江
編 集:池永 祐子
発 行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
(〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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秋の虫の音が聞こえ、少しずつ秋の気配を感じる頃となりました。季節の変わ
り目は体調を崩しやすい時期でもありますので、皆さま、どうぞご自愛ください。
408-osaka@mail.hosp.go.jp
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