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メールマガジン「法円坂」No.296 (2025/12/19)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 今年も残すところわずかとなりました。年を重ねるごとに月日の流れが早く感
じられ、2025年もあっという間に過ぎてしまいそうです。年の瀬の慌ただしい時
期ではありますが、どうぞひと息つきながら、大阪医療センターメルマガをお楽
しみください。
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   メールマガジン「法円坂」No.296 (2025/12/19)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院  長  松  村 泰  志
 ・退 任 の ご 挨 拶
 ・ラ ー メ ン 外 来
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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             院長  松村 泰志   2025年を振り返って
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 いよいよ今年も年の瀬となりました。ついこの間まで暑い暑いと言っていたの
に、今は、すっかり冬らしく寒くなり、街はクリスマスのイルミネーションで華
やいでいます。今回は、今年最後のメールマガジンですので、この1年を振り返
ってみたいと思います。
 まず、大阪医療センターのことですが、経営的に苦しかった年というのが今年
の印象です。経営は年度単位で見ていきますが、昨年度は、過去最高の収益であ
りながら費用が膨らみ、赤字額も過去最大となり、院長としては頭を抱える状況
でした。今年も、その流れを引き継いで始まっています。ただ、他の病院の経営
状態が公表されるようになり、過去最大の赤字を計上したのは私達の病院だけで
はなく、多くの急性期病院で同じ状況であったことが分かり、幾分か気持ちは落
ち着きました。このままの状態が継続すると医療崩壊になるとの危機意識が共有
され、政府を動かし、今年の補正予算で幾分かの補助が出るもようであること、
来年度の診療報酬は、物価高、人件費高に対応した診療報酬が設定されるであろ
うことが報道され、希望が持てるようになりました。診療報酬が不適切なために
赤字になる部分はあきらめて、当院が更に努力すべき点にフォーカスして取り組
みました。一つは、二次救急(ER)の応需率を上げたことです。これまで総合診
療部と救命のER部門の合同で取り組んでいたために複雑になっていたところを、
救命のER部門に集約させてシンプルな体制としました。それ以外にも様々な取り
組みを行ってきました。一昨年度は救急搬送患者数が5600人であったところ、昨
年度は6600人となり、今年は7600人を超えると思われ、着実に成果が出ています。
また新しい試みとして、東京医療センターで学びました病棟単位で病院をマネー
ジメントする方法を取り入れました。院長と看護部長で毎週、病棟を訪問し、各
病棟の看護師長と担当病棟のマネージメントのことで話しをする機会を作りまし
た。また、病棟主任医師を任命し、看護師長とともに、病棟運営の観点で調整役
を担っていただくことにしました。更に毎月の経営評価会では、2病棟ずつ、そ
の病棟の現状と課題について、病棟主任の支援のもと看護師長にプレゼンテーシ
ョンしてもらうようにしました。病棟ラウンドをするようになった当初は、医師
と看護師のコミュニケーションが十分とれていないと思われるところがあり、医
局会等でコミュニケーションを取ることの重要性を説くなどしましたところ、最
近では、どの病棟でも、コミュニケーション不足が問題になることはなくなりま
した。こうしたことの効果なのか、病床稼働率が徐々に上がってきています。今
年は、経営的に厳しい中にあって、こうした改善に向けた取り組みに職員がしっ
かり応えてくれたことをうれしく思っています。
 つい先日の12月14日にかなり大規模な災害訓練を実施しました。大阪医療セン
ターは、災害拠点病院ですので、災害訓練を実施しないといけません。コロナ禍
の時には、規模を縮小した形で実施していましたが、コロナ禍後から規模を徐々
に大きくしてきました。今回は、他の医療機関にも参加いただき、病院間の患者
搬送の訓練も含め、かなり大規模の訓練を実施しました。本部に加え、トリアー
ジエリア、赤、黄、緑の診療エリア、指揮所を設置し、それぞれに人を配置し、
そのエリアでの動き方を訓練しました。私は、本部長として本部の動き方につい
て訓練を受けていたのですが、次々と課題が投げかけられ、指示を出したり、対
応すべき課題を整理したりするなど、なかなか大変でした。ただ、毎年訓練をし
ているおかげで、昨年度よりは慣れてきたように思います。また、災害訓練で見
えてくる課題は沢山あり、継続して検討を重ねていくことが重要です。災害訓練
をすると、否応が無しに災害のことを考えますが、そのこと自身が重要なのだと
思います。「備えあれば憂いなし」とまでは言えませんが、災害が発生したら直
ぐに動き出せるように気持ちをスタンバイさせておくことが大切です。
 さて、プライベートについてこの1年を振り返りますと、今年の出来事で何と
いっても大きかったのは、2人目の孫が生まれたことです。また、昨年結婚した
娘も妊娠し、来年早々に3人目の孫が生まれる予定です。かわいい孫が増えてく
れるのは、何よりも楽しみでうれしいことです。
 病院で勤めていますと、多くの患者さんの情報が耳に入ってきます。若い頃は、
患者さんの年齢層が自分よりも随分と上だったため、患者さんを客体としてのみ
見ていたように思います。ところが最近では、私より若い人が難しい病気で入院
されており、患者さんに自分を重ねて見るようになりました。この一年、健やか
に過ごせたことが、この上なく有り難いことだと感じています。
 来年は、病院においては、経営的に立ち直り、更なる発展の年にしたいと思い
ます。当院では、病院建て替えが大きな課題なのですが、この準備を更に前に進
めたいと思います。また、当院の病院情報システムが7年目を迎え、いよいよ更
新が必要な時期となりました。現在、どのようなシステムに更新していくかの計
画を練っているところで、来年にはベンダーと契約を結び、更新事業を進めてい
く予定です。私は前職の専門のこともあり、医療DXをテーマとした講演を頼まれ
ることが多いのですが、いよいよ自分の病院で実践すべきタイミングです。私の
前職での経験を生かして、当院での病院DXを推進したいと考えています。
 来年は、私と私の家族、私の周りの人達、そして読者の皆さんが、健やかで幸
いの多い年であることを祈っております。

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                   退職のご挨拶 
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          入院診療部長、整形外科科長、リハビリテーション科科長
                                                              三木  秀宣
  
  この度、私こと三木秀宣は、一身上の都合により、令和7年12月31日をもちま
して大阪医療センターを退職する運びとなりました。これまで診療を通じて、多
くの患者さんや医療関係者の皆様に温かいご支援とご信頼を賜り、心より御礼申
し上げます。
  私は先ず平成6年から2年間、レジデントとして当院にお世話になりました。股
関節外科を志すきっかけとなったのもその研修中のことです。また、忘れもしな
い平成7年1月7日、当直の早朝に阪神淡路大震災が発生しました。病院のエレベ
ーターがすべて停止し、病棟に駆けつけて安全確認を行い、1階に降りて戻れな
くなっていた患者さんたちを、皆で協力して車いすごと階段で東6階の整形外科
病棟に運び上げました。その後、医局で見た阪神高速が横倒しになった映像は、
今でも鮮明に記憶に残っています。
  その後、大学等を経て平成18年に再び当院に赴任し、今日まで19年半にわたり
股関節外科の診療に従事してまいりました。当時は人工股関節手術の合併症であ
る脱臼が多く、患者さんへの動作制限が行われていました。我々は患者さんの活
動を制限することなく脱臼という合併症を減らせないかという思いで、コンピュ
ータ支援手術であるナビゲーションやロボット手術を導入し、さらに手術アプロ
ーチを脱臼抑制効果の高い前方系アプローチに変更するなど改良を重ねてきまし
た。その結果、最近では脱臼という合併症をほぼ経験しなくなりました。また、
平成2年から整形外科科長、入院診療部長を拝命し、整形外科部門のとりまとめ
や病院運営にどのように貢献できるか、日々思案してまいりました。とりわけ、
就任早々コロナ禍となり、恐怖の中にある患者さんや職員を守りつつ診療を継続
しなければならないという、未曽有の経験をさせていただきました。コロナ禍が
なんとか落ち着いた今となっては、とても思い出深い出来事となりました。
  計21年半、医師生活35年の三分の二を過ごしてきた思い出の詰まった大阪医療
センターですが、様々な限界を感じ、世代交代の必要性を痛感し、退職を決意い
たしました。今後は川西市の第二協立病院に籍を置き、回復期の整形外科診療や
後輩の手術のお手伝いをさせていただく予定です。ここで培った経験を糧に、新
たな道へ進み、今後も医療人として研鑽を重ねてまいります。
  皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

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                ラーメン外来             
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                             整形外科 
                               橋本 佳周

 2025年4月より人工関節センター長を拝命いたしました橋本佳周と申します。
主に人工股関節手術に特化した診療を行っております。私の外来には、股関節に
悩まされた患者さんが、手術を決心してこられますが、隣の診察室の後輩にはラ
ーメン外来と呼ばれています。
 最近は、ネットなどに、「アプローチは前から切るのが一番よい」「仰向けの
手術が最適」「ロボットを使うのがよい」など、独断的で絶対的な表現がみられ
ます。そうした情報をご覧になったのか、患者さんご自身が、様々なメディアか
ら、手術に関する情報を検索して、具体的なご希望をもってこられることも増え
てきました。
 しかし、そのご希望が、確実に、ご自身の利益につながるかというと、必ずし
もそうではありません。その情報が、ご自身にとって有用かどうか、見極め判断
する必要がありますが、それは、専門的医学知識のない患者さんにはとても難し
いことです。
 みなさん、ラーメンはお好きでしょうか?醤油、塩、味噌に、とんこつラーメ
ン。太麺、細麺、ちぢれ麵、ストレート麺。試行錯誤の結果、お店のご主人がお
客さんにおいしいと言ってもらえる組み合わせを、プロのこだわりをもって提供
してくれているはずです。お客さんによっては、こてこての醤油とんこつのスー
プに太いストレート麺がおいしいと思う人もいれば、あっさり塩で細麺が好みの
人もいるでしょう。すべての人が一様に、「一番おいしい」と言う唯一の組み合
わせは、存在しないのではないでしょうか。
 いつ、どこで、どのアプローチで、どんなテクニックを用いて、どのインプラ
ントを使うのか。これも、答えは一つではありません。私たち専門医が、知識と
経験と責任をもって、患者さんひとりひとりに最適な組み合わせを選んでいます。
主治医が、たったひとつのこだわりのメニューを押し付けるのではなく、「あな
た」にとってのベストの方法を提案し、ご納得いただくことが患者さんの期待に
応えることではないかと思います。「テレビで観たのと同じ方法で、人工関節を
入れてほしい」とおっしゃっても、無理に適応すると合併症リスクが増すことも
あります。
 外来で、このラーメンのたとえを話すと、うんうんとうなずいていただける方
もあれば、首をかしげられる方もおられます。もう少しわかりやすく伝えられる
よう、もっと話術を磨いて、行列のできるラーメン屋さんを目指そうと、日々精
進いたします。

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                   看護のこころ
                  ~その人らしさを支える看護~
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                                      CCU 副看護師長
                                                             飯塚 沙織
                                                              
 12月に入り、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってまいりました。街はイルミ
ネーションで彩られ、すっかりクリスマスムードですね。我が家でも、子ども達
が「あと何回寝たらサンタさん来る?」と、毎晩指折り数えています。年の瀬が
近づき、何かと忙しい時期ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 私は、救命救急センターやICUでの勤務を経て、CCU副看護師長に昇任しました。
第1子出産後は短期間ではありますが一般病棟で勤務し、第2子を出産し、育児休
業を取得した後、今年4月より約4年ぶりにCCUへ復帰しました。病床数も増え、
広く、綺麗に生まれ変わったCCUでの再スタートは、不安と緊張でいっぱいでし
たが、家族や職場の方々の理解と支えに助けられながら、育児と家事、そして仕
事に日々奮闘しています。
 私は、看護師としての時間のほとんどを集中治療室で過ごしてきました。これ
までたくさんの患者さんと出会ってきましたが、集中治療室では状態が安定する
と一般病棟へ移られるため、患者さんと関われる時間は限られます。そんな中、
約4か月という長い期間を集中治療室で過ごされた患者さんとの出会いは、今で
も深く心に残っています。
 Aさんは消化管穿孔による腹膜炎で緊急手術を受けられましたが、創部の治癒
遅延や再穿孔により腹腔内へ消化液が漏出し、出血や感染症、人工呼吸器関連の
合併症が重なるなど、何度も危険な状態を繰り返していました。そのような状況
で長期間経口摂取ができない中、ご家族様から「アイスが好き」と伺ったため、
許可の範囲で少量のアイスを口にしていただく時間を設けました。消化管穿孔の
ため摂取後はすぐに吸引が必要でしたが、久しぶりに味わう冷たさや甘さにAさ
んの表情が和らぎ、その瞬間は私たちにとっても忘れがたいひとときとなりまし
た。
 治療が優先される集中治療室だからこそ難しい場面も多いですが、Aさんにア
イスをお渡ししたように、わずかな時間でもその人らしさを大切にする関わりは、
治療とは別の力となり、患者さんの回復を支えてくれると感じています。また、
集中治療室での関わりは限られた時間であっても、患者さんやご家族の思いに寄
り添い、少しでも安心して次の段階へ進めるよう支援することが、私たちにでき
る継続看護の形だと感じています。CCUは同じフロアに一般病棟があり、入退室
も頻繁に行われるため、病棟間での連携は特に重要です。患者さんの治療経過や
生活背景を丁寧に共有し、ケアが途切れないよう意識することが、より質の高い
継続看護につながります。これからも、患者さんの人生の一部に関わっていると
いう意識を持ち続け、患者さんとご家族に寄り添う看護を実践していきたいと思
います。
 本年も残すところわずかとなりましたが、どうぞ穏やかな年末をお迎えくださ
い。
 
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                              研修医2年目
                                                         坂東 裕人

 研修医2年目の板東と申します。
気が付けばもう12月となり、初期研修医としての生活も終わりが見えてきました。
振り返ると、本当にあっという間の2年間で、月日の流れの早さを実感しており
ます。良いことばかり述べるつもりはありませんが、総合して考えると、もう一
度マッチングをやり直すとしてもここを第一志望に書くだろうと思えるような病
院でした。
 当院での研修生活は、けっして順風満帆なことばかりではなく、特に夜間の当
直時間等においては忙しさや難しさを実感する場面も多くありました。それでも、
指導医の先生方や看護師さんをはじめ、医療スタッフの方々は丁寧に指導してく
ださり、多くの症例を経験していく中で、少しずつ医師としての基盤を築くこと
ができたと感じております。
 同期の人数は決して多すぎず少なすぎずで、個性豊かで面白い人達ばかりでし
た。研修医ルームで、ともに悩んだり、考えたり、教えあったりした時間は研修
医生活の中で大きな支えとなりました。優秀な人が多く、彼らの姿勢に刺激を受
けながら日々を過ごすことができました。
 もうすぐ当院を離れることになりますが、ここでの経験を糧に、次のステージ
でも一歩ずつ成長していけたらと思います。研修先に悩まれている方はぜひ一度
見学に来て、色々話を聞いてみてください。研修医一同お待ちしております。
                  
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
 
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
     看護部長 水戸 祥江
編   集:池永 祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 最後までお読みいただき、ありがとうございました。寒さが厳しくなる季節で
すが、一歩外に出れば、街は華やかなイルミネーションに彩られ、思わず気持ち
が明るくなります。そんな冬の風景を楽しみながら、どうぞ穏やかに年末をお過
ごしください。皆さま、よいお年をお迎えください。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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