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メールマガジン「法円坂」No.298 (2026/2/18)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 令和8年2月のメルマガです。皆さんお変わりございませんか。節分を過ぎ、春
も近いと思わせるようになりましたが、8日には強烈寒波の影響で大阪市含め関
西各地で積雪を認めました。また、バレンタインデーもあり、街もどことなく華
やいできましたね。
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   メールマガジン「法円坂」No.298 (2026/2/18)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院  長  松  村 泰  志
 ・大阪大腸(直腸)がんセンター
 ・こどもの見守りおばさん -こども食堂運営ボランティア-
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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        院長  松村 泰志   冬場に垣間見える医療福祉の課題
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 先月、娘に女の子が生まれ、我が家で育てていることをご報告しました。孫が
来て以来、生活は一変しました。孫はおよそ3時間ごとにミルクを飲み、少し遊
んだり、ぐずったりしては眠る、ということを繰り返しています。最初は簡単に
思っていましたが、実際にはなかなか大変です。夜中には必ず起きますので、娘
にまとまった時間を寝かせてやろうと、夜9時以降のミルクは家内と私が担当す
ることにしました。すやすや寝ていてもミルクが欲しくなると泣き出しますので、
「待ってました」とばかりにミルクを飲ませると、機嫌よくゴクゴク飲みます。
問題はそのあとです。すんなり寝てくれる日もありますが、パチッと目を開けて
遊びだしたり、ぐずってなかなか寝なかったりすることもあります。そうなると、
抱っこして揺らしてみたり、「5分で寝る音楽」とやらを聞かせてみたり、哺乳
瓶の乳首を吸わせてみたりと、あれこれ試します。うまく眠ってくれる日もあり
ますが、昨日うまくいった方法が今日も通用するとは限りません。やっと眠った
と思ってベッドにそっと置くと、またぐずりだすこともたびたびです。そうなる
と娘も起きてきて、3人の大人がてんやわんやで孫を寝かしつけます。そんな夜
を日々過ごしています。
 さて今回は、冬場の医療の状況についてお知らせしたいと思います。冬になる
と入院患者さんが増えます。昨年、今年ともに同じ傾向があり、コロナ禍前も同
様であったと聞いています。この時期に増えるのは高齢の患者さんです。インフ
ルエンザなどの感染症が増えることも要因としてありますが、当院ではそれだけ
ではなく、脳血管障害、心不全の悪化、慢性呼吸器疾患の悪化、さらには転倒に
よる骨折や誤嚥性肺炎など、季節とは直接関係がなさそうな疾患の患者さんも増
える印象です。おそらく、体力的な余力が少ないところに寒さによるストレスが
加わり、その負荷が体力の閾値を超えてしまうことで体調を崩すのではないかと
思います。
 入院患者さんが増えて満床に近づいてくると、急性期を脱した患者さんには、
なるべく早く慢性期病院へ転院していただき、新たな患者さんを受け入れたいと
考えるのですが、冬場のこの時期はどの病院も満床に近いようで、普段であれば
引き受けていただける後方支援病院でも受け入れが難しく、なかなか転院先が見
つかりません。この時期に季節と関係のなさそうな疾患の患者さんまで増えるの
は、普段なら受け入れている病院が満床となり、その結果として当院に救急搬送
される頻度が増えるためだと推測します。道路でも、走る車の数が一定数を超え
ると渋滞して機能しなくなるのと似ています。このような状況は、コロナ禍の第
四波の際にも経験しました。
 加えて、冬場には、まさに泣き面に蜂のような状況が起こります。看護師は若
い女性が多く、当然ながら結婚、妊娠、出産、育児といった人生の重大イベント
を迎える人が少なくありません。当院のような急性期病院では、ほとんどの部署
で夜勤がありますので、こうした重大イベントをきっかけに退職する人が一定数
出ます。年度途中で募集しても応募はほとんどありません。毎年ほぼ同じ人数が
退職するため、4月にその分を採用するものの、年間を通して徐々に看護師数が
減ってしまうのです。その結果、1月・2月は看護師の人数が少ない状態のまま、
特に忙しい時期を迎えることになります。
 地域医療構想では、病床数を適切な水準に調整することが議論されています。
地域ごとに「適切な病床数」が算出され、それに向けて調整が進められているの
ですが、その病床数が年間の平均値から割り出されているのではないかと気にな
るところです。現実には季節変動があり、季節によって医療の需要は大きく変わ
ります。特に冬場の状況を踏まえて検討していただきたいと感じています。こう
した問題意識から、医療現場が抱える困難な状況について発信しようと思い立ち
ました。
 この時期、病棟看護師長の悩みを聞くと、高齢者医療の難しさをひしひしと実
感します。高齢者施設から送られてきた患者さんであれば、回復すれば元の施設
に戻っていただけることが多いのですが、独居で暮らしている方の場合、本当に
自宅に帰っていただいてよいのか判断に迷います。少し暖かくなるまで慢性期病
院で過ごしていただけると安心なのですが、先に述べた通り、そう簡単に受け入
れてもらえる病院が見つかりません。
 日本では核家族化が進み、子どもが巣立つと夫婦二人の生活になり、さらに年
を重ねてどちらかが他界すれば一人暮らしになります。日本の平均寿命は女性が
男性より6年長く、夫が妻より平均2歳程度年上ですので、平均的には女性が約8
年間独居生活を送ることになります。また、50歳時点で独身の人は男性で28%、
女性で18%という統計もあります。結果的に、80歳以上で独居の人は、男性で約
20%、女性で30〜35%にもなっているとのことです。
 私自身も、父が肺がんで65歳のときに亡くなり、母はその後約20年間一人で暮
らしていました。それまでも父は日中家にいない生活でしたので、母はさほど困
った様子もなく過ごしていましたが、80歳を超えた頃から心配な様子が見え始め
ました。自宅で転倒したと連絡を受けたことをきっかけに、老人施設への入所を
説得しました。幸い、私と兄の家から近い場所に良い施設が見つかり、そこで過
ごしてもらうことができました。おそらく、うまくいったケースだと思います。
 ただし、施設に入るためには相応の費用が必要ですし、良いと思える施設は待
機者が多く、簡単には入所できないことも知りました。また、子どもがいても、
親を支える余力があるとは限りません。一人暮らしは、健康であれば大きな問題
はないかもしれませんが、体調を崩したときに困難が生じます。社会全体で支え
ていかなければならず、これは今の日本が抱える重要な課題だと感じています。
 先日の選挙では、社会保障費を消費する高齢者世代と、これを経済的に支える
働く世代を分け、働く世代を守るために社会保障費を抑えるべきだと主張する政
党がありました。しかし、その主張は働く世代にもあまり響かなかったようです。
働く世代にも必ず親がおり、多くの人が親のことを心配しているのだと思います。
親の心配をせずに仕事に専念できることを望んでいるはずです。
 現在は、高齢者が体調を崩しても、病院で治療を受ける段階までは何とか対応
できます。しかし、その後の生活をどう支えていくのかは、社会全体で引き受け
るべき課題です。働く世代が安心して働けるようにするためにも、高齢者の社会
保障はむしろ充実させていく必要があると考えます。

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             大阪大腸(直腸)がんセンター 
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                             下部消化器外科 
                               加藤 健志 

このたび、「大阪大腸(直腸)がんセンター」を新たに開設しました。本センタ
ーでは、消化器内科、消化器外科、臨床腫瘍科、放射線治療科の専門医が一つの
チームとなり、大腸がん・直腸がんの診断から治療、治療後のフォローアップま
でを継続して行います。複数の診療科が常に情報を共有し、特定の治療に偏るこ
となく、その時点で最も適切で過不足のない医療を、患者さん一人ひとりに合わ
せて提供し続けることを大切にしています。
安心して治療を受けていただけるよう、医療機関の先生方から24時間いつでも大
腸外科医に直接つながるホットラインを開設しました。急な症状の変化や治療に
対する不安が生じた場合でも、専門医が速やかに対応します。また、月曜日から
金曜日まで毎日、新しく受診される患者さんの診察枠を設け、必要な医療へ無理
なく、滞りなくつなぐ体制を整えています。
直腸がんに対しては、手術前に抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせた集学的
治療を積極的に行っています。その結果、約40%の患者さんでは手術を行わずに
治療を終えることができています。治療効果や副作用を丁寧に評価しながら進め
ることで、過剰でも不足でもない、身体への負担を考慮した治療を実現していま
す。かつては「抗がん剤が効きにくい」とされていた大腸がんも、治療の進歩に
より、最新の薬剤を適切に用いることで、がんが完全に消失する例を日常診療で
多く経験するようになってきました。
さらに下部消化管外科では、新たに公式ホームページを立ち上げ、動画を中心に
大腸がんについて分かりやすく解説しています。初回の特別企画として、長瀬智
也氏をゲストに迎え、大腸がんをテーマにした対談動画を公開予定です。専門的
な内容も、正確で偏りのない情報としてお伝えしています。
https://osaka-colorectum.jp
患者さんと長く向き合いながら、常に最善を見極め、安心して任せていただける
医療を提供してまいります。

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     こどもの見守りおばさん -こども食堂運営ボランティア-        
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                                      地域医療連携推進部 医療福祉相談室
                                       医療ソーシャルワーカー 太田 裕子
                                
 私は2003年から医療ソーシャルワーカーとして勤務し、「暮らしと気持ち」を
支える相談援助職として長年経験を積んできました。
転勤のない職種であるため、地域関係機関の方や、患者家族に生活支援に伴走者
として関わることができる環境に恵まれてきました。
プライベートでは三姉妹の母として、なかよし保育園や病児保育などの社会資源
を活用しながら、大阪医療センターのスタッフに支えられ、娘たちと共に成長し
てきました。
 そんな私の日常を大きく変えたのが、双子の娘が高校生の頃に言った「こども
食堂をやりたい」という一言でした。地域の子どもたちのために“居場所をつく
りたい”という思いを聞き、私は資金面や準備をサポートし、親子でボランティ
ア活動を始めることになりました。こども食堂の運営には飲食店経営者の皆さん
の協力があり、大量調理の方法、衛生管理、時短の工夫など多くの技術を学ばせ
ていただきました。また、食材の寄付や資金援助など、地域の温かい支えにも常
に助けられています。
 活動を続けるうちに、私は次第に“こどもを見守る立場”としての役割を意識
するようになりました。赤ちゃんだった子が少しずつ大きくなり、小学生、中学
生へと成長していく姿を見ることは、何よりの喜びです。忙しくなって来られな
くなる子もいますが、時折顔を出して近況を報告してくれることもあり、その成
長を感じる瞬間は活動の励みになっています。小さな子どものお世話は、私の娘
たちにとって保育技術を身につける場にもなり、世代を越えた交流が自然に生ま
れています。
 また、家庭環境に課題のある子が悩みを話しに来ることもあります。自立の方
法、進学、親子関係、学び直しなど、多様な悩みを聞きながら一緒に考える時間
は非常に貴重です。子ども同士も互いの経験を共有し、励まし合いながら成長し
ていく姿を見ると、この場所が単なる食事提供の場ではなく、心のよりどころに
なっていることを実感します。
 こども食堂での活動は私の本業とは直接関係がありませんが、異業種の方々や
若い世代から学ぶことが多く、私自身の視野を大きく広げてくれました。地域と
つながり、子どもたちの成長を見守り、ともに過ごすこの時間は、私にとってか
けがえのない宝物です。

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                   看護のこころ
             ~患者さんやご家族の心情や思いに寄り添って~
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                               地域医療連携室 副看護師長
                                                             石橋  広明
                                                              
 厳しい冷え込みが続くなか、少しずつ日差しに柔らかさを感じる季節となりま
した。春の訪れが待ち遠しいこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 私は大学卒業後に公益財団法人の職員として10年間勤務し、医療分野への興味
から一念発起して看護師になりました。消化器内科病棟と内視鏡室で勤務した後、
今年度から副看護師長に昇任し、身が引き締まる思いで業務に当たっています。
 これまで看護師として様々な経験をしましたが、特に印象深かったのは、新人
の頃に肝内胆管癌の患者を看取った場面です。セントラルモニターの心拍数がゼ
ロを示したため病室に駆け付けると、付き添われていたご家族が患者の手を握り、
懸命に名前を呼び掛けておられました。自分の受け持ち患者が急変したのはこの
ケースが初めてで、先輩看護師とともに対応することになりました。死期が訪れ
た患者にどのように対応すべきか戸惑い、やがて患者の死亡が確認されたとき、
私はご遺族に対してお悔やみの言葉以外に何も言えませんでした。
 ご家族にとって、患者との別れとなる場面は以後ずっと心に残るシーンです。
生前に何もしてあげられなかったのではないかと考える方もおられます。一般に、
ご遺族に対する声かけとして、今までの献身的な介護をねぎらうことや、闘病の
苦しみから故人が解放されたことを伝えることが精神的苦痛の緩和に有効である
と言われています。「愛する人の死は辛いが、いい看取りだった」と感じてもら
うことがご家族にとって死を受け入れる助けになるのです。この時の看取りでは、
お悔やみの声掛けだけでなく、頻繁に面会に来てくれてうれしいと患者がご家族
への思いを話されていたことや、急変時に駆け付けてくれたことをきっとわかっ
てくれているといった、労りの言葉を伝えるべきだったと思います。当時まだ新
人だった私は、担当として主体的な行動を取れなかっただけでなく、ご遺族の心
情に沿った声掛けができなかったことをとても後悔しました。しかし、この時の
苦い経験が、私に患者・家族の思いに寄り添って考えることの大切さを教えてく
れたのです。
 現在は入院センターで勤務しており、看取りに接する機会はありませんが、患
者・家族の心情を汲み取ることの重要さは変わりません。検査や治療に臨む患者
の思いを受け止めながら、安心して入院生活を送っていただけるよう最大限サポ
ートしていこうと思います。
 
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html 

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             研 修 医 日 記        
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                              研修医2年目
                                                          松本 浩太朗

初期研修医2年目の松本浩太朗と申します。
当院での研修生活を振り返ってみて良かったことを3つ述べたいと思います。

1つ目は、素敵な人たちに囲まれて充実した研修生活を送ることができたことで
す。特に多くの時間を共に過ごした同期は、賢いのは勿論、思いやりのある優し
い人たちばかりでした。そんな同期から日々刺激を受け、切磋琢磨しながら多く
のことを学べました。私は一度社会人を経たため、ストレートより遅れて医師と
なりましたが、私のようなジジイとも仲良くしてくれて感謝しております。

2つ目は、多くの先生方の熱心な指導を受けることができたことです。特に印象
に残っているのは外科ローテです。外科の先生方は内科志望の私にも縫合や手術
器具を使用する機会を多く与えてくださり、丁寧な指導を受けることができまし
た。気付けば手術の魅力に惹かれ、消化器外科に進むことを本気で考えた時期も
ありました。症例数も多いため、外科志望の方は当院での研修を検討してみては
いかがでしょうか。

3つ目は、当院が京セラドーム大阪に近いことです。オリックスファンである私
にとってこの点は魅力的であり、定時で仕事を終えると試合開始に間に合います。
したがって、仕事だけでなく、趣味も充実させることができました。

当院の初期研修2年間で学んだことを活かし、来年度からは血液内科医として一
生懸命頑張ろうと思います。研修先を探し中の方は、悩むこともあると思います
が、いろいろな情報を参考にして、実際に見学することで自分にピッタリの研修
先を見つけてくださいね。
                  
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
 
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
     看護部長 水戸 祥江
編   集:池永 祐子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 まだまだ寒さは続きますが、梅のつぼみもほころび、来月からは春を待ちかね
る日々です。しかし、三寒四温の時節柄、皆さん何卒ご自愛くださいますようお
願いいたします。

408-osaka@mail.hosp.go.jp


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