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メールマガジン「法円坂」No.299 (2026/3/23)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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日ごとに春の訪れを感じられる季節となりました。本年度も大阪医療センター
のメールマガジンをご購読いただき、誠にありがとうございます。年度末を迎え、
何かとご多忙のことと存じますが、ホッとひと息つきながら、今年度最後のメル
マガをお楽しみください。
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メールマガジン「法円坂」No.299 (2026/3/23)
(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
・院 長 松 村 泰 志
・退 職 の ご 挨 拶
・ナースのたまご、すくすく育っています!
・看 護 の こ こ ろ
・研 修 医 日 記
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院長 松村 泰志 節目の月に思うこと
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日に日に暖かくなり、花が咲き始め、小鳥のさえずりがにぎやかになり、春の
訪れを感じます。我が家では孫が生後2カ月を過ぎ、すくすく育っています。夜
は5時間ほど眠るようになり、娘もようやく睡眠時間が確保できるようになって
きました。しかし日中は抱っこをしていないとぐずるため大変です。腕が疲れる
ので交代して抱っこするのですが、家内だと機嫌が良いのに、私が抱くと、ちら
っと私の顔を見てぐずり出します。娘に返すとすぐに機嫌が良くなります。やは
り抱っこされるのは女性の方が良いようです。そのため、私はあまり子育てには
貢献できていません。
3月は、看護学校の卒業式や、NHOの院長が集まる会で退職される院長先生の送
別会がありました。また、これから当院の研修医の修了式や職員を送別する式も
控えています。NHOの職員は年度末に多くの人が異動になります。その中でも幹
部職員のトップは退職となります。皆さんの貢献に感謝したいと思います。
卒業式では涙を流す学生さんもいました。医療現場の厳しさに触れ、張り詰め
た思いを抱えながらも、友人や先生方の支えで乗り越えてきたという感謝の気持
ちからの涙なのだと思います。本当によく頑張ってくれたと思います。
退職される院長先生方は、普段は少し気難しい表情をされていた方でさえ、皆
さん清々しい良いお顔をされていたのが印象的でした。背負ってきた重荷を下ろ
し、思わずホッとされたのだと思います。見送る側の院長にとっても、希望の光
が見える温かい会でした。
今年度は水戸看護部長が退職されます。前任の西本部長の時には、壮絶なコロ
ナ禍の中で看護部を力強く率いてくださいました。第4波の際には、大阪府から
23床の重症患者用病床の確保を要請され、救命センターとCCUを重症コロナ病床
に転換しました。重症患者の看護は防護服を着て行うので、1対1看護が必要とな
ります。対応する看護師を確保するために2病棟を閉じ、さらに1病棟を中等症患
者用病棟に転換して対応しました。しかも、これらを1週間という短期間で勤務
変更して実行してくれました。
水戸部長が在任された期間は、コロナ禍は終息していたものの、過去最悪の経
営難の時期でした。経営改善のためには、救急患者の応需率向上、夜間救急搬送
患者を観察するオーバーナイトステイ病床の確保、紹介患者を迅速に受け入れる
体制づくり、内視鏡検査の効率化、手術枠の拡大、時間外を含めた緊急手術の受
け入れ体制の整備など、多くの課題がありました。これらを実行するには、ほぼ
すべてにおいて看護部の配置変更や勤務体制の見直しが必要でした。しかしNHO
病院では、看護師数は本部が定めた定数を超えることができません。必要な看護
師を配置すれば収益増につながるとしても、その増収が人件費増を上回らなけれ
ば経営を圧迫します。現在の診療報酬体系は人件費を低く見積もる傾向があり、
人員増には慎重にならざるを得ません。全体の人員数を変えずにある部署を増や
すためには、どこかを減らす必要があり、その調整は容易ではありません。水戸
部長はこの難題に取り組み、経営課題を実現できるよう看護師配置を調整してく
ださいました。そのおかげで、今年度の経営指標は昨年度より改善しています。
また、私から看護師長に経営参画意識を持ってもらうことを提案し、水戸部長と
毎週病棟ラウンドを行うことにしました。病棟を訪問すると、看護師長は私が期
待していた以上に経営課題を理解し、改善に向けて工夫を凝らしてくれているこ
とが分かりました。さらに、看護師と医師の連携のあり方など、新たな課題も見
えてきました。加えて、毎月の経営評価会では、2病棟ずつ看護師長から病棟運
営についてプレゼンテーションをしてもらうことにしました。これらは新たな取
り組みでしたが、水戸部長の指導のおかげで、看護師長の皆さんは素晴らしい発
表をしてくれました。多くの看護師スタッフがこの難局を乗り越えようと努力し
てくれている姿を見ることができ、心強く思いました。水戸看護部長の多大な貢
献に心から感謝しています。
当院の院長として勤める中で、当院には良い人材が集まってくれているとつく
づく思います。医師は、阪大から当院が重要な関連病院と見てくれていることも
あり、優秀な人材を送っていただいています。医師以外の職員はNHOでの採用と
なりますが、幹部クラスは近畿グループ内の病院をローテートする人事制度が採
られています。川は水が流れてこそ清らかであり、流れが止まると濁ります。組
織も同じで、人が流動することで活力が保たれるように思います。新たに着任す
る人も、迎え入れる側も、ある種の緊張感が生まれます。また、人間関係がうま
くいかなくなった場合でも、新しい環境で気持ちを切り替えて取り組むことがで
きます。こうした人事制度があることに加え、大阪医療センターは近畿の中でも
最も忙しい病院であるため、選りすぐりの優秀な人材が集まるよう配慮されてい
ます。本当に恵まれた病院です。優秀な人材に支えられている院長は幸せ者だと
思います。
私自身も、いずれこの病院を去る日が来ますが、それまでの間は精一杯頑張ろ
うと思います。
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退職のご挨拶
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腎臓内科科長
岩谷 博次
光陰矢のごとしである。思い起こせば、当院に赴任して10年を超える。腎臓
病の診療に取り組み奮闘する日々であった。数々の患者さんを医療機関の先生方
にご紹介いただけたこと、また当院の多くの優秀なスタッフに助けていただいた
こと、また日々の診療を通じて、逆に我々が患者さんから元気、パワーをもらっ
ていることに気付けたことに感謝している。
振り返ってみれば、大きなイベントがいくつもあった。まずはパンデミックと
もいうべき新型コロナ感染症の流行である。海外の話かと思いきや瞬く間に日本
に入り込み、コロナと闘う日々が日本全国で続いた。会議や宴会といった、人と
人との接点をできるだけ減らすことが、感染症を断ち切るということで、人との
接点がなくなるような毎日で大変つらい時期であり、新興感染症の厳しさをひし
ひしと学んだ。
数年経ってコロナがやっと落ち着いて、2025年には大勢の人が集まる万博が夢
洲で開催されることとなった。それを応援するブルーインパルスによる航空ショ
ーが開催された。関西国際空港を飛び立ったブルーインパルスが北上し、大阪城
の上空を通過し、1970年に開催された万博会場である吹田に向かい、再度南下し
て大阪城上空に戻り、今回の万博会場である夢洲へと向かった。当日、当院の屋
上に患者さんやスタッフが大勢集まる中、航空ショーを一目見ようと声援を送っ
ていた。なんとも幸運なのは、一糸乱れず編隊を組み白煙を大空になびかせるブ
ルーインパルスの勇姿を、15分ほどの短時間になんと二回も見ることができたこ
とである。
白煙を 幾重に織りなす 夢の空
人生初めてのことであり、また今後もそう簡単に得られない貴重な体験であった
が、まさに抜群のロケーションの賜物であった。古都なにわの宮の西隣に位置し、
大阪城を一望できる、まさに都会のオアシスともいうべき場所に位置する大阪医
療センター、ここで多くのことを学ばせていただき大変感謝している。
大阪医療センターの益々の発展を祈念し、退職の挨拶とさせていただきます。
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ナースのたまご、すくすく育っています!
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大阪医療センター附属看護学校
釘宮 泰子
大阪医療センター附属看護学校は、2026年には創立80年を迎え、5,600名を超
える卒業生を送りだしてきました。1学年80名、3学年合わせて240名の看護学校
としては大型の養成所です。看護学生の「看護師になる」という夢への支援と、
医療を提供される医療者や医療を受ける皆さまの「質の高い看護師の育成」とい
う期待に応える役割を担っています。
昨今は新聞等でも取り上げられているように、どの業種も人手不足が深刻な状
況であり優秀な人材を取り合い、当校を含め多くの看護学校や看護系大学でも質
の高い入学生の確保に苦慮しています。そのような中、看護師になることを目指
して当校を選んで入学してくれた学生に対して、脈々と受け継がれてきた当校の
歴史ある質の高い看護教育が提供できるように、職員一同力を合わせています。
看護実践能力として求められている臨床判断能力の育成は、学内で培った知識
・技術・態度と、臨地実習での実践的な学びを統合する必要があります。当校は
母体病院とNHO病院の全面的な支援があり、学内での学習環境や実習環境を整え、
実習指導者とともに学生の教育に取り組んでいます。また教育現場では初等教育
からICTを使った教育に積極的に取り組んでいます。当校でもデジタルネイティ
ブである学生の強みを活かしながら、対人援助職として必要なコミュニケーショ
ン能力と他者との連携・協働する力を培うために、ICTを活用して学べることと
対面でこそ学べることを見極め、それぞれの長所を取り入れ併用させながら教育
をしています。
4月からNHKで朝ドラ『風、薫る』が始まります。明治のナイチンゲールといわ
れた実在の人物をモデルにしてドラマが制作されるようです。2年前に大阪医療
センターの平尾副院長から今回のモデルである大関和さんのことを聞かれた時、
テキストにあまり記述がなく残念に思ったことを思い出します。朝ドラを通して
明治時代に日本の看護を確立するために奮闘した看護師について、多くの皆さま
に知ってもらうことで、未来を担う人たちが看護の道を選択してくれるきっかけ
になるのではないかと期待しています。
看護学校のインスタグラムです。ぜひご覧ください。

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看護のこころ
~その人らしさを支える看護~
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西10階病棟 副看護師長
奥野 香織
暖かい春の日差しを感じる頃となりました。忙しい日々の中にも、皆様が心穏
やかに過ごされていることを願っております。私は昨年の4月に呼吸器内科・口
腔外科・皮膚科・耳鼻科・形成外科の混合病棟に副看護師長への昇任で配属とな
りました。それまでは約9年間、循環器病棟で勤務していたため、久しぶりに抗
がん剤や放射線治療等のがん看護に携わることになりました。がん治療を受けな
がら退院支援に関わった事例をご紹介したいと思います。
A氏は、肺がんと診断され化学療法目的で入院されました。呼吸困難の出現に
より日常生活動作が低下し、不安を抱えながら入院生活を送っておられました。
今後も化学療法のため再入院が予定されており、「また入院するなら、退院せず
このまま病院にいた方が良いのではないか」「家族を困らせてしまうのではない
か」と、ご自身の中で退院するべきかどうかを迷っておられました。そして、A
氏は「トイレにはできるだけ自分で行きたい」と話されていました。呼吸困難が
ある中での移動は容易ではありませんでしたが、その言葉の奥には、「自分でで
きることは続けたい」「自分らしく過ごしたい」という強い思いがあるように感
じました。私はその気持ちを大切にし、トイレへの移動時には酸素投与を行い、
休みながらゆっくりと歩行する方法を一緒に考えました。A氏の状態に合わせて
立ち止まりながら、「今はここで休みましょう」「呼吸が落ち着いてから行きま
しょう」と声をかけ、その日の体調に応じた関わりを行いました。A氏は次第に、
「自分でできた」という経験を積み重ねることで、少しずつ表情が和らいでいき
ました。一方で、体調の変化や今後の治療を考えると、不安が消えることはなく、
退院についての迷いも続いていました。ご家族もまた、「自宅で過ごさせてあげ
たい」という思いと、「何かあったらどうしよう」という不安の中で悩んでおら
れました。私たちは、A氏とご家族それぞれの思いを丁寧に確認し、今後の治療
や生活について一緒に整理する時間を持ちました。どちらかの考えを押し付ける
のではなく、「今、何を大切にしたいのか」「どの選択がその人らしいのか」を
共に考えることを意識しました。話し合いを重ねる中で、A氏とご家族の思いは
少しずつ言葉になり、「自宅で過ごす時間を大切にしたい」という意思が確認さ
れ、退院を迎えました。その後、化学療法のため再入院された際、A氏は「家に
帰れて本当に良かった」と笑顔で話してくださいました。その表情からは、在宅
で過ごした時間が患者にとってとても有意義であったことが伝わり、治療に向き
合う意欲にもつながっているように感じました。
病棟での看護は、治療や症状の管理だけでなく、患者の「こうありたい」とい
う思いを支え、選択の過程に寄り添うことでもあります。トイレまでの一歩一歩
や、揺れ動く気持ちに寄り添った時間が、その人らしい意思決定や前向きな治療
への姿勢につながっていくことを、この関わりを通して改めて実感しました。こ
れからも患者一人ひとりの思いに寄り添い、その人らしい時間と選択を支えられ
る看護を続けていきたいと思います。
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html
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研 修 医 日 記
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研修医2年目
松元 千拓
研修医2年目の松元千拓と申します。
初期研修修了を控えた2年目の3月、この日記を書くにあたり、これまでの歩みを
振り返りたいと思います。
研修が始まった当初は、自分の役割を模索する日々が続き、上級医の指示をこな
すことで精一杯でした。「もっと早い段階から、各診療科で主体的に目標を持っ
て取り組めばよかった」という反省は、今だからこそ感じる正直な気持ちです。
大きな転機となったのは、2年目の終盤に経験した外科でのローテーションでし
た。病棟管理の一部を任せていただいたことで、「より良い管理とは何か」を自
ら考え、取り組む姿勢が身につきました。主体性を持って向き合うことで、初め
て上級医の先生方の思考プロセスに触れ、カルテの記載や処方、病棟指示の細部
に至る意図を深く学べたのだと感じています。
現在、心臓血管外科での研修を通じ、「自分にできることを一つずつ増やす大切
さ」を痛感しています。日々の成功や失敗を振り返り、次へ繋げるための思考を
止めることなく、これからの長い医師人生においても小さな学びを積み重ね、一
歩ずつ成長していきたいと思います。
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
看護部長 水戸 祥江
編 集:池永 祐子
発 行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
(〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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春の訪れを感じる一方で、出会いと別れの季節でもあり、どこか寂しさを感じ
られる頃となりました。また花粉やPM2.5の飛散が気になる時期でもありますの
で、体調管理にはくれぐれもご留意ください。来年度も皆さまにお役立ていただ
ける情報をお届けしてまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたしま
す。
408-osaka@mail.hosp.go.jp
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