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メールマガジン「法円坂」No.306 (2026/10/19)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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夏が終わり、ようやく朝の空気が秋の涼しさを感じる季節となりました。
いかがお過ごしでしょうか?10月のメルマガをお楽しみください。
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メールマガジン「法円坂」No.306 (2026/10/19)
(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
・院 長 松 村 泰 志
・定 年 後 の 生 活
・音 楽 と 私
・看 護 の こ こ ろ
・研 修 医 日 記
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院長 松村 泰志 日本の医学研究の最先端
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秋が深まり、過ごしやすい季節になりました。孫は9カ月になり、私にもすっ
かり馴染み、抱っこをすると喜んでくれます。休みの日の朝には、孫を抱っこし
て散歩をすることがありますが、自転車に乗っている人、散歩している犬など、
出会うものすべてが新鮮なようで、きょろきょろと見回しています。
私は、ある研究助成金の審査委員を担当しており、毎年9月に応募書類が届き、
約1カ月半の間に審査をしなければなりません。約120件の応募書類を審査するの
ですが、1件当たり2回は読みますので、最低でも30分ほどの時間を要します。計
算すると、60時間ほどをこの仕事に費やしていることになります。勤務時間中は
病院の仕事をしていますので、通勤時間や休みの日の多くをこれに費やしていま
す。そこで今回は、医学研究をテーマに書いてみたいと思います。
担当している研究助成は、私も若い時にお世話になったことがあり、伝統ある
助成事業で、日本全国から多くの応募があります。審査委員も多数おられますが、
一つの応募書類を複数人が独立して審査する仕組みになっており、1人当たりの
審査件数も多くなっています。私は、「生命科学と異分野との融合」部門を担当
しています。最近ではAIを活用した研究が盛んで、私の担当部門で審査していま
す。AI応用と言っても、対象分野は、遺伝子解析、神経ネットワークの解明、手
術ロボットへの応用、診療データ解析など、多彩です。これらを読んで理解する
のには、かなり骨が折れます。
どの申請書もしっかり記載されており、興味深い内容のものも多くありました。
私は医療情報と循環器を専門にしていましたので、その領域の研究内容はよく見
てきましたが、それ以外の領域の研究については、それほど触れる機会が多いわ
けではありませんでした。こうして、他分野の研究内容をじっくり読ませていた
だけるのは、これまでにない経験です。
まず驚くのが、研究の世界では、時代の進むスピードが非常に速いということ
です。2003年には、13年の歳月をかけたヒトゲノム計画の完了が宣言され、ヒト
ゲノムの塩基配列がほぼ解読されたことが大きな話題となりました。その後、次
世代シーケンサーが登場し、研究室でもゲノム解析ができるようになりました。
最初はタンパク質をコードする領域であるエクソームの解析が中心でしたが、
2010年代には全ゲノム解析も広く研究に使われるようになりました。人の設計図
が分かるようになったので、これで多くの謎が解けるような感覚で語られていま
したが、その後、DNAの塩基配列そのものを変えることなく遺伝子の働きを調節
するエピジェネティクスの研究が進み、エピゲノム解析が注目されるようになり
ました。今回審査して、特に目を引いたのはRNA研究の分野でした。私は以前、
RNAをDNAの遺伝情報をタンパク質へとつなぐ中間的な存在くらいに考えていまし
たが、現在では、タンパク質をコードしない非コードRNAに、さまざまな機能が
あることが分かってきました。また、一つ一つの細胞でRNAを解析するシングル
セルRNA解析が可能になり、さらにRNAが組織や細胞内のどこに存在するかという
空間的な情報まで解析する研究も進んでいます。
新型コロナワクチンにmRNAが利用されたことに驚かされたのは、つい最近のこ
とでしたが、今ではRNAを制御することによる治療法や、RNAそのものを医薬品と
して利用する研究も進んでいます。おそらく、これから、従来とは異なる新しい
治療法がRNA研究から次々と生み出されてくるのではないかと思います。
もう一つ感心したのが、タンパク質構造を予測するAlphaFold2の活用です。
AlphaFold2は、これまで難しいとされてきた、アミノ酸配列からタンパク質の立
体構造を予測するAIシステムです。Demis HassabisとJohn Jumperは、このタン
パク質構造予測の研究により、2024年にノーベル化学賞を受賞しました。私はノ
ーベル賞受賞で初めてAlphaFold2のことを知りましたが、最先端の研究者たちは
すでにAlphaFold2を使いこなし、次の発見につなげようとしています。
日本では、医学研究を志す人が減っており、日本の研究力の低下を心配する声
も聞かれます。山中伸弥さんは、国立大阪病院の整形外科で臨床研修を経験し、
その後、研究の道に進まれました。現在では、臨床研修制度や専門医制度が整い、
医学部を卒業すると、専門医になるまでの道筋が以前より明確になりました。そ
の一方で、臨床の途中から研究の道に進むことが難しくなっているのだとすれば、
皮肉なことです。医学研究者をどのようにして増やしていくのかは、大きな課題
です。一方、こうして審査委員を担当すると、日本にも優れた研究をしている人
たちが数多くおられることを直接知ることができ、頼もしく思います。
プロスポーツでは、超一流の選手でなくとも、ハイレベルの選手はそれなりに
注目を集め、世間からも尊敬され、高い収入を得ています。それに対して研究者
は、一流の研究者であっても、ノーベル賞受賞者のようなごく一部の人を除けば、
世間に広く知られることは多くありません。もちろん、プロスポーツには、人々
に楽しみや感動を与えるという大きな価値があります。一方、研究が発展すれば、
病気で苦しんでいる人を助け、新しいエネルギー技術を生み出し、地球環境問題
の解決につながるなど、私たちの社会そのものを大きく変える可能性があります。
しかし、子どもたちの中には一流のプロスポーツ選手を目指す人は多くいても、
一流の研究者を目指す人はそれほど多くないように思います。そう考えると、研
究者や研究そのものが、もっと社会から注目されるようになった方が良いと思い
ます。そのための対策を考えるのは簡単ではありません。私が審査に参加してい
る研究助成も研究を支える一つの方法ですが、それだけでなく、一般の人が研究
の話題に触れ、その面白さや社会的な意義を知る機会を増やすことが大切なので
はないかと思います。
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定年後の生活
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脳神経外科・総合診療科
中島 伸
私は今から2年半前の2024年3月末に大阪医療センターを定年退職いたしました。
今回は、その後の生活についてお話ししたいと思います。
定年を迎えた当時、私は脳神経外科と総合診療科の両方に所属していました。
現在は非常勤医師として、それぞれの科で週に1回ずつ外来診療を担当していま
す。脳外科の方では患者さんの数が合計で400人ほど。なので朝から夕方まで働
き詰めの状態です。
「週2日だけの勤務なら、残りの5日は何をしているのですか?」
これは周囲からよく受ける質問です。実際のところ、平均して週に1回程度や
っているのが看護学校での講義や別のアルバイト。それに加えて、妻がまだ現役
の勤務医として働いているため、私が皿洗いや洗濯などの家事を担当しています。
そんな毎日の空き時間に、趣味として力を入れているのが英語の勉強と小説の
執筆です。どちらも定年前は忙しく、なかなかまとまった時間を取れませんでし
た。英語学習は、主にフィリピン人の先生を相手にしたオンライン英会話で、毎
朝6時からの25分間のレッスンを受けています。さらに、力試しとして英検や
TOEICも受験しているのですが、試験会場は若い受験生ばかりで、いささか場違
いなのは否めません。
小説の執筆も、定年後にようやく時間が取れるようになりました。現在は「カ
クヨム」という小説投稿サイトに「hekisei」というペンネームで作品を投稿し
ています。気がつけば、これまでに執筆した短編は1500以上!代表作は『診察室
のトホホホホ』という、医療現場のドラマをリアルかつコミカルに描いた作品で
す。私自身の経験に基づいた話もあれば、完全なフィクションもありますので、
興味があればぜひ一度覗いてみてください。
やはり年齢とともに体力が落ちており、今から「週5日のフルタイム勤務に戻
れ」と言われても、到底できる気がしません。医学部時代の同級生も、半分ほど
はフルタイム勤務を続けていますが、残り半分は私と同じように非常勤でのんび
りと働いているようです。
日本人男性の健康寿命は約72.5歳なのだとか。そう考えると、定年後の数年間
のうちに「本当にやりたいこと」にエネルギーを注ぐのは、とても大切なことだ
と思います。現在の私の生活が読者の皆さんの参考になれば幸いです。
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音楽と私
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眼科
大鳥 安正
眼科の大鳥安正と申します。小学生のころ、私はボーイスカウトに入り、鼓笛隊
で演奏することになりました。兄がトランペットを習っていたので、私も吹いて
みたいと思っていました。ところが、当時は少し体格がよかったせいでしょうか。
希望とは違って、トロンボーンや大太鼓を担当することになりました。それでも
一生懸命に練習し、演奏会で披露することを楽しみにしていたのを覚えています。
中学生になると、兄がビートルズや井上陽水の影響を受けてギターを始めました。
私もその影響を受け、自然とギターを手にするようになりました。本を買って独
学で練習しましたが、なかなか上達せず、ようやく簡単なコードを押さえられる
ようになった程度でした。
大学では空手道部に入り、武道に熱中したため、ギターを弾く機会は少なくなり
ました。それでも不思議なことに、部屋にはいつもギターがありました。
当院に赴任して19年が経ちました。当科には、忘年会で何か芸を披露するという
伝統があります。私も「何かしなければ」と勝手に思い、久しぶりにギターを練
習するようになりました。コロナ禍で忘年会を開けない時期もありましたが、最
近では「生歌のコーナー」と称してギターを演奏し、心優しい眼科スタッフと一
緒に歌っています。今では忘年会での演奏が一つの目標となり、週末にギターを
練習するのが習慣になりました。
昔と違い、今はYouTubeでコードや弾き方を手軽に学ぶことができます。練習を
重ね、弾けなかった曲が弾けるようになったときには、何ともいえないうれしさ
があります。指を動かすことは、頭の体操にもなっているのではないかと、ひそ
かに期待しています。
「できなかったことが、少しずつできるようになる」ということは、人を元気に
してくれます。「継続は力なり」といいますが、何事も楽しくなければ長くは続
きません。そして、楽しめるようになるまでには少し時間が必要なのかもしれま
せん。小さくても目標を持つことも、続けるための大切な力だと感じています。
これからも、ギターの音を楽しみながら、この趣味を長く続けていきたいと思っ
ています。
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看護のこころ
~患者の希望を支える看護~
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西11階病棟 副看護師長
瀬平 享子
朝夕はすっかり涼しくなり、秋晴れの心地よい季節となりました。皆様、いか
がお過ごしでしょうか。私は看護師23年目となり、現在、救命救急科・眼科・腎
臓内科の患者さんが入院される病棟で働いています。当病棟には、急な病気やけ
がで入院された方、手術を目的に入院される方、透析治療を受けられる方など、
さまざまな病気や年齢、生活背景を持つ患者さんがおられます。その中で日々看
護をしていて大切にしていることは、患者さんが入院前にどのような生活を送ら
れていたのか、そして今後どのような生活を送りたいと思っておられるのかを知
ることです。
今回、自宅への退院を希望された患者さんとの関わりについてお話したいと思
います。その患者さんは尿路感染症で入院されました。もともと下肢に麻痺があ
り、訪問看護やリハビリなどの支援を受けながらご自宅で生活されていました。
入院中に病状が悪化し、意思の疎通が難しい時期もありましたが、治療によって
少しずつ回復し、少量の食事摂取やご家族との会話ができるまでになりました。
しかし、入院前に比べると食事量が減ってしまい、必要な量の半分ほどしか食べ
られない状態が続いたことで、体力が低下し自力での活動が困難な状況でした。
医師や病棟スタッフは、退院後の生活の場をどこに設定するか悩みましたが、患
者さんの意思を確認すると、ご家族と過ごせる自宅への退院を強く希望されまし
た。私は、患者さんやご家族が少しでも入院前の生活に近い状態で自宅に帰れる
よう、入院前の生活状況や退院後の支援について医師やリハビリスタッフなど多
くの職種で話し合いを重ね、患者さんの希望であった自宅退院を目指しました。
ちょうどその頃、看護学生も患者さんを受け持ち、一緒に関わる機会がありまし
た。自宅でもご自身で食事を続けられるよう、体調の良い時には安全に食事がで
きるよう工夫しながら支援を行いました。また、痛みを和らげるためのケアや体
勢を整える援助を行い、合併症を予防しながら退院の日を迎えることができまし
た。退院当日、患者さんに自宅へ帰れることをお伝えすると、とても嬉しそうな
表情を見せてくださいました。その時の笑顔は今でも心に残っています。患者さ
んが望む場所へ戻ることができたことを、私自身もとても嬉しく感じました。ま
た、患者さんは看護学生に「頑張りや」と声をかけてくださり、学生も大変喜ん
でいました。その温かいやり取りを見て、私も嬉しい気持ちになりました。自宅
退院を希望される患者さんが、必ずしも全員その希望を叶えられるわけではあり
ません。転院や施設での療養を選択される場合もあります。そのような中でも、
患者さんが何を大切にし、どのような人生を送りたいと思っているのかを知り、
その思いや希望を支えるために看護師として何ができるのかを考え続けることが
大切だと感じています。
これからも病棟スタッフや多職種と協力しながら、患者さん一人ひとりに寄り
添った看護を行っていきたいと思います。
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html
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研 修 医 日 記
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研修医2年目
NI XUEJUN
初めまして、研修医2年目のNIと申します。
私は中国の上海で麻酔科医として臨床を経験した後、来日して日本の医師国家試
験に合格し、当院で初期研修医としての歩みをスタートしました。母国での臨床
経験はあるものの、日本の病院で働くのは初めてのことでした。文化の違いはも
ちろん、医療用語や丁寧な日本語表現など「言葉の壁」に対する不安と緊張でい
っぱいだった研修初日のことを、今でも鮮明に覚えています。
しかし、そんな私の不安を和らげてくれたのは、可愛らしい同期たち、当院の先
生方、看護師さん、コメディカルをはじめとする病院職員のみなさんの温かさで
した。忙しい診療の合間でも、私の拙い日本語にじっくりと耳を傾けてくださり、
分からないことがあれば根気強く丁寧に指導してくださいました。周りの優しさ
と温かい環境に支えられ、少しずつ不安は自信へと変わり、言葉の壁を乗り越え
て少し円滑にチーム医療に加わることができるようになりました。
また、当院で過ごす中で大きな刺激となっているのが、ともに切磋琢磨する同期
たちの存在です。それぞれの目標に向かって前向きに努力を重ねる姿、症例につ
いて熱心に議論する姿には、いつも胸を打たれる感銘がします。仲間たちの真摯
な姿勢に背中を押され、「自分ももっと成長したい」という自己研鑽への思いが
より一層強くなりました。
私は将来、再び麻酔科医としての道を歩むことを志しています。初期研修修了後
は3年目から別の病院へ移り、麻酔科の専攻医として新たなスタートを切る予定
です。環境が変わっても、当院で学んだ「患者さんやスタッフと丁寧に向き合う
心」や「周りの支えに対する感謝の気持ち」という大切な思いを胸に、日々学び
続けていきたいと考えています。
文章だけではお伝えしきれない当院の温かい雰囲気や恵まれた研修環境を、ぜひ
実際に体感してみてください。みなさまと一緒にお仕事ができる日を心より楽し
みにしています!
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/kyujin/syokikensyu/nikki/index.html
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総編集長:院長 松村 泰志
編 集 長:副院長 平尾 素宏 渋谷 博美
看護部長 世古 与子
編 集:池永 祐子
発 行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
(〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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秋の味覚や美しい秋景色を楽しみながら、体調に気を付けてお過ごしください。
次回のメルマガもお楽しみに。
408-osaka@mail.hosp.go.jp
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