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メールマガジン「法円坂」No.214(2019/2/18)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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立春も過ぎましたが、まだまだ寒い日が続いています。皆様いかがお過ごしで
しょうか。今月もどうぞメルマガをお楽しみ下さい。
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メールマガジン「法円坂」No.214(2019/2/18)
(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
・院 長 是恒 之宏 です
・最新の診断治療 18 放射線診断科
・最新の診断治療 19 放射線治療科
・平成30年度院内防災訓練を振り返る
・看 護 の こ こ ろ
・研 修 医 日 記
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院 長 是恒 之宏(これつね ゆきひろ) です
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診療ガイドライン作成道半ば
昨日、東京で不整脈薬物療法ガイドライン改定の会議があり出席しました。
循環器学会としては、数々のガイドラインを策定してきましたが今後その一部を
集約していく方針とのことです。前回2013年に心房細動薬物治療ガイドライン作
成に関わったのですが、今回より心房細動単独のガイドラインは改定せず、不整
脈ガイドラインの一部として含めることになりました。実際には来年の循環器学
会総会で発表する予定であり、まだ1年以上あるわけですが、今年半ばにはほぼ
完成させるつもりで、それまでの間、心房細動小括担当4名は何度か集まって
(おそらく日曜日)まとめていく予定です。前回ガイドライン策定から、心房細
動に関しては抗凝固薬に関する多くのエビデンスが出てきました。また非薬物療
法であるアブレーションについてもその適応とタイミングの考え方はこの6年で
より進んできました。2020年オリンピックイヤーの4月にはまた内容をご紹介で
きる機会もあると思います
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最新の診断治療 18 放射線診断科
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最近のIVR(画像下治療)の動向
放射線診断科 IVR専門医
岸本 健太郎
放射線診断科は画像診断以外にIVR(Interventional Radiology:画像下治療)
にも積極的に取り組んでいます。X線透視(テレビ)やCT、超音波などの画像診
断装置を用い、体内を観察しながら細い治療器具を直接体内に入れ、治療や診断
を行います。放射線科医がこうした処置を行うことを意外に思われる人は多いよ
うですが、脳神経外科や循環器内科で行われる血管内治療も放射線科医の行って
いたIVRから派生したものです。脳や大血管・心臓以外は、大阪医療センターで
は全て放射線診断科で扱いますので、手技の種類は多岐にわたります。今回はそ
の中でも最近のIVRの動向についてお話させて頂きたいと思います。
歴史的に放射線科のIVRの中で、肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法
(Transcatheter Arterial Chemoembolization: TACE)や肝動脈動注療法(TAI)
が最も大きなウェイトを占めています。最近では、動注リザーバー療法(動脈内
にカテーテルを長期留置し、抗癌剤を持続的に注入する治療)に新しいレジメン
(New FP療法:シスプラチン+リピオドール+5-フルオロウラシル)が登場し、高
い奏効率が得られたとの報告があり、当院でも2018年度より新たに導入しました。
関西では当院でのみ実施しており、今後治療効果を報告していきたいと思います。
次に、胃静脈瘤に対するBRTO(balloon-occluded retrograde transvenous
obliteration:バルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術)を紹介します。胃の入り口
にできる胃静脈瘤は内視鏡治療が困難で、BRTOが治療の第1選択になります。静
脈瘤の出口を風船で閉塞し、瘤内に硬化剤を注入し、静脈瘤を血栓化させます。
この治療は今まで保険未収載でしたが、2018年の4月から一定の基準を満たした施
設で保険診療として施行可能になりました。当院は日本IVR学会専門医修練施設認
定されており、物心両面で安心して患者さまが治療できる環境を提供できるよう
になりました。また、瘤内の血栓化を促すために治療後に治療器具を半日程度留
置しておりましたが、最近では金属コイルやplug(栓)などの塞栓物質を併用する
ことで、治療時間の短縮が可能であり、患者さまの負担も少なくなってきており
ます。
最後に、経皮的針生検の件数が増えております。超音波やCTなどの画像ガイド
下に行いますが、当科ではリアルタイムにCT画像を見ながらの生検を行うCT透視
下生検を行うことが可能で、より正確で安全に生検を行うことができます。悪性
腫瘍に対する分子標的薬など新規治療薬が増え、その治療選択に組織診断やバイ
オマーカー診断が必要であり、今後ますます需要が増えることが予想されます。
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最新の診断治療 19 放射線治療科
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放射線治療科科長 田中 英一
放射線治療は、がん治療の中で手術や薬物療法とともに重要な役割を担ってい
ます。現在、我が国では年間約100万人もの方が新たに「がん」と診断され、その
うち約25%の患者さんが放射線治療を受けています。放射線を使うことの多いが
んは、乳がん、肺がん、前立腺がん、頭頸部がん(喉頭がんなど耳鼻咽喉科や口
腔外科領域のがん)、子宮頸がん、食道がんなどです。胃がんや大腸がんなどあ
まり放射線を使わないがんもあります。今回は、この中で前立腺がんの放射線治
療についてお話しします。
前立腺がんは、日本人男性では、胃がん、大腸がん、肺がんとともに罹患数の
多いがんです。前立腺がんの治療には、手術や放射線治療、ホルモン療法(男性
ホルモンの分泌やその働きをおさえる治療)などがあります。がんが前立腺内に
とどまっている(限局性前立腺がん)場合は手術や放射線治療などの局所療法、
リンパ節や骨などに転移がある場合はホルモン療法など薬物を用いた全身療法が
治療の中心になります。
手術と放射線治療はともに限局性前立腺がんに対する根治治療として用いられ
ます。こ2つの治療は同等の効果があると考えられています。ただし、放射線で
きちんとがんを治すためには、病変部に多量の放射線を照射する必要があります。
そのため、前立腺と解剖学的に近接している直腸や膀胱に副作用が起こることが
あり、血便や血尿といった症状に悩まされることがあります。できるだけ前立腺
のみに正確に高線量の照射をするために、さまざまな放射線治療が開発されてき
ました。現在では、副作用の発生割合は激減し、安心して治療を受けていただけ
ます。放射線治療には体外から照射する方法と、小線源治療(組織内照射)と呼
ばれる前立腺の内部から照射する方法があります。体外照射には、一般の病院の
装置で可能な強度変調放射線治療(IMRT)や、全国約20の施設のみで可能な陽子
線治療、重粒子線治療などがあります。小線源治療には、前立腺内に線源(放射
線をだす小さな粒)をたくさん埋め込み持続的に照射する方法や、一時的に埋め
込んだチューブ内に線源をおくりこみ2-4日程度の短期間で照射する高線量率組
織内照射(HDR)があります。これらの放射線治療はすべて健康保険の対象となっ
ており、当院で可能な治療はIMRTとHDRです。これらの放射線治療には、治療効果
、副作用ともに大きな違いはないのですが、それぞれ長所・短所があります。治
療期間や入院の必要性などの違いもありますので、患者さんは医師とよく相談し
たうえで自分に適した治療法を選択していただけたらと思います。
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平成30年度院内防災訓練を振り返る
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救命救急センター長兼集中治療部長
木下 順弘
当院では毎年1回、病院の職員を対象として、災害対応の訓練を実施しています。
今回は平成31年1月19日土曜日に実施した今年度の訓練を振り返り、病院の取り組
みをご紹介します。
災害訓練を行うにあたって、訓練を受ける職員(参加者)と、訓練を企画し課
題を与えシナリオに導く係(コントローラーという)、そして訓練の進行を注意
深く観察し、参加者の行動を評価したり、抜けているところを後で指摘したりす
る係(評価者)を決めて行います。
コントローラーが与えた本年のテーマは、災害の種類が「震災」で上町断層帯
を震源とする震度6弱の地震、発生時刻は実際の訓練時刻と異なる「深夜1時」に
設定され、参加者はその時刻に院内にて勤務している職員(当直者、夜勤者)と、
遅れてやってくる自主参集の職員が主体でした。インフラの障害もあり、停電の
ため通常電源は使えず、非常電源のみで照明は薄暗く、職員のPHSは使用可、エレ
ベーターは使えないとの設定でした。
病院の災害対策委員会が作成した「当院のBCP(業務継続計画)」に沿って行動
することができたかどうかが評価されました。
さて訓練は、まず発災直後に院内で勤務していた職員が各自の持ち場(病棟や
ICU、手術室など)の被災状況を確認し、職員自身と入院患者の安否、インフラと
建物の被害確認、危険な場所からの避難誘導から始め、その情報を臨時災害対策
本部に報告するようにしました。
一方、当直医師は2階の会議室に参集し、まず会議室の備品の配置を災害対策
本部仕様に模様替えするところから始め、臨時災害対策本部を速やかに設置し、
院内の被災状況の把握に努めました。クロノロという記録係が、電話や無線機で
収集した院内状況を、時系列でホワイトボードに記録していきました。
少し遅れて、近隣の宿舎から自主参集してきた職員が訓練に加わりましたが、
受付がスムーズに行かず、どこに配置されるのか決まらないという問題が浮き彫
りになりました。
発災から1から2時間後、病院幹部職員が何とか出勤し、臨時災害対策本部から
情報を引継ぎ、正規の災害対策本部を設置して訓練が終了しました。
一方、看護学校では帰宅困難者対策として、食事(保存食)の提供、仮眠場所
の設営訓練が行われ、カセットコンロでの調理やランタンの照明、板張りの床上
での仮眠などの不自由さを体験しました。
今年は、例年行っている多数傷病者の受け入れは行わず、たまたま現場にいた
職員による自助力が試された訓練となり、問題もいくつか浮き彫りとなっていま
す。訓練シナリオを企画したコントローラーと参加者のみなさんごくろうさまで
した。
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看 護 の こ こ ろ
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西11階病棟 副看護師長
福田 愛香
梅のつぼみがほころぶ季節となり、春の訪れが待ち遠しく感じます。まだまだ寒
さが厳しいですが、くれぐれもご自愛ください。
私は、内科や外科を経験し、昨年度より眼科、腎臓内科、救命、総合診療部の混
合病棟に異動し、同時に副看護師長に昇任しました。副看護師長として病棟の管理
やスタッフ教育を行っていかないといけないと思うと同時に、自分の看護はスタッ
フも見ていることに気づき、自分の言動が病棟に影響を与えてしまうため、気を引
きしめて1つ1つきちんと行っていくことを目標に実践しています。
私は小学校の頃に弟の出産に立ち会うため、母親と一緒に母親学級に通った時の
助産師に会ったことがきっかけで看護師を目指しました。その助産師は母親学級が
終わった後にもう一度私にわかるように説明してくれました。また、弟が産まれた
後にも新生児を抱くのが怖かった私に対して説明し手を貸してくれて抱くことがで
き、面会の度に今の弟の状態を説明してくれました。そのため、私は看護師になっ
た頃から患者さんやご家族へ伝わるように説明すれば不安なく入院生活を送っても
らえると考えていました。
しかし4年前頃に、クリティカルパスを使用して患者さんへ説明したときに、
「手術は看護師さんにとってはよくあることかもしれない。でも私たち患者にした
ら初めてのことなのよ。先生に任せるしかないけどね。」という患者さんの言葉に、
今まで手術や検査の流れを患者さんに合わせてわかりやすく説明しようとしていた
だけで、患者さん自身をきちんと見て考えることができておらず、すべて同じであ
ったと気づかされました。
それ以降、入院歴や検査歴、手術歴なども確認した後に説明する前に、これから行
われる検査や手術をどう思っているかを確認してからそれらを解決できるように説
明できるようにしていきました。そして、入院生活全体が少しでも辛くないように、
できる限り迅速に対応しようと心がけるようになりました。
近年高齢化がすすみ、認知症のある患者さんも多くいらっしゃいます。また、脳
に送られる情報の70%以上が目からの情報であり、眼科の手術は認知症の悪化を予
防できるとも言われています。そのため、私たちの病棟では眼科手術や肺炎などで
入院されることがあります。認知症の患者さんは短期記憶が失われやすいため、入
院したことや手術をしたことを忘れてしまうことが多くあります。私は忘れてしま
う度にこの患者さんにとって初めての事になるのではないかと思い、看護をおこな
っています。しかし私はまだ何が正しいかはわかりませんし、自分の行った看護が
本当によかったかも患者さんの反応から日々振り返ることが多くあります。そのた
め、患者さんの「ありがとう」や「あなたに会えてよかった」「何もなく無事に退
院できた」などお褒めの言葉に支えてもらうこともあります。
このような嬉しい反応は私だけでなく病棟スタッフがチームで行った結果でもある
ため、今後も患者さんが安全に治療を受け、不安が少しでも軽減して入院生活を送
ってもらえるようにスタッフ間でカンファレンスを行い、より良い看護が提供でき
る病棟を築いていきたいと思います。
ホームページ→https://osaka.hosp.go.jp/kango/index.html
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研 修 医 日 記
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研修医2年目 橋詰 奈穂
初めまして。研修医2年目の橋詰と申します。研修医生活も残り3カ月となり、
月日の流れをはやく感じます。
この日記を読んで下さるのは、研修を考えている5、6年生の方でしょうか。私
も、学生の頃、この日記を読み研修生活を思い描きました。そこで、ここの病院
の特徴を何点か述べたいと思います。
一つ目は、研修医のローテーションについてです。他院と比較し、大阪医療セ
ンターの研修の必修科の期間は長いです。内科・外科など満遍なく2カ月程度ロ
ーテートします。自分の進路を決めていない人にとっては、各科の診療に携われ
るので、今後の将来を決める良き機会になると思います。3年目以降は専門分野
に進んでいくため、研修医の間に、幅広い知識を得ることは重要であると私は感
じました。
二つ目は、他の方も記載していますが、救急外来のファーストタッチを行う点
です。1年目・2年目で直接来院および救急車の初期対応を行います。1年目の
初めは、基礎的な手技・問診などを行います。1年目の12月から、2年目と役割
を交代し、救急対応および電話相談を受けます。もちろん、上級医の先生方が当
直をして下さっているので、緊急の場合はすぐに相談することが出来る環境です。
私自身も、初めての当直は緊張しましたが沢山のことを教えて頂きました。2年
弱救急外来を行っていますが、至らぬ点はまだまだあります。同じ失敗を繰り返
さないように、これからも精進したいと思っています。
三つ目は、研修医の人数が多いことです。1学年14〜15人の人数がいます。大
学病院でなく、この人数が研修していることは珍しいと思います。何か困ったこ
とがあれば、先輩・同期に相談できます。特に、1年目の最初は不安も多く、何
度も悩みを相談しました。お互い励ましあい、切磋琢磨できる環境だと思いまし
た。
その他にも、大阪の中心部に立地しているため、飲食店も多く、歩いて行けま
す。仕事で疲れた時には、徒歩5分の大阪城に行くと、観光客の方も多くすぐに
気分転換できます。まだまだ伝えたい点はありますが、ぜひ一度見学に来ていた
だき、病院の雰囲気を感じてください。
臨床研修のホームページ→
https://osaka.hosp.go.jp/html/kensyu/shoki/nikki.html
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総編集長:病院長 是恒之宏
編 集 長:副院長 関本貢嗣、上松正朗
看護部長 伊藤文代
編 集:百崎実花
発 行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
(〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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冬は様々な感染症が多い季節です。外出後などは手洗いをしっかりして、体調
管理に気をつけましょう。それでは次号をお楽しみに。
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp
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