初期臨床研修について
初期臨床研修について
臨床研修指定病院
臨床研修指定区分(施設番号:030525)
臨床研修指定病院 2003年10月30日付認定(管理型)
当院は、NPO法人卒後臨床研修評価機構の認定を受けています。
臨床研修医とは
2004年度(平成16年度)より開始された「卒後2年間の研修を義務付けた初期臨床研修制度」ですが、2010年度(平成22年度)の見直しに続き、この度2020年度(令和2年度)からの研修でも見直しが加えられることとなりました。ただ基本理念は脈々と受け継がれています。すなわち、
医師については、単に専門分野の負傷又は疾病を治療するのみでなく、患者の健康と負傷又は疾病を全人的に診ることが期待され、医師と患者及びその家族との間での十分なコミュニケーションの下に総合的な診療を行うことが求められていること。また、医療の社会的重要性及び公共性を考えると、臨床研修は、医師個人の技術の向上を超えて、社会にとって必要性の高いものであること。
このため、臨床研修については、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身に付けることのできるものでなければならないこと。
(医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について)
となっています。この基本理念に従い、当院においても2年間の初期臨床研修プログラムを作成し、2年間の研修を修了する時点においては、各研修医の研修内容について当院の「研修管理委員会」が審査を行い、厚生労働省が必須とする項目を充分に修得したと認められた者に対し「研修修了証書」を発行するという制度を立ち上げています。
当院では、新専門医制度に基づいた専門研修を受けている「専攻医」及び旧制度で後期研修に取り組んでいる「専修医」と呼ばれる非常勤医師が常時50名以上在籍し、初期研修医に対しては「屋根瓦方式」の教育に参加しています。
研修理念
本院職員のモットーは「正しく、品よく、心をこめて」。難しく言えば「論理(ロゴス)、倫理(エトス)、情熱(パトス)三位一体の医療」です。研修医諸君には、知識・技術を磨くことはもちろん、ヒューマニズムを重んじ、熱意が患者に伝わって闘病心を鼓舞できるような医師を目指してほしいと願っています。
それ故当院では、毎年度の臨床研修開始時に「ヒポクラテスの誓い」および「扶氏医戒之略」(フーフェランドの訳書を緒方洪庵が12ヵ条に要約し、適塾の門人たちへの教えとしたもの)を盛り込んだ「研修医手帳」を配布し、「医は仁術なり」の実践、即ち医師自身の「こころ」を重要視した教育を行うとともに、すぐ上の先輩が後輩を直接教育指導するという医師間の人間関係を重んじた「屋根瓦方式教育」が根づくことを目指しています。
初期臨床研修制度の変革において社会が望んでいるのは、どの科の診療を受けていても、基本的な医療処置や医療相談には適格に対応してくれる医師の育成ですが、当院は高度に特化された専門医集団からなる総合病院であるため、研修医は、配属された研修科においては一般診療医となるため以上の知識・技術が供与され、かつ要求されるのが特徴です。それ故、短期間で研修科が変わる研修医は気の休まる暇がなく、身体的、精神的にもタフであることが要求されるため、当院では臨床心理士との面談やメンタルヘルスケアなどの精神的サポート体制も構築しています。
当院での研修を有意義なものとするか否かを決定付ける第一要因は、研修医自身の研修姿勢ですが、各科の研修指導医は、研修医の研修モチベーションを高める教育を心がけるとともに、将来どの大学を卒業したではなく、どの病院の研修プログラムを修了したかが重要視される時代に、当院の研修を修了したことが高評価を得る研修教育の確立を目指しています。
研修基本方針
厚生労働省による初期臨床研修到達目標を基本とし、
- 医療人として必要な基本姿勢・態度を身につける。
- 各診療科をローテートすることにより、基礎的な知識を学び、技術を習得しながら、チーム医療の一員として医療に貢献する。
- 地域医療を理解し、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(知識・態度・技能)を身に付ける。
- 医師として、様々な立場の患者とその家族に対して、全人的に対応する。
- 臨床研修を有意義なものとし、当院で研修したことに誇りを持てる医師になること
研修医教育の実際
- 1オン・ザ・ジョブ・トレーニングにより、研修指導医や先輩医師から実践を通して臨床医としての 知識や手技の教育を受け、配属科での研修スケジュールに従って、カンファレンス、勉強会などで 定期的な教育の機会が与えられています。
また、研修期間中に症例報告を中心とした学会発表を行う機会が、ほぼ全ての科で与えられて います。 - 2研修医の義務としては、配属科での勤務とは別に、平均月3回程度の研修医当直があります。
1年目研修医は、先ず、下記にある2年目研修医の補助を行い、年度の後半には2年目研修時に担当することとなるため、1次、2次救急外来患者の初療の訓練を2年目研修医と交替で担当することとなります。
2年目研修医は、プライマリ・ケア実践のために、当直の上級医の監督下で、1次、2次救急外来患者の初療を担当します。 - 3当院は、内科だけでも内科6科、循環器内科、消化器内科がそれぞれ独立して存在し、内科6科には、総合診療科、血液内科、腎臓、糖尿病・内分泌代謝、呼吸器、脳神経内科部門が存在するように、極めて特化された専門家からなる総合病院であり、各研修科では高度な専門的教育を受けることになります。
- 当院での研修開始時に職員研修部が主催して行っている基礎教育の場
- カルテの書き方
- 接遇
- 医療リスクマネージメント
- 医療事故防止マニュアル
- 院内感染防止対策
- 診療報酬
- 診療情報などの開示
- 輸血関連(血液型判定・交差適合試験の実技、ABO不適合輸血時の治療方針の講義、など)
- グラム染色法
- 尿沈渣、便検査法
- その他
- 職員研修部が主催あるいは共催している年次教育
- 研修医レクチャー (月2回)
- 臨床病理検討会(CPC)(月1回)
- 拡大寺子屋(外部講師を招聘。外国人医師を招いて、すべて英語によるカンファレンスを実施)(年2回)
- その他院内教育として行われるもの
- 医療安全定期講演会(年2回)
- 感染対策定期講演会(年2回)
- CVレクチャー(月1回)
- Cancer Board (月1回)※ 必ずしも開催されるわけではない
- オンコロジーセミナー(年3回)
- 災害訓練(年1回)
- ICLS講習会(年3回)
- Mortality & Morbidity Conference (随時)
- 救急ミニカンファ(当直症例検討会) (平日朝)
- 当院での研修開始時に職員研修部が主催して行っている基礎教育の場
- 4研修医に関する教育設備は、24時間使用可能な院内図書の他に、UpToDate、MEDLINEが無料で行える院内のネットワーク網があり、更に研修医ルームには内科、外科、救急医療、薬剤の教科書の他、研修医時代に読んでおけばよかったという本を中心に、自由に貸し出しが可能な「貸し出し図書」を設置し、医学以外の知識、教養を身に付ける場を提供しています。