研修医日記(平成26年)
- 1月 松村 雄一朗
- 2月 村上 泰隆
- 2月 湊 さやか
- 3月 山田 修平
- 4月 山村 裕眞
- 5月 飯田 吉則
- 6月 池田 勝浩
- 6月 大畔 健太
- 7月 大谷 知之
- 8月 堅田 奈月
- 8月 清川 博貴
- 9月 金 伽耶
- 10月 小林 登
- 11月 新海 数馬
- 12月 中川 智義
- 12月 清田 良介
平成26年1月 松村雄一朗
国立大阪医療センターのホームページをご覧のみなさま、こんにちは。研修医2年目の松村雄一朗と申します。このホームページをご覧の方は、学生さんもいらっしゃれば、医師、研修医、看護師やこれから受診を考えている患者さんまで様々と思います。今回の私の研修医日記がみなさまにとって国立大阪医療センターを知っていただく端緒となれば幸いです。
国立大阪医療センターについて、みなさんの印象はいかがでしょう?建物が大きくて、広くて、たくさん科があってなどなど…とかく、病院は何か不気味な印象を持たれがちで、建物が大きいのでそういった印象はよけいに助長されているかもしれません。以前、東京都庁が新宿に新しく竣工されたときに、都庁は東京都が危機に陥った時に「巨大ロボ」に変身するという都市伝説があったほどですから、大阪医療センターも無機質な機械のように映っているかもしれません。
たしかに病院は、人工心肺やMRIなど近代的な機械が立ち並び不気味な場所に見えるかもしれません。しかし、それらの近代的な機器は絵画で例えると遠くにかすんだ背景にすぎず、主人公はあくまで患者さんや医療関係者など「人」だと思います。
少々長くなりますが、紹介までに大阪医療センターでの研修と、がん診療の臨床現場を感じていただけるエピソードをご紹介させていただきます。
Aさんは、ビールの大好きな患者さんでした。私がAさんとお会いしたのは、総合診療部という科を回っている夏の暑い日でした。見るからに痩せられて、車いすに乗って初診外来の診療室に入ってこられました。歩けないうえ、ここ1週間まったく食事が喉を通らなく、2か月で体重が5kgほど減っているとのことでした。入院していただき、いろいろな検査の結果、肺がんと判明し、呼吸器内科で抗がん剤治療をうけることになりました。私も1か月Aさんを担当しましたが研修医のローテーションで別の科に移ったので、Aさんの担当からは外れました。そして、その年の冬、内科のローテーションでAさんと再会しました。呼吸器内科で抗がん剤と放射線治療のために入院されていたのでした。私は、自ら担当になることを志願して、Aさんの入院担当となりました。抗がん剤の治療といっても、医師だけでできるわけではありません。国立大阪医療センターでは、病棟の看護師さんを初め、痛みや吐き気など副作用を専門的に取ってくれる緩和ケアチーム、抗がん剤に詳しい薬剤師さん、そして食事量が落ちてきたら食べれるように食事の内容を工夫してくれる栄養士さん、いろいろな手続きをお手伝いしてくれるソーシャルワーカーさん、そして腫瘍を総合的専門的に治療する腫瘍内科の先生などなど。がん治療ではたくさんの「人」がつながって、Aさんのような患者さんを、親身にサポートしていきます。前述のとおり、Aさんはお酒が好きで、入院中もビールが飲めたらとおっしゃっていました。なんでもビールの大瓶を一晩で10本近く飲んでいたこともあるそうです。私は入院生活が長いAさんを何とかしたいと考えて、ノンアルコールビールの許可を病棟と主治医にもらいました。ノンアルコールビールといっても、アルコールは入っていませんから、麦茶に炭酸をいれたものに近いのですが、Aさんは食後の楽しみといっていろいろな銘柄の「ビール」を試しておられました。私も同じように買ってきて家で飲んで、どこの銘柄のノンアルコールビールが一番ビールに似ているかという議論をよく二人で交わしました。あるとき、ドイツのノンアルコールビールをインターネットで発見しました。どうやら、酒税の関係で日本ではノンアルコールビールは麦のエキスに炭酸を入れて作るようですが、海外では、ビールを作ってからアルコールを抜くという製法が可能なようで、ビールに本当に味が似ているとのことでした。私は、早速購入しAさんにもこっそりおすそ分けをしました。残念ながら病棟で乾杯するわけにはいかなかったので、感想をお聞きするだけでしたが本当においしかったと言ってくださいました。大阪医療センターでは内科のローテーションは3か月。私は再びAさんの担当から外れ、再会を誓ってまた別の科へ移動しました。Aさんの命はあとだいたい1年くらいでした。私は、翌年の秋に選択科目として内科を回る予定だったので、その時まで生きていて欲しいと願っていました。そして年が明けて、春・夏が過ぎ、秋も深まった時、再びAさんの担当になることになりました。担当になった初日に病室を訪れました。Aさんはがんの転移が進み、全身状態も悪く、酸素マスクをつけてベッドに横たわっておられました。Aさんはマスク越しに「ここのところいろいろ入院生活で不自由があったけど、先生が帰ってきてくれたので、またわがままが言えるから、うれしい」と話してくれました。そして、Aさんは、私が再び担当した翌日にお亡くなりになられました。私が担当医として戻ってくるのを待っていたかのようでした。Aさんを病院からお見送りする前に、奥様から「先生にもらったノンアルコールビールが本当に美味しかったと喜んでいました」とお言葉をかけていただきました。私も1年前の話だったのですっかり忘れていましたが、Aさんとビール談義に華を咲かせていた状況が懐かしく鮮明に脳裏に浮かびました。ある先生がおっしゃっていた「がん治療の究極はオンコロジーではなく、ヒューマニティーだ」という言葉が身に沁みた瞬間でした。
国立大阪医療センターは、見た目で大きな体で無機質に映るかもしれませんが、中身は温かい心をもった「巨大ロボ」です。興味を持たれたみなさん、よかったら一度お越しください。
(注)現在、ノンアルコールビールを含めて、入院中は原則として禁止されています。
平成26年2月 村上 泰隆
研修医2年目の村上泰隆です。来年度からは当院で引き続き脳卒中内科の後期研修を専攻します。以下、簡単に当院での研修について、他の研修医の日記と重複する部分もありますが、2点紹介したいと思います。
①充実した院外研修
大阪医療センターは国立病院機構に属しており病院機構でのネットワークがあります。この中で直接研修医に関係してくるものとして、院外研修があります。参加は2年目研修医からが原則とはなりますが、月に1回程度全国の国立病院機構に属している病院のどこかで実施され、希望があれば毎回1~2人程度参加できます。2日間で1つのテーマについて、そのエキスパートの先生方から集中的に講義や実習を受け、研鑽を積むことができます。私は今年度、救急初療についての研修を北海道で受け、PTLS(Primary care Trauma Life Support)や災害医療を学びました。内容はもちろんのこと、その際に出会った研修医と各病院での研修の情報を交換することで、非常に刺激になった部分もありました。余った時間で各地の観光ができるのもこの研修の楽しみでもあります。あくまで余った時間で、ですが。
②教育熱心な先生の存在
当院の研修医数は全国でも多い方だと思います。しかしそれにも増して熱心な指導医の先生方もいらっしゃいます。研修医教育の一環として、月に2回ほど毎回様々なテーマ(各種エコー、人工呼吸器、画像診断など)について1時間ほどのレクチャーをエキスパートの先生にしていただく時間があります。それ以外にも寺子屋という症例検討会が週に2回開催されたり、総合診療科の先生をつかまえて講義や質問タイムを作っていただき、議論を交わしたりしています。先生方はとても忙しいのですが、こちらからお願いすると嫌な顔一つせず応えてくださるので、研修医としてはとても勉強になるとともに、その知識の多さに圧倒されながらも刺激される部分もあります。また各学年で独自に勉強会を行ったりと、志の高い仲間が集まって自分達で研修を作っていくことができる環境が整っています。
以上、いいことばかりしか書いていませんが、感じ方は人それぞれなので実際に見学に来て、疑問質問をぶつけてみてください。皆さんにお会いできることを研修医一同楽しみにしています。
平成26年2月 湊 さやか
2年間の研修医生活も早いもので終了を迎えつつあります。どの病院にしようか迷いながらこのページを見られた方の研修医生活は、きっと私と入れ違いになるのでしょう。
私は来年度から当院の皮膚科レジデントとしてお世話になる予定をしています。よって、まず当院の皮膚科の特徴を3点書きたいと思います。
1点目は、HIV拠点病院なのでHIV感染症を合併している患者さんが多いです。免疫低下している方も多く、尋常性ざそう・帯状疱疹・カポジ肉腫の症例が通常の皮膚科外来と比較して多く、その発現の仕方が通常と異なる症例も多いです。2点目は悪性黒色腫から粉瘤まで良性・悪性問わず腫瘍手術症例が多いです。週1日は皮膚科の先生方、全員が手術日です。3点目は下肢静脈瘤外来があり、2週間に1日は下肢静脈瘤焼灼術を施行しています。
皮膚科PRは終了にして、私が当院を見学した日の事について書きます。
私がこの病院へ見学しに来たのは、マッチングを控えた年の6月、見学した科はその時に興味を持っていた腎臓内科でした。病院敷地内へ足を踏み入れた第一印象は、広くて古くて、よく言えば“伝統”のある病院。ロッカールームへ案内して頂き、病院内を迷いながら心細く集合場所へ行き、腎臓内科の部長先生に1対1で“当院と腎臓内科”の特徴を2時間半程度、本当に丁寧に説明して頂きました。見学の最後に病院の屋上へ案内して頂き、“目の前に見えるのが大阪城や官庁街、後ろに見えるのは、また別の側面の大阪市内。大阪市内の2面性がこの屋上から見えます。気分転換したい時、時々、屋上へ上がってこの景色を見ます。”と。その時に、この病院を受験したいと感じました。見学は午前中で終了しました。
私がこの病院の見学へ来たのはその半日のみでしたが、私の医師として駆け出し5年間の人生が変わる予定です。少なくとも今までの初期研修2年間で、心から尊敬する先生に出会え、高校時代の同級生が立派な先輩になっていてその医師としての姿に励まされ、何でも話せる同期が出来て励まし合い、個性豊かで楽しい研修医一年目との出会いに恵まれた事は不変です。
6月の見学の日は、大きな半日になりました。腎臓内科の部長先生に心から感謝をしています。興味を持たれた方は、是非一度見学に来てください。
平成26年3月 山田 修平
始めまして。研修医2年目の山田修平です。
この原稿を書いているのは3月の上旬で、2年間の初期臨床研修期間もあとわずかとなってしまいました。
この研修医日記を読んでいる方は、当院での臨床研修を考えている医学生から受診している患者さんまで多様な方がいらっしゃると思いますが、ここでは当院での臨床研修を考えてくれている後輩達へ向けて、深夜のテンションで、少しだけ書いてみようと思います。僕なりの視点であるため、多くのご批判やご指摘があるかもしれませんが、何卒ご容赦ください。
まず、僕は当院で臨床研修をすることができて非常に良かったです。
ただ、僕は当院でしか臨床研修をしていないため、偏見がありますが、どこの病院へ行っても、研修内容としては大差ない、なかったのではないかと思っています。臨床研修医を受け入れることができる病院であれば、数はどうであれ指導熱心な先生はいらっしゃるでしょうし、勉強できる環境はあるかと思います。後は個人のやる気次第、コミュニケーション能力次第ではないでしょうか。僕は当院で勉強させていただくにあたり、尊敬できる先生に出会いましたし、刺激を受ける同期にも恵まれたと思います。
見学に来てくれた学生には必ず言っていますが、同期はある程度の人数がいた方が良いかもしれません。もちろん手技の数が減るというデメリットはあるかもしれませんが、当院ほどの規模の病院だと手技の絶対数が多いですし、なによりも同期数人しかいない病院で気の合う同期がいないというのはつらい2年間になるリスクが大です。当院は同期が16人もいるので、そういう点では問題ないですね。また当院には研修医ルームがあるため、2学年32人が一つの部屋で机を並べ、時にカルテを見ながらディスカッションしたり、時に机で突っ伏して寝ていたり、時に愚痴をこぼしあったりと、ワイワイやっています。
やはり仕事、勉強をしていく上で、モチベーションを維持してくれるものがないと継続することは困難でしょう。学生の頃にはそこまで実感しませんでしたが、モチベーションを維持してくれる一つには、患者さんの笑顔がありますね。手術で夜遅くなって、深夜に会いに行った病室の患者さんの笑顔でまた頑張ろうと思うことも沢山あります。
ただ、上記のような同期、先輩、後輩との関係性がこの2年間の、そしてこれからのモチベーションになっていることは間違いありません。
結局ある程度同期の人数がいる病院で、臨床研修医を受け入れている病院であれば、そこまで大差はないと思います。よってなにを基準に病院を決めるかですが、やはり雰囲気、立地、お給料、衣食住などでしょうか。僕の場合は、3年目残りたい科の雰囲気、立地が大きな決め手だったと思います。もちろん当直のシステムやローテートしなければならない必修科、選択期間の長さも大事だとは思っていたはずです。お給料は立地の割に意外に良くラッキーでした。
もう一度言いますが、僕自身は当院で臨床研修をしてとても満足しています。
しかし、どこの病院でもそうでしょうが、当院もWeak Pointが全くないわけでは決してありません。研修内容もそうですし、それ以外でもあります。当直、選択期間、国立病院機構、事務、駐車場など。ただ、詳細を書くとこの研修医日記がホームページに載らないので、箇条書きにしておきますwww
Strong PointもWeak Pointも詳しくは見学に来ていただいた時に話しましょう。4月以降も当院脳神経外科で働く予定ですので、ぜひ脳神経外科志望ではない人も訪ねてきてください。その上で当院での臨床研修を選んでいただければ幸いです。
2014年3月9日 もうすぐ脳神経外科 山田修平
平成26年4月 山村 裕眞
耳鼻咽喉科専修医の山村裕眞と申します。この度、当院での2年間の初期臨床研修を振り返って皆様にお伝えする機会を頂きました。
ご覧頂くとお分かりになりますように、この研修医日記は現時点で十数年分の歴史を持ちます。執筆にあたって私も拝読致しますと、皆さん正直に書かれており、外行きではないあるがままの研修生活を感じられる内容となっています。特に当院で初期研修を受けることを検討するにあたってこれほど有益かつ十分な情報はないと思われます。
この蓄積の上に私が執筆すべきことがあるとすれば、いわゆるマイナーと呼ばれる科を専攻する医師(欧米ではスペシャリストと呼ばれるようですが)としての道程についてであると考えましたので、以下に述べさせて頂きます。
初期研修のカリキュラムの必修診療科には多くのマイナー科は含まれていません。また、現在の当院のカリキュラムでは2年間のうち選択期間はわずか4ヶ月であり、かつどの時期に研修するかを研修医側が決めることは出来ません。そのため必修診療科以外の科を専攻する可能性のある者には多少の工夫が必要となります。
まず、外科の研修期間3ヶ月のうち最後の1ヶ月は一般外科以外の外科系科目を選択することも可能であることを活用します。外科は当院では必修診療科であり、2年間のうち最初の1年間または遅くとも2年目の頭の時期までに研修することとなります。そのため外科3ヶ月目にたとえば耳鼻咽喉科を選択することで、専攻科を決める一般的な期限の2年目の夏頃までには研修することが可能です。
さらに、1年目の終わり頃に行われる面接の際に、必修以外の科を専攻する可能性があるため早めの時期に選択期間を配置して欲しい旨を伝えれば、その希望は多くの場合受け入れられるようです。
私は研修開始時には将来は内科系科目を専攻するつもりでしたが、研修が進むにつれ外科系科目にも興味を抱くようになりました。そして研修2年目の春に、前述のように外科の3ヶ月目として耳鼻咽喉科を選択しました。そこで老若男女の生活の質を劇的に改善することが出来る耳鼻咽喉科の仕事に魅力に感じ、引き続く2ヶ月間の選択期間でも耳鼻咽喉科を研修しました。その合計3ヶ月の間では、自分自身で執刀する機会もあり、研修医でありながら患者さんに主治医として感謝される経験を得ることも出来ました。もちろん責任感と相応の努力が必要になると思いますが、早い段階から主体的に患者さんと向き合うことが可能である点も耳鼻咽喉科医の特長に感じられました。そして最終的には当初考えていた内科系科目ではなく、耳鼻咽喉科を専攻することに決めました。
皆さんにもぜひ、幅広い視野を持って研修に臨まれることをお勧め致します。また、耳鼻咽喉科を専攻する希望の有無に関わらず、当科の知識は救急の場面などで非常に役立つと思います。当科での研修を希望される先生方には有意義かつ楽しい研修期間をお約束致しますのでぜひ回ってきてください。以上、乱筆失礼致しました。
平成26年5月 飯田 吉則
研修医2年目の飯田 吉則です。
大阪医療センターでの前半1年間の研修生活を振り返りたいと思います。
研修初めの1ヶ月は、仕事や環境に慣れるまでは何をしても時間がかかってしまい、歯痒い思いをしました。私の場合、5~7月に外科をローテートしており、指導医の先生とペアになって動いていた事もあり、一つ一つ優しくご指導下さり、2ヶ月経った頃には、基本的な手技・仕事はある程度できるようになっていました。外科は朝から夜遅くまでopeが続くこともあり、正直体力的にきつい事もありましたが、指導医の先生が常に一緒に動いて下さっていた事もあり不安はなく過ごせました。
研修1年目中盤は、総合内科・総合救急・総合診療・小児科をローテートしました。総合内科は同時に5科ローテートする為、非常に忙しい毎日でした。総合診療科でもそうでしたが、様々な症例に当たるように先生方が配慮して下さったり、問診・鑑別から治療計画に至るまで先生方と一緒に考えていったりと、日々勉強になる事ばかりでした。総合救急は、CPA症例や全身熱傷、多発外傷など、他科では経験し難い症例が多く、異彩を放っており、やや身がすくんでしまっていましたが、多くの手技を行う機会があり、貴重なローテート期間となりました。小児科は、腫瘍を専門に治療していますが、川崎病やロタウイルス腸炎など小児特有の疾患も経験することができました。
研修1年目後半は、消化器内科をローテートしました。外科同様、指導医とペアになって動き、一人一人の患者さんについて毎日診察・治療計画を練りました。患者さんが急変した時に二人で駆けつけたり、プライベートで飲みに連れて行ってもらったりと、とても思い出深いです。
現在は2年目へ突入し新しい1年目も入ってきたこともあり、新鮮な日々を送っています。2次救急外来では、1年目と2年目がペアになり主体的に診療計画を練っていくのも当病院の特徴である為、各症例、皆で振り返りつつ切磋琢磨しています。
皆さんも興味を持たれましたら、ぜひ当院へ見学に来て下さい。お待ちしております。
平成26年6月 池田 勝浩
はじめまして、2年目研修医 池田勝浩です。 約2年前、卒後研修をどの病院でしようかなと考えて、この研修医日記を読んでいましたが、まさか自分がその原稿を書く日がくるとは。当時の先輩研修医が、当院にて専修医として勤務されており、一方的に親近感を持っているのは自分だけの秘密にしています。 さて、他の方が当院での研修について詳しく書かれているので、私は思った事をダラダラと書いていきたいと思います。初期研修医に関する事です。
①給料:普通に使ってても困らない額を頂いてます。上を見たらキリがないので気にしていません。
②ご飯:昼食は職員用食堂かローソンで買ってます。ご飯が食べれない日はほとんどありません。食堂の味は80点ぐらいでしょうか、美味しいです。
③病院:古い建物なので、お世辞にも奇麗とは言えませんが、清掃スタッフの方の掃除が行き届いており、清潔です。少し暗い感じはします。
④研修:私は循環器(2ヶ月)➡総診(1ヶ月)➡内科(3ヶ月)➡外科(2ヶ月)➡耳鼻科(1ヶ月)➡救命(2ヶ月)➡消化器科(2ヶ月) といった順番でローテートしています。どの科にも教育熱心な先生が多く、色々教えて頂きました。また、当院には専修医(3年目〜5年目)の先生が多数おられ、何かあったら気軽に聞けます。
⑤同期:16人おり、どの科を回ってても1人か2人は一緒なので、一番近い相談相手です。皆さん賢い方ばかりなので、刺激を受けます。
⑥当直:月2〜3回してます。いまだに緊張します。日々勉強だなと痛感します。
⑦休み:こればっかりは科によります。土日完全オフな科から、毎日が平日な科もあります。
ここまで書いて見直しましたが、本当にダラダラと書いてしまいました。
研修病院は野戦病院から暇な病院まであります。当院はまさに中間でバランスが取れています。自分がどれだけ主体的に動き考えるかで、研修は変わってきますが、その環境は整っています。ただ、百聞は一見にしかずです。まずは見学して病院の雰囲気を感じて、研修医ルームで寝てる研修医に根掘り葉掘り実際の話を聞いてください。一緒に働ける日を楽しみにしています。
2年目研修医 池田勝浩@日差しが厳しい研修医ルーム
平成26年6月 大畔 健太
初めまして。国立大阪医療センター2年目研修医、大畔健太(おおくろけんた)と申します。
このページを通して、僕たちの生活を少しでも知ってもらえれば幸いです。
現在、僕は二年目の研修医として、日々研修の毎日を送っております。初めての医師としての一年間は、長いようでも短いようでもありました。採血もままならない5月に消化器内科から始まり、救命救急、総合診療部、循環器内科、総合内科、外科、そして現在は耳鼻咽喉科で研修させていただいています。
新しく一年目の後輩も入ってきましたが、彼らをみていて自分の去年の姿を思い出す反面、一体どのぐらい自分は成長できたのだろうか、と時々考えます。
この病院で一年研修をさせていただき、様々なことを学ばせていただきました。
僕にとって、この一年は師に恵まれた一年であったことは幸いであったと思います。
最初に研修した消化器内科の指導医には、医師としての在り方や患者との接し方も含めて医師としての最初の第一歩を教えていただきました。総合診療部や循環器、総合内科でも様々な指導医に指導いただきましたが、先生方は細かな内容も熱心に教えてくださり、知識的な面だけでなく内科医として自分も将来こうなりたいという規範を学ぶことができました。僕は、将来は内科を考えているのですが、外科でも術後の難しい状態の管理や患者さんとの接し方、外科医としての在り方など学ばせていただくことは多かったです。当院では、三次救命も救命救急にて二か月研修しますが、三次救急ならではの様々な症例を経験でき、救命救急の先生方に指導していただいたことは貴重な経験でした。当院では、当直業務を一年目、二年目の研修医とともに行いますが、当時の二年目の先生方も皆、個性豊かで頼りがいのある先生方でした。
当院の研修内容には良い点、悪い点はもちろんあると思います。
様々な診療科がそろっているという点はいい点ですが、裏を返すと一つ一つの診療科あたりの研修が短くなりがち、選択期間が短いなど、長所と短所が表裏になってしまっていることもあります。
しかし、師に恵まれているという点は、胸を張って言えると僕は思います。
医師として、自分がこうありたい、と思える先生方に研修医として早い段階に出会えたことは幸運なことでした。内科系にせよ、外科系にせよ、後期研修医の先生方に身近にご指導いただき、まず2年後、3年後の目標となりうる先生方との距離が近い当院の環境は、初期研修にとって非常にいい環境であったと思います。
研修医としての一年間は漫然としているとすぐに過ぎてしまいます。去年は、ただ日々を過ごすのに必死で、知識的な面だけでなく、人格的な面でもまだまだ研鑽が至らなかったと思います。
今年一年、二年目研修医として、少しは慣れてきたこともあり、改めて落ち着いて勉強できるようになってきたかと思います。
いくら師にめぐまれていても、あくまで自分自身を見つめなおすことは欠かせません。ただ憧れるだけでなく、近づけるように一歩ずつ歩んでいけるよう、この一年を踏みしめていきたいと思います。
いつか、僕も後輩に目標とされるような医師になることができるでしょうか。この疑問に答えを出すことはできませんが、まずは少しずつできることから積み重ねていこうと思います。
以上、研修内容を伝える内容としては漫然なものになってしまいましたが、もしあなたが、当院の研修を考えている学生さんなら是非見学に来てください。
研修医一同、未来の仲間をお待ちしております。
平成26年7月 大谷 知之
研修医2年目の大谷知之と申します。 この「研修医日記」というものは、どうやら、当院での初期研修を考えている方々が読者となることが多いようなので、そのつもりで書きます。
当院は、大阪の真ん中、谷町四丁目にあり、上本町などは自転車ですぐの距離にあ りますし、多少の歩行を厭わなければ、梅田まで歩いていくこともできます。寮生活 者にとっては、周囲がまったくのビジネス街・官庁街であるために最寄のスーパーまで徒歩10分というのがいささか不便ですが、これも自転車があれば解決されるでしょ う(なお、近々、病院の敷地内にスーパーが建つようです)。大阪城がすぐ近くですから、ふだんから城のまわりを歩いたり走ったりしている医師もいるようです。
研修課程では、選択科が4箇月のみであることは、早いうちから自らの専攻科で研 鑽を積んでおきたいと考える方には気になる部分かもしれませんが、多科での研修で 経験・見聞を広めるのも悪くないと思っている方にはとくに問題にならないでしょう。実際、現在当院で初期研修を行っている医師で、かなり専門性の高いと思われる診療科(「マイナー科」と呼ばれる科を含む)を志している者は少なくありませんが、みな、内科・外科をはじめとする一般科での研修にも積極的に取り組んでいるようです。受入れる科の医師(レジデント・スタッフ)の方でも、熱心に指導してくだ さいます。
当直は月に3回程度で、「2次救急」とされる程度までの外来救急症例を扱います (病棟当直はありません)。研修医には、緊急造影CTの撮影などをふくむ権限が与えられているため、診断・治療の戦略をある程度自分で立てながら診療に臨むことができます(もちろん、上級医に相談することもできます)。入院後の患者は、レジデント以上の当直医の管轄に入りますが、病院の規模が大きく、たいていの疾患は対応できるので、救急受診し入院となった患者のその後の経過もある程度追うことができ、勉強になります(つまり、「手術が必要になったので転院」というようなことは少ない)。当院にかかりつけの患者さんの急変を扱うことも多いため、病棟での研 修では経験することの少ない慢性疾患の症例を診察する機会にもなります。
当院は研修病院としても規模が大きく、初期研修医1年目・2年目で都合32人の大所 帯で、(たまたまなのか採用方針であるのか、研修医の私からは窺い知ることができませんが)、研修医の出身大学は、関西が中心ではあるものの、かなり様々です。背景も、将来の志向も、様々ですから、各自の得意とする分野の情報を交換し合い、互いに助け合って、研修に励んでいます。研修医室は、あまり整頓されているとはいえず、初めて見る方に苦笑いされることもしばしばですが、最近は、窓際にプランターを置いて毎日水をやってくれる研修医も出てくるようになりまし た。
当院での研修に興味をおもちの方は一度見学に御越しください。
平成26年8月 堅田 奈月
研修医2年目の堅田奈月と申します。当院の魅力や特徴はこれまでの先生方がとても詳しく説明して頂いていますので、私なりに“どんな初期研修を心がけているか”について書き加えさせて頂きたいと思います。
野球でもゴルフでもテニスでも、何かを習得しようとする際、基本が大事です。基本フォームが土台となって上達していきます。臨床医学も例外ではなく、基本を習得する事を意識して研修に臨んでみてはと考えます。初期研修の時期は医師としての可塑性が高く、診療の基本を修めるのに最適な時期であると感じます。
もちろん、心がけや目標は個人によって違ってくると思います。その手助けとなるのが、医師の人生は長くて40年程ですが、自分が自立してくるであろう15年後をイメージしてみることではないかと思います。2030年頃、日本は超高齢化社会の真っただ中、多くの方が多彩な慢性疾患を持ち、複数の専門医にかかり、polypharmacyが行われている社会を私はイメージしました。そこで、私は自分の専門外の分野であっても、症状や所見に気づき他科に適切なタイミングでコンサルトできたり、薬剤の相互作用に気づける医師になりたいと考えています。そのために研修の心がけとして、医師同士が共有すべき考え方やルールとなるものは何かを意識して研修しています。
当院は高度に特化されたspecialistから成る総合病院で、日々研鑽されている尊敬するスタッフやレジデントの先生方がたくさんいらっしゃいます。また、総合診療科もあり、プライマリ・ケアを学べる環境もあることから、大変恵まれていると感じます。当院は自由度が高い分、あとは本人のやる気次第で研修の充実度は違ってくると思います。
私は、当院を選んで良かったと日々感じています。多くの科の先生方やコメディカルの方に指導して頂ける環境はもちろんですが、何より、医療チームのコミュニケーションがとれており、活気のある職場です。
まだまだ未熟な私が書かせて頂くのは大変恐縮ですが、これを通して、学生の皆さんが自分にあった病院を見つけられる手助けになれば嬉しいです。
平成26年8月 清川 博貴
研修医としてめまぐるしい日々を過ごし、漸く1年少し。初期研修プログラムとしてはやや短い4ヶ月という選択科の期間を、今顕微鏡の前で過ごす日々を送っています。同期には外科や消化器内科、循環器内科といったメジャー科を志望する人もいれば、小児科や眼科を考えている人も。そして16人中、自分を含めて2人の病理志望がいるという、少し珍しい学年です。たとえ病理志望であっても患者さんを診察し、手術に入り、そして当直をこなす現在の初期研修プログラムは、確かに専門分野の鍛錬が遅れるデメリットはありますが、様々な病気の時間的経過を見ることができたり、病理検体が採取される過程を見る事ができたりする点では、悪くないんじゃないかな、とも思っています。それに、病気が良くなって帰って行く患者さんの姿をみるのは、やっぱり良いものです。
おそらくこの研修医日記を見ている人の大半は、初期研修先を悩んでいる医学部生でしょう。少なくとも僕は、初期研修先として大阪医療センターを選択したことは間違っていなかったと思っています。ただ、初期研修に何を望むかによって、それは大きく変わってくるはずです。僕の場合は、「腫瘍を数多く見られる病院である」、「多くの科を回る事ができる」、「初期研修医の間にできる手技の多寡は問わない」、「自学自習の時間を適度に取れる」などの基準でこの病院を選択し、実際に満足できる研修を今のところ受けられていると感じています。しかし逆に言えば、「(当院ではあまり多くない)良性呼吸器疾患、膠原病、糖尿病以外の内分泌疾患、神経変性疾患などを診たい」、「既に決まっている志望科を長期間ローテートしたい」、「自分で手技を数多くこなしたい」、「休む間もないくらいバリバリ働きたい」、「逆に17時には家に帰りたい」などの希望のある方には、むかないかなとも思います。自分の中で絶対に譲れない点を考えた上で、見学に来られると良いかも知れません。
当院で研修医が病理診断科をローテートするのは珍しいことのようです。けれど切り出しの仕方から、「これって…癌…なんですか…?」みたいな質問まで、指導医の先生方は丁寧に教えて下さいます。研修期間中は診断室にどんと立派なデスクまで用意していただき、じっくり診断していると言った感じです。他科でも指導に積極的な先生方が多く、学べる機会はそこら中に転がっている病院だと思っています。建物はちょっと古いですが、「ソフト面」で困ることは無いはずです。
医学部生から初期研修医にかけての時間は、将来の進路を決めるべく何かと悩むことの多い時期なんだと思います。みなさんの目の前にあるたくさんの選択肢の幅を狭めることなく、思う存分、自由に悩むことのできる研修環境が得られる事を祈っています。もし当院がその候補となると感じたなら、ぜひ一度見学に来てみて下さい。
平成26年9月 金 伽耶
はじめまして。2年目研修医の金伽耶と申します。
研修医生活も1年半経過し、残り半年と少しとなってしまいました。やっとというべきか、早いものでというべきか、私にもよくわかりません。研修医日記ですので、研修先として少しでも興味を持っているかもしれない医学生の方々に向けて、1年半終えて感じたことを少し書かせて頂こうと思います。
研修にあたってこの病院の良いところは、バランスがいいところです。大抵の科は揃っていて、いわゆる野戦病院でもなければ、ゆとりの病院でもない。同期も16人いて寂しくありません。レジデントの先生方は初期研修からいらっしゃる先生も多く親身になって指導してくださいますし、上級医の先生方は各専門領域で活躍されており、学ぶことは尽きません。自由になる時間は科によりますが、自学自習の時間もありますし、教えを請えば受けることができます。だれでも、求める者は受け、探すも者は見つけ、門をたたく者には開かれる。という好きな言葉があるのですが、結局どんな2年間になるかは自分次第かなと思います。自分次第で彩れるともいえます。その術はたくさん与えられている環境だと思います。
この日記、医学生の方々に向けて、と書きましたが、私自身にもいい内省になりました。残り半年、丁寧に過ごしていきたいです。
平成26年10月 小林 登
初めまして、研修医の小林登と申します。
10月も半ばにあり、自身の初期研修も残すところ半年をきりました。早いものでマッチングの合格発表で喜んだあの頃から2年がたっているのですね。振り返れば本当に早かったように思います。国家試験、卒業式などを経て、入職し、医師として患者に接するようになり、日々必死でした。そんな日々の中で気づいたなどをお伝えできればと思います。
・当直
初期研修では各科の研修に加え、当直勤務もあります。当直は月2~3回であり、休日・年末年始を問わず診療にあたります。体力的にはきつい時もありますが、各科研修では経験しない症例もあるために研修には必須だと感じました。
・教育
各科の教育体制は様々です。オーベン制と言って、卒後3~7年程度の上級医とマンツーマンで研修が進む科もあれば、卒後何十年の部長と治療方針を決めていく科もあるのです。しかし、共通している点は自身でアピールすることが大事であるということ。勿論上級医への言い方、アピールの仕方なども大事であり、自身色々と悩みました。
・同期
各学年に16人おり、大学病院を除けば最大規模かと思います。私が感じた同期が多いことのメリットは同期と症例について何でも話し合えることです。当直などで迷ったことなどをあーでもない、こうでもないと話し合うことで刺激になりました。結局結論が出ずに、上級医に聞いたこともしばしばですが。
最後になりますが、3年目から当院の外科にて研修させて頂くこととなりました。当院の研修を考えている方、少しでも外科に興味がある方は当院へ見学に来てください。
平成26年11月 研修医2年目 新海 数馬
大阪医療センター研修医2年目の新海数馬です。研修医日記ということで、当院での初期研修を考えている医学生の方に向けて、研修制度について少し書かせていただこうと思います。
当院では16人の初期研修医が同期として2年間を過ごします。研修医室という研修医1・2年目だけの部屋があり、空いた時間はそこで勉強をしたり、仮眠をとったり、あるいは患者さんについて議論をしたりと、非常に賑やかな毎日を送っています。毎日誰かが夜間当直をしているため、朝には救急外来で診察した患者さんについて同期の友人同士で話し合う光景がよく見られます。
研修する診療科はその時々で皆違うので、全員が集まって勉強会をするということはあまりないのですが、当院では研修医レクチャーという上級医によるセミナーも定期的に開かれますし、CPC(臨床病理カンファレンス)などにはできるだけ全員参加するようにしています。
各診療科の特徴を挙げだすとキリが無いのですが、どの科でも指導医の先生は優しく、指導熱心な方ばかりです。忙しい診療科もありますが、仕事で忙殺されて自分の時間が取れなくなるということはあまりなかったように感じます。自分で勉強するもよし、指導医に教えてもらうもよし、当院では自分に合ったやり方で研修を積めるのではないかと思います。
まだ自分の将来があまりわからない、志望する診療科も迷っていて・・・という医学生の方はぜひ当院で初期研修を受けてみてはいかがでしょうか。 心斎橋や梅田へのアクセスもいいですよ!
平成26年12月 中川 智義
こんにちは。研修医2年目の中川智義です。私が大阪医療センターで研修医として働き出してから既に1年と9ヶ月が経過し、研修生活も残すところわずか3ヶ月ばかりとなってしまいました。今頃この「研修医日記」のコーナーをご覧になっている皆さんは、きっと、マッチングで大阪医療センターに内定し、あとは国家試験合格のみと勉強に励んでおられる6年生がほとんどか、あるいは意識の高い成績優秀な5年生か、いずれにせよ、来るべき研修医生活に向けて期待に大きく胸を膨らませている方々であることに違いはないでしょう。私も医学部6年生だった頃、マッチング試験に先立ってこの「研修医日記」を読み込み、医師として働く自分の姿を白昼夢に描いていたし、また、数多くの先輩方からのメッセージは、実際の面接試験でとても役に立ったことを覚えています。今回は、そのお返しとして、当院での研修の特徴について少し書いてみようと思います。皆さんがご自身の将来像についてのイメージを膨らませる一助となれば幸いです。
大阪医療センターでの初期臨床研修の最大の特徴は「必修ローテート科・期間が非常に多い」ということです。1ヶ月にわたるオリエンテーションののち、総合内科(腎臓・脳卒中・呼吸器・糖尿病・血液)=3ヶ月、消化器内科=2ヶ月、循環器内科=2ヶ月、総合診療部(救急内科の要素も含む)=1ヶ月、外科=3ヶ月、救命救急=2ヶ月、麻酔科=2ヶ月、産婦人科=1ヶ月、小児科=1ヶ月、地域医療=1ヶ月、精神科=1ヶ月、自由選択=4ヶ月というボリュームある研修が続きます。利点としては、院内の内科系診療科のほぼ全てをじっくりローテートできること(ただしHIV感染症診療に長けている感染症内科は必修科ではなく、選択希望科としてのみ選択できる)、また、3次救命(当院は3次指定救命救急センター)研修が単科で2ヶ月設定されていること等が挙げられます。平成22年度の厚生労働省による医師臨床研修制度の見直しにより、スーパーローテートのうちの必修期間は大きく短縮することが可能となり、内科6ヶ月、救急+麻酔3ヶ月、+αとして選択必修(精神科や産婦人科など)を修了すれば、2年目の1年間はそのほぼ全てを将来自分の進む科での研修に費やすことができることになり、多くの病院がその方向へと舵を切っています。しかしながら当院では相変わらず、19ヶ月もの長い期間を必修科目に充てています。これは、学生のうちから既に将来進む診療科を決めている方々にとっては少しネックになると考えられます。「同じ○○科に進む他の病院の友人は選択で10ヶ月も○○科を回っているのに、俺は2ヶ月しか選択せぇへん…!!大丈夫なんかな??」という不安を持つ人も多いでしょう。実際私も、当院で研修をするに当たりこの点が唯一の不安材料でした。たとえ先輩たちに「これから将来何十年もずーっとひとつの診療科を専門にするのに、最初の1年ぐらい誤差やで!」と言われても、不安はそうそう拭えません。
しかし、この不安は杞憂に終わりました。なぜなら、19ヶ月にわたりいろいろな科をローテートして得られた知識や経験は今後の医師生命にとって極めて有用な資産となり、その利益は、最初の1年間、専門研修の開始が遅れるデメリットを遙かに上回ると思えたからです。正直、私は学生時代に講義や実習をそこまで真面目に受けておらず、内科での研修は、自分自身のわずかばかりの知識(というかほぼ無知!)と、目の前で繰り広げられる患者さんの病態への医療の介入とのギャップのあまり、非常にハードなものでした。自己弁護するわけではありませんが、たとえ学生時代にきちんと勉強していたとしても、机の上で学んだ病態生理と、実際患者さんの身体で起きている問題に対してどのように評価し介入するかということとの間には大きな隔たりがあります。無学な自分がこのギャップに挫折せず、時間外外来もある程度こなせる人並み程度の医師に成長できたのは、ひとえに、大阪医療センターの先輩先生方のおかげだと感じています。当院の先生方は、部長からレジデントまでどの先生も大変教育熱心かつフレンドリーです。どんな質問をしても一緒に考えて下さり、私達のレベルにあわせた丁寧な指導をしてくれます。数多くの熱心な指導医とともに、内科系8ヶ月に救命・麻酔4ヶ月、さらには外科3ヶ月もローテートすれば、大抵の疾患への初期対応やICUでの全身管理もある程度可能となります。今では、初期研修で長期間多くの必修科を回っておいて本当に良かったと思っています。たとえ将来進む科が決まっていたとしても、それ以外の数多くの診療科をじっくりローテートすることで、将来専門の科に行っても必ず役に立つ基本的な診療能力を得ることができます。もしこの日記を読んでいる学生さんの中に、当院での研修で選択期間が短いことを不安に思っている方がいたら、心配は無用です。
もちろん、将来の進路を決めていない人にもおすすめの病院です。当院にも弱い分野があることは事実です(肺癌以外の呼吸器疾患、甲状腺、リウマチ、神経筋疾患、…)。しかし、それ以外の分野ではマイナー科を含め各科とも高い水準の専門性の高い医療を実践しており、当院初期研修中に将来の診療科を決めることも可能かと思います。
以上、「研修医日記」とは言い難い、片寄った内容(というか勧誘?笑)となってしまいましたが、私の2年前の不安と同じ不安を持つ人へのアドバイスになればと思い、必修期間のことについて書かせて頂きました。来年、あるいは再来年の4月、大阪医療センターでお会いできることを心から楽しみにしています。
平成26年12月 清田 良介
こんにちは、研修医2年目の清田良介です。先輩方が書いた研修医日記をわたしが初めて目にしたのは研修先を選んでいるときでした。様々なひとが目にするものかと思いますが、研修先を検討している医大生の方々に向けて、当院2次救急外来について書きたいと思います。
当院2次救急外来は、基本的に研修医1・2年目で初期対応を行っています。研修医が初期対応をしている病院は沢山ありますが、当院では救急車の搬送連絡も研修医2年目が対応しており、その点はうちの特徴かと思います。患者が来室したら診察し、必要な検査をオーダーし、その結果を見て帰宅か入院かの判断を研修医で相談して行います。もちろん困った事があれば内科・外科・心臓・脳当直へ相談する体制が整っており、相談すると快く応じていただけるので心配する必要はありません。初療室にはベッドが4つあり、簡単に済ませられる時は椅子に座っていただき診療を行うこともあります。忙しいときには、ベッドはすべて埋まることもあります。そんなときに同期が助けにきてくれたりすると非常に助かります…。どんな疾患が多いか振り返ってみると、幅広く多くの疾患を経験することが出来た印象です。しかも今後は救急外来を充実させる病院としての方針があり、来年度からは救急病院の輪番にも入ります。いわゆるcommon diseaseといわれる疾患に関しても、より一層多く学ぶ機会が増えるでしょう。またかかりつけの担癌患者や免疫不全患者も多いので、初療室で重篤な患者を診る事も少なくありません。
反省する事も非常に多いですが、楽しくやっています。文章では実感がわかないと思いますので、病院見学に来た際に一度救急外来にも来てみてください。