膿胸
病気の概要
胸腔(胸膜腔)を囲む胸膜が細菌感染し、胸腔に膿がたまった状態が膿胸。急性膿胸は口腔内の常在菌や黄色ブドウ球菌、嫌気性菌などの感染により発症することがほとんど。肺炎や縦隔炎などから続いたり、胸部手術や食道破裂に合併したりして発症します。一方、慢性膿胸は結核性胸膜炎が長引いたり、急性膿胸が進行したりすることで起こります。
見つかるきっかけ
(症状)
急性膿胸では発熱や胸の痛み、全身の倦怠感が現れます。さらに、貯留する膿が多い場合、呼吸困難を伴うことも。一方、慢性膿胸では、発熱や胸の痛みはないことがほとんどです。胸膜が肥厚していることから、呼吸運動の障害や肺の虚脱が起きたり、十分な換気ができずに呼吸困難を伴ったりするケースもあります。
当院での検査内容
まずは胸部エックス線検査や胸部CTを行い、胸水や胸膜肥厚の状態をチェック。胸腔にたまった胸水をサンプルとして抜き取る胸腔穿刺も行い、膿を採取した上で、白血球数、好中球数の数値の上昇を確認します。培養検査による原因菌の特定も欠かせません。
当院での治療内容
急性膿胸では胸膜にチューブを挿入して膿を排出し、原因菌に有用な抗菌薬を処方します。効果が得られない場合や、慢性膿胸の場合は、必要に応じて胸膜剥皮術や開窓術などの外科的治療を行うこともあります。
当院での診療方針
(治療方針)
膿胸の病態と治療方針に関して、わかりやすく丁寧な説明を心がけています。退院時には紹介医の先生へ診療情報をお送りし、退院後も安心して生活ができるように配慮しています。
対応診療科
呼吸器外科
転移性肺腫瘍、横隔腫瘍、胸膜・胸壁腫瘍などを取り扱うほか、肺がんに関しては、早期がんの肺機能温存手術、胸腔鏡手術から進行がんの拡大手術、術後補助化学療法や再発がんに対する治療までに一貫して対応。呼吸器内科や放射線科、臨床検査科と共同体制を敷き、最高水準の治療と新しい診断・治療の開発に努めています。
呼吸器内科
呼吸器内科は肺がんを専門とする内科です。診断および治療では、組織型(小細胞がん、非小細胞がん)、病期、全身状態、年齢、合併症など患者さんのさまざまな面を考慮。各種ガイドランを参考にするとともに、呼吸器外科や放射線科、病理診断科などと合同で症例検討会を行い、治療方針を決定しています。