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診療科(専門領域)
血液内科 |
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研修期間
3年間 |
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募集人数
1名 |
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短期目標
次の基本的項目を到達目標とする。
Ⅰ.知識
当院で臨床研修を行うことにより、多くの症例を経験し血液専門医としての基礎的知識を会得する。
1. 形態、機能、病態生理
a. 造血臓器および血球の構造と機能
b. 血球産生と分化
1) 造血幹細胞
2) 造血因子(EPO,G-CSF,GM-CSF,M-CSF,TPO,IL-1,3,4,5,6,11)
c. 血漿蛋白
d. 止血機序
2. 主要徴候
貧血、多血、発熱、出血傾向、血栓傾向、脾腫、肝腫大、リンパ節腫大、黄疸、免疫不全、過粘度症候群、ヘモグロビン尿
Ⅱ.診察
1. リンパ節触診
2. 出血傾向視診
3. 肝脾触診
Ⅲ.検査
殆どの血液検査の結果を理解し、一部の検査については一人で施行できるようにする。
1. 血球算定およびヘモグロビン定量
2. 赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)
3. 塗抹標本の作製と検鏡
a. 塗抹標本の作製と検鏡白血球百分率(自分一人で出来る)
b. 赤血球、白血球および血小板形態(自分一人で出来る)
4. 網状赤血球数
5. 赤血球沈降速度
6. 骨髄検査
a. 骨髄穿刺白血球百分率(自分一人で出来る)
b. 骨髄像(自分一人で出来る)
c. 生検(自分一人で出来る)
7. 血球の形態学的検査
a. 細胞科学検査
ペルオキシダーゼ、好中球アルカリファスファターゼ、エステラーゼ、鉄染色、PAS染色
8. 造血必須物質測定
a. 血清鉄、鉄結合能、血清フェリチン
b. ビタミンB12、葉酸
c. エリスロポエチン、G-CSF
9. 溶血に関する検査
クームス試験、血清酵素、ビリルビン、ハプトグロビン
尿中ヘモジデリン、赤血球浸透圧抵抗、Ham試験、砂糖水試験
ヘモグロビン分析
10. 血疫学における放射線学的診断
臓器の画像診断(CT,MRI,シンチグラフィー)
11. 血球の表面形質検査
a. 骨髄系細胞(CD13,14,33など)
b. リンパ系細胞(CD3,4,5,7,8,10,19,20,25,38,56,smIg,HLA-DRなど)
c. 巨核球系細胞(CD41,42など)
d. 赤血球系細胞(グライコフォリン、CD71,55,59など)
12. 免疫学的検査
電気泳動法、免疫電気泳動、免疫グロブリン定量、血清粘度測定
クリオグロブリン、ベンスジョーンズ蛋白
13. 出血傾向検査
a. 出血時間
b. 細血管抵抗試験
c. 血小板機能検査
d. 凝固能の検査
1) プロトロンビン時間
2) 活性化部分とロンボプラスチン時間
3) トロンビン時間
e. 各種凝固因子定量
f. 凝固線溶活性の測定
1) FDPの定量、Dダイマー
2) TAT、PIC
g. 循環凝固物質の測定
h. 凝固阻止因子の測定
ATⅢ、α2PI、プロテインC、プロテインS
14. 血 液型と輸血関連検査
a. ABO型(自分一人で出来る)
b. Rh型(自分一人で出来る)
c. HLA
d. 交差適合試験
e. 不規則抗体
15. 染色体検査
a. G banding
b. FISH
16. 分子生物学的検
a. サザンブロット
b. PCR
c. RFLPs
17. 造血幹細胞検査(コロニー系性能)
Ⅳ.治療および症例経験
種々の血液疾患について、診断を行うと共に、知慮計画を立て、それを実行できるように修練する。
1. 食事指導(貧血に関する食事指導)
2. 貧血疾患の薬物療法
a. 鉄剤、葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6
b. アンドロゲン、蛋白同化ホルモン
c. 造血因子(EPO、G-CSFなど)
d. 免疫抑制用法(副腎皮質ステロイド、シクロフォスファミドなど)
e. 抗腫瘍薬の投与(各種プロトコールの決定および実行)
1) アルキル化剤
2) 代謝拮抗剤
3) 抗がん抗生物質
4) ホルモン薬
5) 酵素剤
6) アルカロイド薬
7) トポイソメラーゼ阻害薬
8) 分化誘導剤
f. 抗凝固薬と抗血小板薬
3.輸血療法
a. 成分輸血
b. 血液製剤と血漿分画製剤
4.特殊療法
a. 脾摘
b. 造血幹細胞移植
1) 骨髄移植
2) 末梢血幹細胞移植
3) 臍帯血移植
c. 血漿交換
d. 放射線療法
e. 髄注
5.無菌管理
6.予後因子
7.治療効果の判定
8.感染症の管理、治療
9.赤血球系の疾患(貧血全般)
10,白血球系疾患(白血病等造血器悪性腫瘍全般)
11,蛋白異常症(多発性骨髄腫等)
12.免疫不全症(先天性および後天性、HIV感染症を除く)
13.出血血栓性疾患
a. 血管障害による出血傾向
b. 血小板減少性紫斑病
c. 血小板機能異常症
d. 凝固、線溶異常による出血傾向
e. 易血栓形成症
14.薬剤による造血障害 |
5. |
診療科の実績と目標症例数
症例数と手術件数の調査年度 |
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主要疾患
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入院数(年間)
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目標症例数(3年間)
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急性白血病
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10
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9
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悪性リンパ腫
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35
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30
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多発性骨髄腫
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15
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15
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その他造血器悪性腫瘍
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10
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12
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特発性血小板減少性紫斑病
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10
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12
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貧血精査など(良性疾患)
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30
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30
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移植
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件数(年間)
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目標件数(3年間)
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自家末梢血造血幹細胞移植
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8
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9
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同種末梢血造血幹細胞移植
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4
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5
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6.
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診療科の指導体制
診療科医師数 常勤 3 名、 非常勤 0 名
診療科研修の指導にあたる医師 3 名
主として研修指導にあたる医師の氏名 井上 信正
〃 診療科経験年数 33 年 |
7. |
コンセプト
大阪府下の白血病治療を行う多くの施設(大学・センター等)は造血細胞移植を主に行い、移植適応のない疾患や高齢者の診療はしない事が多い。本院でも造血細胞移植は行っているが、移植中心の治療を行うのではなく、広く血液疾患を受け入れる事により広い知識と経験を有する血液内科医を養成する。 |
8. |
全内科レクチャー月2回の開催
総合内科抄読会の開催週1回
職員研修部・臨床検査診断部CPC月1回
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