短期目標
次の基本的項目を到達目標とする。
Ⅰ.知識
当院で臨床研修を行うことにより、多くの症例を経験し血液専門医としての基礎的知識を会得する。
1. 形態、機能、病態生理
a. 造血臓器および血球の構造と機能
b. 血球産生と分化
1) 造血幹細胞
2) 造血因子(EPO,G-CSF,GM-CSF,M-CSF,TPO,IL-1,3,4,5,6,11)
c. 血漿蛋白
d. 止血機序
2. 主要徴候
貧血、多血、発熱、出血傾向、血栓傾向、脾腫、肝腫大、リンパ節腫大、黄疸、免疫不全、過粘度症候群、ヘモグロビン尿
Ⅱ.診察
1. リンパ節触診
2. 出血傾向視診
3. 肝脾触診
Ⅲ.検査
殆どの血液検査の結果を理解し、一部の検査については一人で施行できるようにする。
1. 血球算定およびヘモグロビン定量
2. 赤血球恒数(MCV、MCH、MCHC)
3. 塗抹標本の作製と検鏡
a. 塗抹標本の作製と検鏡白血球百分率(自分一人で出来る)
b. 赤血球、白血球および血小板形態(自分一人で出来る)
4. 網状赤血球数
5. 赤血球沈降速度
6. 骨髄検査
a. 骨髄穿刺白血球百分率(自分一人で出来る)
b. 骨髄像(自分一人で出来る)
c. 生検(自分一人で出来る)
7. 血球の形態学的検査
a. 細胞科学検査
ペルオキシダーゼ、好中球アルカリファスファターゼ、エステラーゼ、鉄染色、PAS染色
8. 造血必須物質測定
a. 血清鉄、鉄結合能、血清フェリチン
b. ビタミンB12、葉酸
c. エリスロポエチン、G-CSF
9. 溶血に関する検査
クームス試験、血清酵素、ビリルビン、ハプトグロビン
尿中ヘモジデリン、赤血球浸透圧抵抗、Ham試験、砂糖水試験
ヘモグロビン分析
10. 血疫学における放射線学的診断
臓器の画像診断(CT,MRI,シンチグラフィー)
11. 血球の表面形質検査
a. 骨髄系細胞(CD13,14,33など)
b. リンパ系細胞(CD3,4,5,7,8,10,19,20,25,38,56,smIg,HLA-DRなど)
c. 巨核球系細胞(CD41,42など)
d. 赤血球系細胞(グライコフォリン、CD71,55,59など)
12. 免疫学的検査
電気泳動法、免疫電気泳動、免疫グロブリン定量、血清粘度測定
クリオグロブリン、ベンスジョーンズ蛋白
13. 出血傾向検査
a. 出血時間
b. 細血管抵抗試験
c. 血小板機能検査
d. 凝固能の検査
1) プロトロンビン時間
2) 活性化部分とロンボプラスチン時間
3) トロンビン時間
e. 各種凝固因子定量
f. 凝固線溶活性の測定
1) FDPの定量、Dダイマー
2) TAT、PIC
g. 循環凝固物質の測定
h. 凝固阻止因子の測定
ATⅢ、α2PI、プロテインC、プロテインS
14. 血 液型と輸血関連検査
a. ABO型(自分一人で出来る)
b. Rh型(自分一人で出来る)
c. HLA
d. 交差適合試験
e. 不規則抗体
15. 染色体検査
a. G banding
b. FISH
16. 分子生物学的検
a. サザンブロット
b. PCR
c. RFLPs
17. 造血幹細胞検査(コロニー系性能)
Ⅳ.治療および症例経験
種々の血液疾患について、診断を行うと共に、知慮計画を立て、それを実行できるように修練する。
1. 食事指導(貧血に関する食事指導)
2. 貧血疾患の薬物療法
a. 鉄剤、葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6
b. アンドロゲン、蛋白同化ホルモン
c. 造血因子(EPO、G-CSFなど)
d. 免疫抑制用法(副腎皮質ステロイド、シクロフォスファミドなど)
e. 抗腫瘍薬の投与(各種プロトコールの決定および実行)
1) アルキル化剤
2) 代謝拮抗剤
3) 抗がん抗生物質
4) ホルモン薬
5) 酵素剤
6) アルカロイド薬
7) トポイソメラーゼ阻害薬
8) 分化誘導剤
f. 抗凝固薬と抗血小板薬
3.輸血療法
a. 成分輸血
b. 血液製剤と血漿分画製剤
4.特殊療法
a. 脾摘
b. 造血幹細胞移植
1) 骨髄移植
2) 末梢血幹細胞移植
3) 臍帯血移植
c. 血漿交換
d. 放射線療法
e. 髄注
5.無菌管理
6.予後因子
7.治療効果の判定
8.感染症の管理、治療
9.赤血球系の疾患(貧血全般)
10,白血球系疾患(白血病等造血器悪性腫瘍全般)
11,蛋白異常症(多発性骨髄腫等)
12.免疫不全症(先天性および後天性、HIV感染症を除く)
13.出血血栓性疾患
a. 血管障害による出血傾向
b. 血小板減少性紫斑病
c. 血小板機能異常症
d. 凝固、線溶異常による出血傾向
e. 易血栓形成症
14.薬剤による造血障害
短期目標
次の基本的項目を到達目標とする。
A. 脳卒中の診断と治療
a. 病歴の聴取を行い、一般理学所見、神経学的所見をまとめ、発表する
b. CT・MRI・シンチ・エコーなどの検査を計画し、その結果を理解する
d. 脳卒中急性期に対し、臨床病型に応じて治療計画をたてる
e. 塞栓症(心原性脳塞栓症)の原因となる心疾患に対する理解と対応方法を学ぶ
f. 脳卒中リハビリテーションに対して理解し実施開始時期を決める
f. 頚部血管エコー検査、経食道心エコー検査、脳血流シンチ検査、脳血管造影検査 などの検査法を習得する
B. 高血圧の診断と治療
a. 二次性高血圧鑑別および高血圧臓器障害評価方法を習得する
b. 適正な降圧治療法を行う
C. 一般内科疾患の診断と治療
a.一般内科疾患全般の診断・治療を通じて適切に対応ができる。