政策医療

心臓外傷・心臓腫瘍など(心臓外科)

外傷性心破裂

交通事故等による胸部(特に前胸部)打撲によって心臓が胸骨と背部に圧迫され破裂をきたす。右室破裂がもっとも多く、心室中隔破裂を伴うこともある。心タンポナーデを合併することが多く緊急手術を要する場合が大半である。治療法は破裂部の閉鎖である。その他稀ではあるが刺創、銃創がある。

外傷性大血管損傷

強い全身打撲を受けた際、大血管が振盪することにより枝である小血管が断裂し大出血をきたす。他に刺創等による直接損傷がある。治療法は直接止血、血行再建術、コイル塞栓術等がある。

心腫瘍

もっとも多いのが粘液腫であり、左房に発生する頻度が80%である。良性腫瘍ではあるが転移することもあり、巨大化すれば房室弁へ陥頓し急激な心不全から突然死をもたらしたり、剥脱遊離し塞栓症をきたすことがある。治療法は腫瘍摘出術である。稀ではあるが心臓原発の悪性腫瘍もある。

癌の心臓および大動脈への転移

骨肉腫等の心臓転移、癌性心膜炎、食道癌等の大動脈直接浸潤があり心臓転移の場合腫瘍が大きくなって血行動態に支障をきたすことがあれば姑息的に腫瘍摘出術を施行することもあるが基本的には手術適応とはならない。大動脈へ直接浸潤し腫瘍を切除するためにやむなく大動脈壁を合併切除することもあるが全て予後不良である。

心房細動

心房の各部の無秩序な電気的興奮により心房全体としての収縮を失った状態である。僧帽弁弁膜症に合併することが多い。心機能低下、左房内血栓の原因となる。薬物治療のほか、外科的治療としてMaze手術がある。