院長のごあいさつ
ごあいさつ
院長 松村 泰志
当院は、大阪城の南側、難波宮跡の西側の上町台地に立地しています。明治2年に、この地に病院が建てられ、大阪医学校病院として診療と医師の育成が始められました。大村益次郎が京都で刺客に合って重傷を負った際、この病院に入院して治療を受けています。その後、帝国陸軍の駐屯地となりましたが、昭和22年、市民のために、再びこの地に国立大阪病院として病院が建てられ、平成16年に独立行政法人化し、現在の国立病院機構大阪医療センターとなりました。
当院は、ほぼ全ての診療科を配置していますが、各種のがん診療、脳・心血管領域の循環器疾患、整形外科疾患、消化器疾患に伝統的に力を入れて取り組んできました。それ以外にも、緑内障等の眼疾患、血液疾患、IgA腎症、多発性嚢胞腎、ネフローゼ、尿路結石等の腎尿路系疾患、皮膚腫瘍、眼瞼疾患、1型を含む重症型糖尿病、難聴、鼻副鼻腔疾患、HIV感染症、血友病、摂食障害などで多くの患者さんをご紹介いただいています。また、救急医療に力を入れており、一次・二次救急、三次救急、心・脳の急性期医療に24時間対応する体制をとっています。手術では、ロボット支援下手術を含めた低侵襲手術を推進しています。
当院は、エイズ治療近畿ブロック拠点病院、血友病診療近畿ブロック拠点病院の指定を受けており、HIV感染患者さん、血友病の患者さんに対し、治療に加え様々な医療上のサポートをしております。本体の治療に加え、併存疾患の治療に留意すべきことがあり、全診療科で、総合的に対応する体制をとっています。
新型コロナ感染症に対しては、当院は重症患者さんを受入れる役割を担っています。救命救急センターで受け入れていますが、ピーク時には一般病棟にコロナ病床を用意し、第4波の時には、23床の重症コロナ用病床を配置して対応しました。迅速にPCR検査ができる体制をとり、一般の患者さんでもコロナ感染が疑われる場合には検査をして対応するようにしています。withコロナの状況の中で、コロナ感染に対応しながら通常医療にしっかり取り組むことが肝要と考えております。
今日の医療の進歩は目覚しく、良い薬、良い治療法が生み出されています。こうした良い医療をいち早く取り入れ、提供するよう努めております。一方で、患者さんの高齢化が進み、主要疾患のみならず重大な併発する疾患をお持ちで、虚弱、認知障害、独居などの困難を抱える患者さんが多くおられます。単に先端医療を適用すれば良いというものではなくなってきています。当院では、診療科間の連携を密にして、こうした複雑な患者さんに適切に対応することに心がけています。また、専門・認定看護師による専門的なケアを実施し、患者さんに安心して入院していただけるように、心のこもった看護に努めています。薬剤師により他の医療機関で処方されている薬を含め、薬の服用・中止のきめ細かな管理・指導を行っています。必要とする患者さんには早期のリハビリを適用し、栄養士による栄養サポート、緩和ケア専門医による疾患による苦痛のコントロール、精神科医、臨床心理士による心理面のサポート、ソーシャルワーカによるリハビリ病院や地域包括ケア病院との連携、退院された後の生活の支援の相談などにも力を入れています。
当院のもう1つの特徴として、臨床研究の推進があります。臨床研究センターを有し、がんの集学的治療法の開発、遺伝子診断の導入、iPS細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療の研究などの新しい医療の開発に取り組んでいます。また、臨床研究や治験にも積極的に参加し、医療の発展に貢献しています。
当院の活動は、大阪ならびに近畿一円の先生方、医療関係者の方々のご支援とご協力により成り立っています。心より感謝申し上げます。今後も「正しく、品よく、心をこめて」をモットーに、地域医療に貢献し、医療人の育成や医学の発展に貢献してまいります。
大阪医療センターが地域の皆様にとって身近な病院になれるよう努めてまいります。どうぞよろしくお願いします。