病院について

病院機能評価について第1回 H10年4月(Version 2.0)認定

第1回 H10年4月(Version 2.0)認定

総括評価

貴院は国立病院のなかの基幹病院として、自院の役割・機能を「政策医療を対象に高度総合医療を実施する病院」と規定し、地域の疾病、特定疾患、心臓、脳神経系疾患、エイズなどの診療など高度・先駆的医療を展開し、一方で医師、看護婦を始めとする医療従事者の教育研修を推進している。このような機能をコンピューターシステム、インターネットといった最新メディアを利用してその実を上げている。その中で、より多くの患者に、より安く、よい医療を提供するという病院の姿勢が随所にみられ高く評価される。

  1. 1病院の理念と組織的基盤

    貴病院は国立病院の機関病院として、国の政策医療を担い高度医療を展開している。

    その中で病院独自の理念も掲げ、国という経営母体に支えられ、大阪府という広い地域においてその各種高度医療を具体的に実施している点は評価に値する。インフォームド・コンセント、情報開示の問題が叫ばれるなか、診療手帳を配布しホームページを開設し、この問題に取り組んでいる姿勢も高く評価できよう。医療機関向けにはホームページ、院内的にはイントラネットを通じて各部門に種々の情報を発信し、周知を図る努力も高く評価される。基本方針に掲げる安くてよい医療と上記の各種システムはいわば21世紀の医療のあり方を先取りした方向であり、医療提供のあり方と質の向上、医療教育のあり方などに一層の改善が実現され、その範が示されることをさらに期待するものである。

  2. 2地域ニーズの反映

    大阪府・市の医師会に積極的に参加し地域の人々の保健・医療・福祉ニーズの把握に努め、地域の関係機関と連携し政策医療を対象に高度総合医療を推進しようと努力されている。特に病院および各部門ごとに双方向通信を活用したり広報誌やパンフレットを配布し広く広報活動を行い、またボランティア活動を受け入れ積極的に病院を地域に開くために努力されていることは高く評価される。

    高度医療機器を用いた検査の受け入れについては、現状では受け入れられない状況がある。この点については検査に対する地域ニーズの把握、院内体制に改善などの検討の中で前向きな解決を期待するものである。

    救急医療活動については、施設・設備・人員など必要な体制は充実しているが、その活動状況については偏りがあると評価される。今後救命救急センターの機能をさらに発揮するべく専門医を含めた人材確保に積極的な対応がなされるよう期待する。

  3. 3診療の質の確保

    貴院は主要国立病院の一つで、大阪市の救命救急センターとしてさらに広域の高度医療病院として大阪の中枢病院である。レジデント、研修医を多数育成し、診療だけでなく教育研修にも力を注いでいる。したがって、診療の質確保には日常的に努力している姿勢がうかがわれる。診療の責任体制、医師の教育研修には、医療情報システムを駆使して、適切に実施していると評価できる。

    診療録管理、図書室の運用はおおむね適切に処理されているが、貴院の規模からみて業務の範囲・質はまだ十分とは評し難く、診療情報管理士の配属などを含めて、スタッフの充実により一歩進んだ情報管理を含めた有効利用が一層活発になることを期待する。

    コ・メディカル各部門の機能はそれぞれ適切に活動しており、意欲的に取り組んでいることは理解できる。一部では業務量、活動意欲に比し職員の確保が満たされていない部署もみられる。国立病院なるが故に定員の枠と予算確保の問題があると思われるが、業績に応じた人材の質的、量的確保の実現に期待したい。

    総体的には現段階でも、大阪地域の中枢病院として高度医療の提供という役割、機能を発揮していると考えられるが、各職場の円滑な運営と質の向上のため一層の努力を期待するものである。

  4. 4看護の適切な提供

    看護部は病院組織に明確に位置づけられほぼ適切に機能している。看護部内の会議や委員会活動も適切に運営され、看護部組織を活性化させていた。特に患者サービスと安全の保証については看護部が率先してやろうとする強い意思は評価に値する。今や患者サービスは病院全体で取り組まなくてはならない時代になっている。看護部はリーダーシップを発揮しながら看護部が取り組んできた活動の「精神」を他職種にも広められることを期待したい。

  5. 5患者の満足と安心

    国立病院にありがちな患者不在の医療を打破すべく多くの課題に取り組んでおられ、最近2年間でいろいろ成果をあげられている。特に大規模災害への対応は他の施設の範となるもので極めて高く評価される。

  6. 6病院運営管理の合理性

    管理面では国の法律、規則によく準拠して業務が進められており、資料も整えられており、申し分ないと思われた。職員諸君のご努力に敬意を払う次第である。また、資料作成の過程でも運営の改善が行われるものであるが、今後、そうした資料を梃子に病院経営の実をさらに挙げられるように期待する。