病院機能評価について第2回 H15年4月(Version 4.0)認定
第2回 H15年4月(Version 4.0)認定
病院機能評価について
- 日本医療機能評価機構(http://www.jcqhc.or.jp/)は、日本の病院が良質の医療を提供できるように改善の努力をするには、病院の機能を第三者が適正かつ公正に評価することが必要である、との認識から設立された組織で、厚生労働省健康医政局と日本医師会の発案によるものです。
- 評価の内容は、病院が基本的に備えなければならない姿勢や機能に重点がおかれ、病院の規模や設立母体は評価に関係しません。
- また、認定されても5年ごとに再評価を受けねばなりません。
- 本院は、これまでに2回受審しました;
第1回認定(平成9年度受審 ) 平成10年4月20日発効 第2回認定(平成14年度受審 Ver. 4.0) 平成15年4月20日発効 * 今回の認定は暫定的なものであり、 ①医療廃棄物・感染性廃棄物の保管に関する事項、 ②食事選択メニューに関する事項、 2点が改善しなければ、平成16年2月以降は認定取り消しになります。 早期に改善し再審査を受けます。
- 今回は Ver.4.0 の内容による審査を受けました。前回に比し自己評価項目も大幅に増え、とくに大項目(IV)(V)では、全病棟・外来部門の回答が必要なため、小項目延べ回答総数は 2,498 項目にもなる莫大な量でありました。
- 領域総括を全文以下に転記します。少し量が多く読みづらいかもしれませんが、なかなか手厳しい評価を受けました。これから、指摘を受けた項目について、時間をかけて手直しに取り組みます。
- 今回の受審に際しましては職員の意識の向上を目的として、約3ヶ月間、毎週受審ニュースを院内LANで発信し続けました。これによって、審査内容や準備の進行状態などを全職員に知らせ、かつ理解を得ることができました。また、館内の分煙徹底化を2ヶ間の準備期間を設けた上で実行しましたが、これにも受審ニュースが大いに役立ちました。
総括評価
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1病院組織の運営と地域における役割
貴院の理念および基本方針は平成13年に見直しが行われ、国立病院としての役割が鮮明にされていて適切である。また、理念・基本方針を遂行する職員の心構えを明文化していて評価できる。病院内外への周知にも努力されている。病院の役割と将来計画は、平成16年4月からの独立行政法人化を見据えて検討がすすめられ、平成13年に「基本構想および政策医療推進計画」が策定されている。この取り組みを院内の合意形成を図りつつ推進した病院管理者・幹部の指導力は評価できる。策定された計画が今後確実に推進されるよう、院内への周知がさらに必要と思われる。医療の質の向上、業務の効率化に対する管理者・幹部の指導性もおおむね適切である。
病院組織の運営は会議が適切に開催され、各委員会も意思決定機関のもと、その役割に相応しい機能を果たしている。一方貴院で重要な役割を持つ救急救命センターが、厚生労働省の訓令で組織図上は明示できないのは問題と思われる。府民・市民の生命を守るために実際に果たしている役割を組織図上に明らかにする必要があると思われる。 関係当局との折衝で実現することを期待する。また、地域医療連携室や診療情報管理室も組織図に明示がなく、さらに栄養管理室が事務部門にあるなど病院の実態に即した組織図とはいえないところもある。
情報管理機能の整備と活用は、とりわけ診療情報管理に関わって先進的な取り組みが行われている。不正なアクセスへの対応、破壊・改ざん・漏洩対策も講じられている。 しかし多様な情報を総合的に管理し、システムのさらなる充実を図るためにも情報管理部門の設置が望まれる。診療情報の開示・提供に関する手続きは明示され、開示・提供の実績もあり適切である。入院・外来患者に対する外部からの問い合わせ、呼び出しに関するマニュアルを整備されたい。関係する法令は遵守されていて適切である。
職員の教育・研修の実態はおおむね適切ある。しかし全職員を対象とする教育を企画・執行し、教育・研修結果を評価・分析する部門や委員会がなく、中央化に向けての職員配置と委員会の設置が今後の課題である。
医療サービスの改善への取り組みは「医療サービス向上委員会」 により患者満足度調査も年1回行われ、また投書箱からの意見を検討し、分煙の開始、小児病棟のストレッチャーの改善などを行っている等、おおむね適切に行われている。今後これらの成果を職員全体に反映するための発表会などを開催し、一層の成果を挙げることを期待したい。
地域の保健・医療・福祉施設などとの連携や協力も適切である。この取り組みは貴院の医療機能を発揮するためにも、今後、重要であると思われる。地域に開かれた病院として健康教育、広報活動、ボランティアの受け入れなども行われている。
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2患者の権利と安全の確保
患者の人権を尊重した医療を目指す病院の方針は診療手帳や病院案内などに示されているが、さらに患者の権利についての詳細を明文化して院内に掲示されれば、よりよく患者の理解が得られるものと思われる。また職業倫理についても単に文書化、 IT化にとどまらずさらに職員に周知せしめる具体的方策を実施されることが望まれる。説明と同意については各科ごとに診療行為別の詳細な指針が作成され、それに基づいて適切な説明と同意が行われており評価できる。また診療録は全て公開の原則に立って、病院として前向きな姿勢で取り組んでいることも評価できる。
患者の安全確保のためには医療事故防止対策に関する医療安全管理の体制づくりが行われており、また詳細な医療事故防止マニュアルに沿って積極的に取り組んでおり適切である。個々の安全確保の具体的な手順と実施についてはなお配慮すべき点が2、3みられるので検討の上万全を期していただきたい。
院内のインシデント、アクシデント情報などの収集、分析、改善のプロセスは確立しておりその成果もいくつかみられている。さらに医療事故を防止するためには外部組織との情報交換など、幅広い安全確保体制の構築が必要であろう。医療事故発生時の対応はマニュアルが整備されている。また公表についての手順も明確になっており評価できる。
院内感染管理については感染管理マニュアルの作成と活用、また院内感染活動委員会の活動により感染状況の把握と具体的な対策がなされており、院内感染管理についての教育も行われている。院内感染管理は適切である。
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3療養環境と患者サービス
接遇と案内に関しては、総合案内と相談を兼ねて外来看護師長が毎日患者や家族に対応し、また案内は事務職員も配置され祝日・休日も行われており適切である。接遇教育も、全職員が受講できるように同じテーマで繰り返し行われており、職員の態度や言葉づかいも良好である。正面ロビーには病院幹部の表示があるが、各部署には責任者の表示がないので明示されたい。病院案内には必要な情報が掲示されおおむね良好である。 ただし、高齢者には文字が小さくわかり難いものもあるので配慮されたい。診療時間は予定時刻に開始されたい。外来待ち時間の調査は行われ、予約制や呼び出し器の貸し出しなど、待ち時間への配慮はみられるが、さらに状況把握など具体的に取り組まれたい。
医療相談についてはMSWが非常勤で計1名いる他、事務の担当者が配置されているが、患者や家族の相談に応じる体制としてはMSWの増員が望まれる。患者・家族の意見を聴くための手段として投書箱が広いロビーなどに2ヵ所設置してあるが設置場所がわかりにくい。また、増設も検討されたい。「医療サービス向上委員会」でサービスの改善に取り組んでいるのは評価できるが、患者の希望や苦情に対する組織的な対応とその処理についても検討されたい。
利便性とバリアフリーについては設備やサービスが行き届いているが、惜しいことにはリハビリに行く廊下の傾斜が急である。外来診察室はおおむねプライバシーに配慮された構造になっているが、耳鼻科・眼科などの外来診察室の会話が漏れることと、中央採血室がオープンであり、大勢の目に触れる状況には何らかの配慮が必要である。入院患者のプライバシー確保には配慮がみられ、患者名の表示に就いても目下検討中とのことである。
療養環境の整備は、幹部職員などの巡視が行われ、良好に整備されている。清潔管理には多少の問題もあるので、なお一層の配慮が望まれる。禁煙・分煙については、喫煙室の喚起が不十分であり、臭気が漏れないよう排煙・脱臭装置の強化を望む。快適な療養環境としては広大な敷地に広々としたロビーや廊下があり極めて恵まれた施設である。しかし、病棟にはくつろげるスペースが狭く、また病院全体としてやすらぎへの配慮の点ではやや殺風景と思われる。配色やインテリアなどにもう少し配慮されたい。病院が広いので館内放送もやむを得ない場合もあろうが最小限に留意されたい。病室内の整理整頓・採光などは問題ないが、病室内の温度や空調は柔軟に対応されたい。食事の快適性では、患者食堂はない。食事は、一部ライト食の対応はあるが朝食はパンのみであり、また前回の審査での指摘にもかかわらず未だ選択メニューが行われていない。患者の特性や希望に対応する体制・選択メニューを実施する等、改善されたい。西5病棟のトイレはスリッパに履き替えていたが、安全と清潔の面で再考されたい。
災害時の対応体制は西日本の災害拠点病院として極めて適切に整備されている。災害発生時には大いに期待されるため、関係自治体、地元医師会とあらかじめ契約、協定しておくことが望まれる。
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4診療の質の確保
診療体制の確立と各部門の管理
診療組織と運営体制は、ほぼ整備されている。しかし作業療法士・言語聴覚士などリハビリテーション部門の人員が少ない点、組織図が現状を明確に反映したものとなっていない点および臨床倫理部会の実績が未だ少なく、職員全体への教育・研修もさらに充実を期待したい。治験・臨床研究に関しては治験管理センター・臨床研究部を設ける等、評価できる。
医師の人事管理と教育・研修については、国立病院としての制約や医師の採用や人事考課については困難な点があるが、独立行政法人化を控えて積極的な取り組みを期待する。医師の教育・研修に関してはレジデント・研修医を多数採用され、研究の実績も十分評価できる。診療録管理部門の体制は整備されているが、退院患者数に比し少ない診療情報管理士のさらなる充実が望まれる。管理・活用面では臨床指標の活用や基本統計を末端にフィードバックする等さらなる充実が期待される。図書室機能・臨床検査部門および病理診断部門は良好な状況にある。放射線部門はおおむね良好に整備・運営されているが、CT/MRIは、その有効利用にさらに工夫が望まれる。薬剤部門は適切に運営されているが、病棟薬剤業務の充実、そのための空間の確保が望まれる。輸血血液部門は円滑に運営されているが、貴院における血液・血液製剤の使用量は極めて多く、適正使用の検討とその実を挙げられるよう努力を期待する。
手術・麻酔部門・中央滅菌材料部門の整備・運営はおおむね良好であるが、入退室に際しての患者確認の方法および手術・中材関連部門の一部に清潔・不潔の交差する動線があり、配慮が望まれる。集中治療室は入退室基準が明確でない。貴院の規模・立場を考えると、ICUの数はさらに充実整備されてもよいのではないかと思われる。救急部門の役割・体制は明らかで、西日本災害医療センターである災害医療棟等の設置は極めてよく整備されている。しかし、運用面では、地域における位置付けが不明確であり、三次患者の数の実績もさらに期待できる施設と思われる。栄養部門は事務部門に位置付けられ、定期的に栄養委員会が開催されているが、朝食が事実上パン食に限定されていたり、選択メニューがなかったり、栄養指導の件数が少ないことなどは問題である。リハビリテーション部門は作業・言語聴覚師がいない等の問題があり、充実が望まれる。貴院は自他ともに認める西日本における国立病院の中核的、基幹病院であるので、より高い見地での診療の質の確保に今後とも取り組まれることを期待する。
適切な診療活動の展開-ケアプロセス1
診療の責任体制としては主治医、担当医の明確化の困難な診療科がみられるが、指導体制は適切であり、診療責任は確立しているものと認められる。診療録は2、3の科において電子カルテが試行されているがおおむね適切な記載がなされている。退院時サマリーの作成の遅滞がごく一部の医師にみられるので今後の努力を期待する。
入院診療は明らかな入院目的を持って適切な説明と同意の下に行われており、また入院診療計画書も産科以外は漏れなく作成されている。しかし患者・家族の同意のサインのないものも多く見られるので、今後の検討とされたい。臨床検査、画像診断、病理診断などは円滑に実施されており、とくに問題はみられない。薬剤の処方、投与はおおむね適切に行われているが、病棟における薬剤の在庫管理、調剤などは主として看護師に委ねられている。今後、薬剤師のより一層の関与が望まれる。
手術、麻酔は説明と同意の下に計画的に行われ、また明確な手術、麻酔記録が記載されており、おおむね適切に実施されている。なお、集中治療室の使用基準の作成を検討中とのことであり促進されたい。
栄養管理は全体の栄養指導件数は別として、その他は良好に行われている。患者によっては嚥下障害が見られることが多いようであり、系統的な嚥下訓練を行うために言語聴覚士などの専門職が必要と思われる。リハビリテーションについては、ニーズに応じた適切な機能訓練が行われている。また訓練記録の記載も適切である。緩和医療に関しては現在疼痛緩和マニュアルの整備が検討中とのことであり、組織的な緩和医療の実施は将来の課題であるが、術後、がん末期の疼痛緩和は十分に実施されている。
行動制限をやむを得ず必要とする患者には定められた基準、手順に従って適切に行われている。
院内緊急時の対応はおおむね適切である。なお緊急時に関する研修・教育および定期的な訓練をさらに強化されることが望まれる。療養の継続性医療相談室、地域連携室などの協力により確保されており、適切である。診療の質の保証については症例検討会が各科各病棟において定期的に行われ、CPCも開催されている。また学会発表、研究論文などの実績が年報によくまとめられており評価できる。
適切な診療活動の展開-ケアプロセス2
診療の責任体制と記録の徹底はおおむね良好であるが、患者の具体的な訴えと説明の記載が十分でない病棟や医師の指示・確認の手順がわかりにくい病棟がみられる。入院診療の計画的対応もおおむね良好であるが、精神的・社会的状況の記載などがあればさらに充実すると思われる。検査の実施と診断の確定の項目は適切である。薬剤投与の管理については、抗菌剤の使用指針・手順が未だ徹底されている状況ではなく、病棟独自のルールで行われている。さらに、自己輸血の手順はあるものの現場ではその認識が不十分のように思われる。
手術・麻酔・処置については円滑に運用されている。ただし、検査・手術に関連する手順が医療事故防止マニュアルに総括的に盛り込まれているので、整理されたらより、わかりやすいのではないかと思われる。栄養管理と食事はおおむね良好である。ただし食事指導件数は多くない。効果的なリハビリテーションの実施については例えば、循環器疾患のリハビリなどもリハビリテーション部門を交えた形で行う等、各職種のチームとしての取り組みが望まれる。QOLへの配慮と緩和医療については、病院組織としての取り組みはあるものの、訪問病棟では症例が稀であり、認識が薄いと感じられる。
行動制限(抑制・拘束)は適切に対応する意識があるように思われる。院内緊急時の対応は、組織的にはよく整備されているが、定期的な訓練が行われれば、申し分ないものと思われる。療養の継続性の確保は、おおむねできているが、MSWの人数が少なく、退院後の療養環境についての連携・調整は病棟内での取り組みに終わっているようである。
診療の質の保証については、臨床検討会などの開催などの取り組みがあるが、関連職種を交えた定期的検討会や臨床指標を設定する等、今後の検討を期待する。
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5看護の適切な提供
看護体制の確立と組織管理
看護部門の組織の確立では、看護部門の理念が明示され理念を反映した活動が行われている。職員への周知は、病院の理念とともに各部署に掲示され、看護職員が日々活用する各病棟基準書の最初のページにも綴じられている。また看護部の広報誌「みとり」が年2回発行されるなかで、理念目標などの周知が図られており評価できる。目標管理は、看護部目標・看護単位目標の活動計画が具体化され個人の目標まで一貫させ、中間および年間の評価がされ、極めて優れている。
組織管理や会議・委員会の活動は適切であるが、病院の全体的な機能を果たしている医療安全管理室・病床管理室が看護部の組織に位置付けられており、実態とのずれがあるので検討されることが望まれる。業務規定は各職種・役割ごとの規定があり、評価できる。
病棟会、年2回実施される意向調査、夜勤体制に対する調査、ヒヤリングなどを通して職員の意見が反映されており看護職員は主体的に活動している。看護ケアにあたってはプリセプターをはじめ専門看護師・認定看護師などの支援が受けられる体制が作られている。精神的な支援では、メンタルヘルス対応マニュアルが作成され、スタッフにも知らされており早期に対応できる。勤務体制はキャリアアップのための学習時間など、個人の希望も考慮されており、組織運営は適切になされている。他部門・他職種との業務分担と連携は関連連絡会で検討されているが、注射のミキシング、採血、SPD導入などの検討も期待する。
職員の能力評価 は経年別に自己評価、他者評価と評価の活用の仕組みが作られ、評価基準も作成されており、適切である。近い将来にはこの基準が看護職に公表され、人事考課にも反映される予定であり、より一層効果的に活用されることを期待する。教育・研修計画は、組織および職員のニーズ、キャリアアップを勘案して、年度ごとに立案、実施・評価されている。また資源も確保され高く評価できる。専門領域の知識や学際的な知識の習得では、習得のための支援はもちろん、その指導者となるべき人を配置し他施設からの研修を受け入れ模範となる活動がされ極めて優れている。
適切な看護活動の展開-ケアプロセス1
看護実践と責任体制については、看護を必要とする人それぞれに適切な看護が実践されている。看護基準・手順は各看護単位共通のものと、単位独自のものが看護部の規定に基づいて整備され見直し、活用されている。看護ケアを提供する仕組みは、患者への責任・業務が明確にされ適切であるが医師の指示に基づく医療行為の実施では、指示が入院時・与薬・その他と3ヵ所に分散しているため、看護師の日々のワークシートや看護管理日誌に検査の書き出しがなされている。できれば一覧できるものを検討されたい。
看護記録は診療記録と一体化され一連の過程が適切に記録さている。看護計画は作成され見直し、修正が適切に行われている。クリニカル・パスのバリアンスも評価されている。検査へのかかわりは手順が整備され適切な説明が行われているが、医師説明時の陪席者の有無が確認できないものが一部見られる。薬剤投与に関しては薬剤師との連携が病棟に多少の差がみられたが、おおむね適切に行われている。
周手術期看護、リハビリテーションは対象者の有無・数に関わりの違いはあるが適切である。栄養管理と食事指導は栄養士と連携がとられ適切に行われている。行動制限は使用基準に基づき家族への説明も行われ回避・軽減・解除の努力がされ評価できる。看護の継続は退院計画が作成されMSW・外来看護師とも連携し適切に行われている。逝去時の看護は霊安室が整備され手順に沿って適切に対応されている。看護ケアの評価・質向上は積極的である。多職種とのカンファレンスは少ないが、データ収集・分析が行われ研究の開発や成果を年報にまとめられ高く評価できる。
適切な看護活動の展開-ケアプロセス2
看護を必要としている人へ看護の実践では身体的ケアについては一部食事への援助にばらつきがあったが、おおむねよく行われている。看護基準・手順も看護ケアに生かされ活用されているが、外科病棟では治療の説明などがほとんど外来でされているため、看護介入に曖昧な点がみられる。基準や手順の見直しは適宜行われ適切である。看護ケアを提供する仕組みは確立しており、役割と責任は明確であり、担当者は患者に必ず挨拶をする等、各勤務帯でも確実な業務が行われている。
医師の指示を受ける仕組みは整備されているが、指示はオーダリングと手書きやFAXの指示があり、看護者が実施する場合はワークシートに転記しているようで、確実な実施に向けてさらに検討されたい。治療に対する反応や疑問を持った時、医師との報告や相談は適切に行われている。看護の一連の過程は適切に記録されているが、患者・家族の要望や意見の記載にばらつきがみられる。診療録は、理学療法士を除き医師も薬剤師も看護記録と同列で記載され診療録の一元化が図られ適切である。
看護計画は作成され必要に応じてカンファレンスも行われているが、精神的な視点でのアセスメントにやや不備がみられる。看護計画は見直され修正もされている。その担当者も決められ患者にも説明され良好である。クリニカル・パスは活用されバリアンスの評価も行われ適切である。検査・与薬の実施への看護の関わりは適切に行われている。周手術の看護は手術室の看護師による術前訪問があり、病棟との連携もよく記録作成されている。
食事摂取の支援や患者の状況に合わせた食事の介助は行われているが、栄養士との連携にやや消極的な面がみられるので患者の食欲や摂取機能に合わせた栄養士との連絡・支援を努力されたい。訪問した病棟ではリハビリテーションの適用症例がほとんどなく連携や検討もされる事は少なく、ベッドサイドでセルフケアができる看護の援助が主である。行動制限はしないことを原則とし基準は整備されているが適応患者はない。
退院後の看護ケアを継続するための外部機関との連携は、主治医が行うことが多いが、ターミナル期の訪問看護ステーションとの連絡などは看護師長が行っている。MSWと連携する退院後の療養の継続にも看護の積極的な体制づくりが必要である。外来における看護ケアは政策医療の難病や二分脊椎・水頭症など専門的継続ケアなどが行われ、適切である。患者の逝去時の対応は適切である。看護研究や学会での発表などよりよい看護に向けての活動は活発に行われている。改善の成果を看護ケアの向上に活用している活動は、高く評価したい。
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6病院運営管理の合理性
病院の運営管理については、全般的にはおおむね適切に管理されている。今後も病院運営の合理性・効率性・医療の質の向上のため、継続的に努力を続けられることを期待する。
個々の項目についてみると、人事管理については、一部職種の不足がみられる。とくに診療情報管理士、臨床工学士、MSW、言語聴覚士、作業療法士などの職種については、人員の充実が望まれる。また、診療情報管理士など事務職として採用される職種については業務の専門性を考慮し、他部門への人事異動には配慮を求めたい。
財務・経営管理については、おおむね適切に行われている。経営状況は、政策医療を担うという難しい役割が求められる状況のなか、毎年、改善がみられており、その努力は評価できる。今後も経営分析の充実を図るとともに、経営改善のための病院全体としての努力を継続されるように期待する。医事業務もおおむね適切に行われており、病床管理の仕組みも適切である。
施設・設備管理については、施設設備や医療機器の管理体制はとくに問題なく行われている。今後は臨床工学技士による医療機器管理の充実と、管理の中央化に向けての努力を期待する。廃棄物の管理については最終保管場所での管理が適切ではない。感染性廃棄物は、施錠した倉庫に他の廃棄物と分別して保管するよう改善が必要である。また、それ以外の廃棄物についても風雨や人の侵入を防げる倉庫への保管に改善されたい。
物品管理については、物品購入の手続きは適正に行われている。購入物品の標準化については、薬事委員会で薬剤・医療材料の種類の削減が進められているものの未だ十分とはいえず、今後も標準化促進の努力を継続されたい。物品の在庫管理は、事務用品や印刷物以外はおおむね良好に管理されている。
業務委託については、委託業者の選定手続きは、業務仕様書に基づく入札により、適正に行われている。今後は、価格だけでなく、質の高い業務を実施できるかについて、従業員に対する教育を含め、再検討し、選定されるよう期待する。また、委託業務の管理については、委託業務が、質の観点からみて適切に実施されているかについての評価・指導・教育の強化が望まれる。
訴訟などへの対応については、適切に対応できる体制が整えられていると評価できる。