臨床疫学研究室
臨床疫学研究室 阪森亮太郎室長
臨床疫学研究室は主に消化器疾患の病態を分子疫学面から検証し、最適な治療方法や安全性を検討しています。代表的な研究内容を示します。
C型肝炎はDAA治療(インターフェロン・フリー治療)によってウイルス排除が期待できる時代になりましたが、残された少数の難治例に対する最適治療法を検討しています。インターフェロン・フリー治療は非代償性肝硬変にも適応が拡大されており、肝予備能が低下した症例において、より安全に治療できる条件とその有効性を検証しています。また心機能低下症例や腎機能低下症例に対する安全性も検討しています。HIV感染合併例でのインターフェロン・フリー治療の成績もまとめ、論文化しています。
B型肝炎では、核酸アナログの長期投与成績から導かれる耐性化の問題点を検討しています。そしてラミブジン・アデホビル併用療法の効果不良例に対し、アデホビルをTDFに切り替えることの有効性と安全性を明らかにしました。さらにTDFからTAFへの切り替えを検証しています。近年散発的に発生しているB型急性肝炎ではgenotype Aが大半を占めますが、その特徴を解析し、慢性化への関与についても検討しています。またHIV感染がB型急性肝炎の重症度に与える影響についても検討しています。
肝細胞癌に対する治療では、免疫チェックポイント阻害薬を含めた薬物療法が治療選択肢に入りました。病状に応じた最適治療の方向性を示していけるよう検証すると同時に、特有の副反応についても検討を加えています。