臨床研究について

HIV感染制御研究室

HIV感染制御研究室 矢倉裕輝室長


HIV感染制御研究室では、HIV感染症に対する臨床における薬物治療の諸問題に対する研究を行っております。近年では、殆どの症例でウイルス抑制が得られるようになりましたが、現在の抗HIV薬では潜伏感染細胞を駆逐できないが故に、ほぼ一生涯の薬物治療が必要です。そのため、薬物治療が有効かつ安全に実施できるよう、Pharmacokinetics(PK)、Pharmacodynamics(PD)、Pharmacogenomics(PGx)および製剤学観点から評価することが重要となります。 これまでに、HIVインテグラーゼ阻害剤であるラルテグラビルおよびドルテグラビルの代謝に関与するUGT1A1の遺伝子多型と薬物動態および精神神経系有害事象の関連( J Infect Chemother. 2015, BMC Infect Dis. 2017)、非核酸系逆転写酵素阻害剤であるドラビリンの透析による薬物動態への影響(J Infect Chemother. 2023)、核酸系逆転写酵素阻害剤であるテノホビルジソプロキシルフマル酸塩の熱安定(Jpn J Pharm Health Care Sci. 2014)等について報告しました。 現在は長期にわたる薬物治療の成功を見据えた、PK/PD/PGxによる治療レジメンの個別化の実現をメインテーマとして研究を行っています。
1. 日本人HIV感染者における新規HIV感染症治療薬の薬物動態の検討
HIV感染症治療薬は国内第Ⅲ相臨床試験を実施することなく申請されるため、承認時点で日本人の薬物動態に関わる情報が不足しています。そのため、HPLC等を用いた薬物濃度の測定法の開発を行い、実臨床のデータを収集し、解析を行っています。
2. 薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの遺伝子多型とHIV感染症治療薬の関連
HIV感染症治療薬の薬物動態や投与による臨床検査値の変化を規定する薬物代謝酵素や薬物トランスポーターの探索を行い、それらが保有する遺伝子多型の影響について検討を行っています。

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