大阪医療センター
消化管

炎症性腸疾患

病気の概要

炎症性腸疾患(IBD)とは、腸の粘膜に炎症を引き起こす病気の総称で、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病のことを意味します。いずれの病気もはっきりとした発症メカニズムは解明されていませんが、発症すると腸の粘膜に強い炎症が生じることで下痢、腹痛、血便などの症状が現れ、いったん治療で回復しても再発する可能性が高い疾患です。

見つかるきっかけ
(症状)

炎症性腸疾患は、下痢、腹痛、血便などの腸に関連する症状と、関節炎や皮疹、結膜炎、口内炎など腸には関連しない症状を引き起こします。潰瘍性大腸炎は主に大腸のみに炎症が生じる病気ですが、クローン病は大腸だけでなく口から肛門まで消化管のどの部位にも炎症を引き起こす可能性があり、約半数が痔ろうを合併するとされています。

当院での検査内容

画像検査としては、大腸内視鏡検査、上部消化管内視鏡検査、小腸内視鏡検査、小腸造影検査、腹部CT検査、腹部MRI検査などを行います。また、内視鏡検査や手術の際に採取される検体の病理検査の所見も診断に役立ちます。近年では、侵襲を伴わないバイオマーカー(便中カルプロテクチン、LRGなど)を用いた活動性の評価も行っています。

当院での治療内容

炎症性腸疾患には基本的に薬物療法が行われます。使用する薬剤は病気の種類や重症度などによって異なり、5-アミノサリチル酸製剤、ステロイドや免疫抑制剤などが挙げられます。近年では、炎症に関わる分子を直接標的とした生物学的製剤や炎症のシグナルを抑える低分子化合物なども使用されるようになってきました。

当院での診療方針
(治療方針)

近年、炎症性腸疾患の治療法は進歩して、有用な薬の選択肢が増えました。医師が一方的に治療を決めるのではなく、患者さんと対話をしながら、有効性や安全性を考慮するだけでなく、その方の生活や価値観に合った治療法を一緒に選び取っていくことで、患者さんに治療に前向きになっていただけると考えています。

対応診療科

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消化器内科

消化管がんに対して内視鏡治療から化学療法まで幅広くカバーしており、炎症性腸疾患も含め、新規薬剤を積極的に導入しています。肝疾患は専門の医療機関として中心的役割を果たしており、肝胆膵領域のがんに対してもエキスパートが対応しています。専門性を要する診療だけではなく、一般的な消化器内科診療にも力を入れています。

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下部消化管外科

大腸がん治療ガイドラインに準じた大腸がん治療を中心に、炎症性腸疾患・下部消化管救急疾患の手術を行っています。年間手術は350例を超えており、腹腔鏡手術割合は90%です(2021年1~12月実績)。また、他院では手に負えないような難治性疾患、再発がん(特に再発直腸がん)に対しても積極的に受け入れ、外科治療を行っています。

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