嚢胞腎
病気の概要
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD、最近では常染色体顕性多発性嚢胞腎と表現されます)は、両側の腎臓に多数の嚢胞(水ぶくれ)ができて、徐々に増大し、腎機能低下を引き起こす病気です。原因は遺伝子の異常です。遺伝性の腎臓病の中では最も患者さんが多く、脳動脈瘤や心臓の弁の異常、高血圧、肝臓の嚢胞などを合併することもあります。
見つかるきっかけ
(症状)
40歳くらいまでは自覚症状がないことがほとんどです。健診にて腎エコーなどの画像検査を行い、腎嚢胞が偶然発見されることもあります。一方、嚢胞感染症による発熱、また目で見てわかる血尿が出るほか、嚢胞が大きくなると腰背部痛や腹部膨満などの症状が現れてきます。将来的には、約半数の患者さんが透析が必要な状態になります。
当院での検査内容
エコー、CTやMRIなどの画像検査が重要です。また、腎臓の嚢胞の形態が非典型的で家族歴が明らかでない場合、また腎移植のドナーになることを検討している場合などは、遺伝学的検査を行うこともあります。当院では遺伝カウンセリング体制とともに、遺伝学的検査(検査費は自費57,810円)ができる体制を整えております。
当院での治療内容
常染色体優性多発性嚢胞腎に対しては、嚢胞が大きくなるのを抑え、腎機能が悪化するスピードを抑えるトルバプタン治療を積極的に実施しています。血圧管理や飲水指導も行っています。合併症の一つである脳動脈瘤に対しても、当院の脳神経外科と連携の上、治療を進めていきます。
当院での診療方針
(治療方針)
当院では多発性嚢胞腎の専門外来を開設しています。完全事前予約制になりますのでかかりつけ医から当院地域連携室を通じた事前の予約が必要です。治療にはいくつかの注意点が必要となりますが、治療経験が豊富な当科に気軽にご相談ください。丁寧な説明を心がけています。詳しい情報は、ぜひ当科のHPをご確認ください。
対応診療科
腎臓内科
当科では、減塩を中心とした食事療法、ならびに家庭血圧も参考にした適切な血圧管理を推進しております。さらには病巣感染を意識した治療を心がけ、適切な薬物療法を併用することで、腎臓だけでなく心、脳にも保護的な治療を提供しております。詳細は当科のホームページをご覧ください。