腎がん
病気の概要
腎臓にできるがんの一つ、腎がん。尿をつくり出す腎実質の細胞ががん化し、悪性腫瘍になったものです。初期段階では自覚症状はあまりありません。そのため、血尿などの症状が出る頃には、進行していることがほとんど。初期の腎がんは、他の病気のための検診や人間ドックなどによって、偶然に発見されるケースが多くあります。
見つかるきっかけ
(症状)
腎がんは特徴的な症状がなく、検診や精密検査での超音波検査、CTなどで偶然発見されることがほとんど。一方、進行した腎がんの場合、腫瘍の部位によって症状は変わってきます。腎臓のなかにある腎盂に腫瘍がある場合は血尿が多くなったり、骨に転移した場合は背中や腰の痛みが出たり。腹部や腰を触っていると、腫瘤が見つかる場合もあります。
当院での検査内容
通常、体内にがんができると、腫瘍マーカーというがん特有の物質が現れます。しかし、腎がんの診断に役立つ腫瘍マーカーはありません。そのため、早期診断には超音波検査が不可欠。腎がんが疑われる場合、腹部造影CTや腎ダイナミックCTなどを活用します。確定診断の後には、胸部CT、骨シンチなどで転移巣(転移がん)の確認も行います。
当院での治療内容
根治が期待できる腎がんには、根治的腎摘除術(腎臓とその周辺を摘除)、腎部分切除術(腫瘍のみを切除し、腎臓は温存)、体腔鏡下腎摘除術(内視鏡を用いて腎臓を取る手術)などを実施します。必要に応じて、カテーテルを用いた腎動脈塞栓術などの手術以外の治療を行うことも。一方、転移がある場合、手術や免疫療法などの全身療法を行います。
当院での診療方針
(治療方針)
根治的腎摘除術や腎部分切除術など、どの手術を行うかは腫瘍の大きさや部位により異なります。いずれもロボット支援下、もしくは腹腔鏡下にて実施する流れです。また、腎がんに対する抗がん剤による化学療法は、効果があまり期待できません。そのため、全身療法ではエビデンスに基づき、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的治療薬を用います。
対応診療科
泌尿器科
悪性腫瘍から尿路結石症や前立腺疾患、排尿障害、蓄尿障害などの良性疾患までほぼすべての泌尿器科疾患に対応できる体制を整えています。手術は低侵襲であるロボット支援下手術や腹腔鏡手術を第一選択とし、尿路結石症は軟性尿管鏡・レーザーを用いた内視鏡手術でより早期での完全排石を実現するようにしています。
腎臓内科
当科では、減塩を中心とした食事療法、ならびに家庭血圧も参考にした適切な血圧管理を推進しております。さらには病巣感染を意識した治療を心がけ、適切な薬物療法を併用することで、腎臓だけでなく心、脳にも保護的な治療を提供しております。詳細は当科のホームページをご覧ください。