大腸（直腸）がんセンターの概要

センターの概要

『大腸（直腸）がんセンター』は、「大腸がん」に対して適切に診断し治療を行うため、「大腸がん」を専門とする外科医、消化器内科医、放射線治療医により設立されました。豊富な経験をもつ専門医が患者さんに最適な治療を行います。
また、心臓病、腎臓病、糖尿病などの併存疾患をお持ちの患者さんでも、総合病院の強みを活かして他診療科と密接に連携し、安心して治療を受けていただけます。
大腸がん疑いなど、受診する科を迷った時は『大腸（直腸）がんセンター』を受診して下さい。適切な科を受診できるようにいたします。

センター長ご挨拶

「大腸がん」に対する治療の原則は、病変の切除です。手術は患者さんに対する身体的、精神的な負担も小さくないため、当センターでは小さい傷で行う低侵襲手術（ロボット手術、腹腔鏡手術）を原則としています。低侵襲手術は傷が小さいだけではなく、精緻な手術が可能であるため「大腸がん」を適切に切除し、かつさまざまな後遺症を減らすことが可能です。 私は当院に赴任して以来、「大腸がん」に対するロボット手術を導入し、さらに最新鋭の高性能腹腔鏡手術用システムを導入することで患者さんに安全かつレベルの高い低侵襲手術を受けていただけるようにしてきました。

大阪府内でも有数の体制として、早期の大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）を積極的に実施しています。体への負担が少なく、臓器を温存しながら病変を根治的に切除できるのが特徴です。豊富な経験をもつ専門医が、最新の内視鏡機器を用いて安全で確実な治療を行っています。

直腸がんに対して術前の放射線治療、抗がん剤治療を中心としたTotal Neoadjuvant Therapy（TNT）を積極的に実施しています。最新のエビデンスに基づき、治療効果の高い集学的治療を経験豊富な専門医が行うことで、根治性を高めつつ臓器温存を目指します。また、治療後に完全奏効が得られた場合は、Non-Operative Management（手術を行わず経過観察の方針：NOM）も積極的に導入し、患者さんの生活の質（QOL）を重視した治療を提供しています。

高度進行・再発大腸がんに対して、最新のエビデンスに基づく薬物療法を提供しています。国内外の治験にも積極的に参加し、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、最先端の治療をいち早く導入しています。治療選択肢を広げ、患者さん一人ひとりに最適な個別化治療を行うことを目指しています。

当センターは、大阪地域の患者さんを始め、すべての「大腸がん」患者さんに対して最適な治療を受けていただけるように心がけています。ぜひ安心して大阪医療センター大腸（直腸）がんセンターを受診してください。

センターの強み

当センターは、大腸がん治療において大阪府内でも高い専門性と実績を有する総合診療体制を整えています。以下の5つを中心に、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供しています。

1. 1. 大阪トップレベルの症例数

   大阪府内における大腸がん治療の症例数は極めて多く、豊富な経験に基づいた精度の高い診断・治療が可能です。幅広いケースに対応し、複雑な症例にも確かな技術で臨んでいます。

2. 2. 専門医による低侵襲手術（ロボット手術／腹腔鏡手術）

   患者さんの負担を最小限に抑えるため、ロボット支援手術および腹腔鏡手術を専門医が担当します。小さな創で精緻な操作が可能となり、術後の回復や生活の質の向上に寄与しています。

3. 3. 直腸がん治療における高い専門性（TNT／NOM の実績）

   局所進行直腸がんに対する Total Neoadjuvant Therapy（TNT）や、治療効果に応じて手術を回避する Non-Operative Management（NOM）に豊富な実績があります。根治性と臓器温存の両立を目指し、最新のエビデンスに基づいた治療を提供しています。

4. 4. 内視鏡治療（EMR／ESD）の高水準の実績

   早期大腸がんに対する内視鏡的粘膜切除術（EMR）および粘膜下層剥離術（ESD）を積極的に実施しています。経験豊富な内視鏡専門医が担当し、確実で安全性の高い治療を追求しています。

5. 5. チーム医療と最新検査体制

   消化器外科、消化器内科、放射線治療科、病理診断科などが密に連携し、患者さんの病状に応じた最適な治療計画を作成します。さらに最新の画像診断・内視鏡システムを導入し、正確な診断と効果的な治療につなげています。

6. 6. 豊富な抗がん剤治療の選択肢

   進行再発大腸がんに対する薬物療法を腫瘍内科、消化器内科、消化器外科で連携しておこなっています。当院では標準治療に用いる抗がん剤のみでなく、新規抗がん剤の治験も積極的に行っている全国でも有数の施設です。

センターの詳細

大阪医療センター大腸（直腸）がんセンターでは、早期から進行がんまで、すべての「大腸がん」患者さんに、病状に合わせて次のような治療を行なっています。

• 早期がんに対する専門医による内視鏡的粘膜切除術（EMR）、内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）
• 局所進行直腸癌に対するtotal neoadjuvant therapy（放射線治療＋抗がん剤療法）
• total neoadjuvant therapyによる治療効果（手術を回避できるかどうか）の正確な診断
• ロボット支援手術プロクター（指導医）によるロボット手術
• 日本内視鏡外科学会技術認定医（指導医）による腹腔鏡手術
• 他臓器浸潤高度進行大腸がんに対する低侵襲手術（骨盤内臓全摘術など）
• 遺伝子検査に基づく治療選択（抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤）
• 「大腸がん」に対する新規薬物療法開発（治験）

局所進行直腸がんに対するtotal neoadjuvant therapy（TNT）について

大阪から全国および世界に誇れる直腸癌治療を行っています。局所進行直腸がんに対して、放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせること（total neoadjuvant therapy）で、「直腸がん」が消失する場合があることが海外を中心とした研究で分かっています。その場合、手術は不要で、人工肛門にもなりません。NOM(non-operative management)、Watch-and-Waitの選択をすることができれば、「直腸がん」になる前と同様の生活を送ることができます。
一方で、total neoadjuvant therapyの治療効果によって「直腸がん」が完全に消失したかどうかを正確に診断するのは難しいことも分かっています。当センターでは、国内他施設と共同で臨床試験を行っており国内でも有数の治療、診断の経験を有しています。希望される患者さんには安全にtotal neoadjuvant therapyを受けていただけます。

ストーマ外来（WOCナース）と装具・生活支援

大阪医療センターでは、人工肛門が必要な場合、皮膚・排泄ケア認定看護師（WOCナース）によるストーマ外来で、術前マーキングから装具選択、退院後の生活支援まで継続支援を行います。

対象疾患

• 大腸がん（直腸がん、結腸がん）

2024年

導入している医療機器・技術

手術関連

• DaVinci Xi 手術支援システム
• Stryker 1788 4K腹腔鏡手術システム
• Stryker SPH-PHI 蛍光イメージングシステム
• IRIS蛍光尿管カテーテル
• 高周波手術装置（VIO3, FT10など）
• 超音波凝固切開装置（Generator Gen11, Sonicision）

内視鏡診断、内視鏡治療関連

• 高画質ハイビジョン内視鏡
• 拡大内視鏡
• 画像強調内視鏡（NBI、TXI、RDI）
• X線透視装置付き検査室

放射線治療関連

• リニアック

がん遺伝子診断関連

• RAS遺伝子、BRAF遺伝子検査
• MMRタンパク免疫染色・MSI検査
• HER2免疫染色、FISH検査
• FoundationOne CDx、FoundationOne Liquid、Guardant360がんゲノムプロファイル検査