血友病を含む先天性止血異常
病気の概要
先天性止血異常症は、止血に必要なあらゆる要素(血管、血小板、凝固因子、線溶因子など)の問題により生じる疾患ですが、特に先天性凝固障害症の中で最も頻度が高い疾患として血友病及び類縁疾患があります。血友病は血液凝固第VIII因子または第IX因子の不足に伴う重篤な出血性疾患で、凝固因子(または代替因子)の補充療法が必要です。
見つかるきっかけ
(症状)
多くの血友病患者さんは、乳幼児期に活動性が高まる時期に青あざや関節内出血などを契機に診断に至ります。鼻出血や口腔内出血、女性の場合には月経過多、産後出血などにより凝固障害症が発見される場合も多くみられます。また、比較的軽症の患者さんでは、術前検査での異常値や手術時の止血困難ではじめて異常を指摘される場合もあります。
当院での検査内容
当院では、まず血液検査にて止血・凝固機能を精査します。血液凝固異常症の多くは遺伝性疾患のため、詳細な家族歴について問診をさせていただきます。血友病患者さんの合併症である関節症が疑われる場合にはレントゲン検査を行い、必要に応じて整形外科専門の外来をご紹介します。受診時の体調を確認する目的で定期的に血液検査を実施しています。
当院での治療内容
当院は凝固因子製剤を薬剤部に常置している大阪市内で数少ない医療機関です。血友病をはじめとする先天性凝固異常疾患患者さんの緊急時の止血治療を含め、様々な手術や観血的処置に必要な止血治療、それぞれの患者さんの病態に応じて適切な凝固因子製剤による治療を実施しています。
当院での診療方針
(治療方針)
当院は血友病診療の拠点的な病院であり、整形外科・小児科・消化器内科・口腔外科・リハビリテーション科など多くの診療科に加え、臨床心理士やMSWと協力して血友病患者さんのトータルケアを心がけています。また感染症内科と協力して薬害被害患者さんや保因者、遺族のサポートも精力的に行っています。お気軽にご相談ください。
対応診療科
血友病科
血友病、フォンビルブランド病、血友病類縁疾患などの先天性止血異常症に対して、年齢や合併症にかかわらず継続的な止血管理を行っています。各診療科との包括的診療や患者さん・ご家族の身体的・精神的サポートにも注力。血友病診療連携における近畿ブロック拠点病院として、近隣医療機関との連携にも努めています。
血液内科
白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの腫瘍性血液疾患から再生不良性貧血、免疫性血小板減少症などの非腫瘍性血液疾患まで、さまざまな血液疾患の入院・外来での診断・治療を日本血液学会認定血液専門医が対応しています。患者さん一人ひとりに寄り添い、正確な病気の診断と病状に合った適切な治療の提供をめざしています。