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国立研究開発法人日本医療研究開発機構 次世代医療機器連携拠点整備等事業(AMED) 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 全医療職ニーズ/シーズ収集をワンストップで実現する次世代医療機器連携拠点 (Bi-AMPS)

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プレスリリース

「ぴったりトロミがつくカップ」の開発に成功

2022年9月30日

大阪医療センター

日本山村硝子株式会社

大阪商工会議所

大阪医療センター
日本山村硝子株式会社
大阪商工会議所
 概要

国立病院機構大阪医療センター(院長:松村 泰志)、日本山村硝子株式会社 ※1(代表取締役社長執行役員:山村 幸治)は共同で、えんげ(飲み込み)が困難な患者さんの誤嚥(ごえん)を防ぐために、日常的に実施される水分のトロミづけ作業を、簡便に効率良く適切に行う為、必要な道具が一体化したカップ『ぴったりトロミがつくカップ』の開発に成功し、2022年11月に上市いたします。
本製品の開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)・次世代医療機器連携拠点整備等事業で国立病院機構大阪医療センターに設置された「全医療職ニーズ/シーズ収集をワンストップで実現する次世代医療機器連携拠点」(Bi-AMPS ※2,※3拠点)と大阪商工会議所が主催する「次世代医療システム産業化フォーラム ※4」によるマッチングと事業化支援にて実現しました。本製品は、Bi-AMPS(商標登録済)の認定第1号製品です。


 開発の背景

脳卒中や事故などによる脳機能障害や、がんや心疾患等の手術後にえんげ困難を来すことがあります。 病気や事故以外でも、加齢と共に喉の機能が低下して飲み込みが遅れる人は多く、特に喉への落下が速い水分で誤嚥リスクが高いことが知られています。その結果、水分誤嚥によって誤嚥性肺炎(誤って気管に物を飲み込んでしまった結果発症する肺炎)を発症する恐れがあります。このため水分誤嚥の発生を防ぐ方法の一つとして、水分にトロミ剤(増粘剤)を溶かして適切なトロミ(粘度)をつけた状態で、飲み込む方法が医療や介護の現場で使用されています。このトロミのついた水分を患者さんに拒否なく摂取して頂くには、個々の患者さんのえんげ機能に応じたトロミを均一につける必要があります。しかし、病院や介護施設など多忙な業務の中では、計量や攪拌が不十分で、適切なトロミになっていないことが見受けられます。


 解決したい課題

水分にトロミをつける上で、以下の3つの問題が発生する可能性があります。
① トロミが薄すぎる場合⇒誤嚥する危険性が増す。
② トロミが濃すぎる場合⇒口の中や喉にトロミが残り、奥へ送り込めない(残留)
⇒患者さんがトロミを拒否される。
③ トロミ剤がダマになる場合⇒トロミにムラができ、弱い部分では誤嚥、強い部分では残留する⇒患者さんがトロミを拒否される。 個々の患者さんに応じたトロミをつけるには、トロミ剤と水分量の適切な計量・攪拌が必要になります。しかし、使用する道具が複数あることで、トロミをつけるための準備や作業の管理が不十分になることがあり、その解決策が求められていました。


 新規開発製品「ぴったりトロミがつくカップ ※5」の特徴

<コンセプト>
・攪拌用スプーン、飲用カップ、計量カップ、計量スプーンを一体化したカップ


<新規性>
・ フタの計量部でトロミ剤を計量(7段階) することができます。
・ カップ本体で水分量を計量することができます。
・ フタをしてシェイクすることでムラの無いトロミが容易につきます。
・ フタを外してそのまま飲用カップとして使用できます。


<メリット>
・飲料とトロミ剤さえあればトロミづけから摂取までがこれ一つでできます。
・撹拌用スプーン、計量カップ、計量スプーンを保管場所へ取りに行く、洗浄・乾燥させて元の場所へ保管する、飲料を計量カップから飲用カップに移し替える、といった手間が不要となります。




 本開発製品の有用性

・ 水分に適切なトロミが容易につけられることで、誤嚥性肺炎発症に関わる水分誤嚥の発生の危険性を軽減することに寄与できます。
・ トロミのつけすぎによる、患者さんのトロミへの嫌悪感を少しでも減らし、水分摂取を促進できる可能性があります。
・ 医療・介護現場のみならず、自宅でのトロミづけも簡便に行うことができ、スタッフや介護者の負担を減らすことができます。
・ 超高齢化社会を迎える本邦において、国民健康の増進と医療・介護の更なる向上に大きく貢献し得ます。


【※注】

1. プラスチックカンパニー ファーマキット事業グループが担当いたしました。
>> 日本山村硝子株式会社ホームページ

2. Bi-AMPS(バイ-アンプス)は、国立病院機構大阪医療センターに設置された、高度先進的医療製品・システム(Advanced Medical Products and Systems)開発を支援するための研究開発拠点です。医師に加えて各種コメディカル部門を含む、医療を担う多種多様な全医療職(All Medical Professionals)が参加し、新たな医療機器、医療システム開発を支援し、それら研究開発を増幅させる者(AMPlifiers)になることを目指して活動を行っています。
>> Bi-AMPSホームページ

3. Bi-AMPSは、国立病院機構の登録商標です。(商標登録 第6460310号)

4. 次世代医療システム産業化フォーラムは、大阪商工会議所が2003年から主催している医工連携による医療機器開発支援プラットフォーム事業です。全国の企業を対象に、医療現場等とのマッチング、個別相談、製品評価、販路開拓など、開発段階に応じたサポートを実施し、医療現場等における課題を解決する製品・サービスの事業化を推進しています。
>> 次世代医療システム産業化フォーラムホームページ

5. 特許出願中。



お問い合わせ先


・ 国立病院機構大阪医療センター
管理課長  藤田 貴子
Tel : 06-6942-1331

・ 日本山村硝子株式会社
プラスチックカンパニー
ファーマキット事業グループ リーダー 岡部 泰幸
Tel : 03-3349-7252

・ 大阪商工会議所
産業部ライフサイエンス振興担当課長 松山 裕
Tel : 06-6944-6484