診療内容
腫瘍外科(骨軟部腫瘍外科、整形外科)
骨肉腫を代表とする悪性骨腫瘍は、小児・AYA(思春期、若年成人)世代に多く当科では多剤化学療法と手術療法を組み合わせて良好な治療成績を得ています。骨の原発巣に対しては根治的切除の後に腫瘍用人工関節や自家処理骨による再建術を行うことで、再発を最小限に機能を最大限に残すべく努力しています。肺転移症例に対しても多面的な治療により、従来よりも良好な予後を獲得しています。
最近多く発生が見られるがんの骨転移に対しても、緩和ケアチームと密な連携のもと積極的な診断アプローチと適切な治療を行っています。
軟部組織に発生する悪性腫瘍(軟部肉腫)は成人に多いですが、化学療法、放射線療法と手術により機能温存と良好な予後獲得を目標としています。
術後の機能回復訓練はリハビリテーション科の医師、理学療法士とチームで対応しています。
主な治療法
悪性軟部肉腫に対する根治手術
骨肉腫に対する腫瘍用人工関節、術中対外照射自家骨移植による再建術
骨肉腫、軟部肉腫に対する化学療法
診療実績
組織検査: 診察室での軟部針生検、CTガイド下生検、切開生検、切除生検
組織診の全件数(生検および手術)
2016年 | 2017年 | 2018年 |
---|---|---|
293件 | 312件 | 241件 |
軟部腫瘍および骨腫瘍の手術件数
2016年 | 2017年 | 2018年 |
---|---|---|
120件 | 149件 | 128件 |
悪性骨軟部腫瘍(がん登録数)
2016年 | 2017年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
骨腫瘍 | 7例 | 5例 | 9例 |
軟部腫瘍 | 30例 | 26例 | 25例 |
軟部肉腫の治療成績
2008年〜2017年 診断の186例
初回転移なし症例 170例 転移あり症例 16例
全症例 | 3年生存率 | 82% | 5年生存率 | 77% |
---|---|---|---|---|
M0症例 | 3年生存率 | 86% | 5年生存率 | 84% |
M1症例 | 3年生存率 | 38% | 5年生存率 | 9% |
骨肉腫の治療成績
2008年〜2017年 診断 通常型骨肉腫 32例
初回転移なし症例 | 5年生存率 | 84% |
---|---|---|
転移あり症例 | 5年生存率 | 83% |
医療機関の皆様へ
整形外科の一般診療におけるX線撮影で腫瘍性疾患が疑われる場合または四肢、体幹部の軟部の腫瘤は気軽にご相談ください。軟部の腫瘤は、非腫瘍性疾患も含め多くの種類がありますが、中には専門医による治療が必要な疾患もあります。
当科では、必要と判断される軟部腫瘤には診察室における針生検(MR画像があれば部位によっては当日検査可能)またはCTガイド下針生検を行っています。地域医療連携室を通じて予約をとっていただければ幸甚です。よろしくお願い申し上げます。
腫瘍内科(呼吸器内科)
概要
呼吸器疾患の中でも腫瘍を専門として肺がん,胸膜中皮腫などの診断と治療を行っています.
主な検査・治療法
肺癌は気管支・肺の細胞が自分勝手に増殖(がん化)して腫瘍をつくりひろがっていく病気です.がんと診断するためには気管支内視鏡などを用いて肺の中から細胞を採取して,病理診断をする必要があります.当院では内視鏡室にCアーム透視装置を装備し,内視鏡で高解像度の観察,特殊光観察(蛍光,狭帯光),極細径ファイバースコープによる末梢気道の観察,超音波内視鏡,気管・気管支内異物の除去などが可能です.また,がんにおける病気の拡がり(ステージ)を調べるためには胸部CT検査, 腹部CT検査,脳のMRI検査,PET-CT検査(PET-CTは当院に設備がないため検査専門の施設に紹介します),骨シンチ検査などを行います.
内視鏡で採取した細胞は臨床検査科で病理診断を行い,必要であれば肺がんに関連した遺伝子の変化やがん免疫に関連した物質についても検査します.
肺癌の治療方法には,手術,放射線治療,薬物療法(抗がん薬)があります.また,これらを組み合わせた治療を行う場合もあります.各種の診療ガイドラインなどを参考として呼吸器外科,放射線診断科,放射線治療科,臨床検査科などと合同で検討会を開いて相談し治療方針を決定しています.呼吸器内科では放射線治療,放射線治療と抗がん薬の併用療法,抗がん薬治療などを行っています.抗がん薬にはがん細胞を直接攻撃する薬(細胞障害性抗がん薬),遺伝子の変化に合わせた薬(分子標的治療薬),がんに対する免疫の働きが低下することを防ぐ薬(免疫チェックポイント阻害薬)があります.どの方法やどの薬を用いるかはがん細胞の種類(組織型といいます),病気の拡がり(ステージ),全身状態,年齢,合併している病気などを考慮して最も適した治療を選択します.
疾患別延べ退院数 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
---|---|---|---|
呼吸器腫瘍 (肺癌,胸膜中皮腫,縦隔腫瘍など,疑い症例の検査を含む) |
296 | 285 | 304 |
その他の呼吸器疾患 (気管支喘息,胸膜炎,肺炎,肺膿瘍など) |
25 | 21 | 20 |
合計 | 321 | 306 | 324 |
気管支鏡検査(内視鏡室分) | 101 | 101 | 98 |
医療機関の皆様へ
呼吸器疾患の中でも腫瘍を専門として肺がん,胸膜中皮腫などの診断と治療を行っています.胸部XP, CTなどで肺の腫瘍が疑われる場合,健康診断・肺がん検診などで胸部XP異常陰影を認めた場合などにご紹介をよろしくお願いいたします.過去の画像との比較が重要なので過去の胸部XP, CTなどがある場合は古いものを含めてご示談いただけると大変に参考になります.
研究活動
抗がん薬の治験,他施設共同臨床試験への参加などにより臨床研究を行っています.
研修医の皆様へ
当院は日本呼吸器学会認定施設,日本呼吸器内視鏡学会認定施設,日本臨床腫瘍学会認定研修施設です.呼吸器専門医,気管支鏡専門医,がん薬物療法専門医を目指す方は後期臨床研修を受けることができます.医学生や初期研修医等で呼吸器診療,気管支鏡検査,がん化学療法に興味をお持ちの方の連絡をお待ちしています.
腫瘍内科(消化器内科)
消化器は上部消化管(食道、胃、十二指腸)下部消化管(小腸、大腸)、肝臓、胆嚢、膵臓からなり、各々の臓器からのがん発生があります。
また、転移巣だけがあって原発臓器がわからない「原発不明がん」も少ないながらあります。
腫瘍内科(消化器内科)では、上記のがんに対する化学療法(抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬)をがん治療認定医、薬物療法専門医を中心にがん薬物療法専門の薬剤師、看護師とともにチーム医療として質の高い治療を提供しています。薬剤の副作用や心理的な面に対してもきめ細やかな対応を行うことで患者さんの満足度が高くなるように心がけています。化学療法の薬剤の組み合わせと投与方法はレジメンとよびます。各種がんには多くのレジメンがありますが、基本的にガイドラインに沿った標準的治療かつ科学的根拠(エビデンス)に基づいた最適なレジメンを症例ごとに選択しています。
また多くの治験や臨床研究を行うことで新規治療法の確立への貢献をしています。
消化器内科 がん登録数
部位 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
---|---|---|---|
食道 | 27 | 18 | 23 |
胃 | 81 | 96 | 89 |
小腸 | 6 | 8 | 6 |
大腸 | 93 | 103 | 109 |
肝臓 | 52 | 50 | 51 |
胆道(胆嚢含む) | 6 | 10 | 8 |
膵臓 | 29 | 25 | 33 |
年別合計 | 294 | 310 | 319 |