診療科・部門

足の外科クリニック

概要

足は、地面からの衝撃を直接受け続けるため、衝撃吸収がうまく行われるには、「しなやかな足」「変形のない足」であることが大切です。硬い足や、逆に、柔らかすぎる足、変形のある足では、衝撃が分散されず局所的に負担がかかり、胼胝(タコ)の発生 → 痛みとなり、歩くことに支障が生じます。このことを踏まえて、子どもたちの足の問題や、子どものときから遷延する大人の麻痺性足部疾患の治療を主に行っています。

治療方法

変形のある足に対しては、複数回の矯正ギプス治療で形態を整えたり、足底板の簡易な装具から靴型装具、短下肢装具などのしっかりした装具で形態の維持を行っていきます。こういった治療の効果が乏しく、歩くことの支障が解消されなければ、手術による変形矯正を行うことを考慮します。
一方、しなやかな足というのは、手術ではつくることができません。アキレス腱のストレッチやタオルギャザー、足関節周囲のトレーニングなどの自主的なケアが大事です。しなやかな足を維持するために、装具を用いる場合もよくあります。
特に、先天性内反足に対して、当科ではPonseti法(ポンセティ法)に準じて治療をすすめています。Ponseti法は、アメリカのアイオア大学Ponseti先生により考案された方法で、2000年頃以降、日本の小児整形外科施設でも広く取り入れられています。Ponseti法導入以降、それまでは手術主体の治療でしたが、ギプス治療と装具療法が主体となり、上記のように、しなやかな足を維持しやすくなりました。
治療の流れは、石膏ギプスを用いて、週1回ずつ、巻き直し(4~6回前後のまき直し) → アキレス腱切離処置 → 3週間の追加ギプス固定 → ギプス治療を終了して足部外転装具の装着へ移行、となります。装具装着は就寝時に行いますが、少なくとも4歳ころまでは、続けていくよう指導しています。

初診時

繰り返しの石膏ギプス矯正

徐々に内反変形(内向き)が減っていく



足部外転装具

装具装着時

当科で対応している主な疾患

生下時早期より異常がみられる疾患
  • 足部先天異常
    多趾症 合趾症 短趾症 巨趾症 先天性絞扼輪症候群 脛骨列形成不全 腓骨列形成不全
  • 先天性内反足
  • 先天性垂直距骨
  • 先天性多発性関節拘縮症
生下時診断が可能な例もあるが、乳幼児期から症状がよりはっきりしてくる麻痺性疾患
  • 脳性麻痺
  • 二分脊椎
  • シャルコー・マリー・トゥース病
  • 筋ジストロフィー
シャルコー・マリー・トゥース病

幼児の発達時期における異常
  • 外反扁平足

外反扁平足

年長になって症状が発現したり、発症する疾患
  • 足根骨癒合症
  • 中足骨短縮症
  • 有痛性外脛骨
  • 中足骨骨頭骨端症(フライバーグ病)
中足骨短縮症 手術直後

大人になって発症する疾患
  • 変形性足関節症
  • リスフラン関節症
外傷や外傷治療後の後遺症
  • 足関節周囲骨折
  • 踵骨骨折
  • 距骨骨折
  • リスフラン関節脱臼骨折

創外固定器を用いた治療

概要

創外固定器を使う治療の最大の特徴は、自己の再生能力を活用して新しい骨を造りながら、術後でも骨延長や変形矯正の操作を行えることです。「創内」で骨を固定するプレート、スクリュー、髄内釘などでは、術後に骨延長や変形矯正の操作はできません。プレート、スクリュー、髄内釘などは、いわゆる、骨折の治療に適しています。創外固定器は、骨折の治療でも用いられますが、それ以上に、骨延長や変形矯正の治療が必要な場合にその特徴を生かすことができます。

治療方法

治療に最適な創外固定器を選択し、骨の形に合わせて創外固定器を装着し、術後より、骨延長や変形矯正の操作を行います。目標としていた骨の移動が達成できれば、移動したところに成熟した骨ができるまで待ちます。成熟した骨が十分にできれば、創外固定器を抜去します。骨延長の距離が長ければ長いほど、または、変形矯正による骨の移動が大きいほど治療期間は長くなります。これまでは、治療期間 ≒ 創外固定器装着期間でしたが、当院では、「創内」で骨を固定するためのプレート、スクリュー、髄内釘などを併用することで、治療期間中の創外固定器の装着期間をできる限り減らせるように努めています。

当科で対応している主な疾患

骨折偽関節・遷延治癒(難治性骨折)

内固定材を用いた骨折治療後に、予想されていた期間に骨癒合が得られず、骨癒合が遷延したり、骨折部が骨癒合に至らない(偽関節)場合を難治性骨折と言い、治療期間と運動制限の長期化、痛みの遷延化が危惧されます。ここに骨髄炎が併発していると、なおさらです。このように治療に難渋している状態に対して、創外固定器を用いて、病変を切除して、骨形成、骨癒合を促す治療が適応する場合があります。

四肢骨の変形に対する変形矯正術

骨折治療後の変形治癒、腫瘍性病変治療後の変形、骨端線損傷、先天異常・くる病などの代謝性骨疾患・骨系統疾患などの成長とともに悪化する下肢変形に対して、創外固定器を用いて変形矯正を行っています。


右ブラウント病

手術時


変形矯正終了時



O脚・脚長差の解消

脚長不等・小人症に対する骨延長術

様々な原因で生じた脚長不等、骨系統疾患による超低身長に対して、創外固定器で下肢骨延長を行い、脚長不等の矯正や、身長の獲得を行っています。

右片側肥大症による
脚長差5cm


左大腿骨・脛骨2.5cmずつ骨延長

脚長差の解消

関節拘縮に対する手術

外傷治療後や腫瘍性病変治療後の後遺症により、膝関節や足関節の可動域が制限されて(関節拘縮)、日常生活動作の支障を来す場合があります。創外固定器を拘縮している関節に装着し、術後から創外固定器を操作しながら関節を動かすことで関節可動域を徐々に拡大させて、日常生活動作を改善するよう治療をすすめています。

外傷後尖足拘縮

手術時

矯正終了時

尖足の解消

小児整形外科担当スタッフ紹介

  • 医長

    北野 元裕

    整形外科専門医
    小児整形外科・足の外科・創外固定器治療を専攻

    所属学会(専門医資格等)

    日本小児整形外科学会評議員
    近畿小児整形外科懇話会世話人

  • 医師

    名倉 温雄

    小児整形外科・足の外科・創外固定器治療を専攻

    所属学会(専門医資格等)

    整形外科専門医

  • 医師

    松岡 由希子

    小児整形外科・創外固定器治療を専攻

    所属学会(専門医資格等)

    整形外科専門医

診療実績

「小児整形外科疾患」、「足の外科疾患」に関して、保存療法の有効性や手術療法の必要性を適切に判断して治療をすすめています。「創外固定器を用いた治療」に関しては、小児や大人に対して分け隔てなく、創外固定器の特徴が治療上必要な場合に行っています。

最近5年間の手術実績
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
83件 121件 102件 99件 94件

※小児整形外科・足の外科・創外固定器治療ならびに抜釘手術を合わせた件数

医療機関の皆さまへ

基本的には、事前予約をお願い致しております。当院の地域医療連携室(電話: 06-6946-3516(直通), e-mail: 408-comonh@email.hosp.go.jp)にお問い合わせ、予約取得をお願いします。緊急的な対処が必要だと判断された場合は、当小児整形外科担当スタッフに直接連絡を取っていただき、当科での対応が可能な状況か、または、他の専門施設への紹介などを判断させていただいております。
また、当小児整形外科は、近隣の小児整形外科施設とも連携しており、特定の疾患で近隣の小児整形外科施設での治療が当科よりも秀でている場合は、分け隔てなくご紹介しております。 どうぞよろしくお願い致します。