脊椎外科グループ
当院の脊椎外科の特色
- エビデンス(科学的根拠)に基づく安全性の高い治療を行うことを信念としています。
- 変性疾患(腰部脊柱管狭窄症などの加齢による病気)のみならず、脊椎外傷(けが)や脊椎・脊髄の腫瘍など、幅広い診療を行っております。
- 患者様の症状、病態、からだの状態、患者様本人やご家族の希望などを慎重に評価・分析し、手術をしない選択肢も含めて、治療方針を総合的に検討します。
- 手術治療では、短い時間・少ない出血量・小さい傷を常に目指し、からだへの負担の少ない手術(低侵襲手術)を心がけています。
- 適応を満たせば、80歳以上の高齢の患者様にも十分安全に手術を受けていただくことが可能です。
- 日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医基幹研修施設であり、大阪大学整形外科脊椎外科グループの基幹病院です。
- 国内外の学会参加・論文発表を多数しており、最新の知見や技術の収集・発信を心がけています。
- 椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア®の認定施設です。
対象疾患
<頚椎>
頚髄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、頚椎症性筋萎縮症、頚椎後縦靭帯骨化症 など
<胸椎>
胸髄症、胸椎後縦靭帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症 など
<腰椎>
腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症 など
<脊椎全般>
骨粗しょう症性椎体圧迫骨折後偽関節、脊髄腫瘍/馬尾神経腫瘍(髄外のもの)、脊椎外傷/脊椎骨折 など
代表的手術
開窓術(部分椎弓切除術)
≪対象疾患:腰部脊柱管狭窄症、胸髄症など≫
- 写真のように背骨の後ろの部分の一部(黄色の点線の部分)を切除して神経の通り道(脊柱管)を広くする手術です。背骨の後ろの関節(椎間関節、白の点線の部分)は温存するので安定性は保たれます。
- 1か所の手術であれば30-40分で終了し、4.5㎝程度の小さい傷で可能です。出血も少量で、からだの負担も少ない(低侵襲)です。
- 翌日からベッドから離れてリハビリを行い、10日程度で退院できます。
後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF;プリフ)
≪対象疾患:腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症、脊椎外傷、腰部脊柱管狭窄症(椎間孔狭窄)など≫
- 腰椎の骨の一部を後ろから切除して脊柱管を広げ、背骨と背骨の間の椎間板を取り除いた部分に切除した骨をはめ込み、チタン合金スクリューで腰椎を固定する手術です。
- 当院ではほとんどの場合1時間半-2時間前後で終了します(一般的な手術時間:3-4時間)。
- 写真のように1か所のみの小さい傷(5.5㎝)で可能でありからだの負担は少ない(低侵襲)です。出血も少なく抑えられ、輸血の必要もありません。
- 翌日からベッドから離れてリハビリを行い、10-14日程度で退院できます。
側方経路腰椎椎体間固定術(OLIF;オーリフ)
≪対象疾患:腰椎すべり症、変形性腰椎症(椎間孔狭窄) など≫
- 側腹部の傷(3cm)を使って、横側から背骨と背骨の間の椎間板を取り除いてケージ(支え)や骨をはめ込む新しい低侵襲手術です。後ろからは4つの小さい傷(1.5cm)からチタン合金スクリューを経皮的に刺入して腰椎を固定します(経皮的椎弓根スクリュー(PPS))。
- 1時間半-2時間で終了します。出血は少量です。
- 翌日からベッドから離れてリハビリを行い、10日程度で退院できます。
経皮的椎体形成術(BKP)
≪対象疾患:骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折 など≫
- 骨粗鬆症により弱くなった背骨の骨折(胸椎や腰椎の圧迫骨折など)では、骨が癒合せず(くっつかず)に動きがのこることで、慢性的な痛みの原因となることがあります。
- 背骨の左右の小さい傷(5mm程度)から椎体に骨セメントを充填し、骨折部を動かなくしてくっつける手術です。
- 30-45分で終了し、手術の翌日からベッドから離れてリハビリを行います。
- 4-7日程度で退院できます。
頚椎椎弓形成術
≪対象疾患:頚髄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性脊髄症、頚椎症性筋萎縮症、頚椎後縦靭帯骨化症 など≫
- 頸椎の骨を後ろから削り、形を変えることで脊髄の通り道を広くする手術です。
- 1時間-1時間半で終了します。
- 翌日からベッドから離れてリハビリを行い、10-14日程度で退院できます。
頚椎前方固定術
≪対象疾患:頚髄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、頚椎症性筋萎縮症、頚椎後縦靭帯骨化症 など≫
- 首の前から、頚椎の骨と骨の間の椎間板の一部を取り除いて、骨盤(こしぼね)の骨から採った骨をはめ込んで固定し、神経の圧迫を解除します。
- 1時間半-2時間前後で終了します。出血は少量です。
- 翌日からベッドから離れてリハビリを行い、10日程度で退院できます。
シャンツスクリュー
≪対象疾患:胸椎・腰椎の破裂骨折≫
- けがによる脊柱支持性の破綻に対し行います。シャンツスクリュー法では簡便かつ低侵襲に支持性の獲得と神経圧迫解除が達成でき、多発外傷後の患者さんでも手術によるさらなるからだの負担を最小限にとどめることが可能です。
- 骨折部の治癒後はインプラントを抜去することで背骨の動きを温存することができます。
- 1時間程度で終了します。
他にも、
- 腰椎椎間板ヘルニアに対する髄核摘出術
- 経皮的椎弓根スクリュー(PPS)による最小侵襲脊椎安定術(MISt)
- 胸椎・腰椎前方固定術
- 骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折・腫瘍の脊椎転移・感染性脊椎炎・脊椎外傷などに対する頚椎・胸椎・腰椎の除圧術および後方固定術
など多様な手術に対応しています。
※手術の傷、手術時間、出血量、入院期間は患者様のからだの状態などにより変化することがあります。
スタッフ紹介
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整形外科 医師 医学博士
石黒 博之
専門領域
脊椎外科
所属学会(専門医資格等)
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
BKP(バルーンカイフォプラスティ)資格医
OLIF(側方椎体間固定)資格医
日本脊髄障害医学会
日本脊椎・脊髄神経手術手技学会 -
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整形外科 医師
大西 厚範
Onishi Atsunori
大阪大学 2010年卒業
専門領域
脊椎外科
所属学会(専門医資格等)
日本整形外科学会専門医、日本脊椎脊髄病学会、中部日本整形外科災害外科学会