診療科・部門

診療の特色

ロボット手術支援機器ダヴィンチXi導入

2021年1月よりロボット手術支援機器ダヴィンチXiが導入されました。従来の腹腔鏡手術と同様小さな傷(1cm)を4-6ヵ所おき、内視鏡や手術操作器具を使用して行う治療法です。高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像のもと完全に医師の操作によって人間の手の動きを正確に再現する装置です。術者は回転する手首を備えた鉗子を使用し、精緻な手術を行うことができます。前立腺癌に対する前立腺全摘除術、小径腎癌に対する腎部分切除術、腎盂尿管移行部狭窄症に対する腎盂形成術は標準術式としております。
泌尿器科スタッフにはダヴィンチサージカルシステム指導医1名、資格取得医3名が在職しており、質の高い診療を提供できるものと確信しています。
2018年から膀胱癌、2022年から副腎腫瘍、腎癌、腎盂尿管癌に対するロボット支援下手術が保険収載され、病態に応じて開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術を柔軟に選択いたします。

MRI-超音波融合画像ガイド下生検術による正確な前立腺癌診断

2024年4月にARIETTA65 Intuitive Fusion(富士フィルム社)を導入しました。本システムはより正確な前立腺生検術をサポートするため開発された超音波画像診断装置です。
検診などでPSA高値を認めた時に前立腺癌をいかに診断するかは重要です。前立腺癌の局在診断にはmultiparametric MRIが最も優れています。しかし、一般的な前立腺生検術は超音波ガイドで行うため、MRIで得られた異常所見を生検術に反映できない現状がありました。
今回導入した超音波画像診断装置はMRI画像を超音波診断装置に取り込んで、前立腺の動きや変形を自動的に補正した3D立体イメージで表示します。この融合画像を構築することにより、より正確な組織採取が可能となり、前立腺癌の検出精度の向上につながることが期待されます。

腹腔鏡手術の積極的な取り組み

腹腔鏡手術とは小さな傷(1−2cm)を3−5ヵ所おき、内視鏡や手術操作器具を使用して行う治療法です。3Dモニターを標準的に使用しており、通常の2Dに比較して立体的な解剖が鮮明に描出され、より繊細な手術が可能となっています。術後疼痛も少なく、早期離床・早期退院が可能となるいわゆる低侵襲手術を様々な分野で行っています。手術手技が安定し、周辺機器の開発・改良によりさらに安全かつ確実な治療法となっています。
当院には泌尿器腹腔鏡技術認定医が3名在職しており、多岐にわたる疾患で腹腔鏡手術が可能となっています。

軟性尿管鏡とレーザーを用いた経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)

尿路結石症の治療は従来の体外衝撃波結石破砕術(ESWL)に加え、砕石と抽出を同時に行う細径軟性尿管鏡やレーザーを用いた経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)が主流となっています。
当院では3mm径で2チャンネルの軟性ファイバーと200μのレーザーを用いた経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)を行っています。従来の硬性鏡では治療できなかった腎結石にも対応可能で、高い完全排石率を実現しています。

f-TUL併用の細径PNLスコープを用いた経皮的腎砕石術(ECIRS)

サンゴ状結石などの大きな腎結石に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)・経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)単独療法は手術時間も長く、治療期間も長期となり完全排石が困難です。
経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)に経皮的腎砕石術(PNL)を併用し、同時に砕石・抽出するTUL assisted PNL(ECIRS)は短期間での治療が可能です。

前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺核出術(TUEB)

前立腺肥大症に対する手術療法は現在も経尿道的前立腺切除術(TUR-P)が標準治療と言えます。しかし大きな前立腺の場合は出血量が多く、灌流液によるTUR反応などの合併症が問題となることがあります。
経尿道的前立腺核出術(TUEB)は経尿道的に前立腺を外科的被膜に沿ってくり抜き、前立腺を一塊に膀胱内に遊離します。遊離した前立腺で細切・吸引する機能をもつモルセレーターを用いて体外にとりだします。TUEBは出血量を減少させるとともに確実な前立腺切除を可能とします。生理食塩水を使用するTURisシステムを用いるためTUR反応が起こることはありません。

新たな前立腺肥大症の低侵襲治療 〜経尿道的前立腺吊り上げ術(ウロリフト)

経尿道的前立腺吊り上げ術(ウロリフト)は既に欧米ガイドラインでは標準治療であり、世界で30万人が治療を受けています。
本治療は、前立腺にインプラントを埋め込み、閉塞した前立腺部尿道を持ち上げ、尿道を拡げることで、排尿障害を改善させます。前立腺の切除や焼灼が不要であり、出血量も少なく、体への負担が小さく、射精障害などの合併症が少ないことが特徴です。

限局性前立腺癌に対する治療

前立腺に限局する癌の治療は手術療法と放射線療法が大きな2本の柱となっています。
手術療法は低侵襲であるロボット支援前立腺全摘除術を第一選択治療として行っています。ロボット支援前立腺全摘除術は従来の腹腔鏡手術と同様小さな傷(1cm)を6ヵ所おき、内視鏡や手術操作器具を使用して行う治療法です。高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像のもと完全に医師の操作によって人間の手の動きを正確に再現する装置です。術者は回転する手首を備えた鉗子を使用し、精緻な手術を行うことができます。開腹手術に比べ出血量が少なく、拡大視野で繊細な操作を行うため癌のひろがりに応じて神経温存も可能です。
またMRI-超音波融合画像ガイド下生検術で得られた前立腺の3D立体イメージ画像はがんの局在を正確に評価することが可能で、ロボット支援前立腺全摘除術における手術ナビゲーションに応用することも可能です。入院期間は約7−10日程度です。
放射線療法は強度変調放射線治療(IMRT)を放射線治療医と協力体制を密接にとりながら治療を行っています。
強度変調放射線治療(IMRT)は従来の外照射に比べ隣接臓器への影響を低減して前立腺に集中して照射することが可能です。外来通院で治療可能で、治療期間は約2ヵ月です。重粒子線治療や陽子線治療を選択する場合は、診療情報を提供することで柔軟に対応しています。