冠攣縮性狭心症
病気の説明
冠動脈に器質的な狭窄がないものの、発作的に血管に含まれる筋肉に痙れん(れん縮・スパズム)が起こり、一時的な狭窄を生じるために、心臓の筋肉が虚血状態になり生じる病気を冠攣縮性狭心症といいます。原因として、喫煙、飲酒、脂質異常症、ストレスなどがあり、動脈硬化との関連性も示唆されています。ほとんどは一過性の発作であり、時間とともに改善を認めますが、時に攣縮が持続して心筋梗塞に進展することもあります。 狭心症としては上記の労作性狭心症と比較して稀なために「異形狭心症」と言われることもありますが、発症頻度は欧米人よりも日本人に多いと言われています。
症状
胸部症状については労作性狭心症と同様ですが、労作性狭心症とは異なり、労作時よりも安静時、特に夜間から早朝にかけて生じることが多いです。過呼吸や飲酒により誘発されることがあります。ニトロペンなどの血管拡張剤が著効するのも特徴です。
検査
運動負荷検査では発作が誘発されないことが多く、24時間心電図を記録するホルター心電図で診断されることがあります。また、入院して心臓カテーテル検査中に、薬剤(アセチルコリン・エルゴノビン)により発作を誘発する負荷試験により診断されることもあります。
治療
冠動脈に狭窄がなければ、バルーンやステント治療ではなく、発作を予防する目的で血管拡張剤の内服加療が治療の中心となります。 また発作を誘発する原因の是正、禁煙、血圧管理、糖尿病や脂質異常症の是正、過労や精神ストレスの回避、節酒が必要です。