HIV/AIDSについて
HIVとそのはたらき
HIVとはウィルスの名前で、Human ImmunodeficiencyVirus(ヒト免疫不全ウィルス)の頭文字をとった略称です。HIVはヒトの血液中や、精液・膣分泌液などにいて、これらの体液がほかのヒトの粘膜(たとえば、眼・口の中・尿道の先・膣や肛門の中など)や、傷ついた皮膚に触れると感染する可能性があります。
HIVはヒトの体に入り込むと、白血球の一種であるCD4リンパ球という細胞に感染します。すると、徐々にCD4が破壊されていきます。CD4リンパ球は、ヒトの免疫を担当する司令塔の役割をしている細胞なので、減少するとヒトの免疫のはたらきが弱くなっていきます。CD4リンパ球の数は、血液検査で測定することができます。
AIDSとは
HIVに感染しただけでは症状のない人も多いのですが、CD4リンパ球の減少とともに徐々に免疫力が低下し、通常は病原性のほとんどない微生物による感染症(日和見感染症)などの合併症を発症します。ニューモシスチス肺炎など厚生労働省が定めた23の合併症のいずれかを発症した場合、AIDSと診断されます。AIDSは、Acquired Immunodeficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)の略称です。つまり、AIDSは病気の名前で、HIVはそれを引き起こす原因ウィルスの名前です。
以下のグラフにCD4リンパ球数と、発症する可能性のある日和見感染症の関係の目安を示します。CD4リンパ球数が200を切ると発症する可能性が高く、また発症しなくても早期に治療を開始した方が予後が改善することが示されており、ガイドラインで定められたCD4リンパ球数を切ってきたら抗HIV薬による治療を開始するように推奨されています。
HIVの治療
いちど感染すると体からHIVをなくしてしまうことはできません。しかし今は、HIVのはたらきを抑える治療薬(抗HIV薬)が多数開発され、病気の進行を抑えることができるようになっています。これらは基本的に飲み薬であり、内服を適切に行えば、HIVのはたらきを問題ないくらいに抑えることができます。CD4リンパ球が低くなる前に治療をはじめればCD4リンパ球がゆっくり回復しAIDSを発症せずに済んだり、あるいはすでにAIDSを発症していても治療によってCD4リンパ球が回復してゆく方も多くおられます。
さらに詳しくお知りになりたい方は、当センターで制作したパンフレット「あなたに知ってほしいこと」をご覧ください。HIVに関する基本的なことがらをわかりやすく解説しています。
「あなたに知ってほしいこと」
(第19版 2024年7月発行)
「在宅医療を支えるみんなに知ってほしいこと」
(第3版 第1刷 2023年1月発行)