研修会案内・報告
令和6年度 HIV関連研修実施予定
HIV/AIDS看護師研修(基礎コース)(日本エイズ学会の指定研修会)
- 開催予定日
- 【第1回】令和6年9月9日(月)~9月10日(火)
【第2回】令和6年11月18日(月)・19日(火) - 対象者
- 近畿圏内の200床以上の病院に勤務するHIV/AIDS患者の看護に携わっている、もしくは興味があり今後携わっていこうとしている看護師・助産師
HIV感染症研修会(日本エイズ学会の指定研修会)
- 開催予定日
- 令和6年9月30日(月)~10月1日(火)
- 対象者
- 国立病院機構施設、もしくは西日本のエイズ診療拠点病院(北陸・東海・近畿・中四国・九州ブロック)に勤務する医師および看護師・薬剤師・医療ソーシャルワーカー・心理療法士等、HIV感染患者と接している、もしくは接すると思われる職員
HIV医療におけるコミュニケーションとチーム医療研修会
- 開催予定日
- 令和6年10月2日(水)
- 対象者
- 西日本の国立病院機構施設、もしくは西日本のエイズ診療拠点病院(北陸・東海・近畿・中四国・九州ブロック)に勤務する医師および看護師・薬剤師・医療ソーシャルワーカー・心理療法士等、HIV感染患者と接している、もしくは接すると思われる職員
HIV感染症医師実地研修(日本エイズ学会の指定研修会)
- 開催予定日
- 令和6年9月30日(月)~10月18日(金)
- 対象者
- 西日本ブロックのエイズ診療拠点病院医師(初期研修医は除く)で所属施設長の推薦を受けた者
研修終了後にHIV診療に継続して関わる者が望ましい
HIV看護 専門コース(日本エイズ学会の指定研修会)
- 開催予定日
- 【前期】令和6年9月~11月
【後期】令和6年12月~令和7年2月
前期か後期のどちらかの期間中にオンライン学習+外来実習で合計10日間 - 対象者
現在勤務先医療機関等において、主としてHIV陽性者の外来看護に携わる実務担当者であり、研修修了後も継続的に看護等の実務担当者、指導者として携われる以下の者
- 診療報酬「ウイルス疾患管理料2」の加算ができる施設(あるいは算定の方針である施設)の施設長が推薦するHIV/AIDSケア担当看護師(候補者を含む)
- 各ブロック拠点病院が主催する基礎的な知識を習得できる研修を修了している者
- 研修修了後にHIV陽性者の療養支援に継続して関わる者
近畿ブロック エイズ診療拠点病院ソーシャルワーク研修会
- 開催予定日
- 令和6年10月27日(日)
- 対象者
- エイズ診療拠点病院勤務の医療ソーシャルワーカー、カウンセラーおよび、自治体のエイズ派遣カウンセラー
近畿ブロック HIV医療におけるカウンセリング研修会
- 開催予定日
- 令和6年12月6日(金)
- 対象者
- 近畿ブロック内の自治体・拠点病院・中核拠点病院等の臨床心理士、公認心理師、心理職、カウンセラー、もしくはHIV感染症に関わるカウンセリングに関心のある臨床心理士、公認心理師、心理職、カウンセラー、臨床心理学専攻の大学院生
HIV/AIDS看護師研修(応用コース)(日本エイズ学会の指定研修会)
- 開催予定日
- 令和7年1月1月27日(月)~28日(火)
- 対象者
- 初心者コースの受講者
現在募集中の研修会
2024年度 HIV/AIDS看護師研修(応用コース)
- 日時
- 2025年1月27日(月)~28日(火) 10時開始17時終了
- 会場
- 大阪医療センター内 災害医療棟3階 講堂
- 対象
- HIV/AIDS看護師研修の初心者コースを受講された一般医療機関に勤務の方、もしくは、近畿圏内のHIV診療における拠点病院・中核拠点病院で勤務されている方(拠点・中核拠点で勤務されている方は初心者コースへのご参加がなくても、応用コースへのお申し込みは可能です。)
- 定員
- 先着50名
- 申込み用紙
送付先 - FAX 06-6946-3652
- 締切日
- 2025年1月17日(金)17:00まで
- 実施要領
- 参加登録票
- PDFExcel
HIV陽性者支援の出前研修会について(ご案内)
近年、HIV陽性者の治療の進歩に伴い、HIV感染症も慢性疾患となりました。その中、患者の高齢化、生活習慣病や悪性疾患などの合併・併存疾患、またAIDS発症後の後遺症の影響など、住み慣れた地域での自立した生活が困難となる患者様も少なくありません。
そこで、HIV陽性者が、生活の場である地域で療養継続して暮らせるよう、患者様への支援に携わっていただける医療・介護・福祉の各領域の皆様への研修会についてのご案内をさせていただくことになりました。
ぜひとも、HIV陽性者の療養における現状をご理解いただき、地域における患者様の療養生活のサポートとして、一翼を担っていただけますよう、ご協力をお願いしたいと考えております。
なお、研修会については、貴協議会が開催される研修会や勉強会とコラボレーション開催、登録されている各施設に出向いての個別開催など、ご要望に応じて対応させていただきます。会員の皆様にも、貴協議会のお知らせ等される際に、合わせて研修会のご案内をお願いできればと思っております。何卒よろしくお願い申し上げます。
支援に携わられている皆様からのお申込み、心よりお待ちしております。
申込方法:申込用紙に必要事項をご記入いただき、FAXにてお申し込みください。
≪研修依頼に関するお問い合わせ≫
独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
HIV地域医療支援室 看護連携係
副看護師長 東(ひがし)政美
【Mail】 higashi.masami.je@mail.hosp.go.jp
研修会報告
過去に当センターで行われた研修会および当センターメンバー参加の研修会・学会報告です。
大阪医療センターでは、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為に、平成18年度よりHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を実施しています。本年度も3週間におよぶ実地研修を実施しました。
実施時期:令和6年9月30日(月)~10月18日(金)
開催場所:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的:HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を目的とする。
対象:西日本ブロックのエイズ診療拠点病院医師(初期研修医は除く) で所属施設長の推薦を受けた者。研修終了後にHIV診療に継続して関わる者が望ましい。
参加者:3名
内容:講義・病棟実習・外来見学・NPO見学
講師一覧
1 | HIV/AIDSの基礎知識と疫学 | 白阪 琢磨 |
2 | HIV感染症の診断 | 渡邊 大 |
3 | 抗HIV薬の特徴と薬剤師の役割 | 矢倉 裕輝 |
4 | 抗HIV療法の実際 | 渡邊 大、矢倉 裕輝 |
5 | HIV陽性者に対する外科手術 | 俊山 礼志 |
6 | 地域で暮らすHIV陽性者の療養生活を支える~医療ソーシャルワーカーにできること~ | 岡本 学 |
7 | 外来・病棟看護と療養支援 | 東 政美 |
8 | 日和見感染症診療(PCPを中心に) | 上平 朝子 |
9 | 医師・薬剤師向け | 上平 朝子、矢倉 裕輝 |
10 | HIV感染者における消化管病変 | 榊原 祐子 |
11 | HIVとカウンセリング | 安尾 利彦 |
12 | 血友病診療・凝固因子製剤の使い方 | 西田 恭治 |
13 | 「薬害エイズ」とHIV医療体制 | 花井 十伍 (特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権(MERS)) |
14 | 話しにくい話題を取り上げて話すには? | 山中 京子 (コラボレーション実践研究所所長/大阪府立大学名誉教授) |
15 | HIV感染症の最近の話題:U=Uをめぐって | 松浦 基夫 (矢田生活協同組合医療センター管理医/中村クリニック) |
16 | 多職種による事例検討「セルフケアに困難を抱える事例」 | 山中 京子、牧 寛子、東 政美 |
17 | HIVと歯科疾患 | 吉本 仁 |
18 | 陽性妊婦の看護支援 | 中濵 智子 |
19 | 新規抗HIV薬 | 渡邊 大 |
20 | HIV陽性者の在宅療養支援 | 東 政美 |
21 | HIV感染症と薬物依存 | 岡本 学 |
22 | 関西でのPrEP/PEP処方の現状~検査・治療・予防の分離解消を目指して~ | 石内 崇勝(いだてんクリニック) |
23 | 肛門のHPV感染 | 宮崎 道彦 |
24 | HIV急性感染 | 渡邊 大 |
25 | 免疫再構築症候群(IRIS) | 上平 朝子 |
26 | STD(性行為感染症)の診療 | 廣田 和之 |
27 | 精神医療とHIV感染症 | 梅本 愛子(うめもとクリニック) |
28 | HIV感染症と皮膚疾患 | 小澤 健太郎 |
29 | 神経心理検査と事例検討 | 宮本 哲雄 |
30 | 入院症例の管理の実際 | 松村 拓朗 |
31 | HIV感染症と眼科疾患 | 杉本 一輝 |
32 | 日和見感染症診療(HIV脳症、PML、クリプトコッカス症) | 上地 隆史 |
33 | 臨床検査科見学 | 木原 実香 |
34 | 特定非営利活動法人 MASH大阪/dista 見学・講義 | 町 登志雄 |
35 | 特定非営利活動法人 CHARM 見学・講義 | 三田 洋子 |
36 | 定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権(MERS)見学・講義 | 花井 十伍 |
37 | 特定非営利活動法人 スマートらいふネット/一般社団法人JHC/chotCAST 見学・講義 | 毛受 矩子/桜井 健司 |
参加者の感想文
大阪大学医学部附属病院
感染症内科 尾﨑 正英
3週間HIV実地研修をさせていただきました。
病院での入院・外来診療だけでなく、多くの講義や複数の施設訪問があり、HIVを取り巻く環境や社会のサポートについても学ぶことができました。
病院での実習では新規のAIDS患者さんへの対応を学び、外来見学では多くの方が何年も通院治療を受けられていることを知りました。HIVは今や慢性疾患となり、亡くなることのない疾患になってきているので、今後HIV患者の高齢化が問題となってくることを身をもって感じることができました。また、HIVのチーム医療に感動しました。様々な職種の方がそれぞれ役割を持ち、専門を活かした仕事をされていました。これにより患者さんが最良の治療を受けられていると感じました。
講義では、HIVの治療や日和見感染症の対応だけでなく、療養支援、薬害エイズのこと、他科との関りなど、自分で教科書を読むだけでは勉強できないことを、医療センターでの実例を交えながら学ぶことができました。
大変実りある3週間でした。
大阪はびきの医療センター
感染症内科 仮屋 勇希
外来、病棟の研修では、初診時や定期フォロー時の対応、ARTの導入日和見感染症やIRISのマネージメントを実例を通して学ぶことができました。
また多職種が連携して関わっていくことの重要さを実感しました。
chotCAST、MERS、MASH大阪/dista、CHARMへの訪問では、HIVや性感染症の予防や早期発見のための取り組み、当事者支援、薬害エイズ 等について知ることができました。
3週間まとまって学ぶ貴重な機会となりました。
今回の経験を自施設でも還元していきたいと思います。
姫路医療センター
呼吸器内科 永田 憲司
3週間大変お世話になりました。
これまで私自身HIV診療とは縁がなく、今後HIV診療に携わる為に、この研修会に参加させて頂きました。
3週間、講義、病棟・外来実習、NPO法人訪問を通じてHIVの歴史や背景、実際の診療まで幅広く勉強させて頂き、非常に充実した研修会でした。
今回、実習医師は3人でしたが、実習を通じて議論した事で、より実りのある実習になったと思います。
今回お世話になった先生方、スタッフの皆様方に大変感謝申し上げます。
修了証書授与式
大阪医療センターでは、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為に、平成18年度よりHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を実施しています。本年度も3週間におよぶ実地研修を実施しました。
実施時期:令和5年10月2日(月)~10月20日(金)
開催場所:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的:HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を目的とする。
対象:西日本ブロックのエイズ診療拠点病院医師(初期研修医は除く) で所属施設長の推薦を受けた者。研修終了後にHIV診療に継続して関わる者が望ましい。
参加者:4名
内容:講義・病棟実習・外来見学・NPO見学
講師一覧
1 | HIV/AIDSの基礎知識と疫学 | 白阪 琢磨 |
2 | HIV感染症の診断 | 渡邊 大 |
3 | 抗HIV薬の特徴と薬剤師の役割 | 矢倉 裕輝 |
4 | 抗HIV療法の実際 | 渡邊 大、矢倉 裕輝 |
5 | HIV陽性者に対する外科手術 | 俊山 礼志 |
6 | 外来・病棟看護と療養支援 | 東 政美 |
7 | HIVとカウンセリング | 安尾 利彦 |
8 | 日和見感染症診療(PCPを中心に) | 上平 朝子 |
9 | 医師・薬剤師向け | 上平 朝子、矢倉 裕輝 |
10 | HIV感染者における消化管病変 | 榊原 祐子 |
11 | 地域で暮らすHIV陽性者の療養生活を支える ~医療ソーシャルワーカーにできること~ |
岡本 学 |
12 | 血友病診療・凝固因子製剤の使い方 | 西田 恭治 |
13 | 「薬害エイズ」とHIV医療体制 | 花井 十伍 (特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権(MERS)) |
14 | 話しにくい話題を取り上げて話すには? | 山中 京子 (コラボレーション実践研究所所長/大阪府立大学名誉教授) |
15 | HIV感染症の最近の話題:U=Uをめぐって | 松浦 基夫 (矢田生活協同組合医療センター管理医/中村クリニック) |
16 | 多職種による事例検討「セルフケアに困難を抱える事例」 | 山中 京子、牧 寛子、東 政美 |
17 | 陽性妊婦の看護支援 | 中濵 智子 |
18 | HIV陽性者の在宅療養支援 | 東 政美 |
19 | HIV急性感染 | 渡邊 大 |
20 | 新規抗HIV薬 | 渡邊 大 |
21 | HIV感染症と薬物依存 | 岡本 学 |
22 | 免疫再構築症候群(IRIS) | 上平 朝子 |
23 | HIV感染症と眼科疾患 | 部坂 優子 |
24 | HIVと歯科疾患 | 吉本 仁 |
25 | HIV感染症と皮膚疾患 | 小澤 健太郎 |
26 | 入院症例の管理の実際 | 松村 拓朗 |
27 | STD(性行為感染症)の診療 | 廣田 和之 |
28 | 神経心理検査と事例検討 | 宮本 哲雄 |
29 | 日和見感染症診療(HIV脳症、PML、クリプトコッカス症) | 上地 隆史 |
30 | 臨床検査科見学 | 木原 実香 |
31 | 特定非営利活動法人 MASH大阪/dista 見学・講義 | 町 登志雄 |
32 | 特定非営利活動法人 CHARM 見学・講義 | 三田 洋子 |
33 | 定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権(MERS)見学・講義 | 若生 治友 |
34 | 特定非営利活動法人 スマートらいふネット/ 一般社団法人JHC/chotCAST 見学・講義 |
毛受 矩子 |
参加者の感想文
奈良県立医科大学附属病院
感染制御内科 小泉 陽介
初日~3日目にかけての講義で、HIV/AIDSに関する基礎的な内容や医師以外からの視点、アプローチに関して学ぶことができた。外来・病棟での研修が始まってからは、実際に患者さんにどのように外来診療を行っているのか、どのように治療戦略を考えるのか、ということを具体的に学ぶことができた。また、薬剤師や看護師、MSW、心理士と関わる機会や実際に患者と面談や指導をしている場面を見ることができた。
院外研修では、CHARMやMARS、スマートらいふネットを訪問し、それぞれのミッションを深く知ることができた。
この3週間の研修を通じて、HIV/AIDS患者への診療だけでなく、医師以外からの視点や関わり方、サポートの方法を学ぶことができ、院外においても様々なNPOが患者を社会から支えていることを知ることができた。
今回の研修で得た経験を糧に、患者に寄り添った医療を行い、病院・社会で患者を支えることができる体制づくりができればと考えています。
京都市立病院
感染症科 岩本 伸紀
今回の研修会では、HIV感染症のマネージメントや多職種との連携、HIVの歴史・背景について詳しく学ぶことができました。
多種多様な日和見感染症や併存疾患のある症例を診療しておられる先生方から、直接、実践的なARTの使い方や注意すべき点、日和見感染症のマネージメントについて学べたことは、非常に有意義でした。また多職種としっかり連携されており、その中で医師の役割、関わり方について学べたこともよかったです。そしてHIVの歴史や現在直面している問題について医療従事者だけでなく、NPOなどの訪問を通じて、当事者サポートを行う方々の生の声を聞くことができ、その意義を改めて感じました。
現在、新規のHIV感染症/AIDS患者は減少傾向ですが、その中でHIV診療について集中的に学べるこの研修会は、これまで以上に貴重で意義のある機会だと思います。この研修会に参加させていただきありがとうございました。今回学んだことを児施設で共有し、患者さんに還元していきたいと思います。
大阪大学医学部附属病院
感染制御部・感染症内科 藤原 辰也
今後、感染症診療を続けていくにあたり、HIV/AIDSの診療も関わる必要が当然のことながらでてくることから、これらの基本的な知識の整理に加えて、実臨床での経験を学びたく、今回の実地研修に参加させて頂きました。
入院症例を通じてCD4値に応じた日和見感染症の検索と、その解釈や、実際の治療やARTを行うタイミングから副作用出現時のトラブルシューティングなどもディスカッションの中から学ぶことができました。
また外来診療においては、初診から継続フォロー中の方まで、他職種がそれぞれに役割を担いながら、チームで関わっておられるご様子がみれました。一人で診療を行うことは難しいので、今後HIV診療を充足させることにあたっては他職種の多く、関係者も巻き込みながらチーム形成をしていこうと思いました。
最後になりましたが、ご多忙中にも関わらず研修を企画・実施いただいたスタッフの皆様ならびに研修にご協力いただきました患者様に感謝申し上げます。
今回の経験を今後に生かしたいと思います。
沖縄県立宮古病院
総合診療科 砂川 惇司
私はHIV感染症診療経験が浅く、知識と実践の機会を得るため研修に参加いたしました。
外来研修を通してHIV感染症治療薬剤選択はもちろんHIV感染症自体が慢性疾患となり、他の生活習慣病などの併存疾患診療を充実させることも大切であることが理解できました。
また入院病棟研修では日和見感染症を学びました。私の経験値が0から1に変化したことは、「一度診療したことがある」という勇気を将来もたらしてくれると思います。
多数の通院患者さんがいますが、多職種で課題が共有され、それぞれの視点で活発に議論されていました。患者さんのwell-beingを追求し、医療から途切れないよう取り組まれる姿にプロフェッショナリズムを感じました。
また4つのNPO法人の訪問は、啓蒙活動や社会的弱者の支援体制などを学び、薬害エイズの歴史が本邦のHIV感染症診療に大きく関わっている社会背景を知る機会にもなりました。病院内での医療だけではなく、院外での経験も重なることで、HIV感染症の全体像を把握することができました。 3週間の学びの機会を提供していただき、誠にありがとうございました。自院の取り組みを振り返る機会ともなり、今後の診療に活かしていきたいと思います。
大阪医療センター HIV感染症診療に携わる皆様に感謝申し上げます。
修了証書授与式
大阪医療センターでは、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為に、平成18年度よりHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を実施しています。本年度も1ヶ月間におよぶ実地研修を実施しました。
実施時期:令和4年10月3日(月)~10月28日(金)
開催場所:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的:HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を目的とする。
対象:西日本ブロックのエイズ診療拠点病院医師(初期研修医は除く) で所属施設長の推薦を受けた者。研修終了後にHIV診療に継続して関わる者が望ましい。
参加者:1名
内容:講義・病棟実習・外来見学・NPO見学
講師一覧
1 | HIV/AIDSの基礎知識と疫学 | 白阪 琢磨 |
2 | HIV感染症の診断 | 渡邊 大 |
3 | 抗HIV薬の特徴と薬剤師の役割 | 矢倉 裕輝 |
4 | ディスカッション「初回抗HIV療法の実際」 | 渡邊 大・矢倉 裕輝 |
5 | HIV陽性者に対する外科手術 | 俊山 礼志 |
6 | 外来・病棟看護と療養支援 | 東 政美 |
7 | HIVとカウンセリング | 安尾 利彦 |
8 | 日和見感染症(PCPを中心に) | 上平 朝子 |
9 | 症例検討(医師・薬剤師向け | 上平 朝子・矢倉 裕輝 |
10 | HIV感染者における消化管病変 | 榊原 祐子 |
11 | 地域で暮らすHIV陽性者の療養生活を支える~医療ソーシャルワーカーにできること~ | 岡本 学 |
12 | 血友病診療・凝固因子製剤の使い方 | 西田 恭治 |
13 | HIV医療体制と薬害エイズ | (特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権(MERS))花井 十伍 |
14 | HIV感染症の最近の話題:U=Uをめぐって | (矢田生活協同組合医療センター管理医)松浦 基夫 |
15 | 話しにくい話題を取り上げて話すには? | (コラボレーション実践研究所所長/大阪府立大学名誉教授)山中 京子 |
16 | 多職種による事例検討「セルフケアに困難を抱える事例」 | 山中 京子・東 政美 |
17 | 薬害HIV | 西田 恭治 |
18 | 在宅療養支援の実際 | 東 政美 |
19 | HIVと歯科疾患 | 有家 巧 |
20 | 新規抗HIV薬 | 渡邊 大 |
21 | HIV感染・男性間性交渉者の尖圭コンジローマに対する外科治療 | (道仁病院)宮崎 道彦 |
22 | HIV感染症と眼科疾患 | 辻野 知栄子 |
23 | 免疫再構築症候群(IRIS) | 上平 朝子 |
24 | MASH大阪/コミュニティセンターdista 見学・講義 | 塩野 徳史 |
25 | 特定非営利活動法人CHARM 見学・講義 | 三田 洋子 |
26 | HIV感染症と薬物依存 | 岡本 学 |
27 | HIV感染症と皮膚疾患 | 小澤 健太郎 |
28 | 神経心理検査と事例検討 | 宮本 哲雄 |
29 | 特定非営利活動法人スマートらいふネット/一般社団法人JHC/chotCAST 見学・講義 | 毛受矩子・桜井 健司 |
30 | 陽性妊婦の看護支援 | 東 政美 |
31 | STD(性行為感染症)の診療 | 廣田 和之 |
32 | 日和見感染症診療(HIV脳症、PML、クリプトコッカス症) | 上地 隆史 |
33 | 特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権(MERS)見学・講義 | 若生 治友 |
34 | 入院症例の管理の実際 | 松村 拓朗 |
35 | HIV急性感染 | 渡邊 大 |
参加者の感想文
姫路医療センター
呼吸器内科 世利 佳滉
HIV診療にこれから従事しようと考えており、今回HIV感染症医師実地研修会に1か月間参加させていただきました。これまではHIV診療に関わっておらず、抗HIV薬やHIV診療に対してはよくわからないので敷居が高いという印象からのスタートでした。
入院症例を一緒に診察させていただいてHIV診療の流れや必要な検査などを学ぶことができ、外来実習ではHIVはARTをしっかり継続できていれば非常によくコントロールができるものだと学びました。それに加えて講義や外部研修でHIV診療について理解を深めることができ、当初あった抵抗感もなくなり大変有意義な研修となりました。またHIVの疾患そのものだけでなく、セクシャリティや社会的背景などの重要性も認識でき非常に勉強になりました。
今回学んだことを自施設に持ち帰り、HIV診療のチームの一員として診療に役立てていきたいと思います。1か月間ありがとうございました。
修了証書授与式
大阪医療センターでは、増加を続けるHIV感染症患者に対してHIV専門医が少ないという状況を改善する為に、平成18年度よりHIV感染症専門医師養成コース(HIV感染症医師実地研修会)を実施しています。本年度も1ヶ月間におよぶ実地研修を実施しました。
実施時期:令和3年9月27日(月)~10月22日(金)
開催場所:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
開催目的:HIV感染症に関する最新の専門知識・治療技術を習得させ、HIV診療体制構築の充実を実践できる人材育成を目的とする。
対象: 西日本ブロックのエイズ診療拠点病院医師(初期研修医は除く)で所属施設長の推薦を受けた者。研修終了後にHIV診療に継続して関わる者が望ましい。
参加者:2名
内容:講義・病棟実習・外来見学・NPO見学
講師一覧
1 | 疫学と抗HIV治療ガイドライン | 白阪 琢磨 |
2 | HIV感染症の診断 | 渡邊 大 |
3 | 抗HIV薬の特徴と薬剤師の役割 | 櫛田 宏幸 |
4 | ディスカッション「初回抗HIV療法の実際」 | 渡邊 大・櫛田 宏幸 |
5 | HIV陽性者に対する外科手術 | 俊山 礼志 |
6 | 血友病診療・凝固因子製剤の使い方 | 西田 恭治 |
7 | HIVとカウンセリング | 安尾 利彦 |
8 | 日和見感染症診療(PCPを中心に | 上平 朝子 |
9 | 症例検討(医師・薬剤師向け) | 上平 朝子、矢倉 裕輝 |
10 | HIV感染者における消化管病変 | 榊原 祐子 |
11 | 外来・病棟看護と療養支援 | 東 政美 |
12 | 地域で暮らすHIV陽性者の療養生活を支える~医療ソーシャルワーカーにできること~ | 岡本 学 |
13 | HIV医療体制と薬害エイズ (特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権(MERS)) | 花井 十伍 |
14 | HIV感染症の最近の話題:U=Uをめぐって | 松浦 基夫 |
15 | 話しにくい話題を取り上げて話すには? | 山中 京子 |
16 | 多職種による事例検討「セルフケアに困難を抱える事例」 | 山中 京子、東 政美 |
17 | HIV感染症と眼疾患 | 辻野 知栄子 |
18 | HIV陽性者の在宅療養支援 | 東 政美 |
19 | STD(性行為感染症) | 廣田 和之 |
20 | 薬害HIV | 西田 恭治 |
21 | 日和見疾患 | 上地 隆史 |
22 | 陽性妊婦の看護支援 | 東 政美 |
23 | HIV感染症と薬物依存 | 岡本 学 |
24 | HIVと歯科疾患 | 有家 巧 |
25 | HIV感染、男性間性交渉者の尖圭コンジローマに対する外科治療 | 宮崎 道彦 |
26 | 免疫再構築症候群(IRIS) | 上平 朝子 |
27 | 神経心理検査と事例検討 | 宮本 哲雄 |
28 | 新規抗HIV薬 | 渡邊 大 |
29 | HIV感染症と皮膚疾患 | 小澤 健太郎 |
30 | HIV急性感染 | 渡邊 大 |
31 | 薬剤指導 | 矢倉 裕輝 |
32 | 特定非営利活動法人 MASH大阪/dista 見学・講義 | 塩野 徳史 |
33 | 特定非営利活動法人 スマートらいふネット/chotCAST 見学・講義 | 毛受 矩子 |
34 | 特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権(MERS)見学・講義 | 若生 治友 |
35 | 特定非営利活動法人 CHARM 見学・講義 | 青木 理恵子 |
参加者の感想文
京都市立病院
感染症科 青木 一晃
コロナ渦の大変な中貴重な実醤の機会を与えてくださったことに関してまずは御礼申し上げます。私は昨年からHIV診療に携わっているのですが,コロナ診療も重なりHIVに関してきちんと勉強できないまま1年が過ぎてしまいました。今回1か月間ゆっくり勉強できたことで基礎固めが出来たと思います。
大阪医療センターは通院患者数が多いので疾患や治療経過のバリエーションが富んでいることが印象的でした。今は何気なく通院されている患者さんが治療開始前後にとても苦労したエピソードなどをスタッフの先生方からお聞きすることもあり、稀な日和見感染症やIRISの症例はHIV診療ならではのものかと思いました。
HIV治療は安定していても生活習隕病や悪性腫瘍などの併存疾患で難渋している患者さんも沢山居られました特にHIV感染症と生活習慣病は切っても切れない関係であり、HIV診療をする上で一般的な内科診療は不可欠であることを改めて感じました。今後患者層がますます高齢になるにつれて併存疾患もより多くなることが予想されるので、他科の先生と連携しつつ自分自身の診療の幅を広げていこうと思いました。
貴重な学びの機会をありがとうございました. 今回学んだことを自施設での診療あるいは将来に診療を通して患者さんに還元していこうと思います。
堺市立総合医療センター
内科 村田 賢哉
来年度から本格的にHIV診療にかかわるために、今回、この1ヶ月研修に参加させて頂きました。
病棟・外来を通して1ヶ月で普段では経験できない数のHIV患者さんの診療にかかわることができ、実地研修ならではの貴重な学びが得られました。
また、貴重な講義があり、HIVにまつわる他の診療科の知識(眼科・皮フ科・歯科など…)や、社会制度、セクシュアリティなどについても改めて勉強することができたのも非常に勉強になりました。他職種のチームでかかわることの重要性(医師には言えないことも他の職種には言えるなど…)も実際に感じることができました。
自施設にもちかえって、学びを最大限還元できるよう、取り組みたいと考えております。
1ヶ月間、お忙しい中、また新型コロナウイルス流行の中、実地研修を受け入れて頂きありがとうございました。
修了証書授与式
臨床心理室 森田眞子
COVID19がまだまだ予断を許さない状況でしたが、令和2年11月4日(水)標記研修会を集合形式で開催しました。参加者は医師、看護師、薬剤師、MSW等、計16名で、HIVの経験症例数は100例以上の方がおられる一方、0~10例以下という方が全体の3/4おられました。
HIV医療/包括的ケアの質向上を図り、陽性者のQOL向上に資することを目的に平成18年度から始まった「HIV医療におけるコミュニケーション研修会」が、平成29年度に一旦休止となり、その後ブロック内で研修ニーズの調査結果を踏まえて、今年度新たに研修会を開催しました。別表のようなプログラムで、グループ討議等も織り交ぜながら、多職種アプローチについて考えて頂ける様に工夫しました。
講義①ではU=Uのエビデンスや医療における意義~心理・社会的側面への影響なども考える内容で、ひいては支援者自身の価値観を振り返る時間ともなったのではないでしょうか。実際に、誰がいつどのように陽性者にU=Uを伝え、フォローしていくか、松浦先生の臨床でのご経験なども大いに参加者のヒントになったかと思います。
講義②では、盛り沢山な内容を山中先生が整理してお示し下さいました。苦手意識のある話題でも、自分なりにちょっとやってみようかなと思えるヒントを持ち帰って頂けたようです。
午後からは約3時間かけての事例検討。心理士が他職種の関わりも含め発表し、CNsが診療面での情報などを補足しました。参加者からは、「各職種の役割や動き、チームとしての連携の実際について具体的に知ることができた」、「多職種編成の小グループ討議により、事例への理解が深まった」、「ひとつとして同じ事例はないものの、事例を通して療養支援には多方面からの関わりが重要であり、チーム医療の意義を再確認できた」といった感想を頂きました。特に小グループ討議は「他施設、他職種からの様々な意見が聞けて良かった」と大変好評でした。
今回の新編成での研修会は、運営面や内容等で至らぬところも多々あったかと思いますが、アンケートではお蔭様で満足度が高い結果でした。
感染対策にもご協力頂き、無事開催できましたこと、講師の先生方はじめ、何よりもおひとりおひとりの参加者の皆様に感謝申し上げます。
〈プログラム〉
8:50~ | 受付 |
9:05~9:15 | 開会の挨拶、研修会説明・諸注意(安尾・森田/大阪医療センター臨床心理室) |
9:15~10:15 | 講義①「HIV感染症の最近の話題:U=Uをめぐって」(60分) 講師:松浦基夫先生/NPO法人CHARM 理事長、前・堺市立総合医療センター内科統括部部長、感染症対策センター長 |
10:15~10:20 | 休憩 5分 |
10:20~12:20 | 講義②「話しにくい話題を取り上げて話すには?」(セクシュアリティの基礎知識、援助的コミュニケーションの基礎と工夫など)(120分) 講師:山中京子先生/コラボレーション実践研究所所長、大阪府立大学名誉教授 |
12:20~13:20 | 昼休み 60分 |
13:20~16:30 (途中適宜休憩あり)(グループでご着席頂きます) |
③多職種による事例検討「セルフケアに困難を抱える事例」(190分) 司会進行/コメンテーター:山中京子先生 事例提供:牧寛子/大阪医療センター臨床心理室 補足・コメント:東政美/大阪医療センター看護部 |
16:30~ | アンケート記入・解散 |
** HIV診療の短期研修のご案内 **
当院では、HIV診療の研修を実施していますが、定員を超える、あるいは実施時期の問題など、その他の短期院内研修のご希望が寄せられています。多くのご要望にお応えしたいと考えておりますが、人数等の物理的制約があるのも実情です。HIV診療に従事されている方のアップデート、今後HIV診療に従事される予定の方などで、所属長の了解を得られた方を対象に短期研修をお受したいと考えます。研修時期や内容等、ご要望にお応えできるかどうかは、当科の状況によりますので、詳細につきましては、まずは下記まで個別にご相談ください。
HIV/AIDS先端医療開発センター センター長 上平朝子
uehira.tomoko.mz-osaka@mail.hosp.go.jp
感染症内科 科長 渡邊 大
watanabe.dai.pg-osaka@mail.hosp.go.jp
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