診療科・部門

血管造影検査

血管造影検査とは?

カテーテル(細い管)を主に脚の付け根や肘の血管から目的とする血管まで挿入し、カテーテルの先端から造影剤を注入しⅩ線で連続撮影する検査です。カテーテル検査やアンギオとも呼ばれます。血管造影検査では、血管の狭窄や閉塞、動脈瘤、腫瘍などの大きさや形状を確認し、病態や進行度を診断することができます。また、適応症例にはカテーテルを用いた血管内治療治療(IVR)を行っています。血管内治療は外科的手術に比べて負担の少ない治療で、各診療科の治療の選択肢を拡げると共に、内科系・外科系など多くの診療科と協力して様々な診断・治療を行っています。頭頸部、心臓、腹部、末梢血管など全身の血管が検査、治療の対象です。当院では、年間約1000件の血管造影検査(診断)を行っており、加えて血管内治療も年間約1000件行っています。

当院では、心臓カテーテル室、血管撮影室にそれぞれバイプレーンのFPDを搭載したSIEMENS社製の血管撮影装置を導入しています。

また、緊急災害医療棟初療室にも血管撮影室を併設し、血管撮影装置を導入している為、初療室からのスムーズな救急検査及び血管内治療が可能です。

心臓カテーテル室 Artis Zee biplane(SIEMENS)

  • 心臓、末梢血管など(循環器内科)
《特徴》

バイプレーンシステムにより2方向同時に透視・撮影が可能な為、造影剤の使用量が半分になります。心臓に特化しており、コンパクトなFPDを搭載している為、深い角度から対象血管を撮影する場合でも制限なく撮影することが出来ます。また、ステントの視認性を大幅に向上させるCLEARstentを搭載しています。

Artis Zee biplane(SIEMENS)
Artis Zee biplane

画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社

血管撮影室 ARTIS icono D-Spin biplane ICT & SOMATOM Confidence(SIEMENS)

  • 頭頸部、腹部(脳外科、脳卒中内科、放射線科)
《特徴》

大型FPD搭載バイプレーンの血管撮影装置と20列CTを組み合わせた装置(IVR-CT)であり、IVRとCT撮影を並行して行うことが出来ます。2022年に導入された最新型の装置であり、回転撮影による3D撮影、4D撮影、血液灌流解析などが可能です。また、従来装置よりも低被ばくで高画質な透視・撮影が可能です。

ARTIS icono D-Spin biplane

SOMATOM Confidence

画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社

緊急災害医療棟 血管撮影室 Artis Zee biplane(SIEMENS)

  • 心臓、頭頸部、腹部、末梢血管(循環器内科、脳外科、脳卒中内科、放射線科、救急救命科)
《特徴》

正面は大視野FPD、側面にはコンパクトFPDを搭載したハイブリッドバイプレーンシステムの血管撮影装置です。正面は大視野のため、腹部や頭部の血管撮影にも対応し、側面はコンパクトでFPDの干渉を避けることができるので、深い角度から対象血管を撮影する心臓カテーテルにも使用できます。初療室に併設しており、急性心筋梗塞や急性期脳梗塞、くも膜下出血、外傷性出血など血管内治療が必要な救急症例に対応しています。

Artis Zee I biplane
Artis Zee I biplane

どの部屋も安心して検査を受けていただけるような清潔感のある、明るい部屋となっています。検査中は何かありましたら、いつでもスタッフに声をおかけください。

当院で行っているIVR手技のご紹介

フローダイバーターシステムを使用した脳動脈瘤塞栓術

脳動脈瘤の中でもクリップなどで閉塞することが困難な大型および巨大なワイドネック型の脳動脈瘤治療を「Pipelineフローダイバーターシステム」を使用してIVRで行っています。このシステムはメッシュ状の筒型デバイスを脳動脈瘤のある動脈に挿入することで,元の動脈の血流を温存しながら,脳動脈瘤内への血液の流入を遮断し,脳動脈瘤を塞栓していくことが出来ます。

Pipelineフローダイバーターシステム
Pipelineフローダイバーターシステム

ステント型血栓除去デバイスによる血栓回収療法

急性期の脳梗塞の治療にカテーテルの先端に付いたステントで脳梗塞の原因の血の塊を除去して脳の血流を回復させる治療を行っています。日本初にして唯一の24時間以内急性期脳梗塞治療のデバイスとして適応拡大の承認を取得した「Trevo(トレボ)リトリーバー」をはじめ、より血栓を除去しやすい形状になった「Tron FX」、「Embotrap II」などの充実した最新の血栓回収デバイスを用いて治療にあたります。

Tron FX
Tron FX

カテーテルを使用した動脈塞栓術

血管内に挿入したカテーテルから塞栓物質を局所に留置することにより,血流を停滞・血栓化させる治療を行っています。交通事故によって体の内側から起こった出血の塞栓や、腫瘍への血流の遮断など用途は様々です。IVR-CT装置により得られたデータから再構成した3Dロードマッピングも可能でカテーテルを出血部位まで的確に誘導し、迅速に塞栓していきます。

カテーテルを使用した動脈塞栓術

高速回転式アテレクトミーを使用した冠動脈形成術

狭心症や心筋梗塞の原因となっている固い血栓や石灰化、をRotablator(人工ダイヤモンド粉のついたドリル)を使用して削ることで、狭くなった心臓の血管を広げる治療を行っています。拡張する際の画像診断として、カテーテルの先に超音波プローブがついたIVUS、カテーテルの先から近赤外線を照射して血管の内部の断層を撮影できるOCT、さらには直接血管内を目視出来る血管内視鏡などサポートする血管イメージングデバイスも取り揃えています。

高速回転式アテレクトミーを使用した冠動脈形成術
Rotablator      IVUS     血管内視鏡