診療科・部門

アイソトープ(RI)検査

ガンマカメラ装置
核医学検査用 ガンマカメラ装置
Symbia E

核医学検査(RI検査)の仕組み

核医学検査は、ガンマ線という放射線を放出する放射性同位元素(RI)を含んでいる薬を注射などによって体の中に入れ、臓器や病変部に取り込まれた薬から放出される微量のガンマ線を、体の外からカメラで撮り画像にする検査です。
カメラが体のまわりをゆっくり移動しながら、全身の写真や目的とする臓器の写真を撮ります。

アイソトープ検査の模式図

核医学検査の特徴

特定の臓器や病変のある部位を見つけるため、目的とする検査ごとに異なった検査薬が用意されています。検査薬は、病変部に強く取り込まれたり、逆に取り込まれなかったりします。これをカメラで撮ると、ある部分だけが濃くなったり、形が欠けていたりするので、病変の状態がわかります。また、これらのデータをコンピュータで処理をして、臓器の働きの程度を見たり、臓器の断層像(輪切り像)を作ったりして、詳しく調べます。つまり、臓器や病変の構造や形態に加え、体の代謝や機能を知ることができます。例えば、脳や心臓に集まる検査薬を使うと、血流状態を知ることができ、それぞれの臓器(細胞)に血液が十分に送られているかどうか、ということがわかります。
検査によって数分で終わるものや、数十分かかるものがあります。また、検査薬の体内での移動をみるために、1日2回あるいは別の日に分けて数回写真を撮ることがあります。

検査薬から放出される放射線について

核医学検査では、

  • 体に影響の少ないガンマ線が用いられています。
  • ガンマ線を放出する放射性同位元素のなかでも寿命の短いものが使われます。
  • きわめて微量が投与されます。

これらのことから心配なく日常の検査にも用いられています。放射線の量は時間の経過とともに減少し、使用する検査薬によって多少異なりますが、概ね1ヶ月程度で体内投与前と同じ程度に戻ります。

予約が必要な理由

放射性検査薬は、寿命が短く病院で貯蔵しておくことができません。いわば新鮮なうちに使う必要がある生鮮品なのです。そのため検査ごとに発注され、製薬会社から毎朝病院に届けられます。薬を新鮮な状態で準備するためには検査の予約をしていただく必要があるのです。

主な検査

心筋血流シンチグラフィ(テクネチウム製剤)

労作時(心臓に負担がかかった状態)に胸痛が出現するなどの症状がある場合、正常な周囲より血流が低下している部位があります。血流が減少すると、検査薬の集まりが正常な部位(赤い部分)より少なくなり、欠損(緑や青い部分)として表示され、狭心症の診断につながります。また、SPECT(断層)画像に合わせて、心筋の壁運動を観察することで、血流と心筋の動きとの関係を簡易的に把握することも可能です。

「適応と対応疾患」

  • 労作性狭心症における虚血の検出
  • 心筋梗塞
  • 梗塞後の心筋生存性の評価
  • 血行再建、再灌流後の治療効果
  • 心筋症の血流評価:拡張型心筋症、肥大型心筋症
SPECT(断層)画像
SPECT(断層)画像
SPECT(断層)画像
QGS画像:心筋の壁運動を観察
QGS画像:心筋の壁運動を観察
心筋血流解析結果
心筋血流解析結果
脳血流シンチグラフィ(123I-IMP)

骨に炎症や骨折があれば、検査薬が正常部位よりも多く集まります。全身を一度に検査でき、全身画像に加えてSPECT(断層)画像やMIP画像を得ることにより、重なった部分の診断もしやすくなります。

「適応と対応疾患」

  • 脳血管障害、痴呆、てんかん、脱随性疾患、変性疾患、精神疾患、脳炎、脳腫瘍、脳死
  • 脳血管障害における局所脳血流異常の検出
  • 精神疾患における局所脳血流異常の検出
  • 血行再建、再灌流後の治療効果
SPECT(断層)画像と血流量解析結果
SPECT(断層)画像と血流量解析結果
SPECT(断層)画像と血流量解析結果
SPECT(断層)画像と血流量解析結果

SPECT(断層)画像と血流量解析結果

骨シンチグラフィ

骨に炎症や骨折があれば、検査薬が正常部位よりも多く集まります。全身を一度に検査でき、全身画像に加えてSPECT(断層)画像やMIP画像を得ることにより、重なった部分の診断もしやすくなります。

「適応と対応疾患」

  • 悪性腫瘍の骨転移の有無、治療後の評価
  • 疲労性骨折やX線写真ではっきりしない病変の存在診断
  • 関節炎、関節症の評価
  • 原発性骨腫瘍の評価
  • 人工関節置換術後の感染やゆるみの検索
  • 代謝性骨疾患や腫瘍類似疾患の評価
  • 骨移植後の血流、存在性の評価

全身画像と胸部スポット撮影画像 SPECT(断層)画像とMIP画像

ガリウムシンチグラフィ

悪性腫瘍が疑われたときや高熱が長く続いて炎症部位が判らないとき、この検査が行われます。この検査に使用する薬は腫瘍や炎症部位に集まる性質があり、腫瘍や炎症部位がどの部位にありどの程度の進行具合かを調べます。

「適応と対応疾患」

  • 悪性リンパ腫の病期診断、治療効果判定
  • 頭頚部腫瘍の診断、治療効果判定
  • 甲状腺未分化癌の診断
  • 悪性黒色腫、睾丸腫瘍、肺癌の転移診断
  • 間質性肺炎の診断
  • サルコイドーシスの診断
  • 不明熱の原因病巣、原発不明癌の検出

全身画像とスポット撮影画像
全身画像とスポット撮影画像

肺血流シンチグラフィ

肺の毛細血管より少し大きい粒子の放射性検査薬を静脈注射すると、一時的に塞栓を生じます。この状態を撮影することにより肺動脈の血流分布を写真にすることができます。肺の血管が詰まっているとその先に検査薬が行かないために写真に写らなくなり、血管が詰まっている場所、範囲を知ることができます。

「適応と対応疾患」

  • 肺梗塞症の診断、治療効果判定
  • 肺癌での肺血流変化の評価
  • 閉塞性肺疾患などびまん性肺疾患の血流評価
  • 大動脈炎症候群の肺血流評価
Static画像
Static画像
SPECT(断層)画像(○梗塞部位)
SPECT(断層)画像(梗塞部位)
腎動態シンチグラフィ(99mTc-MAG3)

腎臓への血液の流れや、濾過能力などの腎臓の働きを調べる検査です。
放射性医薬品の腎臓および尿路における薬物動態を経時的に撮影することで、腎臓の機能および形態を非侵襲的に診断することが可能です。

「適応と対応疾患」

  • 腎機能の障害度評価
  • 閉塞性尿路疾患の評価
  • 腎血管性高血圧症の検出
  • 腎移植後の腎機能評価:急性尿細管壊死と拒絶反応
  • 腎梗塞の検出
レノグラム 解析結果と経時画像
レノグラム 解析結果と経時画像

レノグラム 解析結果と経時画像