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発作性上室性頻拍

病気の説明

突然、何かの拍子に(発作性)脈がはやくなり、それが持続する(頻拍)状態で、早い脈が心房およびその付近からでているもの(上室性)が発作性上室性頻拍です。本来、正常の脈を出す司令塔(洞結節)以外のところから異常な脈が出続ける場合と、正常な脈の伝導路が異常な脇道を介してループを作り、そこで脈の信号がグルグルとまわって止まらなくなる場合があります。発作性上室性頻拍には、その脈の出方によって房室回帰性頻拍、房室結節回帰性頻拍、心房頻拍が含まれます。

症状

発作は急に、前触れなく起こるので、「突然脈がはやくなった」というのが代表的な症状です。これにより動悸、息切れ、胸の不快感が出現します。脈が極端にはやく、心臓が効率よく動けなくなると、血圧低下や失神などの重い症状がでることもあります。

検査

診断は心電図で行います。発作が起きていないときの心電図では特に異常が見つからないことが多いため、発作がおきたときの心電図をしっかり記録することが重要です。発作時に病院を受診して通常の心電図で記録することが第一ですが、難しい場合はホルター検査やイベントモニター(発作時に簡易の心電図を記録することができる携帯用の機械)を使用します。
多くの発作性上室性頻拍は基質的心疾患を伴いませんが、治療にあたり心機能や肝臓・腎臓の機能を把握することが重要であり、胸部X線撮影や心エコー図検査、血液検査なども並行して行います。

治療

発作性上室性頻拍は、普段は何も異常がなく、前触れなく突然発作を生じるものであるため、発作がおきてから薬を飲んで早く止める方法(頓服)と、普段から薬を飲んでおいて発作をおこしにくくする方法(予防的内服)があり、症状の強さや発作頻度によって薬剤の選択・使用方法を相談していきます。頓服のかわりに、息こらえをしたり、冷たい水を飲んだりすることで発作が止まる方もいます。しかしこうした方法では発作を十分に抑え込むことが難しい場合が多く、また長期にわたり薬剤を内服することにはデメリットも大きいため、カテーテルアブレーションによる根治をおすすめすることもあります。
発作性上室性頻拍に対してはカテーテルアブレーションによる治療も高い成功率(90%以上)がみこまれます。また近年では使用する機材の進歩により安全性も確立してきたため、日本循環器学会のガイドラインでも患者さんの症状や状態によっては薬剤治療よりも優先して行うべきとされています。